人を隠蔽に走らせる「9つの恥」

人は、他人に知られると「まずい」と感じる「恥」を、隠蔽しようとする――という話を、前回はしました。隠蔽しようとする「恥」には、全部で9種類ほどがありますが、今回は、そのうちの2つ、自分の家系や経歴に関してお話します――。
Talker
哲雄 自ら著作を手がけるエッセイスト。当ブログの管理人です。
AKI 出張エステ嬢として働きながら、作家を目指すアラサーの美女。
【今回のキーワード】 学歴 話を盛る
AKI 前回は、哲ジイの「原罪」とも言うべき「恥」をゲロしていただいたわけですよね。何でも、校内のワルに殴りかかられたライバルである友人を咄嗟には救えなかった。もしかしたら、どこかに「いい気味だ」と感じる自分がいたからではないか。哲ジイは、そのことを恥じているという話でした。
哲雄 ああ、話すんじゃなかった。キミはこれからもずっと、ことあるごとにその話を持ち出しちゃ、私の人格を落とし込みにかかるであろうしなぁ。
AKI ダイジョーブですよ。ちょっとイジるくらいですから。きょうは、その他の「恥」についても、それがどう隠蔽されるかを話してくださるんですよね。
哲雄 ま、その予定でございますが、その前に他にどんな「恥」があったか、もう一度、「9つの恥」のリストをお見せしておきましょう。
人が隠蔽したくなる「9つの恥」
〈1〉自分の家系、血縁に関わる、知られると非難を浴びたり、嘲笑の対象になったりするかもしれない事実。
〈2〉自身の経歴に関して、他人に知られるとバカにされたり、軽蔑されたりするかもしれない事実。
〈3〉自身の能力や人間的魅力が、ライバルや同僚に対して劣ると見られていることまたは自ら感じていること。
〈4〉過去、他人を傷つけたり、裏切ったりしたことがあるという「原罪」とも言えるような経験。
〈5〉帰属する集団や組織に対して、期待された業績を挙げたり、義務を果たせなかったりしたこと。
〈6〉帰属する集団の規則やルール、マナーなどを自分の利益のために破ったり踏みにじったりしたこと。あるいはそれを第三者に知られてしまったこと。
〈7〉帰属する集団や組織での自分の評価が、思ったよりはずっと低かったこと。それに気づかされた事実。
〈8〉だれにも知られてないが、自分には心底、怖くて仕方のないものがある、という事実。
〈9〉だれにも知られていないが、自分には欲しくてたまらないものがある、その欲望がきわめて強い、という事実。
AKI 前回は、このうち〈4〉の「他人を傷つけたり裏切ったりしたことがある」という「恥」について話したんですよね。本日は、どこらへんから行きましょうか?
哲雄 そうですね。両方似ていると言えば似ているから、〈1〉と〈2〉をまとめていっちゃいましょうか。
AKI 自分の家系や血縁、経歴に関する「都合のわるい事実」を「恥」として隠そうとする――ってことですよね。
哲雄 身内に犯罪者がいるとか、血縁のだれかが借金まみれになっているとか、親が離婚したとか、そういう情報は、「身内の恥」として表に出さないようにしようという心理的動機がはたらきます。「あなたのお母さんは?」とか「お父さんって?」と話を振られても、「いや、まあ……」とか「親? あんまり仲よくないからなぁ」と回答を逃げてしまいます。「おまえの出身地は?」と訊かれても、「田舎だから」などと話を胡麻化してしまおうとします。中には、「個人情報だから」と、かたくなに回答を拒む人もいたりします。
AKI 経歴についても、よくいますよね。出身校の話とか、成績の話とかをしたがらない人。
哲雄 ま、あんまり自慢したくもない学歴だったり、職歴だったりする場合、自分ら進んで話そうとはしないでしょうね。訊いても、「大した学校じゃないから」とか「あんまり大した仕事はしてこなかったから」などと口を濁そうとします。そこで、「エッ、それ、どこ?」などと突っ込みを入れると、こういうタイプには敬遠されてしまいますからね。AKIクンはよくやるけど……。
AKI それは、哲ジイの恋愛歴に関してだけでしょ? 経歴などに関しては、いっさいお尋ねした記憶がございません。それより哲ジイ、私、気になるんですよね。この経歴なんかに関しては、「都合のわるい事実」を隠すという人もいるかもしれませんが、「書き換えよう」とする人もいるんじゃありませんか? なんか、そういう人のほうが多いような気がするんですけど……。
哲雄 オウ、よく気がつきましたね。そうなんですよ、自分の経歴などを「恥」と感じている人には、それを隠蔽するだけでなく、ねつ造しようとする人もいるんですよね。
AKI ね、ねつ造……ですか?
哲雄 ああ、話すんじゃなかった。キミはこれからもずっと、ことあるごとにその話を持ち出しちゃ、私の人格を落とし込みにかかるであろうしなぁ。
AKI ダイジョーブですよ。ちょっとイジるくらいですから。きょうは、その他の「恥」についても、それがどう隠蔽されるかを話してくださるんですよね。
哲雄 ま、その予定でございますが、その前に他にどんな「恥」があったか、もう一度、「9つの恥」のリストをお見せしておきましょう。

〈1〉自分の家系、血縁に関わる、知られると非難を浴びたり、嘲笑の対象になったりするかもしれない事実。
〈2〉自身の経歴に関して、他人に知られるとバカにされたり、軽蔑されたりするかもしれない事実。
〈3〉自身の能力や人間的魅力が、ライバルや同僚に対して劣ると見られていることまたは自ら感じていること。
〈4〉過去、他人を傷つけたり、裏切ったりしたことがあるという「原罪」とも言えるような経験。
〈5〉帰属する集団や組織に対して、期待された業績を挙げたり、義務を果たせなかったりしたこと。
〈6〉帰属する集団の規則やルール、マナーなどを自分の利益のために破ったり踏みにじったりしたこと。あるいはそれを第三者に知られてしまったこと。
〈7〉帰属する集団や組織での自分の評価が、思ったよりはずっと低かったこと。それに気づかされた事実。
〈8〉だれにも知られてないが、自分には心底、怖くて仕方のないものがある、という事実。
〈9〉だれにも知られていないが、自分には欲しくてたまらないものがある、その欲望がきわめて強い、という事実。
AKI 前回は、このうち〈4〉の「他人を傷つけたり裏切ったりしたことがある」という「恥」について話したんですよね。本日は、どこらへんから行きましょうか?
哲雄 そうですね。両方似ていると言えば似ているから、〈1〉と〈2〉をまとめていっちゃいましょうか。
AKI 自分の家系や血縁、経歴に関する「都合のわるい事実」を「恥」として隠そうとする――ってことですよね。
哲雄 身内に犯罪者がいるとか、血縁のだれかが借金まみれになっているとか、親が離婚したとか、そういう情報は、「身内の恥」として表に出さないようにしようという心理的動機がはたらきます。「あなたのお母さんは?」とか「お父さんって?」と話を振られても、「いや、まあ……」とか「親? あんまり仲よくないからなぁ」と回答を逃げてしまいます。「おまえの出身地は?」と訊かれても、「田舎だから」などと話を胡麻化してしまおうとします。中には、「個人情報だから」と、かたくなに回答を拒む人もいたりします。
AKI 経歴についても、よくいますよね。出身校の話とか、成績の話とかをしたがらない人。
哲雄 ま、あんまり自慢したくもない学歴だったり、職歴だったりする場合、自分ら進んで話そうとはしないでしょうね。訊いても、「大した学校じゃないから」とか「あんまり大した仕事はしてこなかったから」などと口を濁そうとします。そこで、「エッ、それ、どこ?」などと突っ込みを入れると、こういうタイプには敬遠されてしまいますからね。AKIクンはよくやるけど……。
AKI それは、哲ジイの恋愛歴に関してだけでしょ? 経歴などに関しては、いっさいお尋ねした記憶がございません。それより哲ジイ、私、気になるんですよね。この経歴なんかに関しては、「都合のわるい事実」を隠すという人もいるかもしれませんが、「書き換えよう」とする人もいるんじゃありませんか? なんか、そういう人のほうが多いような気がするんですけど……。
哲雄 オウ、よく気がつきましたね。そうなんですよ、自分の経歴などを「恥」と感じている人には、それを隠蔽するだけでなく、ねつ造しようとする人もいるんですよね。
AKI ね、ねつ造……ですか?
哲雄 たとえば、よくあるのが、こういうの。埼玉の端っこで生まれた人間が、大阪とか福岡とかに転勤したり、出張したりしたとしましょうか。そこで、「〇〇さん、ご出身は?」と訊かれたとします。「ねつ造」タイプの人間は、こんな答え方をします。

AKI あ、それ、ある、ある! よくいますよ、そういう言い方する人。
哲雄 でしょ。でもね、AKIクン、こういう言い方をする人の「ねつ造」は、まだ、いくぶん良心的とも言える。
AKI りょ、良心的? 「ねつ造」に「良心的」もくそもないでしょう?
哲雄 あるんですねェ。ほんとうに「ねつ造」するんだったら、その人間は、「出身? 東京ですよ」と、堂々と答えたはずです。しかし、そうは言わずに、「東京のほう」と答えました。キーワードは、そこで使った「……のほう」という言葉です。
AKI ナルホド。ほんとうは「埼玉の端っこ」であっても、「東京のほう」には違いないですものね。だから、「良心的」……と?
哲雄 「良心的」というより、単に「気が弱い」だけかもしれませんけどね。学歴に関しても、似たような「ねつ造」が行われることがあるんですよ。
AKI やっぱり「のほう」とか言うんですかね?
哲雄 「のほう」は、あんまり使わないでしょうね。「ほう」=「方角」じゃありませんからね。よく使われるのは、「某」とか「系」とかいう言葉です。AKIクンは、「出身校」を尋ねられた人が、こんな言い方するのを耳にしたこと、ありませんか?

AKI ある、ある。言われると、「もしかして、あそこか?」なんて、余計な想像しちゃったりもしますよね。
哲雄 実は、名前も知らない地方の国立大学かもしれませんけど、「某」と言われると、つい、「まさか、あそこじゃないだろうな」などと、最高学府を頭の片隅に思い浮かべちゃったりしますよね。人にそんな想像をさせてしまうという時点で、これも一種の「ねつ造」と言えなくはない。
AKI もっと悪質なのもいるんじゃありません?
哲雄 出てもいない学校を出たと言えば、明らかに「経歴詐称」ですから、さすがにそこまでやるのはいない。いたら、犯罪ですからね。でも、「留学経験」となると、けっこうあやしいのもいます。1カ月やそこら語学研修に参加しただけの経験を「○○大学留学」と自慢する人もいますし、ワーキングホリデーでホームステイしただけの経験を「留学」と称する人もいます。
AKI まったくの「ねつ造」ではないにしても、相当、「盛って」ますよね?
哲雄 盛る……?
AKI 経験などを実際以上に見せるために、話をふくらませるとか、話をつけ加える――っていうことですけど。
哲雄 そう言えば、キミも相当、盛ってますなぁ。
AKI そんなこと言いながら、人の胸をジロジロ見ないでくださいよ。
哲雄 こりゃまた、失礼。今回は、経歴についてお話しましたが、これが自分の「能力」とか「実績」とかの話になると、キミの言う「盛り方」はもっと露骨になります。
AKI では、その話は、次回に。
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管理人は常に、下記3つの要素を満たせるように、脳みそに汗をかきながら、記事をしたためています。
あなたの押してくださったポイントを見ては、喜んだり、反省したりの日々です。
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