女神の探し物〈15〉 穢されたヴァギナ

その女ならあっちの小屋に行ったんじゃないか。
ホームレスのひとりがアゴでしゃくって見せた。
そこには大きなブルーシートの小屋があり、
男たちが何人かたむろして酒盛りをしていた。
シートの端から白い足がのぞいている。
中から男がひとり、精液のしたたるイチモツを手に
姿を現した。まさか……。
連載 女神の探し物 第15章
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ここまでのあらすじ 翠さんは、ジャズクラブやライブハウスで歌っている歌姫だ。そのダンナ・浅尾龍二は、世間が「総会屋」と呼ぶ右翼の活動家だ。オレはその舎弟として使いっぱしりをやっている。翠さんが毎週、顔を出しているジャズクラブ「メモリー」に、大下博明というピアニストと玉川恵一というベーシストがいる。その3人で出したファーストアルバムが、メジャーに注目され、翠さんにTV出演の話が舞い込んだ。芽生えたメジャー・デビューのチャンス。しかし、その芽をつぶしたのは、龍二兄ィその人だった。ベースの「タマちゃん」が「だんなであるあなたが、彼女のチャンスをつぶすのか」とかみついたが、兄ィの気持ちは変わらなかった。翠さんには、熱心な固定ファンがいた。その中には、彼女に酒をすすめてくる者もいる。しかし、翠さんは酒乱だった。酒が犯させる過ち。そんな日、兄ィと翠さんの夜は修羅場となった。「おまえは血を汚してんだゾ」と声を荒げ、手を振り上げる兄ィ。翠さんは「禁酒」を宣言したが、その翠さんには変な「追っかけ」がついていた。「変なのが現れるかも」というので、しばらくその送り迎えをおおせつかったオレは、初めて翠さんのステージを見て、その姿と声にホレた。その夜、オレはママに頼まれて、ピアニストの大下博明を自宅に送っていくことになった。肝硬変に冒されて歩くこともままならない老ピアニスト。その体を支えたのは、客の児玉敦という男だった。実は、その児玉と浅尾龍二の間には、20代の頃から続く因縁があった。右翼と左翼。ふたりはぶつかり合っては血を流す、天敵同士だった。7か月後、大下博明がこの世を去った。その後も翠さんの送り迎えを続けるオレは、ある日、翠さんの奇妙な行動に気づいた。ホームレスがたむろする公園に足を踏み入れた翠さんが、ひとりひとり、彼らの顔をのぞき込み始めたのだ。翠さんが探しているのは、8歳のときに駆け落ちしたまま行方が知れないという父親だった。そんなある日、オレと兄ィは暴力団のフロント企業に脅しをかけて、追われる身となった。彼らは翠さんにも危害を加えるかもしれない。安全な場所に匿うようにと兄ィに頼まれたオレは、その日、彼女が出演する渋谷のジャズクラブに向かったが、翠さんの姿は、そこにはなかった――
「たっぷり濡らしといてやった」とうそぶいた髭の男は、尿道に残った精液をしごき出すようにブッシュに向かって立ちションすると、「オイ!」と、干物をあぶっている男たちに向かって声をかけた。
「何、見てんだ、おまえら?」
「あの女の荷物だよ」
「何か、金目の物でも入ってたかい?」
「しょうもないもんばっかだよ。何だ、これ? ぜ~んぶ、楽譜じゃないか? しけてやがんなぁ。これじゃ、ケツも拭けねェよ」
男は、ファイルから引っ張り出した楽譜を「ケッ」と言いながら、そこらにぶちまけようとしている。
そのファイルが入っていたトートバッグ。あれは、確か、翠さんの……。
その瞬間、オレの血管という血管が、音を立ててブチ切れた。
「オイ、テメェら!」
血相変えて飛び込んで来たオレを見て、男たちはひるんだ。
「兄貴の女に何をしやがった。おまえら、みんな、ブッ殺されるゾ!」
言いながら、オレはまず、イチモツから精液を滴らせながら出てきたばかりの髭男の股間を、渾身の力で蹴り上げた。
男は「ウッ」と声を挙げて、その場にうずくまった。
驚いて立ち上がったバーベキューコンロの男には、人中目がけて正拳を突き出し、みぞおちに強烈な膝蹴りをくらわせた。
悪いけど、こっちはプロだ。いくら気が荒かろうが、あんたたちヨレヨレのおっさんたちにやられるわけにはいかねェんだ。
ふたりの男が崩れ落ちるのを見て、外に残っていたもうひとりの男は、「ヒィーッ!」と悲鳴を挙げ、足を引きずりながら逃げていった。
「姐さ~ん!」
オレは叫びながら、小屋のブルーシートの中に飛び込んでいった。
「何、見てんだ、おまえら?」
「あの女の荷物だよ」
「何か、金目の物でも入ってたかい?」
「しょうもないもんばっかだよ。何だ、これ? ぜ~んぶ、楽譜じゃないか? しけてやがんなぁ。これじゃ、ケツも拭けねェよ」
男は、ファイルから引っ張り出した楽譜を「ケッ」と言いながら、そこらにぶちまけようとしている。
そのファイルが入っていたトートバッグ。あれは、確か、翠さんの……。
その瞬間、オレの血管という血管が、音を立ててブチ切れた。
「オイ、テメェら!」
血相変えて飛び込んで来たオレを見て、男たちはひるんだ。
「兄貴の女に何をしやがった。おまえら、みんな、ブッ殺されるゾ!」
言いながら、オレはまず、イチモツから精液を滴らせながら出てきたばかりの髭男の股間を、渾身の力で蹴り上げた。
男は「ウッ」と声を挙げて、その場にうずくまった。
驚いて立ち上がったバーベキューコンロの男には、人中目がけて正拳を突き出し、みぞおちに強烈な膝蹴りをくらわせた。
悪いけど、こっちはプロだ。いくら気が荒かろうが、あんたたちヨレヨレのおっさんたちにやられるわけにはいかねェんだ。
ふたりの男が崩れ落ちるのを見て、外に残っていたもうひとりの男は、「ヒィーッ!」と悲鳴を挙げ、足を引きずりながら逃げていった。
「姐さ~ん!」
オレは叫びながら、小屋のブルーシートの中に飛び込んでいった。

そこで目にしたのは、見るもおぞましい光景だった。
酒瓶や漫画や古着などが散らばったベニヤの床に、一部、綿のはみ出した饐えた臭いのする布団が、一枚、敷かれている。その上に組み伏せられ、胸をはだけられ、スカートをめくり上げられて、脚をVの字に開かされて抱え込まれた歌姫・浅尾翠。その体におおいかぶさる男は、ボロボロのジャンパーを着たまま、下半身をむきだしにして、毛むくじゃらの汚いケツを翠さんの下腹に向けて、ヒョコヒョコと動かしている。
その動きに合わせて、男のケツからのぞく2つの玉がだらしなく伸びきって、ブランブランと揺れ、大きく開いた女の両脚の付け根にぶつかって、ペタンペタンと卑猥な音を立てている。
その奥で、裏スジを見せたまま女の肉の中にめり込んで、ブチャブチャと音を立てている男の怒張。その下で、両手を万歳の形に組み伏せられて顔をゆがめ、首を左右に振っている歌姫・浅尾翠。その姿を目にした瞬間、オレの血管は沸騰した。
しかし、沸騰しただけじゃない。沸騰しながら、オレは、賤しめられる姐御の姿にアレを膨らませていた。
バカ野郎、こんなときに――と、自分で自分を戒める気持ちもあったが、オレはそれを目の前の男にぶつけた。
「この外道が!」
言いながら、男のケツの下でブラついているタマ袋めがけて、靴を蹴り出した。
「ギャーツ」と悲鳴を挙げて女の体から転がり落ちた男の股間に、さらに蹴りを入れようと足を構えると、男は「ちょっと待った」というふうに手を伸ばして訴えた。
「誘ったのは、こいつなんだ。ちょっと飲ませたら、この女、自分から脚を広げてよ……」
「黙れ!」
オレはその腹に、一発、二発と蹴りを入れた。
男は、口から血を吹いて、その場に崩れ落ちた。
「もう、止めて!」
翠さんが金切り声を挙げたので止めたが、放っておいたら、オレはその男を蹴り殺してしまっていたかもしれない。

オレは、はだけさせられた翠さんの服を着せ直し、靴を履かせ、服についた埃や土を払い、男たちがひっくり返しぶち撒けたトートバッグの中身を拾い集めて、手を引いた。
翠さんの手は、オレの手の中で野良犬に襲われた子どものように脅えていた。
ズグズしていると、他のハウスからも男たちが集まってくるかもしれない。
一刻も早く、この場を離れなくては……。
つまずきそうになる翠さんの手を引くと、翠さんは両手でオレの腕をつかんできた。
どこか安全な場所へ。そう思ったが、オレには思いつく場所がない。
「家に連れて帰って」と言う翠さんに事情を説明して、「今日は家に帰れない」と言うと、翠さんは、つかんだオレの腕を坂の上へと誘った。
行くのはいいが、その前にやらなくちゃいけないことがある。オレは彼女の体をドラッグストアへと誘った。
携帯式の使い捨てビデ。
あの男たちが翠さんの体内にぶち込んだ穢れを洗い流すためには、どうしてもそれが必要だ。そして、夜が明けたら、彼女を産婦人科へ連れていって、アフターピルを処方してもらおう。
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2015年7月発売 定価/122円
教師のビンタが支配する教室から、突如、姿を消した美少女。40年後、ボクが知った真実は?
【右】『『チャボのラブレター』
2014年10月発売 定価122円
美しい養護教諭とボクの、淡い恋の物語です。
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教師のビンタが支配する教室から、突如、姿を消した美少女。40年後、ボクが知った真実は?
【右】『『チャボのラブレター』
2014年10月発売 定価122円
美しい養護教諭とボクの、淡い恋の物語です。

管理人は、常に、フルマークがつくようにと、工夫して記事を作っています。
みなさんのひと押しで、喜んだり、反省したり……の日々です。
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