「恥」を恐れる気持ちが、言葉を封殺する

手にハート  不純愛トーク   第416夜 

「言わないようにしよう」という言葉が増えていく傾向は、危険。前回はそんな話をしました。そんな「禁句」が増えていく背景には、日本人の《恥の文化》があります。「罪」を恐れる西欧人に対して「恥」を恐れる日本人。そんな意識が、「つごうのわるい言葉」を封殺にかかります。その理由――。

 Talker 
哲雄 自ら著作を手がけるエッセイスト。当ブログの管理人です。
AKI 出張エステ嬢として働きながら、作家を目指すアラサーの美女。

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AKI 「使ってはいけない言葉」が増えていく。それは危険な兆候だとおっしゃいましたよね、哲ジイ。

哲雄 ハイ、申しました。世の中で、「言ってはいけない言葉」や「言わないようにしようという言葉」が増えていくのには、ひとつには、「やさしい社会」を作ろうという意思もはたらいているのだろうと思います。「差別」につながるような言葉が「自主規制」の対象になったりするのも、そういう配慮の結果だろうと思います。その意思は、大いにけっこう――と思うのですがね。

AKI その言い方じゃ、問題もありなんですね?

哲雄 そうなんですよ、AKIクン。「やさしい社会を作ろう」はいいんですが、これが「やさしい社会に見せよう」になると、超ヤバイ!

AKI 「超」までいっちゃいますか?

哲雄 ハイ、いっちゃいます。実は、それこそ、日本社会の問題点と言ってもいいくらいです。たとえば、学校や会社で問題になる「いじめ」。問題が起こる度に、教育委員会や第三者委員会が調査に入ったりするのですが、発表される調査結果からは「いじめ」という言葉が消されます。

AKI それ、私も、報道などを見る度に、「ウソつけェ」って思うんだけど、でも、言葉そのものが「使用禁止」になったわけじゃありませんよね。

哲雄 おっしゃるとおり、言葉そのものが狩られたわけではありません。でもね、現役の教師から聞いたことがあるんだけど、その教師の働く現場(つまり学校)では、「いじめ」という言葉そのものが「禁句」っぽく扱われているんだそうです。生徒から「○○クンたちが××さんをイジメている」という訴えがあっても、「ほんとにイジメか?」と問いただし、「イジメなんて言葉、安易に使うなよ」と諭す教員までいる――と、その教師は、嘆いておりました。

AKI 使われると「都合のわるい言葉」は、「使わないようにしよう」と、そういうことなんですね?

哲雄 そうなんですよ、AKIクン。教育の現場だけじゃありません。いろんな集団の中で、そんなふうなバイアスがかかってしまうと、言葉はどんどん不自由になっていきます。企業の中では「セクハラ」とか「パワハラ」という言葉も、封殺される傾向にあるようだしね。

AKI いけないのは、バイアスのほうなんですね?

哲雄 ハイ。ただね、人間なんだから、考え方や言葉遣いにいろんなバイアスがかかるのも、わからないじゃない。問題は、何のためにバイアスをかけるかという、その動機です。

AKI 哲ジイが、もっとも問題だ――と思う「動機」って、何ですか?

哲雄 「よく見せよう」という動機じゃないですか。個人にも、組織にも、はたらく動機です。最初に、「やさしい社会にしよう」ではなくて「やさしい社会に見せよう」とする動機がはたらく、それは問題だと申し上げましたが、そんな「○○に見せよう」が、いろんな状況で行われるんですね。「平和な社会・家庭にしよう」ではなく「平和な社会・家庭に見せよう」、「豊かな社会・家庭にしよう」ではなく「豊かな社会・家庭に見せよう」、「正しい社会・組織にしよう」ではなく「正しい社会・組織に見せよう」――というふうに。

AKI 「○○に見せよう」がいけないのかぁ。「美人に見せよう」として「美容整形」に走る子も増えてるしなぁ。

哲雄 ま、それは別の問題だと思いますけど、実は、AKIクン、その「○○に見せよう」という動機は、日本人や日本の組織の場合、特に強くはたらく傾向があるんですよ。

AKI エッ、そうなんですか?

哲雄 AKIクンは思いませんか? 個人的な関係でも、社会的な関係でも、私たち日本人は、「体面」とか「外聞」という言葉をよく使います。

AKI 「そんなことしたらみっもないでしょう」とか「みんなに笑われるでしょう」とかっていうのも、よく言いますよね。

哲雄 「そんなことが発覚したら、組織の体面が保てない」てなことも言いますわなぁ。会社とか、学校とか、そうそう、最近は、官僚たちもそんな言い方をする。それはなぜか? 私はね、これ、日本が「恥の文化」だからだと思うんですよ。

AKI 恥の文化……? 以前、そんな話を聞いたことがあるような気がしますけど。

哲雄 ハイ、私もお話したような気がします。ルース・ベネディクトというアメリカの文化人類学者が、『菊と刀』という本の中で書いているのですが、日本人のメンタリティの根底にあるのは《恥の文化》だと言うんですね。一方、西欧人のメンタリティの根底にあるのは《罪の文化》だ――と。

AKI 「恥」と「罪」ですか? わたくし、どっちも持ってますけど……。

哲雄 持ってるとかどうとか――って問題じゃないんですよ。「恥をかくこと」と「罪を犯すこと」、どっちを避けたいという気持ちが強くはたらくかを問うているわけです。そこが西欧人と日本人ではまったく違う。『菊と刀』の著者は、そう主張しているんですね。

AKI フーン。ていうことは、日本人の場合は「恥をかくこと」を避けたいと思う気持ちのほうが強い――と?

哲雄 そうです。では、「」と「」はどこが違うか?

AKI だれに対しての恥か、だれに対しての罪か――っていう、その「だれに対して」が違うような気がしますけど。

哲雄 ほぼ、正解。「恥」というのは、周りで自分を見ている人間やその集団に対して感じるもの。一方の「罪」は、神や仏という「絶対的存在」に対して感じるものです。だれも見ている者がいなければ、「恥」はかいてもいい、中には「かき捨てちまえばいい」と思う人もいるかもしれませんが、「罪」のほうはそうはいきません。なにしろ、世界のどこにいようが、どこに隠れていようが、「絶対的な目」がその人間の行動を見ているのですから。

AKI 「絶対的な目」ですか?

哲雄 神とか仏という、「絶対的存在」の「目」です。《罪の文化》の人間たちは、「絶対的な神」と一対一の関係を結んでいますから、周囲にだれかの目がなくても、あるいは社会の監視がなくても、「これは罪なことか?」と自らに問いつつ、行動することになります。

AKI しんどいっちゃ、しんどい話ですわね。

哲雄 ええ、でも、「罪」には必ず「赦し」が伴いますから。「きょう、私は、道で転んだお婆さんを見ていながら、急いでいたので、手を差し伸べることができませんでした」などと自らの悔いを告白すると、「悔い改めているあなたの罪は、主によって赦されるであろう」と、彼らの神は、「罪」を犯した人間の魂を救うわけです。

AKI 《恥の文化》だと、そうはならないわけですね?

哲雄 ならないことが多いようです。

 恥の文化》の人間が特に意識するのは、自分が所属している集団の「目」

ですからね。これには二重の意味があって、ひとつは、自分が集団の中で恥をかかないようにしようと、「集団内の相対的評価」を気にする意識。こちらの意識が強く働くと、人は、自分が集団の規律や倫理に対して犯した違反行為や、抱いたよこしまな思いを、隠したり、書き換えたりしようとします。その集団そのものも、自分たちの存在意義を高め、社会的な評価を高めようとして、同様に、自分たちが犯した反倫理的行為やよこしまな集団の意思を隠したり、書き換えたりしようとします。

AKI エッ、書き換える? そんなことやっちゃうんですか?

哲雄 ハイ、やっちゃうんです。いろいろにやっちゃうんですが、その方法は実に多岐にわたりますので、とても、今回一回では語り切れません。

AKI では、それについては、次回、じっくりお聞きしたいと思います。ちなみに、哲ジイもやってるんですか、その書き換えとやらを?

哲雄 エー、その件に関しては、コメントを留保します。

AKI その理由は?

哲雄 コホン……コメントを留保する理由を語ることを留保します。



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