かわいすぎる友だち〈12〉ルイス神父の祝福

第2話 かわいすぎる友だち 12
R18
このシリーズは、性的表現を含む官能読み物です。
18歳未満の方は、ご退出ください。
2年になると、満と会う機会が減った。
最近、満は、司祭館に入り浸っている
という。ある日、オレが目にしたのは、
満がルイス神父に肩を抱かれて、
司祭館から出て来る姿だった——。

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ここまでのあらすじ 中高一貫の受験校に1クラスだけ設けられた編入クラス。そこで出会った高野満は、姿のいい男の子だった。オレの部屋を訪ねてくるようになった満に、オレはいつしか惹かれていく。そんなある日、ふたりは汗を流すために道後温泉の外湯に入った。おたがいの体を較べ合ったふたりは、「おまえ、まだむけてないんか?」「ワシもや」と、イチモツをチラ見した。「むいとかんと、ガンになるそうや」。どこかのオヤジから聞いた言葉を伝えながら、「そこは、こうして洗うんよ」と教えるために、オレは満の股間に手を伸ばした。そんなことがあって、オレは農家の納屋を改造して作られた満の部屋を訪問するようになった。満の部屋には魅力的なものがあった。そのひとつが倍率30倍の望遠鏡。それで見ると、アンドロメダ星雲の渦の形まで見えるという。オレと満は田んぼに出かけて夜空を観測した。体を寄せ合って代わる代わる望遠鏡をのぞくオレと満。オレは満の体の熱を感じて、その体を抱き締め、唇と唇を重ね合った。すぐに夏休みがやって来る。「おまえが帰省すると寂しくなる」と言う満は、「泊まりに来いよ」とオレを家に誘った。ふたりで裸になってシャワーを浴びたオレたちは、身を寄せ合ってたがいの体を洗い合った。そして、アレにも手を伸ばした。「おまえ、3分もつか?」。オレたちは交互に相手の海綿体をこすって、早撃ち度を較べ合った。ベッドで体を重ね合ったオレと満は、興奮冷めやらない海綿体同士をこすり合わせたが、それは所有し合うことのできない「愛」の形だった。そんなオレたちの世界に、村上が「使ってみろ!」と寄越したものがあった。それは、実家の娼家で女たちが使っているというローションだった。それをオレと満は、たがいの体に塗って、手で相手を刺激し合った。その後だ。手技で果てたオレを、満はいきなり口に含んだ。それは「禁じられた遊び」だった。そんなオレたちのいけない季節は、秋を迎え、やがて冬になった。編入クラスのオレたちは、能力別に3クラスに分けられる。オレはA組、満はC組。離れ離れになった満は、その頃から司祭館に入り浸る姿が目撃されるようになった。そして、そんな満については、よくないウワサが飛び交うようになった――
高2になってからの1カ月は、そうして、新しい下宿に落ち着く間もなく、過ぎていった。満とは、ろくに話もできないまま、さらに1カ月が過ぎていった。
そんなある日の放課後だった。
そろそろ下校しようと、自転車を引き出して校門に向かっていると、門の脇に建てられている司祭館の扉が、ギギギッと音を立てて開けられた。
その扉から出てきた男を見て、オレは危うく自転車ごと引っくり返りそうになった。
重そうな扉を開けて出てきたのは、高野満だった。
その肩に手を置いて、満を扉まで押すように出てきたのは、ルイス神父だった。
満が扉を出て振り向き、胸の前で十字を切ると、神父はそれを祝福するように満の頭に手を置き、それから体を抱き寄せて、「よしよし」というふうに背中を叩いた。
エッ……と、オレは思った。
もしかして、あのウワサは本当だったのか?
「あいつ、男色だぜ」と生徒たちがウワサしている、毛むくじゃらのあのスペイン野郎、あろうことか司祭館に満を引っ張り込んで、禁欲生活の「禁」を破っていたのか? そして、満は、その汚れた欲望の餌食になったのか?
そう思うと、身の毛が逆立った。
満は、ルイス神父に手を振ると、紅潮した顔で自転車にまたがって、校門を出ていく。
オレは、ペダルを踏みこんで、その後を追った。
そんなある日の放課後だった。
そろそろ下校しようと、自転車を引き出して校門に向かっていると、門の脇に建てられている司祭館の扉が、ギギギッと音を立てて開けられた。
その扉から出てきた男を見て、オレは危うく自転車ごと引っくり返りそうになった。
重そうな扉を開けて出てきたのは、高野満だった。
その肩に手を置いて、満を扉まで押すように出てきたのは、ルイス神父だった。
満が扉を出て振り向き、胸の前で十字を切ると、神父はそれを祝福するように満の頭に手を置き、それから体を抱き寄せて、「よしよし」というふうに背中を叩いた。
エッ……と、オレは思った。
もしかして、あのウワサは本当だったのか?
「あいつ、男色だぜ」と生徒たちがウワサしている、毛むくじゃらのあのスペイン野郎、あろうことか司祭館に満を引っ張り込んで、禁欲生活の「禁」を破っていたのか? そして、満は、その汚れた欲望の餌食になったのか?
そう思うと、身の毛が逆立った。
満は、ルイス神父に手を振ると、紅潮した顔で自転車にまたがって、校門を出ていく。
オレは、ペダルを踏みこんで、その後を追った。

満の自転車は、まるで何かから逃げるように、駅前の大通りを城山に向かって走っていく。ペダルを踏むテンポが、いつもより速い。
ふつうに漕いでいると、距離がどんどん開いていくばかりなので、オレは全力でペダルを漕ぎ、何とか声が届くところまで追いつくと、「満――ッ!」と名前を呼んだ。
その声を耳にして、満がキキッと自転車を停めた。
「おまえ、速いのォ。何をそんなに急いどんゾ?」
それには答えず、満は、いきなり、オレの腕をつかんで言った。
「おまえ、時間あるやろ? な、城山に登らんか?」
それは、「登るゾ!」という決意の表明であるようにも聞こえた。
オレたちは「丸三書店」に自転車を停めて、城山に向かった。
ケーブルカーは使わず、石垣を取り巻く遊歩道を上った。
その遊歩道を満はスッスッ……と、ものも言わずに上っていく。足取りが、何だか力強く、険しい。オレは息を切らしながらついて行くのが、やっとだった。

城山の頂上は、中央に天守閣がそびえる広場になっている。
そこからは、市内の全域が一望できる。
市街の西の端には、JRの駅が見えている。その右側に見えているライト・グリーンの建物は、オレたちの学園。その手前に見えている青い瓦ぶきの建物は、司祭館。
東の端には、道後温泉の本館が見え、その道後温泉と駅を結ぶ路面電車が、城山の堀端をグルリと回って走っているのが見える。
南の端には、重信川の流れが見えている。その川を超えた一帯には田んぼが広がっている。満の家も、満が勉強部屋に使っている納屋も、その田圃の一角にある。
満は、広場の柵に肘を載せるようにして、そんな風景を眺めていた。
背中をスッと伸ばした姿が、凛と輝いて見えた。
「ワシのォ、決めたんよ」
それまで沈黙していた満の口から、思いもしない言葉が吐き出された。
その言葉の調子があまりにも決然としているので、オレは、思わず満の顔を見つめた。
「洗礼、受けることにした」
「エッ」と声を発したきり、オレは何も言えなくなった。
「洗礼受けて、高校卒業したら、神学校に進むんや」
国立の理工系学部に進学して、宇宙物理学を学びたい――と希望していた満だったが、いまの成績だと、どうもその希望は果たせそうにない。「だったら」と、満は考えたのだそうだ。
「宇宙の真理をきわめるには、いろんなアプローチがあるやろ? 物理学でなくてもいいやないか、精神的にきわめるゆう道もあるんやないかと思うたんよ」
オレたちの学園を経営するドミニコ修道会は、カトリックの教派の中では、真理を学問的に追求することで知られた修道会だ。その宗教的理論を支えるのは、中世ヨーロッパの哲学界を支配したスコラ哲学。学園には、そのスコラ哲学の大成者とされるトマス・アクィナスの像が設置されていた。
アンドロメダの星雲を望遠鏡で捉えて見せ、得意気な顔を見せた天文大好き少年、高野満は、同時に、「そもそも宇宙は、だれが誕生させたのか?」と問い続ける哲学少年でもあった。
「宇宙とは何? と突き詰めていったら、神とは何? という疑問に突き当たるんよ。そこを究めるのもええんやないか――と思うたんや」
そういう話をするときの満の目は、いつも、キラキラと輝いている。オレはそいうときの満の目が好きだった。
満は、その目をルイス神父に向けて、「宇宙と神の真理を究めるために、卒業したら神学を学びたい」と訴えた。
「本気ですか? あなた、よく決意してくれましたね」
満が決意を伝えると、神父は満の体をハグして、背中をポンポンと叩いた。
それから2カ月、満は司祭館に通って、神父の講義を受けた。
その2カ月の講義で、満の進路が決まった。
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