「愛の詩」は、やがて、歌われなくなる?

携帯⇒スマホと、コミュニケーション手段が進化するとともに失われてきた私たちの「リアル」。そこで開発されてきた「人工知能」は、最終的には、私たちから「感じる力」も「考える力」も奪っていく。やがて、人は、「愛の詩」を創り、歌うこともなくなるだろう。今回は、そんな話を掘り下げてみます――。
Talker
哲雄 自ら著作を手がけるエッセイスト。当ブログの管理人です。
AKI 出張エステ嬢として働きながら、作家を目指すアラサーの美女。
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AKI 携帯が普及して、メールが主たるコミュニケーションの手段として使われるようになることによって、人は、コミュニケーションから「リアル」を失い、「第三次リアル喪失」が始まった。前回は、そんな話をしたんですよね。
哲雄 ハイ、そうでしたね。で、この「第三次リアル喪失」は、もっと深く、われわれから大事なものを奪っていくと申し上げました。
AKI その「大事なもの」とは何? 私、きょうはそれを伺うのを楽しみに来たんですよ。
哲雄 ま、あんまり楽しみにしていただくようなシロモノではありませんがね。ひと言で言うと、感じるリアル、考えるリアル、判断するリアル。そういうリアルを、人間は失っていくのではないか――とね。きょうは、そういう話をしようと思うのですよ。
AKI エーッ、それ、大変! それを失っちゃったんでは、もう、人間ではなくなっちゃうではありませんか。
哲雄 しかし、人類は確実に、そういう方向へ向かっています。AKIクンは、「AI」って聞いたことあるでしょ?
AKI 「人工知能」ってやつですよね。まだ、買ってませんけど。
哲雄 おや、いま大変お安くなっているんですよ――って、そうじゃないでしょ。「人工知能」というのはですね、「これが人工知能でございます」とどこかで売っているようなものではなくて、膨大な情報を分析したり、そこから判断を下したり……という、人間の脳がやるような作業をコンピュータにやらせる技術の総体、そのシステムのことを言います。
AKI 目には見えないってこと?
哲雄 見えなくはありませんけど、見てもわからないでしょうね。見えるとしても、やたら複雑な回路ぐらいでしょうから。
AKI フーン。その「人間の脳」みたいな回路が、私たちから感じたり、考えたり、判断したりするリアルを奪っていくっていうんですか? 何か、複雑……。
哲雄 でも、メールを多用するあなたの場合、すでに相当、奪われちゃってると思いますよ。
哲雄 ハイ、そうでしたね。で、この「第三次リアル喪失」は、もっと深く、われわれから大事なものを奪っていくと申し上げました。
AKI その「大事なもの」とは何? 私、きょうはそれを伺うのを楽しみに来たんですよ。
哲雄 ま、あんまり楽しみにしていただくようなシロモノではありませんがね。ひと言で言うと、感じるリアル、考えるリアル、判断するリアル。そういうリアルを、人間は失っていくのではないか――とね。きょうは、そういう話をしようと思うのですよ。
AKI エーッ、それ、大変! それを失っちゃったんでは、もう、人間ではなくなっちゃうではありませんか。
哲雄 しかし、人類は確実に、そういう方向へ向かっています。AKIクンは、「AI」って聞いたことあるでしょ?
AKI 「人工知能」ってやつですよね。まだ、買ってませんけど。
哲雄 おや、いま大変お安くなっているんですよ――って、そうじゃないでしょ。「人工知能」というのはですね、「これが人工知能でございます」とどこかで売っているようなものではなくて、膨大な情報を分析したり、そこから判断を下したり……という、人間の脳がやるような作業をコンピュータにやらせる技術の総体、そのシステムのことを言います。
AKI 目には見えないってこと?
哲雄 見えなくはありませんけど、見てもわからないでしょうね。見えるとしても、やたら複雑な回路ぐらいでしょうから。
AKI フーン。その「人間の脳」みたいな回路が、私たちから感じたり、考えたり、判断したりするリアルを奪っていくっていうんですか? 何か、複雑……。
哲雄 でも、メールを多用するあなたの場合、すでに相当、奪われちゃってると思いますよ。
AKI エッ、そうなんですか?
哲雄 たとえば、あなたが「あ」と入力しただけで、変換ソフトが勝手に「ありがとう」とか「愛してる」という変換候補を示してくるでしょう。これも、実は「人工知能」の一種だと思っていいんだよね。
AKI フーン。お世話になってるんですね。
哲雄 ハイ、お世話になってるんですよ。メールに限らず、ワープロを扱う私もね。でもね、私もときどき、この日本語変換ツールには、余計なことをされてしまいます。
AKI 哲ジイもですか? たとえば――?
哲雄 こないだ、お世話になっている人に変なメールを送ってしまいました。自分では「お世話になっております」と打って送信したんですが、受け取った相手からは、「何だよ、さっきのメールは?」と返事がきました。私が送ったメールは、

という文面になって、相手に届いていたんですね。
AKI わかった。哲ジイがしょっちゅう「オーガズム」なんて言葉を打ち込むもんだから、AIが学習しちゃったんじゃないですか。このジイ様は、「お」とくれば「オーガズム」だゾ――って。
哲雄 ま、そういうことでしょうな。そんなふうに、人の行動パターンなどを読んで、次にとるべき作業をコンピュータが予測して提示する。これもAIの仕業というか、人工知能のごく初歩的な仕事と言っていいのですが、これに慣れてしまうとどうなるか?
AKI 自分で文章を構成したりする力がなくなっていく?
哲雄 なくなりはしないでしょうが、退化はしていくかもしれません。簡単なメールくらいだったら、人工知能が示す変換候補だけで、書けてしまうかもしれませんからね。そういう機能に慣れてしまうと、人は、自分で自分の考えをまとめるとか、それを文章に組み立てるという能力を、衰えさせてしまうかもしれません。
AKI そう言えば、「これ、おまえが書いたんじゃないだろう」ってメールを送ってくる子、私の周りにもいました。
哲雄 もっと人工知能が進化すると、「わび状」とか「お礼状」とか「始末書」とか、場合よっては、「ラブレター」程度ぐらいであれば、簡単なキーワードを打ち込むだけで、勝手に作ってくれるようになるかもしれない。
AKI 恋愛小説はどうでしょう?
哲雄 さすがにそれはムリ。でも、歌の歌詞ぐらいは書けるようになるかもしれませんね。「過ぎ去った恋」「冬の海」「涙」「思い出す」「寂しい唇」みたいにいくつかキーワードを打ち込んで、「1小節=5文字」+「1小節=7文字」なんていうフォーマットを指定すれば、人工知能が勝手にメロディーに当てはまる歌詞を作ってくれるとかね。
AKI そんな「愛の詩」で、人は感動するようになるでしょうか?
哲雄 感動するかどうかはともかく、まるで「かけ声」みたいな歌詞とか、ただ叫んでいるだけにしか聞こえない歌詞ぐらいだったら、作れるんじゃないですか。
AKI 「愛してるよォ~」とか「ずっと、ずっと」とか、そういう言葉を連呼してるだけのような歌詞、多いですよね。でも、繊細な私は、そんな歌詞じゃ、とても心は動かされない。
哲雄 ま、「愛の詩」とは言えませんよね。たぶん、そのうち、「愛の詩」は歌われなくなるかもしれないなぁ――と、私は危惧してるんですよ。でも、アートな創作ばかりではありません。どんな相手に恋をするか――まで、そのうち、人工知能が決めてしまうような時代がくるかもしれません。
AKI エーッ、そんなことまでやっちゃうんですか?
哲雄 というか、すでに部分的にはやっちゃってるんじゃないでか。たとえば、キミの好みの男性の顔を、目の大きさはとか、眉の形はとか、顎は張ってるほうがいいかとか……そういう細部まで聞き出して、そこから、「これが、あなたの理想のカレ!」というモンタージュを作り上げちまうとかね。
AKI ま、それくらいのことはやっちゃうかもしれないけど……。
哲雄 そこまでは、AKIクンも想像できますよね。しかしね、もう少し人工知能が普及すると、そのモンタージュをAIが記憶してそれを「顔認証システム」と組み合わせ、街で人とすれ違う度に、「この人、あなたのタイプですよ!」と知らせてくれるとかね、そんな余計なお世話までしてくれるようになるかもしれません。
AKI ホント、余計なお世話!
哲雄 ええ、でも、余計なお世話をしてくれちゃうんです、このAIってやつは。そのうち、「恋愛指導」まで始めちゃうかもしれませんねェ。「そろそろ彼女、誕生日だゾォ~」「彼女、バラよりユリが好きらしいゾォ~」「オイ、そろそろ手を握るチャンスだぞぉ~」「もう、抱き締めないとヤバイかも」「彼女の心、離脱中! 取り戻すならいまのうち」……とかさ。
AKI イヤだぁ~。そんな恋愛、したくないかも。
哲雄 そういう人には、こういうのもあるんですよ。まったくリアルのない恋愛。こちらは、リアルに異性とつき合う必要もなく、仮想空間だけで完結してしまうラブゲームですけど……。
AKI それって、ただのゲームでしょ? そこまでいけば、完全に《リアル喪失》じゃないですか。私は、パスします。
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