女神の探し物〈17〉 ヴィーナスを洗浄する

ホームレスたちに暴行を受けた翠さんに
禊を施すため、オレはホテルに部屋を取った。
男たちが女神の体にぶっ放した穢れを、
使い捨てビデで洗い落とすためだった。
ビデのノズルを見た女神は首を振った。
「自分じゃできない。お願い」と、ローブの裾を
からげて下半身をさらけ出した女神は——。
連載 女神の探し物 第17章
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ここまでのあらすじ 翠さんは、ジャズクラブやライブハウスで歌っている歌姫だ。そのダンナ・浅尾龍二は、世間が「総会屋」と呼ぶ右翼の活動家だ。オレはその舎弟として使いっぱしりをやっている。翠さんが毎週、顔を出しているジャズクラブ「メモリー」に、大下博明というピアニストと玉川恵一というベーシストがいる。その3人で出したファーストアルバムが、メジャーに注目され、翠さんにTV出演の話が舞い込んだ。芽生えたメジャー・デビューのチャンス。しかし、その芽をつぶしたのは、龍二兄ィその人だった。ベースの「タマちゃん」が「だんなであるあなたが、彼女のチャンスをつぶすのか」とかみついたが、兄ィの気持ちは変わらなかった。翠さんには、熱心な固定ファンがいた。その中には、彼女に酒をすすめてくる者もいる。しかし、翠さんは酒乱だった。酒が犯させる過ち。そんな日、兄ィと翠さんの夜は修羅場となった。「おまえは血を汚してんだゾ」と声を荒げ、手を振り上げる兄ィ。翠さんは「禁酒」を宣言したが、その翠さんには変な「追っかけ」がついていた。「変なのが現れるかも」というので、しばらくその送り迎えをおおせつかったオレは、初めて翠さんのステージを見て、その姿と声にホレた。その夜、オレはママに頼まれて、ピアニストの大下博明を自宅に送っていくことになった。肝硬変に冒されて歩くこともままならない老ピアニスト。その体を支えたのは、客の児玉敦という男だった。実は、その児玉と浅尾龍二の間には、20代の頃から続く因縁があった。右翼と左翼。ふたりはぶつかり合っては血を流す、天敵同士だった。7か月後、大下博明がこの世を去った。その後も翠さんの送り迎えを続けるオレは、ある日、翠さんの奇妙な行動に気づいた。ホームレスがたむろする公園に足を踏み入れた翠さんが、ひとりひとり、彼らの顔をのぞき込み始めたのだ。翠さんが探しているのは、8歳のときに駆け落ちしたまま行方が知れないという父親だった。そんなある日、オレと兄ィは暴力団のフロント企業に脅しをかけて、追われる身となった。彼らは翠さんにも危害を加えるかもしれない。安全な場所に匿うようにと兄ィに頼まれたオレは、その日、彼女が出演する渋谷のジャズクラブに向かったが、翠さんの姿は、そこにはなかった。クルマを停めた地下駐車場の上がホームレスのたむろする公園になっていることを知ったオレは、不安に駆られて公園に足を踏み入れた。「その女なら、向こうの小屋へ行ったゾ」と、ホームレスのひとりが教えてくれた。ひと際大きなブルーシートの小屋。その前では男たちが数人で酒盛りをし、めくれたシートの端からは、白い脚がのぞいていた。男がひとり、精液のしたたるペニスをしごきながら、小屋から出てきた。「姐御~!」。オレは叫びながら小屋の中に突進し、男の股間を蹴り上げて翠さんを救い出し、ドラッグストアへ向かった。やらなければいけないことがあった。穢された彼女の体に禊を施すため、オレは丘の上のホテルに部屋を取った――
ゆったりとまとったバスローブを湯あみするヴィーナスのようにからげて、下半身をオレの目の前にさらけ出した女神・浅尾翠。
そのもっとも敏感で繊細な裂け目に向けて、オレは、使い捨てビデのノズルの先端を差し込んだ。
ズブズブ……と、ノズルの先端が女神の肉をかき分けてのめり込んでいく。
女神の肉は、その先端に絡みついて、かすかな抵抗を示してくる。
その抵抗をそっとかき分けながら、ノズルを奥へと進ませると、女神は、「あっ……」「フッ……」と、悲鳴ともため息ともつかない息を口からもらして、上体をのけぞらせた。
ノズルの先端が、少し硬い肉の塊に触れた。たぶん、男たちが翠さんの体内にぶっ放した精子のいくつかは、そこから彼女の頸管に潜り込み、子宮目指して泳いでいったに違いない。
クソーッと思いながら、オレはビデのボトルをプッシュした。先端から、勢いよく洗浄液が飛び出し、その照射を受けて、彼女はビクンと体を震わせた。
洗浄液は、彼女の体内に残る男たちの体液の残滓を洗い流していく。しかし、子宮へ向けて泳いでいった精子までは洗い流せない。それらの精子が間違っても女神の卵子を受精させることがないよう、夜が明けたら、産院をたたき起こしてでも、アフターピルを処方してもらうしかない。
その前に、彼女の膣内に残った不純物を一滴残さず洗い流してしまおう。
オレは、ノズルの先端を彼女の手前に向け、奥に向け、前の壁に向け、後ろの壁に向け、ボトルを押し続けた。その度に、女神の体がビクンビクンと震えて上体が揺れた。
耐えきれなくなった翠さんは、両手を突っ張り棒のように伸ばしてバスルームの壁を押し、倒れそうになる体を支えている。
ノズル付きの器具を女の秘部に差し込んで、上体をのけぞらせている男。見ようによっちゃ、オレは、女を責め立てているサディスティックな男のようじゃないか。
そう思うと、オレの体には、またも、不埒なエネルギーが沸いてくる。
そのエネルギーが股間をふくらませるのを必死に隠しながら、オレは、手にしたノズルでこれでもかと翠さんの肉襞のなかをかき回した。
そのもっとも敏感で繊細な裂け目に向けて、オレは、使い捨てビデのノズルの先端を差し込んだ。
ズブズブ……と、ノズルの先端が女神の肉をかき分けてのめり込んでいく。
女神の肉は、その先端に絡みついて、かすかな抵抗を示してくる。
その抵抗をそっとかき分けながら、ノズルを奥へと進ませると、女神は、「あっ……」「フッ……」と、悲鳴ともため息ともつかない息を口からもらして、上体をのけぞらせた。
ノズルの先端が、少し硬い肉の塊に触れた。たぶん、男たちが翠さんの体内にぶっ放した精子のいくつかは、そこから彼女の頸管に潜り込み、子宮目指して泳いでいったに違いない。
クソーッと思いながら、オレはビデのボトルをプッシュした。先端から、勢いよく洗浄液が飛び出し、その照射を受けて、彼女はビクンと体を震わせた。
洗浄液は、彼女の体内に残る男たちの体液の残滓を洗い流していく。しかし、子宮へ向けて泳いでいった精子までは洗い流せない。それらの精子が間違っても女神の卵子を受精させることがないよう、夜が明けたら、産院をたたき起こしてでも、アフターピルを処方してもらうしかない。
その前に、彼女の膣内に残った不純物を一滴残さず洗い流してしまおう。
オレは、ノズルの先端を彼女の手前に向け、奥に向け、前の壁に向け、後ろの壁に向け、ボトルを押し続けた。その度に、女神の体がビクンビクンと震えて上体が揺れた。
耐えきれなくなった翠さんは、両手を突っ張り棒のように伸ばしてバスルームの壁を押し、倒れそうになる体を支えている。
ノズル付きの器具を女の秘部に差し込んで、上体をのけぞらせている男。見ようによっちゃ、オレは、女を責め立てているサディスティックな男のようじゃないか。
そう思うと、オレの体には、またも、不埒なエネルギーが沸いてくる。
そのエネルギーが股間をふくらませるのを必死に隠しながら、オレは、手にしたノズルでこれでもかと翠さんの肉襞のなかをかき回した。

「こいつ、見たかもしれない……って言ったのよ、あの男」
ノズルの刺激に身を悶えさせながら、翠さんが口にしたのは、ブルーシートの小屋で起こったことの一部始終だった。
「こんな男が来たことないか?」と写真を見せる彼女に、あのとき、精液を滴らせながら小屋から出てきた髭面の男が、「写真が残ってるかもしれない」と言い出したのだ。
「探してみっから、ま、一杯やんな」と、男は紙コップに注いだ酒を差し出した。
飲むと危険であることは、重々わかっていた。しかし、その一杯を拒むと、「探してみるか」という男の好意を無為にしてしまうかもしれない。翠さんは、男が差し出すコップに恐る恐る口をつけた。
その酒は、強かった。
というより、それは酒ではなく、泡盛のようだった。ひと口すすると、のどに焼けるような感覚がある。二口、三口すすって、コップの酒が半分くらいになると、男たちが「お嬢ちゃん、いける口だねェ」と、酒を注ぎ足してきた。
頭はカーッと熱くなり、体が右に左に揺らぎ始める。
そんなとき、小屋の中から、「お嬢ちゃん、これ見てみな」という声がした。
のぞくと、男は古い写真を何枚か、床に敷き詰めたベニヤ板の上に並べていた。
「お嬢ちゃんが探してんのは、ダンナさんかい?」
翠さんが首を振って「お父さん……」とつぶやくと、髭男はニヤリとほくそ笑んだ。
「そうかい、お父さんかい? いなくなってどれくらい経つんだい?」
「20年ぐらい」
「じゃ、もう50にはなってるわなぁ。オレたちと同じぐらいの歳かぁ。いっぱいいるからなぁ」
言いながら、男はベニヤの床に、キャビネ版の数枚の写真を並べた。
「毎年一回、年末にボランティアの連中がやる炊き出しがあんだけどよ、これは、そんときの写真よ。いっぱい、いんだろ? この日はよ、炊き出し目当てに、いろんなとこからオレっちのような連中が集まってくるから、もしかして、あんたの父ちゃんもハラ空かして来てたりしてたんじゃねェかって思ってよ。ホラ、中には、こういうガタイのいいのもいたりするからさ……」
男が写真に写った男のひとりを指さす。何人か並んだホームレスの中に、ひときわ背の高い、ガッシリした体つきの男がいた。
「エッ……」とのぞき込む翠さんの肩に手を置いて、背後から、男がしゃがれた声を響かせた。
「ま、しかしよ、20年も経ってりゃ、顔見ただけじゃわかんねェかしんねェなぁ。お嬢ちゃん、いくつになったよ?」
「28ですけど……」
「じゃ、向こうもわかんねェだろうなぁ。てめェの娘が、こんないい女になってるなんて思わねェだろうしなぁ」
男の臭い息が首筋にかかる。
肩に置いた手が、ツツーッと鎖骨をなぞり、胸のふくらみへと下りてくる。
「そいつ、娘と知らずに、あんたの乳をもんだりしてな。それとも、あれか……。娘と知りながら、揉むか。おまえも立派な体になりやがって……とか何とか言いながらよ。わるい親父だよなぁ……」
言葉で口汚く責めながら、男の手は胸のふくらみをもみしだく。
その手を振り払おうとした彼女の手は、もぎ取られてベニヤの床に抑えつけられ、男の体が異臭を放ちながら、のしかかってきた。
それから先の記憶はない――。

事の次第を語り終えた翠さんのまつ毛は濡れていた。
その胸を嗚咽が襲う。しゃくり上げるたびに、横隔膜が収縮して、下半身の筋肉が緊張する。その度に、彼女の可憐な入口からは、照射した洗浄液が泡を吹きながらこぼれ出て、腿を伝って流れ落ちた。
オレの目には、それは、女神・浅尾翠のヴァギナが流す涙のように見えた。
こぼれてくるその涙を、オレは、ていねいにていねいに、シャワーで洗い流した。
「お願い、洗い流して。私の穢れを、ゼ・ン・ブ……」
女神はそう言いながら、オレの首に手を回し、洗浄液の流れ落ちた腰を、グイ……と、オレの顔に向けて突き出した。
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【右】『『チャボのラブレター』
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美しい養護教諭とボクの、淡い恋の物語です。

管理人は、常に、フルマークがつくようにと、工夫して記事を作っています。
みなさんのひと押しで、喜んだり、反省したり……の日々です。
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