自分を生んだ父と母の愛の正体を知った夜

夢を見ているのかと思った。
母親らしき女が凌辱されている夢。
しかし、それは、
リアルかもしれなかった――。
そのとき、いくつだったかは、定かではない。
確かにそういうことがあった――と、ハッキリ記憶しているわけでもない。
夜中に、不思議な夢を見て、目を覚ました。
きものを着て座った女の人が、後ろから男に抱きしめられ、きものの胸の合わせ目に手を突っ込まれて片肌を脱がされていた。
「止め……。××が、目を覚ますけん……」
女の人が、何かを懇願するように、声を絞り出している。泣いているようなか細い声だった。
「よか。ほっとけ」
男の野太い声がして、その手が、半分脱がされたきものの片袖をグイと下ろす。
女の人の白い胸が、片方、むき出しにされ、男の手がその白いふくらみを荒々しくもみしだく。
「いけん、いけん……」
女の人の泣くような声が大きくなり、たたみを何かがこするような音がした。
女の人の脚が崩れ、白い脚がきもののすそからのぞいて、そこにも男の手が伸びていた。音は、女の人の足がたたみをこする音だった。
「……ばせんか」
何かを命じるような男の声が響いて、それから、女の人の泣き声が大きくなった。
女の人は、いじめられてるんだ――と、そのとき、ボクは思った。
かわいそうに……と思いながら、ボクは、自分の体が変な感覚に襲われているのを感じていた。
それは、ヘソの下あたりに涌いた感覚だった。小便したいのかな……と思ったが、それとはちょっと違う、何かを放出したいような感覚だった。
そして、そのとき、ボクは初めて気づいたのだった。
ヘソの下にぶら下がったものが、硬くなっていることに――。
確かにそういうことがあった――と、ハッキリ記憶しているわけでもない。
夜中に、不思議な夢を見て、目を覚ました。
きものを着て座った女の人が、後ろから男に抱きしめられ、きものの胸の合わせ目に手を突っ込まれて片肌を脱がされていた。
「止め……。××が、目を覚ますけん……」
女の人が、何かを懇願するように、声を絞り出している。泣いているようなか細い声だった。
「よか。ほっとけ」
男の野太い声がして、その手が、半分脱がされたきものの片袖をグイと下ろす。
女の人の白い胸が、片方、むき出しにされ、男の手がその白いふくらみを荒々しくもみしだく。
「いけん、いけん……」
女の人の泣くような声が大きくなり、たたみを何かがこするような音がした。
女の人の脚が崩れ、白い脚がきもののすそからのぞいて、そこにも男の手が伸びていた。音は、女の人の足がたたみをこする音だった。
「……ばせんか」
何かを命じるような男の声が響いて、それから、女の人の泣き声が大きくなった。
女の人は、いじめられてるんだ――と、そのとき、ボクは思った。
かわいそうに……と思いながら、ボクは、自分の体が変な感覚に襲われているのを感じていた。
それは、ヘソの下あたりに涌いた感覚だった。小便したいのかな……と思ったが、それとはちょっと違う、何かを放出したいような感覚だった。
そして、そのとき、ボクは初めて気づいたのだった。
ヘソの下にぶら下がったものが、硬くなっていることに――。

その夢は、それからも何度か見た。
その夢を見る度に、ボクの小さなペニスは切ない感覚に襲われ、そして硬くなった。
あれは、ほんとうに夢だったのか?
10代の半ばを迎えるまで、ボクは、その夢の意味を問い続けた。
しかし、いまではこう言える。
少なくとも、最初に見たその夢は、夢などではなく、リアルだったのだ――と。
夢とも現実ともつかないその光景を初めて目にした翌年、ボクは祖母の家に預けられ、3か月後、家に戻ったときには、ボクには弟ができていた。

あのとき、ボクが夢だと思って見たのは、父と母の睦事だったのだ。
その頃、ボクたちの一家は、8畳ひと間の借家住まいだった。そこに父と母、それにボクが、布団を並べて寝ていた。
あの夢は、そんな借家の8畳の寝室で、子どもが横で寝ているのもかまわず、父と母が子づくりに励んでいた光景だったのだ――と、成人に達したボクは確信した。
その8畳ひと間の借家は、弟が生まれる頃には、4部屋ある庭付きの戸建てに代わっていた。
その引っ越しも、ボクが祖母の家に預けられている間に行われたのだった。
ボクが見た夢のようなものは、それからのボクの恋愛観や人生観に少なからぬ影響を与えた。
夢と思って見た父と母の姿は、ボクの目には、野卑な男が女を力ずくで屈服させているようにしか見えなかった。
その男にきものをはぎ取られて声を挙げている母は、父にいじめられて泣いているようにしか見えなかった。
ボクは母を屈服させている父親を敵視するようになり、父に泣かされているように見える母親を、その窮地から救い出さなくちゃならない、と思うようになった。
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一生に一度も結婚できない「生涯未婚」の率が、男性で30%に達するであろう――と予測されている「格差社会」。その片隅で「貧困」と闘う2人の男と1人の女が出会い、シェアハウスでの共同生活を始めます。新しい仲間も加わって、築き上げていく、新しい家族の形。ハートウォーミングな愛の物語です。
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妻は、おふたり様にひとりずつ (小説)
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2015年7月発売 定価/122円
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【右】『『チャボのラブレター』
2014年10月発売 定価122円
美しい養護教諭と「ボク」の、淡い恋の物語です。
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