「敬語」で話す恋人たち

「リアルな自分」を隠そうとする現代人のコミュニケーションは、「間接化」する傾向があります。そんな中で気になる現象。恋人同士なのに「敬語」で話すカップルが、最近、やたらに目につくのです。それは、なぜなのか? ていねいすぎるコミュニケーションに隠された秘密を探ってみました――。
Talker
哲雄 自ら著作を手がけるエッセイスト。当ブログの管理人です。
AKI 出張エステ嬢として働きながら、作家を目指すアラサーの美女。
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AKI コミュニケーションが「間接化」してしまう傾向がある。前回は、そんな話をしたんですよね。その原因のひとつは、「リアルな自分」で他者と向き合おうとしないことにあるんじゃないか。哲ジイはそうおっしゃったんですよね?
哲雄 ハイ、申し上げました。では、「リアル」ではない自分とは何か? 「空想的な自分」ですかね。あるいは「仮想された自分」と言ってもいいかもしれません。あのね、AKIクン、ボクは、最近、感じることがあるんですよ。
AKI 「火葬された自分」について――とか?
哲雄 ハイ、ハイ、いい焼き加減で――って、その「火葬」じゃありません。「仮想」ですッ! でね、私が気になっているというのは、恋人同士と思われるカップルの会話なんですよ。どうも……聴いていると、その話し方がよそよそしい。
AKI よそよそしい……? 冷たいってことですか?
哲雄 冷たいというわけじゃないけど、ていねいすぎる。明らかに、このふたり、カップルだよなと思うのに、「デス・マス体」で話していたりする。恋人同士であれば、ふつうは「だよ」「だよね」とか「なの」「なのよ」という話し方をするんじゃないか。しかし、彼らは、「です」「ですよね」という話し方をしている。なぜだ――ッ、と、叫びたくなっちゃいましたよ、私は。
AKI 別に叫ぶほどのことじゃないと思いますけど。もしかしたらそのふたり、先輩と後輩だったかもしれないじゃないですか?
哲雄 どっちがどっちの?
AKI あ、そうか。哲ジイが耳にしたふたりは、どちらも「デス・マス」で話してたんですね?
哲雄 ハイ。それなのに、なぜ――という疑問です。そこで、私なりに考えた可能性のひとつが、
この人たち、素の自分を隠してるんじゃないか?
でした。
AKI 素の自分……? つまり、「ありのままの自分」ってことですか?
哲雄 そう言ってもいいんじゃないですか。では、隠そうとする「ありのままの自分」というのは、どんな自分か?
哲雄 ハイ、申し上げました。では、「リアル」ではない自分とは何か? 「空想的な自分」ですかね。あるいは「仮想された自分」と言ってもいいかもしれません。あのね、AKIクン、ボクは、最近、感じることがあるんですよ。
AKI 「火葬された自分」について――とか?
哲雄 ハイ、ハイ、いい焼き加減で――って、その「火葬」じゃありません。「仮想」ですッ! でね、私が気になっているというのは、恋人同士と思われるカップルの会話なんですよ。どうも……聴いていると、その話し方がよそよそしい。
AKI よそよそしい……? 冷たいってことですか?
哲雄 冷たいというわけじゃないけど、ていねいすぎる。明らかに、このふたり、カップルだよなと思うのに、「デス・マス体」で話していたりする。恋人同士であれば、ふつうは「だよ」「だよね」とか「なの」「なのよ」という話し方をするんじゃないか。しかし、彼らは、「です」「ですよね」という話し方をしている。なぜだ――ッ、と、叫びたくなっちゃいましたよ、私は。
AKI 別に叫ぶほどのことじゃないと思いますけど。もしかしたらそのふたり、先輩と後輩だったかもしれないじゃないですか?
哲雄 どっちがどっちの?
AKI あ、そうか。哲ジイが耳にしたふたりは、どちらも「デス・マス」で話してたんですね?
哲雄 ハイ。それなのに、なぜ――という疑問です。そこで、私なりに考えた可能性のひとつが、

でした。
AKI 素の自分……? つまり、「ありのままの自分」ってことですか?
哲雄 そう言ってもいいんじゃないですか。では、隠そうとする「ありのままの自分」というのは、どんな自分か?
AKI たとえば、醜い自分とか、みっともない自分とか……?
哲雄 それもあるでしょうね。「実は冷たい自分」というのもあるかもしれませんし、「ずるいことをやっちまった自分」とか「ほんとはいやらしい自分」というのもあるかもしれません。しかしね、そういう自分を隠そうとする心理は、昔からありました。いまに始まった話じゃない。
AKI ウーン……じゃ、ここへ来て、突然、敬語で話す若者が増えた――という理由にはならないですよね。
哲雄 なりません。ただ、隠そうとする程度が、やや強くなったかもしれませんがね。では、なぜ、その程度は強くなったのか? 実はそこに、この現象を説明するカギがひそんでいるかもしれません。
AKI もしかして、バレると責められるから?
哲雄 オーッ、AKIクン、何だか……鋭くなりましたねェ。そうなんですよ。責められるかどうかはともかく、非難される。その非難の程度が厳しくなったので、「隠そう」とする程度も強くならざるを得ない。
AKI そうかぁ……。敬語で話していれば、「非難されるかもしれない自分」を隠すことができますものね。
哲雄 それだけで隠せるかどうかはともかく、見えにくくはできますからね。
AKI 見えにくくなるように気をつけるわけですね。それで、ていねいな言葉で話すようになった――ってわけですか?
哲雄 主たる理由はそんなところにあるんじゃないか――と私は思うのですが、実は、これはあまりいい傾向ではない。
AKI ていねいに話すことがですか? エッ、どうして……?
哲雄 「ていねい」自体はいいことですよ。問題なのは、「ていねい」にならざるを得ないその「理由」のほうです。
AKI つまり、「隠す」ってほうですか?
哲雄 というより、「隠す理由」のほうですね。「隠す」のは「非難を避けるため」だという話をしましたが、その「非難」が、このところ、度を越している――と、私は思うんですよ。ハッキリ言うと、「不寛容」。ちょっと口を滑らせただけで、非難の声を挙げられ、あっと言う間にバッシングの嵐が巻き起こったりします。
AKI ああ、それ、私も感じます。ちょっと厳しい言葉を吐いただけで「パワハラ」と叩かれるし、「いい女だ」と言っただけで、「セクハラ」呼ばわりされる。これじゃ、「ありのまま」の気持ちが口にできないじゃない――って、この私でも思いますもの。
哲雄 特にひどいと思うのが、「言葉狩り」ですね。
AKI 言葉狩り……?
哲雄 「チビ」とか「デブ」と言っただけで、「差別だ」なんて言われてしまう。それが明らかに行き過ぎてる。私は思うんですよ。「言葉」を狩る文化に、「自由」は存在しない。「寛容」も存在しない。
AKI 哲ジイは、「敬語」で話す若者たちに、その危険を感じるわけですね?
哲雄 「ボロ」を出さないようにしようというその姿勢を「危険だ」と感じるわけです。まずは、「言葉狩り」止めようよ――なんですが、この話、いささか長くなりますなぁ。
AKI ハイ、では、次回、じっくりお聞きしますわ。
哲雄 あの……その「ジジイ」ってのも、ほんとは狩られてるんですけどね。
AKI でも、気にしないんでしょ?
哲雄 ハイ、一向に。どうぞ、自由にお使いくださいませ。
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