「性欲」をコントロールできるつまみがあればいい

物思い 自分つまみ 〈7〉 

思春期を迎えた頃からその肉体が滅びるまで、
人はその一生を「性欲」とつき合って過ごします。
しかし、過度につき合いすぎると、時間も、
エネルギーも、消耗してしまいます。この欲望、
ほどほどにコントロールする方法は?


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  ああ、やりたい!

 突然、そんな言葉が口をついて飛び出しそうになることがあります。
 修行の足りない筆者も、ときに、そんな衝動に襲われることがあります。
 しょうがありません。「食欲」と「睡眠欲」と「性欲」は、ところかまわず顔を出す人間の三大欲望のひとつなのですから。
 「欲望」なのですから、「意志の力」でコントロールしようと思えば、ある程度まではコントロールすることができます。しかし、限界があります。
 「睡眠欲」も「食欲」も、完全に「0」にはできません。「0」にしてもいいのですが、それは「生命」を「0」にしてしまうことにもつながりますので、いまだ「即身仏」となる覚悟も修行もまったくできてない、というか、その気もない筆者などは、きわめて限定的なコントロールしかいたしません。
 最近、血糖値が上がり気味だから、糖分の摂取は控えようとか、メタボ気味だから、食事の量を抑えようとか、少し夏バテ気味だから、ゲームはほどほどにしてたっぷり睡眠を取ろう――とか、ま、その程度です。
 しかし、「性欲」は別物です。
 抑えようと思ったら、とことんセーブできます。人によっては、生涯、その欲望を封印してしまおう、と決断する人もいます。
 特に、神や仏に仕える聖職者などは、宗派によっては、厳しくその欲望を戒めたりしています。

カラス
食糧問題が人類に「性欲」をコントロールさせた?

 三大欲望の中で、もっともコントロールしやすいのは、「性欲」でしょう。人類は、その欲望が際限もなくふくらむことを、太古の昔から戒めてきました。
 古くは、部族内のルールが、後には、宗教道徳倫理が、過度にセックスすることを人類に禁じてきました。
 もっとも厳しく戒めたのは、近親間のセックスです。遺伝子の劣化を防ぐ――が、その理由。近親同士のセックスによって生まれる子孫が種を危機に陥れることを、人類は本能的に知っていたのだろうと思われます。文化人類学の研究によれば、「同一氏族内(=トーテム)での婚姻」を禁じている部族もある――と報告されています。
 経済的な理由もあります。それは、食糧問題
 性欲の赴くままにセックスして、グループの成員が増えすぎると、集団が必要とする食料を確保するのがむずかしくなります。群れを形成する動物は、一般に、自分たちが確保できる食糧の量に合わせて集団の規模を決定しますが、農業を始める前の人類も、その法則に合わせて生殖をコントロールし、集団の規模を一定に保っていたのだろうと想像できます。
 しかし、人類が農業を開始し、食糧を備蓄できるようになると、事情が一変します。強い者と弱い者が生まれ、権力と財力が強い者の手に集中するようになると、「性欲」は、その「強い者」の力を維持するためにコントロールされるようになります。やたらめったら性欲を発揮して子孫を作りまくると、権力の分散を招いてしまうからです。
 というわけで、「性欲」は抑制して効率よく使え――と、人類の脳には新たに書き込まれました。

カラス
むだな「性欲」は、少年の「時間」を奪う

 「コントロールしないよりは、ほどほど、したほうがいい」という法則を、生物学的に、経済学的に、社会道徳的に獲得させられてきた「性欲」ですが、筆者には、個人的にも、「そのほうがいい」と自らに言い聞かせるべき理由がありました。
 第一の理由は、「時間が惜しい」でした。
 10歳でオナニーを覚えた長住は、別に比較したわけではありませんが、周りの同年代の友人たちよりは頻繁に、自分の股間をこすっていたような気がします。
 「こんなことばかりしてちゃいけないよなぁ」と、子ども心にも感じたものでした。
 脳の中が「性欲」で支配されていると、

  ⇒その間、勉強が手につかなくなる。
 ⇒古典派の絵画が「エロ画像」に見えてしまう。
 ⇒せっかく読んでいる純文学が、「官能小説」に感じられてしまう。


 などなどの現象が、脳内で起こります。
 「これじゃまずいよな」と感じた少年・長住は、「オナニーは一日一回にしよう」とか、「数学を20問解いたら一発やっとくか」などと、自分なりに性欲をコントロールするようになりました。
 受験勉強までの思春期の間、私は、そうやって、ムダに湧き上がる性欲と闘っていたような気がします。

カラス
青年期の私を脅えさせた「性欲定量説」の根拠

 長じて青年となった私は、「性欲」を抑えなければならない別の理由と出会います。
 ひとつは、知人たちの間で交わされるさまざまな俗説。
 ある者たちがもっともらしくささやいてきたのは、「精液定量説」。人が一生のうちに放出できる精液には、「定量」がある。中には、「人は、一生で一升ビン4本分の精液しか放出できない」などという説を、もっともらしく披瀝に及ぶ悪友もしました。一時期、それを真に受けたおろかなる私は、自分の精液量とその放出回数を計算して、青くなったことがありました。

  エッ、もう2本半使うてるやんけ。残り半分もあらへん。

 もちろん、そんな俗説には根も葉もない――ということをすぐに学習して、ほっと胸を撫で下ろすんですけどね。

 もうひとつの俗説は、「オナニーしすぎるとバカになる」でした。
 確かに、その行為に励んでいる間、頭の中は「真っ白」になって、痴呆状態に陥ったようになります。こういうことを続けていると、ほんとにバカになってしまうかもしれないなぁ――と、本気で心配したこともありました。
 しかし、この俗説も、ガセであることが判明しました。「バカになった」ように見えるのは、脳が一時的に快楽ホルモンであるドーパミンの支配を受けるからで、事がすめば、つまり、射精を終えてしまうと、脳は瞬時に元の状態、すなわち外敵の襲撃などに備えるテストステロン優位の状態に戻って、冷静さを取り戻すとわかって、ホッ……でした。

 もう少しおとなになると、「性欲」をコントロールすべきもうひとつの理由が生まれました。それは、

  大して「好き」とも思えない相手と、安易に性的関係を望む危険が高まる。

 です。
 こちらはガセでも何でもない。ほんとにそんな危険に直面して、「ああ、やっちまったなぁ」と後悔したことが、何度かありました。自分が後悔するだけならいいのですが、相手にメイワクをかけてしまうことにもなります。

  「性欲」は、ほどほどにコントロールしなきゃいけないなぁ。

 と、ほんとうに感じたのは、そんな理由からでした。

カラス
「性欲」を、より高度な別の「欲望」に置き換える

 問題は、その方法です。
 だれかとしたくてたまらなくなったら、エロい動画でも見ながら、抜いてしまえばいい。安直ですが、確かに効果はあります。少なくとも、手近なだれかに手を伸ばして、後悔する羽目には陥らずにはすみました。
 しかし、これでは「性欲」という欲望を抑制したことにはならない。単に、欲望の向かう対象を別の物に置き換えたにすぎません。
 おさまらない「性欲」を何とか鎮めようと、フーゾクを利用したこともありました。しかし、これも、単に「欲望の対象」を交換しただけで、「欲望」そのものをコントロールしたことにはなりません。だいいち、これじゃあ、金がかかって仕方がない。
 というわけで、青年期半ばに達した頃から、筆者は、「欲望」そのものをコントロールする方法に腐心しました。
 そんな中で会得したのは、「欲望」を「別の欲望」に置き換えるという方法でした。
 もっとも簡単で効果あり――と感じたのは、

  性欲  ×  食欲 

 の交換でした。
 つまり、やりたくなったら「食べる」という「欲望交換」ですが、実はこれは、大脳生理学的にも理にかなった方法でした。
 というのも、脳の視床下部にある「性欲中枢」は、食欲をコントロールする「満腹中枢」のすぐ近くにあり、「満腹中枢」が血糖値の上昇を検知して、「もう食べるの止めなよ」と「欲望」にブレーキをかけると、「性欲中枢」もその影響を受けて、欲望を抑制するらしいのです。
 しかし、性欲を感じる度に「よし、食べよう」とやっていると、確実に「メタボ化」が進行します。なので、後年、私は「食べる」を「アメなめる」程度に抑えたのですが、それでも、そこそこ効果はありました。

 もうひとつ、筆者が心がけたのは、「欲望」をもう少し上位の「欲望」に「昇華」させるという方法でした。
 アートに心得のある人なら、むらむらと沸き起こる「性欲」を絵筆に持ち替えて(どっちも「筆」を使うのが共通なんちゃって)、絵や漫画を描く。
 スポーツ得意という人なら、スポーツにあり余るエネルギーをぶつけて、エネルギーそのものを消耗させてしまうという方法もありでしょう。ちなみに、射精1回に要するエネルギーは、「100メートルを全力疾走する」に相当するそうです。
 残念ながら、絵心にも、運動神経にも恵まれなかった筆者は、そういう方法で欲望を昇華させることはできませんでした。
 しかし、文章なら書ける。どうせ「かく」なら、「掻く」より「書く」ほうがいい――というわけで、悶々とする夜には、筆者・長住は、「書く」という作業に没頭することで、いくぶんかでも、欲望をコントロールできてきたかなと思っております。
 よろしければ、みなさんもみなさんの方法で、お試しを。



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