彼女に「イッたフリ」をさせる《男社会》

性交によってだけではオーガズムに達しない
と答えている女性が、実に51%。彼女たちが
とるのは、「オーガズムの偽装」というウソです。
性とエッチの《雑学》file.30 改定版 R15
このシリーズは真面目に「性」を取り上げるシリーズです。
15歳未満の方はご退出ください。
もしかしたら、これから2回に分けてお届けする話は、男性にとっては、かなりショッキングかもしれません。実は、ほとんどの女性が、オーガズムを偽装、つまり、「イッたふり」をしたことがある――という話なのですから。
なぜ男は、その話にショックを受けるのか?
理由は簡単。男は、自分のペニスこそが、彼女に喜びを与えられる唯一無二の道具だと信じたいからです。
しかし、現実は、そんなに甘くない!
『キンゼイ・レポート』以降、第二次世界大戦後に行われた性意識調査のほとんどが、「パートナーとの性交だけでオーガズムが得られる」という女性は、かなり少数であることを示しているのです。

フロイト時代には「不感症」扱い
フロイトが精神分析学を確立した20世紀初頭(1910年代)には、まだ、こうしたレポートは存在しませんでした。
フロイトは、人間に無意識の世界があることを発見した偉大な学者ですが、ペニスとヴァギナの関係については、いまから見ると、かなり前時代的な考え方の持ち主であったように見受けられます。
ペニスを持つ男性をどこかで優位に考えているフシもあって、たとえば、クリトリスへの刺激によってオーガズムを得ようとする女性を、「ペニス羨望」から脱却できず、「女性性」を確立できてない「未成熟な女性」と決めつけたりしています。
フロイト学派によれば、成熟した女性は、男性との性交(=コイタス)によってオーガズムを得るべきで、それができない女性は「不感症」である、ということになってしまいます。
当時の解剖学のレベルでは、ヴァギナに快感を感じる神経組織=センサーがないことなど、知りようもなかったわけですから、ムリないことかもしれません。

29%が「イカない」――『ハイト・リポート』が明かした驚きの数字
第二次大戦後に発表されたSEXに関するレポートとしては、キンゼイ博士やマスターズ博士らのものが有名ですが、そのどちらも、性交だけによってオーガズムを得ることがむずかしい――という指摘はしていますが、それを数字として報告するところまではいきませんでした。
初めてそれを数字として公表し、世界中にセンセーションを巻き起こしたのが、シェアー・ハイトが1976年に発表した『ハイト・リポート』です。
はたして、女性は、性交だけでオーガズムに達しているのか――ハイト女史が3回に分けて実施した調査の結果は、次のとおりでした。
性交でオーガズムを得られるか?
——性交の経験があり、オーガズムを経験したことのある女性の回答
・性交でいつもオーガズムを得ている……30%
・性交ではごくまれにしかオーガズムを得られない……22%
・性交と同時に手でクリトリスを刺激していれば得られる……19%
・性交ではオーガズムが得られない……29%
実に29%もの女性が、「性交によってはオーガズムが得られない」と答えています。「ごくまれにしか」と答えた女性と合わせると、実に51%が、「性交」によってオーガズムを得ることは、ムリまたはむずかしい――と答えていることになります。
さらに「同時にクリトリスを刺激すれば」という《条件付きイエス》も含めると、なんと70%の女性が、パートナーのペニス挿入だけでは、「めったにオーガズムに達しない」と答えていることになるわけです。
なぜ男は、その話にショックを受けるのか?
理由は簡単。男は、自分のペニスこそが、彼女に喜びを与えられる唯一無二の道具だと信じたいからです。
しかし、現実は、そんなに甘くない!
『キンゼイ・レポート』以降、第二次世界大戦後に行われた性意識調査のほとんどが、「パートナーとの性交だけでオーガズムが得られる」という女性は、かなり少数であることを示しているのです。

フロイト時代には「不感症」扱い
フロイトが精神分析学を確立した20世紀初頭(1910年代)には、まだ、こうしたレポートは存在しませんでした。
フロイトは、人間に無意識の世界があることを発見した偉大な学者ですが、ペニスとヴァギナの関係については、いまから見ると、かなり前時代的な考え方の持ち主であったように見受けられます。
ペニスを持つ男性をどこかで優位に考えているフシもあって、たとえば、クリトリスへの刺激によってオーガズムを得ようとする女性を、「ペニス羨望」から脱却できず、「女性性」を確立できてない「未成熟な女性」と決めつけたりしています。
フロイト学派によれば、成熟した女性は、男性との性交(=コイタス)によってオーガズムを得るべきで、それができない女性は「不感症」である、ということになってしまいます。
当時の解剖学のレベルでは、ヴァギナに快感を感じる神経組織=センサーがないことなど、知りようもなかったわけですから、ムリないことかもしれません。

29%が「イカない」――『ハイト・リポート』が明かした驚きの数字
第二次大戦後に発表されたSEXに関するレポートとしては、キンゼイ博士やマスターズ博士らのものが有名ですが、そのどちらも、性交だけによってオーガズムを得ることがむずかしい――という指摘はしていますが、それを数字として報告するところまではいきませんでした。
初めてそれを数字として公表し、世界中にセンセーションを巻き起こしたのが、シェアー・ハイトが1976年に発表した『ハイト・リポート』です。
はたして、女性は、性交だけでオーガズムに達しているのか――ハイト女史が3回に分けて実施した調査の結果は、次のとおりでした。

——性交の経験があり、オーガズムを経験したことのある女性の回答
・性交でいつもオーガズムを得ている……30%
・性交ではごくまれにしかオーガズムを得られない……22%
・性交と同時に手でクリトリスを刺激していれば得られる……19%
・性交ではオーガズムが得られない……29%
実に29%もの女性が、「性交によってはオーガズムが得られない」と答えています。「ごくまれにしか」と答えた女性と合わせると、実に51%が、「性交」によってオーガズムを得ることは、ムリまたはむずかしい――と答えていることになります。
さらに「同時にクリトリスを刺激すれば」という《条件付きイエス》も含めると、なんと70%の女性が、パートナーのペニス挿入だけでは、「めったにオーガズムに達しない」と答えていることになるわけです。

男性は、彼女が「イッてない」事実を知ってる?
これは、パートナーの男性にとっては、いささかショッキングな結果というべきでしょう。
はたして、このことを男性側は知っているのでしょうか?
実は、ほとんど知らないだろう――と思われます。
というのも、女性がそれを伝えていないから。
「私、まだイッてない」とか「全然、イッてへんよ」とか「そんなんじゃイカんぜよ」とかは、言わないんですね。
言うと相手を傷つけるかもしれないし、もしかしたら「この女は不感症」などと疑われるかもしれないので、たいていの女性は言いません。
「イッた?」とパートナーに尋ねられても、「ウン……」と恥ずかしそうに目をつぶったり、「よく……わかんない」ととぼけちゃったりします。
男性のみなさん、怒らないでくださいね。
「イッてない」を伝えないのは、彼女のやさしい心がそうさせているのですから。
もっとやさしい女性は、「ウソ」をつきます。
どんなウソ……?
「オーガズムの偽装」=「イッたふり」というウソです。
『ハイト・リポート』をまとめたシェアー・ハイト女史は、女性がオーガズムを偽装せざるを得ない理由をいくつか挙げていますが、その原因は、ほとんどが、男性側または男性中心に作られた社会の側にある、と指摘しています。
男の何が、彼女を「偽装」に走らせるのか? まずはその社会的背景について、シェアー・ハイト女史が指摘する問題点をご紹介しましょう。

生殖のためのSEXでこそ快感を得るべきである、という通念
いまだに一部の(ときにはそれが社会の主流であったりもする)保守的な社会では、SEXは生殖のためにのみ行われるべきである、という価値観が寝室を支配しています。生殖のためのSEXとは、「性交」です。
こういう価値観のもとでは、オーガズムは性交によってこそ得られるべき、と考えます。クリトリスでイクなんてとんでもない、というわけです。
このシリーズの10回目『男はなぜ、彼女に「イッた?」と尋ねるのか?』で、オーガズム時に現れる肉体的反応のひとつとして、「膣のリズミカルな収縮」を取り上げました。そして、この収縮運動は、膣内に放出された男性の精液を子宮口のほうへ取り込もうとする運動である――という説があることを、ご紹介しました。
「オーガズムは性交によってこそ得られるべき」と主張する人たちは、この説を拠り所として、こんなことまで口にします。
「性交でイカない女は、妊娠しにくい」
ほんとうにそうなのでしょうか?
性交でオーガズムに達しないと、妊娠しにくいのでしょうか?
マスターズとジョンソンの両博士は、この説を検証するために、ある実験を行いました。
膣の中にX線を通さない精液によく似た流動体を入れて、オーガズム時の膣の動きをX線で観察したのです。すると、流動体は吸い込まれるどころか、人によっては排出するような動きさえ見られることがわかりました。つまり、膣の収縮運動は、外側に向かって行われる、というわけです。
実際、男性がその動きを感覚として感じることもあります。「ペニスがそこから追い出される」という感覚です。
しかし、他方、こんな感想もあります。「そのときの彼女は、ペニスをつかんで中へ引っ張り込もうとするようだった」――と。
オーガズムによって、ペニスは追い出されるのか、引き込まれるのか?
感覚的な問題ですから、これにはいまだ結論が出ていません。たぶん、結論の出しようもないでしょう。
しかし、これだけはハッキリしています。
妊娠のために「性交によるオーガズムが必要」という説は、少なくとも科学的根拠に欠ける、ということです。

女は自分のペニスによってこそ達するべき――と考える家長的伝統
根拠がないにもかかわらず、「生殖のためのSEX」にこだわる社会では、「性交によるオーガズム」を「健全な女性」であるための必要条件と考える傾向があります。
おそらく、こうした考え方がもっとも根強いのは、アメリカのキリスト教保守派の社会でしょう。
そのルーツは、紀元前7世紀以降のユダヤ社会にまでさかのぼります。そのユダヤ社会を特徴づけていたのは、強固な父系性の家長制度でした。
家長制の社会で重視されるのは、父系の血統です。母親がだれであるかより、父親がだれであるかが問題とされる社会です。このことは、性生活にも大きな影響を及ぼします。
女性が、自分の配偶者以外の男性によって性的な喜びを得ることはもちろん、女性同士で快感を交わし合ったり、自分の手で快感を得る(マスターベーション)ことまでもが、神の意思に背く行為と断罪されてしまうのです。
こういう社会の男たちは、こう考えます。
「彼女は、オレのペニスによってのみ、性の悦びを得るべきだ」
ここまで説明してきたことをまとめると、こうなります。
《女性のオーガズムは、生殖のために用意されたものであり、
それを与えることができるのは、配偶者のペニスのみ。
それ以外の方法でオーガズムを得るのは、
不健全かつ不道徳なことである。》
それを与えることができるのは、配偶者のペニスのみ。
それ以外の方法でオーガズムを得るのは、
不健全かつ不道徳なことである。》
こんな考え方が支配している社会では、女性は、「配偶者とのコイタス(性交)で達する自分」を演技するしかなくなります。

「不感症」と思われたくないために
フロイトもまた、上記のユダヤ的父系性社会の伝統を色濃く受け継いでいました。
フロイトは、女性の意識の中には「ペニス羨望」が根深く存在し、それがクリトリスへの執着を生む――と指摘した上で、成熟するとともに「クリトリスへの執着」は払拭されて、男性とのコイタスによるオーガズムに目覚めていくはずだ、と主張したのです。
コイタスによってオーガズムを得られないとしたら、それはいまだ「ペニス羨望」から脱却できてない未成熟な女性なのであり、そういう女性は「不感症」であるとまで言ってしまいました。
女性たちは、ベッドでこう考えるようになりました。

――と。
これもまた、女性を「偽装オーガズム」に向かわせる大きな心理的動機となったのです。
ちょっと長くなってしまいましたが、以上が、女性がオーガズムを偽装せざるを得なくなった社会的背景です。
しかし、「イッたふり」は、何も社会的・道徳的理由からのみ行われるわけではありません。
愛しているから偽装する、愛してないから偽装する――という女性も、いや、むしろそういう女性のほうが多いかもしれません。
次回は、そういう理由から行われる偽装の背景を探ってみます。
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