シランケンの不純愛講座　男を落とす、彼女のプロファイリング

男を落とす、彼女のプロファイリング

男と女のモテ技　　Ｗ-19　　

「あなたって〇〇な人」――そんなふうに、
人を分析して見せたがる女性がいます。
このプロファイリングを得意ワザとする女性たちは、
けっこうモテたりもするのですが――。　

Ｊクンって、損な性格してるよね。

　たとえば、そこは、都心のターミナルからほど近いホテルのバー。
　仕事帰りに「ちょっと軽く一杯、やっていこうか」と、どちらからともなく声をかけて、カウンターに並んで腰を下しグラスを傾けているとき、彼女がポツリとそんな言葉をもらしたとします。
　言われた男は、ものすごく気になります。
　ええ、ま、この長住なんかもけっこう気になるタイプなんですが、Ｊクンはもっと気になってしまったようでした。
　Ｊクンというのは、私の後輩。そして、Ｊクンに「損な性格してるよね」というひと言を発したＦは、その同僚でした。
　大学で心理学を勉強したというＦの得意ワザは、プロファイリング風人物分析。でも、それを知識としてひけらかすんじゃなくて、チラと気になる言葉にして相手に投げつける。意識してかどうか、そういうことをだれかれかまわずやってしまうような女の子でした。
　「損な性格」と言われたＪクンは、つい、ツッこんでしまったんですね、彼女が投げかけた言葉に――。

そんなふうに見えるの？

見える。よかれと思ってしたことを人に誤解されたり……ってことが、けっこうあるんじゃない？

そりゃまぁ……ないとは言えないけど……。

私もそうだから、わかる……なんとなく。

　私とあなたは、同じ種類の人間なのよ――そんな暗示に見事に引っかかったＪクンは、その後もたびたび一緒に飲みに行くことになり、肌までプロファイリングされることになり、彼女の長期保存ファイルにもファイリングされることになってしまった、という次第です。

「だれにでもあてはまること」を言う才能

　男たちの中には、こうして勝手に分析されることを好まない人たちもいます。中には、「余計なお世話」だと怒り出す人だっているかもしれません。
　しかし、そうではない人たちもいます。
　「ヘェ、よくわかったなぁ」と驚き、次には、「このひと、自分のことをわかってくれてるんだぁ」と感動し、知らないうちに、マインドをコントロールされるようになっていくんですね。
　もちろん、そのコントロールとは、「彼女を好きになる」というコントロールです。
　Ｆが意識してその手を使ったのかどうかは不明ですが、そうやって彼女にファイリングされてしまった男が、筆者・長住が見聞きしただけでも、３人はいました。
　みんな、似たようなやり方でプロファイリングされたのがきっかけで、彼女のくもの巣に絡め取られたわけですが、冷静に考えてみると、大したこと言われてるわけじゃないんですね、これが。
　というか、だれにでもあてはまるようなことを言われてるだけなんです。
　たとえば、こんな具合――。

　同僚Ａの場合　
けっこう、ガンコなところあるよね。みんなには見せないけど、ここだけは譲れないっていうセン、ピシッと守ってるもんね。
〈よく考えてみれば〉　クラゲでもない限り、だれだって「ここだけは譲れないセン」の１本や２本は持ってます。当たり前じゃないか。

　後輩Ｂの場合　
強がってガンバってるけど、フッと人に甘えたくなること、あるでしょう。ほんとは、私もそうなの。
〈よく考えてみれば〉　「フッ」とだったら、だれだって「人に甘えたくなる」ことぐらい、あるでしょ。Ｂは、これでホロッとなっちゃったらしいけど……。

　Ｃ係長の場合　
係長って、どこか生き方が不器用ですよね。その不器用さが私は好きなんですけど……。
〈よく考えてみれば〉　世の中に「オレは器用に立ち回ってるゾ」なんて思ってる人間も、思いたがってる人間も、いないでしょ。Ｃ係長は、このひと言に「即死」だったようですがね。

　つまり、Ｆは、だれにでもあてはまることを、さも「私だけが見つけたあなたのいいとこ」ふうに語る達人だった――というわけです。
　ま、それはそれで、ひとつの才能だとは思うんですけどね。

カラス

　ポイント　
これは、占い師の手口です

　Ｆ嬢が使った手口、実は、プロファイリングなんてものじゃない――と、私は思っています。
　どちらかと言うと、占い師の手口です。
　よく当たる占い師というのは、私に言わせれば、「よく当たる」のではなく、「当たってる」と思わせるように表現する達人なんです。
　「タンスの裏から１万円札が見つかるわよ」なんて占言してしまうと、外れる可能性大ですが、「きょうは思いもしない見つけものがあるかも」と言えば、たいていの場合は当たります。占いと言うのは、そういう表現を使って人の心を操作する技法と思えばいいと思います。
　その昔、何人もの占い師のゴーストをつとめた私が言うのですから、間違いありません。
　ご紹介したＦ嬢も、そんな達人のひとりなのでしょう。
　念のために申し上げておきますが、私は、この技法が嫌いではありません。というか、恋愛には、こういう手法も必要だ――と思っている人間のひとりなんですがね。

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