シランケンの不純愛講座　かわいすぎる友だち〈6〉距離０センチの友情

かわいすぎる友だち〈6〉距離０センチの友情

　妄夢草紙　
　第２話　　かわいすぎる友だち　　6　

　　　　　　Ｒ18　
このシリーズは、性的表現を含む官能読み物です。
18歳未満の方は、ご退出ください。

夏休みを前にオレと満は、束の間の
休日を楽しんだ。「おまえが帰省すると
寂しくなる」と満が言う。オレは満の家
に泊まりに行き、ふたりでシャワーを
浴びた。友情は「距離０」になった。

この話は連載６回目です。最初から読みたい方は⇒こちらから、
　前回から読みたい方は、⇒こちらからどうぞ。

ここまでのあらすじ　中高一貫の受験校に１クラスだけ設けられた編入クラス。そこで出会った高野満は、姿のいい男の子だった。オレの部屋を訪ねてくるようになった満に、オレはいつしか惹かれていく。そんなある日、ふたりは汗を流すために道後温泉の外湯に入った。おたがいの体を較べ合ったふたりは、「おまえ、まだむけてないんか？」「ワシもや」と、イチモツをチラ見した。「むいとかんと、ガンになるそうや」。どこかのオヤジから聞いた言葉を伝えながら、「そこは、こうして洗うんよ」と教えるために、オレは満の股間に手を伸ばした。そんなことがあって、オレは農家の納屋を改造して作られた満の部屋を訪問するようになった。満の部屋には魅力的なものがあった。そのひとつが倍率30倍の望遠鏡。それで見ると、アンドロメダ星雲の渦の形まで見えるという。オレと満は田んぼに出かけて夜空を観測した。体を寄せ合って代わる代わる望遠鏡をのぞくオレと満。オレは満の体の熱を感じて、その体を抱き締め、唇と唇を重ね合った。これは、許されない関係なのではないか？　オレの中に芽生え始めた迷いが、満に対するオレの態度をぎこちなくしていく。そして――

　別れ道まで来ると、「な……」と、満はオレのハンドルに手を置いて言った。
　「夏休みになったら、おまえ、郷里に帰るんか？」
　「ああ、そうなるやろな」
　「１カ月半かぁ。こんなが帰ってしまうと、寂しゅうなるのォ」
　ほんとうに寂しそうに、満が眉を寄せて言う。
　「その前に、遊ぼうや。映画見たりもしたいし……」
　試験勉強から解放された夏休み前の束の間の休日、オレと満は、満が「観たい」と言っていた『ローマの休日』を観に行った。
　「ヘップバーン、かわいかったなぁ」
　「妖精っちゅうのは、ああいうのを言うんやろうな」
　「それを観とるおまえも、妖精みたいやった」
　オレが言うと、「何言いよんぞ」と、満はオレのハラに肘打ちを食らわしてきた。
　それからオレたちは「ロイヤル」に行って、宇治クリーム金時を食った。金のない高校生にとって、一杯180円の宇治クリーム金時を食うなんぞというのは、ひと夏に一度、あるかないかのぜいたくだった。
　そのぜいたくが終わると、満が言い出した。
　「帰省する前に、いっぺん、うちに泊まりに来いや」
　「オウ、いいな」とオレは答えた。
　農業をやっている満の親たちは、夜の９時には寝てしまい、朝は４時に起きて田んぼに出てしまう。夜食とかは用意しとくから、朝までゆっくりしゃぺろうぜ――と満は言い、オレは下宿の大家に、「〇日は外泊するので、朝食は不要」と申し出ておくことにした。

　満の小屋の外には、手や足を洗えるようにと、水道の蛇口が取り付けられ、その下に三和土で固めた洗い場がしつらえてあった。
　三和土には排水口が作り付けてあり、そこから用水路へとつながる排水溝が掘ってある。
　三和土を敷き詰めたのも、排水溝を取り付けたのも、満自身だという。満は、そういう仕事をするのが、嫌いではないように見えた。
　夏に入ると、満は、水道にホースをつなぎ、その先端にシャワーヘッドを装着した。さらに洗い場の周囲をトタン型のアクリル板で囲って、そこを簡易シャワールームに作り替えていた。
　「どうよ、このシャワー室。ワシ専用。暑い夜なんて、これで水浴びしたら、スッキリしよんで。後で一緒に浴びようや」
　「一緒に――て、これ、ひとり用やろ？」
　「くっついて入れば、大丈夫や」
　そう言ってオレの顔を見る満の目が、怪しく光って見えた。

　オレたちは、映画の話に熱中し、読んだ本を披露し合い、そして、将来の進路を語り合い、ハラが減ったら、満の母親が用意してくれたおにぎりをパクついた。
　ひとしきり話し続けると、「暑いな」と言って、オレたちはシャツを脱いで、上半身裸になった。
　「シャワー浴びようか」と言い出したのは、満のほうだった。
　オレたちは着ているものを全部脱ぎ、すっ裸になって、小屋の外の満製シャワールームへ向かった。

　　　　　　　

　ふたりで立つと、満のシャワールームは、たがいの肌が触れ合うくらいに狭い。
　オレと満は、ふたり向き合って並んで体に冷たいシャワーを浴びせ、石鹸を泡立てておたがいの体にまぶしたが、そのまま、自分の手で自分の体を洗おうとすると、腕や手が相手の体にぶつかってしまう。
　「ちょっと洗いにくいなぁ」と言うと、満が、「じゃ……」と言い出した。
　「こうして向かい合って立って、オレがおまえの背中をおまえがオレの背中を洗う。そうすれば、おたがいにきれいに背中洗えるやろ？」
　「ほたら、ハラは？」
　「そやな……」
　ちょっと考えた満が、「そしたら」と声を上げた。
　「ワシがおまえの背中にピタッとくっついて、手を前に回しておまえのハラを洗う。次に、おまえがワシの背中にくっついて、ワシのハラを洗う。どうよ？」
　「密着するんかいや？」
　「イヤか？」
　「いや、ちょっと愉しみかもしれん……」
　そう言って、満の両肩に手をやると、満はクルリと体の向きを変え、オレの背中に手を回してきた。オレも満の背中に回した。
　背中を洗い合うには、ハグし合った手で相手の体をグイと抱き寄せなくてはならない。
　その瞬間、オレたちの友情は、距離０センチを突破した。
　オレたちの情愛を示す器官は、亀が頭をもたげるようにゆっくりと鎌首をもたげ、硬度を増して、距離０センチで触れ合った。
　「ハッ……」
　かすかな息が、満の口からもれた。
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