ヘイトを振りまく「非社会」な人々

人は、「都合がわるい」「恥ずかしい」と感じる事実を「隠蔽」しようとします。そういう人たちが用いる手法に、「ワルモノ」を仕立てて周囲の世界に責任を転嫁する――というのがあります。今回は、そこから生まれる「ヘイト」が、社会を狂わせるという話。そのメカニズムを分析してみます――。
Talker
哲雄 自ら著作を手がけるエッセイスト。当ブログの管理人です。
AKI 出張エステ嬢として働きながら、作家を目指すアラサーの美女。
【今回のキーワード】 ヘイト 集団感情
哲雄 「都合のわるい事実」や「恥ずかしいと感じる事実」を、人は「隠そう」とする。そんな話を、ここまで4回にわたってしてきました。そういう人たちが「隠蔽」の方法として用いるのは、
〈1〉過去の「自分史」を「ねつ造」する。
〈2〉「まわりがわるい」と周囲の社会に責任を転嫁する。
という2つの方法だとお話しました。
AKI 〈2〉は、周りを「ワルモノ」にしてしまうという方法ですよね。でも、そういう態度をとり続けると、「非社会的」な人間ができ上ってしまう。前回は、そこまで話したんでしたよね。その「非社会的」とは、どういうスタンスのことを言うんでしょう?
哲雄 簡単に言うと、社会的な行動をとらない、関心も持たない――という態度と言ってもいいかと思います。
AKI 選挙に行かないとか、新聞も読まないとか……?
哲雄 そんな上等なことまで求めてはおりません。
AKI 上等なんですか? 選挙に行くだけで?
哲雄 「非社会」的な行動をとる人たちっていうのは、そんな高等な社会的行動をとることなんて、考えてみもしないだろうと思いますよ。それどころか、住んでる集合住宅の隣室の人間と顔を合わせても、あいさつもしなけりゃ、会釈すら交わそうともしない。同窓会やクラス会に顔を出さないのはもちろん、職場の仲間との「飲み会」にさえ顔を出さないでしょうね。もちろん、自分から「飲みに行かない?」などと誘うことも、あり得ない。
AKI ウワーッ、私、つき合えないな、そういうタイプとは。
哲雄 いいんです、つき合おうなんて気が、そもそもない人たちなんですから。ヘタに食事なんかに誘ったりしたら、逆に、恨まれてしまうかもしれません。
AKI もはや、群れとして生きる本能を失っているのかな……。
〈1〉過去の「自分史」を「ねつ造」する。
〈2〉「まわりがわるい」と周囲の社会に責任を転嫁する。
という2つの方法だとお話しました。
AKI 〈2〉は、周りを「ワルモノ」にしてしまうという方法ですよね。でも、そういう態度をとり続けると、「非社会的」な人間ができ上ってしまう。前回は、そこまで話したんでしたよね。その「非社会的」とは、どういうスタンスのことを言うんでしょう?
哲雄 簡単に言うと、社会的な行動をとらない、関心も持たない――という態度と言ってもいいかと思います。
AKI 選挙に行かないとか、新聞も読まないとか……?
哲雄 そんな上等なことまで求めてはおりません。
AKI 上等なんですか? 選挙に行くだけで?
哲雄 「非社会」的な行動をとる人たちっていうのは、そんな高等な社会的行動をとることなんて、考えてみもしないだろうと思いますよ。それどころか、住んでる集合住宅の隣室の人間と顔を合わせても、あいさつもしなけりゃ、会釈すら交わそうともしない。同窓会やクラス会に顔を出さないのはもちろん、職場の仲間との「飲み会」にさえ顔を出さないでしょうね。もちろん、自分から「飲みに行かない?」などと誘うことも、あり得ない。
AKI ウワーッ、私、つき合えないな、そういうタイプとは。
哲雄 いいんです、つき合おうなんて気が、そもそもない人たちなんですから。ヘタに食事なんかに誘ったりしたら、逆に、恨まれてしまうかもしれません。
AKI もはや、群れとして生きる本能を失っているのかな……。
哲雄 自分たちは「群れ」なんだ――という意識も、失いかけているのかもしれませんねェ。あるいは、「群れ」が「仮想化」しているのか……。
AKI 仮想化……? つまり、「群れ」が「リアルな世界」としては考えられなくなってるってことですか?
哲雄 彼らにとって「群れ」とは、SNSに群がる顔も名前もわからない連中だったり、ゲームとかコミックに描かれるファンタジックなフィクションでしかなくなってるのかもしれません。
AKI そういう人たちは、周りの人間とコミュニケーションもとらずに、ズ――ッと、スマホの画面を見てたりしますよね。
哲雄 あなたの周辺にもいますか?
AKI いる、いる。人が話しかけても、顔も見ないでスマホ見ながら、生返事しか返さない子とか。そういう子たちって、電車に乗ってもスマホしか見てないし、街を歩いてるときも、スマホの画面見てるから、危ないったらない。
哲雄 コンビニでレジのバイトしている子に訊いたんだけど、そういう人たちは、スマホ見ながらレジにやって来て、店員が「ポイントカードお持ちですか?」って尋ねても、「スプーンおつけしますか?」と訊いても、返事もしないんだそうです。
AKI そもそも、他人と口を利くのがイヤなんじゃないですか?
哲雄 あ~あ、ここまでくると、「非社会」も、もはや病理的であ~る――なんちって。しかしねェ、AKIクン、「仮想世界」に閉じこもって「非社会」的な態度をとり続けるというのは、まだましなほうなんですよ。
AKI エッ、まだ「まし」ですか? もっと問題なタイプがいる――と?
哲雄 「まわりがわるい」と責任転嫁するタイプの中には、
自分の周囲の世界に「ヘイト」を振り向けようとする人たち
がいます。
AKI ヘイト……? つまり、「憎悪」の矛先を周囲に振り向けるわけですか? メイワクな話ですわねェ。
哲雄 「社会的怒り」ではなく「憎悪」ですからね。これは、始末がわるい。その矛先は、多くの場合、まず、身近な者たちの中の「弱い者」に向けられます。
AKI わかった。家庭内暴力とかに走るタイプだ。
哲雄 それもありますね。家庭内でも、力のない老親や子ども、妻といった、反撃する力のなさそうな者を選んで、自分の「憎悪」を暴力という形でぶつける。反撃のできない店員の弱みにつけ込んでは、ムチャブリとしか思えないクレームをつける。おとなしそうな運転手に目をつけては、「あおり運転」を仕掛ける。
AKI 気のせいでしょうか。私、最近、そういう人たちが増えているような気がするんですけど。
哲雄 気のせいじゃなくて、実際に増えていると思います。たぶん、「怒り」の内容を吟味し、判断し、行動に結びつける前頭前野の機能が衰えている「アブナイ人」が、社会的に増えているんでしょうね。で、私が最近、危惧しているのは、そういう「コントロールされない怒り」が「集団化」されたらどうなるか――ということです。
AKI ちょっと怖いですね。
哲雄 ハイ、怖いです。私がもっとも「怖い」と感じるのは、自分ひとりでは「怒り」を表現できない人たちが、「ヘイト」を標榜する集団などに所属して、集団で「憎悪」を表現する行動をとろうとすることです。
AKI 日本でも「嫌韓!」叫ぶグループが、街頭活動を展開したりしてましたよね?
哲雄 「表現の自由」が認められている社会ですから、そういう極端な主張をする人たちがいても仕方がない――とは思うのですが、問題は、「不都合な事実」を隠蔽するために「ワルモノ」を仕立てて「ヘイト」を振り向ける行動をとるタイプの中には、その「ヘイト」を自分では組み立てられず、だれかが言い出した「あいつらがわるい」に「そうだ、そうだ」と付和雷同することで自分の正当性を主張し、「隠蔽」を貫こうとする人々がいる――ということです。
AKI 「ヘイト」を共有しようとする傾向ですね。それ、私も嫌いです。哲ジイが挙げた「嫌韓」もそうですが、そういう傾向を持つ集団、あっちにもこっちにもいるような気がするんですけど。「嫌煙」とか「不倫叩き」とかも、なんか、私には、「ヘイト」の匂いがして、好きになれないんですよ。
哲雄 ナルホド。AKIクンなら、そういう感じ方もあるでしょうな。「ヘイト」が「集団感情化」していくのは、世界的に増殖している傾向でもあるので、その点については、次回、詳しくお話してみようかと思います。
AKI 哲ジイは、何か「ヘイト」なさってます?
哲雄 巨乳を少々……。
AKI 変だわ、このおっさん。
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