シランケンの不純愛講座　リアルな恋愛は、このまま滅んでいくのか？

リアルな恋愛は、このまま滅んでいくのか？

　不純愛トーク　　　第410夜　

人間から感じる能力や考える力を奪っていく人工知能。ＡＩ化が進行するとともに、「リアルな恋愛」は衰退を見せています。未婚男性の７割、未婚女性の６割が「恋人なし」と答える日本からは、やがて「リアルな恋愛」は消滅してしまうかもしれない。今回は、そんな話を掘り下げてみます――。

　Ｔａｌｋer　
哲雄　自ら著作を手がけるエッセイスト。当ブログの管理人です。
ＡＫＩ　出張エステ嬢として働きながら、作家を目指すアラサーの美女。

【今回のキーワード】　草食化　ほっち率
【ＳＥＯリンク・キーワード】　エロ恋愛恋愛小説オーガズムコミュニケーション不倫

ＡＫＩ　感じたり、考えたりする仕事を人間の脳から奪っていく人工知能。それに頼るようになると、人は、「愛の詩」を歌えなくなってしまうかもしれない。いや、それどころか、恋愛しようという対象そのものが、リアルな人間ではなくなることだってあるかもしれない。前回は、そんな恐ろしい話をしたんですよね？

哲雄　ハイ。でもね、ＡＫＩクン、その恐ろしいことは、すでに一部の人たちの間では、始まっている――と申し上げてもいい。

ＡＫＩ　エッ、そ、そうなんですか？

哲雄　リアルに男や女とつき合うのは、めんどくさいし、金もかかる。ヘタにアプローチしようとすると、セクハラだのなんだのとうるさい。あるいは、ヘタに接近を受け入れると、ストーキングの被害に遭うかもしれない。それくらいなら、ひとりでいたほうがいい――と考える男女が増えているようですからね。ちょっとショッキングなデータがあるんですよ。

ＡＫＩ　な、何でしょう。そのショッキングな……ていうの？

哲雄　このトークでも度々取り上げている「国立社会保障・人口問題研究所」の『出生動向基本調査』ですが、この９月に発表された最新報告で、こんなデータが発表されました。

18～34歳の未婚者のうち、
男性の69.3%、女性の59.1％に
交際相手がいない。

18～34歳と言えば、通常は、結婚・出産の最適齢期。そのためには「恋人」の存在が不可欠だと思うのですが、なんと、未婚男性の７割、未婚女性の６割が「恋人なし」と答えているわけです。

ＡＫＩ　でも、それ、未婚男性・未婚女性の場合ですよね。モテる人たちはとっくに結婚しちゃってるとかじゃないんですか？

哲雄　いや、そうとも言えない。だいたい、この年代の既婚率がそんなに高くない。20代前半、20代後半、30代前半の未婚率は、こうなってます。

　男性未婚率　
20代前半――95.0%
20代後半――72.7%
30代前半――47.1%

　女性未婚率　
20代前半――91.4％
20代後半――61.3％
30代前半――34.6％

これに、「恋人いない率」を掛け合わせると、各世代の「ぼっち率＝妻も恋人もいない率」が出てきます。参考までにその数字は、こうなりました――。

　世代別・「ぼっち」率　
20代前半……男＝66.5％　女＝54.8％
20代後半……男＝50.9％　女＝36.8％
30代前半……男＝33.0％　女＝20.8％

ＡＫＩ　エーと、60代後半になると、この「ぼっち率」は――と。

哲雄　人の顔を見ながら、そんなことを計算しなくてよろしい。問題は、通常、人が結婚して子どもを作ろうとする20代から30代前半にかけての時期に、男の３人に２人（20代前半）、２人に１人（20代後半）、３人に１人（30代）が、「妻も恋人もなく過ごしている」という事実。女でも、半数以上（20代前半）、３人に１人以上（20代後半）、５人に１人（30代前半）が、「夫も恋人もなく過ごしている」という事実。これじゃ、まずいよな――と、他人事ながら私は心配してしまうわけです。

ＡＫＩ　少子化はますます進行する？　これじゃ、人口は維持できませんよね。

哲雄　できません。できないから、政府は外国人労働者を受け入れようとしているわけです。これは「移民政策」ではないと言っていますが、どう見ても、日本はこれから「多民族国家」への道を進むことになる。

ＡＫＩ　その移民ウンヌンは、また別の問題として取り上げていただくとしてですね、私が気になるのは、未婚なのに「恋人なし」っていう人たちのこと。「どうして？」って思うんですよ。もしかして、みんな、キョーミがなくなっちゃったの？

哲雄　キョーミって、男が女に、女が男に――ってことですか？

ＡＫＩ　ええ、そういうこともあるんじゃないかって思ったんですが、違う？

哲雄　ない――とは言えないでしょうね。「草食化」が指摘されて久しいですからね。さらには、ジェンダー（性別）の境界が、最近、ますますあいまいになったということも、ないとは言えません。

ＡＫＩ　ジェンダーの境界？

哲雄　コンビニなんかにいるとね、スカートをはいた男とかネイルケアした男とかが、やたら増えてきたような気かするんですよ。逆に、「バカ言ってんじゃねェよ」とか「殴るゾ、てめェ」みたいな口を利く女も、やたらに増えた。

ＡＫＩ　ミニ・ミッツとか、ミニ・マツコが、やたら増えたなぁ……と、私も思いますけど、でも、それは主たる原因ではないでしょう？

哲雄　ハイ、原因の一部にはなっているでしょうが、メインではないかもしれませんね。いちばん大きいのは、コスト感覚かもしれません。

ＡＫＩ　エッ、コスト感覚？　つまり、お金の問題ってことですか？

哲雄　恋愛には金がかかる。結婚となると、もっと金がかかる。それで幸せな生活が送れるかと言うと、その保証はない。そんなことにコストをかけるんだったら、自分の好きなことをやって好きに生きていたほうがいい。そんなふうに考える若者が、男女ともに増えている。それが最大の理由だろうと思います。背景には格差の拡大ということもあるかもしれませんがね。

ＡＫＩ　ビンボーだから、コストかけられないってこともあるんじゃないですか？　私の友だちには、金ないから恋愛なんかやってらんないって言ってる子、いますもの。

哲雄　ミー・トゥー。

ＡＫＩ　ハ……？　私、何だか最近、空耳が増えちゃって……。

哲雄　ご放念くだされよ。それで、問題はここからです。こうしてリアルな恋愛からドロップアウトしていく若者たちの恋愛エナジーは、いったい、どこへ消えていくのか？

ＡＫＩ　ていうか、消えるほどあったの？――っていうのが、私のショージキな感想なんだけど。

哲雄　ご指摘のとおり、恋愛エナジーは、「草食化」の名のとおり、男女ともに低下の一途をたどっております。しかし、その低下したエナジーさえも、いや、むしろ低下したからこそ、そのエナジーはリアルな異性へと向かわず、あるものへと向けられていってしまうんですね。それは何でしょう？

ＡＫＩ　エッ、エッ！　まさか、あれ……？

哲雄　その「まさか……」なんです。さて、その答えは次回に。

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