女神の探し物〈18〉 女神を指で修復する

父親を捜してホームレスたちの小屋を
のぞいて歩く翠さんは、その小屋で
男たちの暴行を受けた。オレは翠さんを
ブルーシートの小屋から救い出し、
その体を使い捨てビデで洗浄した。それだけでは
足りない。オレは指にクリームをまぶして、
その指を彼女のスリットに忍ばせた——。
連載 女神の探し物 第18章
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ここまでのあらすじ 翠さんは、ジャズクラブやライブハウスで歌っている歌姫だ。そのダンナ・浅尾龍二は、世間が「総会屋」と呼ぶ右翼の活動家だ。オレはその舎弟として使いっぱしりをやっている。翠さんが毎週、顔を出しているジャズクラブ「メモリー」に、大下博明というピアニストと玉川恵一というベーシストがいる。その3人で出したファーストアルバムが、メジャーに注目され、翠さんにTV出演の話が舞い込んだ。芽生えたメジャー・デビューのチャンス。しかし、その芽をつぶしたのは、龍二兄ィその人だった。ベースの「タマちゃん」が「だんなであるあなたが、彼女のチャンスをつぶすのか」とかみついたが、兄ィの気持ちは変わらなかった。翠さんには、熱心な固定ファンがいた。その中には、彼女に酒をすすめてくる者もいる。しかし、翠さんは酒乱だった。酒が犯させる過ち。そんな日、兄ィと翠さんの夜は修羅場となった。「おまえは血を汚してんだゾ」と声を荒げ、手を振り上げる兄ィ。翠さんは「禁酒」を宣言したが、その翠さんには変な「追っかけ」がついていた。「変なのが現れるかも」というので、しばらくその送り迎えをおおせつかったオレは、初めて翠さんのステージを見て、その姿と声にホレた。その夜、オレはママに頼まれて、ピアニストの大下博明を自宅に送っていくことになった。肝硬変に冒されて歩くこともままならない老ピアニスト。その体を支えたのは、客の児玉敦という男だった。実は、その児玉と浅尾龍二の間には、20代の頃から続く因縁があった。右翼と左翼。ふたりはぶつかり合っては血を流す、天敵同士だった。7か月後、大下博明がこの世を去った。その後も翠さんの送り迎えを続けるオレは、ある日、翠さんの奇妙な行動に気づいた。ホームレスがたむろする公園に足を踏み入れた翠さんが、ひとりひとり、彼らの顔をのぞき込み始めたのだ。翠さんが探しているのは、8歳のときに駆け落ちしたまま行方が知れないという父親だった。そんなある日、オレと兄ィは暴力団のフロント企業に脅しをかけて、追われる身となった。彼らは翠さんにも危害を加えるかもしれない。安全な場所に匿うようにと兄ィに頼まれたオレは、その日、彼女が出演する渋谷のジャズクラブに向かったが、翠さんの姿は、そこにはなかった。クルマを停めた地下駐車場の上がホームレスのたむろする公園になっていることを知ったオレは、不安に駆られて公園に足を踏み入れた。「その女なら、向こうの小屋へ行ったゾ」と、ホームレスのひとりが教えてくれた。ひと際大きなブルーシートの小屋。その前では男たちが数人で酒盛りをし、めくれたシートの端からは、白い脚がのぞいていた。男がひとり、精液のしたたるペニスをしごきながら、小屋から出てきた。「姐御~!」。オレは叫びながら小屋の中に突進し、男の股間を蹴り上げて翠さんを救い出し、ドラッグストアへ向かった。やらなければいけないことがあった。穢された彼女の体に禊を施すため、オレは丘の上のホテルに部屋を取った。使い捨てビデのノズルを見て、女神・浅尾翠は懇願した。「自分では使えない。お願い」。オレがノズルを挿入すると、女神は身もだえしながら、自分の身に起こったことのすべてを語り始めた――
やっておかねばならないことが、もうひとつ、あった。
洗浄液で精液を洗い流したとしても、男たちのペニスによって傷つけられた女神の粘膜は、何らかの菌などに冒されるかもしれない。感染症の発症を防ぐためにも、抗菌・抗炎症効果のある薬剤を、彼女の粘膜上に留置しておく必要がある。
そのためにオレは、ドラッグストアでクリーム・タイプの抗菌炎症剤を購入しておいた。クリームだから、それは指にとって、彼女のあの中全体にまぶしつけなくてはならない。
しかし、それは、オレの仕事じゃあるまい。
オレがクリームの入ったチューブを渡すと、翠さんは、「これ、何……?」と、怪訝な顔を見せた。
「自分の指で、あの中に塗ってくださいね。わるい菌に感染するとヤバいすから」
翠さんは、裏面の注意書きなどを不思議そうに眺めた後、それをオレに向かって差し出した。目が合うと、「お願い」というふうにうなずく。
「エーッ」とオレは思った。
いくら何でも、それはヤバいっしょ。そんなことしたら、オレはよからぬ想いを起こしてしまうかもしれない。それを龍二兄ィが知ったら……。
しかし、オレの心配をよそに、翠さんはオレの手にチューブを握らせて、その上に自分の手を重ねた。
「指なんて入れたことない。お願い……」
そんなことがあるだろうか――と思ったが、どうやら女神は、自分の指に対してはヴァージンであるらしい。
なおもためらうオレに、翠さんは声を潜めて言うのだった。
「きょう、あなたにしてもらったことは、ダンナにはナイショにするわ……」
洗浄液で精液を洗い流したとしても、男たちのペニスによって傷つけられた女神の粘膜は、何らかの菌などに冒されるかもしれない。感染症の発症を防ぐためにも、抗菌・抗炎症効果のある薬剤を、彼女の粘膜上に留置しておく必要がある。
そのためにオレは、ドラッグストアでクリーム・タイプの抗菌炎症剤を購入しておいた。クリームだから、それは指にとって、彼女のあの中全体にまぶしつけなくてはならない。
しかし、それは、オレの仕事じゃあるまい。
オレがクリームの入ったチューブを渡すと、翠さんは、「これ、何……?」と、怪訝な顔を見せた。
「自分の指で、あの中に塗ってくださいね。わるい菌に感染するとヤバいすから」
翠さんは、裏面の注意書きなどを不思議そうに眺めた後、それをオレに向かって差し出した。目が合うと、「お願い」というふうにうなずく。
「エーッ」とオレは思った。
いくら何でも、それはヤバいっしょ。そんなことしたら、オレはよからぬ想いを起こしてしまうかもしれない。それを龍二兄ィが知ったら……。
しかし、オレの心配をよそに、翠さんはオレの手にチューブを握らせて、その上に自分の手を重ねた。
「指なんて入れたことない。お願い……」
そんなことがあるだろうか――と思ったが、どうやら女神は、自分の指に対してはヴァージンであるらしい。
なおもためらうオレに、翠さんは声を潜めて言うのだった。
「きょう、あなたにしてもらったことは、ダンナにはナイショにするわ……」

クリームをまぶした指を、オレは、慎重に、女神・浅川翠の「女」が始まる小さなスリットへと近づけた。
洗浄液を溢れさせたばかりの女神のスリットは、濡れそぼっていた。
そこにクリームをまぶしつけながら、オレは人差し指を窮屈な裂け目へと忍び込ませる。指の節くれが、彼女のしなやかな筋肉に締め付けられる。その締め付けを節くれが通り抜けるとき、女神は「あっ……」と小さな叫び声を挙げて、上体をのけぞらせた。
もっと来て――というふうに、女神はオレの指先に腰をぶつけるような動きを見せる。彼女のやわらかな襞がオレの指にからみついてくる。
幾筋か溝が刻まれたような彼女の中の肉の壁を、オレは後ろの壁から前の壁へ、前の壁から後ろの壁へと、まんべんなく指の腹でまさぐりながら、クリームをまぶしつけていった。
それが気持ちいいのだろうか。女神は、ときに体を震わせ、あの中を断続的に痙攣させ、「アフッ……」「ンフン……」と声をもらした。
それは、指が第2関節まで潜り込んだときだった。
指の腹で、前の壁にクリームを擦り込んでいるとき、突然、翠さんが両脚を震わせ、「あーっ」と大きな声を出した。
「そ、そこは……あっ、あーっ」
懇願するような声とともに、下腹が小刻みな痙攣を見せ、次の瞬間、オレの手に温かいものがピュッと降りかかった。降りかかった――という感じではない。まるで水鉄砲で何かを発射されたような感じだった。
翠さん、何かをもらしちまったのかと思ったが、オレには見当がつかなかった。
わからないまま、オレはなおも指を翠さんの奥へと進ませた。彼女の肉洞が行き着くその奥の奥まで、繊細な粘膜のすべての襞の隙間まで、余すところなくクリームを塗る作業にオレは没頭し、女神は声を挙げ、体を悶えさせて、その指の動きに反応した。

その後で起こったことについては、オレは、だれにも報告することができない。もちろん、兄ィ、浅尾龍二にも。なぜなら、それは、弟分であるオレが、兄ィのヨメさんである翠さんに、絶対にしてはいけないことだったからだ。
「来て!」と翠さんは言った。オレにはそれは、女神の命令のように聞こえた。そしてオレは、そのご神託に従った――。
夜が明けると、オレは翠さんを近くの産婦人科へ連れていった。
「急患」と告げ、「暴行事件の被害者だから」と告げて、緊急の処置をお願いした。
「緊急の処置」とは「アフター・ピル」の処方だった。それをやっておけば、万が一の妊娠から女神を救うことができる。
それをすませてから、オレは兄ィの携帯に電話を入れた。
しかし、いくら鳴らしても携帯がつながらない。
昨夜からずっとその状態だ。
何かあったのか……?
しかし、兄ィは、そのときすでに連絡がとれない状態にあった。
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みなさんのひと押しで、喜んだり、反省したり……の日々です。
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