「自己責任論」を口にする人たちのエゴイズム

新聞を読む女  恋愛ジャーナル〈41〉 
実際に起こった出来事を長住流に解説します。

シリアで拘束されていた安田純平さんの解放で、
またも噴き出した「自己責任論」。世界広しといえど
こんなバッシングが飛び出すのは、日本だけ。
そこには、恥ずべきエゴイズムが——。


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 そういうことを言い始める人間がいるだろうなぁ――と思っていたら、案の定。
 シリアで拘束されていたフリージャーナリスト・安田純平氏が解放されたという報道に、すかさず「自己責任」を言い立てる主張が、マスコミやネットに噴出しました。
 曰く、

「危険だ」と言われている地域にわざわざ出かけていって拘束されたんだから、そんなのは「自己責任」だろう。まず、謝罪すべきだ。

救出にかかった費用や帰国のための費用には、オレたちの税金が使われている。その費用を国に弁済するのが筋だろう。

 などというものです。
 たいてい、こうした主張は、名前も名乗らずSNSなどに投稿されるもので、ここで取り立てて批判するほどの論理性を備えた主張とも思えません。
 しかし、そういうバッシングをことさらに取り上げて、「国民からは批判の声も挙がっている」などと報じたがるメディアもあります。メディアの側にも、大衆の劣位の感情に迎合して部数や視聴率を稼ごうとするポピュリズムがある。それがまた、バッシングの声を煽り立ててしまう。
 日本の世論の作られ方には、そんなふうに低劣な方向へ、低劣な方向へ――と、国民感情を誘導してしまう性質がある。このことを頭に入れておかないと、私たちは、問題の本質を見誤ってしまいます。

ふくろう
「公」は尊く、「私」は卑しい――という思想

 14年前のイラク戦争のときにも、同種の事件が起こりました。
 イラクの民衆の支援活動に従事していた2人のボランティアとジャーナリストが、過激派グループに拘束され、「72時間以内にイラク国内の自衛隊を撤退させないと、人質を殺害する」と脅迫を受けた事件です。
 国内では人質の解放を求めるデモが官邸を取り巻く一方、保守系の新聞を中心に「人質になったのは自己責任である」という論調が広がっていきました。このときは、官邸からも「自己責任」を言い出す閣僚が現れて、「自己責任論」は、まるでまっとうなおとなの正論であるかのように取り扱われたりもしました。
 しかし、ほんとうにそうでしょうか?
 もし、人質になったのが、フリージャーナリストではなく、NHKや共同通信の特派記者だったら、それでも人は、政府やマスコミは、「自己責任」という論法を用いて、彼らの行動を非難したでしょうか?
 もし、拘束されたのが、ボランティア活動家ではなく、現地で石油の買い付けに走り回る商社マンだったりしたら、それでも世間は、彼らの行動を「自己責任」を盾にバッシングしたでしょうか?
 おそらく、答えは「NO」です。
 どこが違うのか? きわめて簡単です。
 その人たちの行動が、国や公共団体や会社(一部上場などの大企業)という組織によってオーソライズされているかどうか? そこが、「自己責任」を問われるかどうかの分岐点となっているのです。
 つまり、

 「公」はいいけど、「私」はダメ。

 その根っこには、「公」は常に正しいが、「私」は正しいとは限らない、いや、たいていは間違うものだ――という、日本社会を独特に縛りつけている「公尊私卑」とでも言うべき価値観が横たわっています。

  その「私」が勝手なことやって、国に迷惑かけてんじゃねェぞ。

 「自己責任論」をホンネで語らせると、そんな言葉になる思うのですが、世界中を探しても、先進国と呼ばれる国の中でそんなバッシングが社会を動かすのは、日本ぐらいのものだろうと思います。
 事実は、むしろ逆。
 権力者の干渉にも屈せず、自らの危険をも顧みずに、戦地に赴き、弾圧や虐待の現場に潜り込んで、事実を世界に伝える。そういうジャーナリストの存在が、これまで、何度も世界を動かしてきたことは、すでに世界が認めているところ。それゆえに、こういう勇気ある知性の存在は、世界中からリスペクトされてもいます。
 イラク戦争の当事者である、アメリカのパウエル国務長官(当時)でさえ、「イラクの人々のために、危険を冒して現地入りをする市民がいることを、日本は誇りに思うべきだ」と語っているのですが、日本の愚かな「自己責任論者」たちは、それを「余計なことをしやがって」とバッシングにかかるわけです。
 筆者は、そういう発言がメディアやネットを飛び回る社会が、恥ずかしくて仕方ありません。

ふくろう
「自己責任」を言う人たちは、エゴイスト

 この種のバッシングに血道をあげるのは、どうせ「ネット右翼」とか、そういう連中だろう――と思う人もいるかもしれません。
 確かに、政府に批判的であったり、政府とは違う角度から世界の真実を探ろうとする活動に対して、「自己責任論」などを盾にバッシングしようとするのは、俗に「ネトウヨ」と呼ばれるネット系右翼であったり、保守系新聞などを舞台に政府寄りコメントを繰り返す「御用評論家」っぽい面々であったりするわけですが、しかし、どうもそれだけではないようにも見えます。
 政治的志向とか思想的傾向とか、そういうことには関係なく、単に「利己的」としか思えない発言を大声で発する人たち。
 筆者には、どうも、そういう人々が増えているように感じられて仕方がないのです。

 たとえば、住宅地に保育園を設立しようという計画が持ち上がると、「騒音が増える」「送り迎えのクルマで道が混雑する」などと言い立てて、「保育園建設反対」の声を挙げる。
 納骨堂建設の話が起こると、「不衛生だ」「気持ちがわるい」「土地評価が下がる」などと非科学的としか思えない言いがかりをつけて、「建設反対」の署名活動を起こしたりする。
 福島のゴミ処理を引き受けようとすると、「うちの街には持ってくるな」と反対運動が起こる。

 こうした発言の根底にあるのは、極端なエゴイズムです。
 このエゴイズムは叫ぶのです。

  オレたちが納めた税金を、「そんなこと」のために使うな!

 「そんなこと」の中には、「社会的弱者」と呼ばれる人たちの救済が含まれます。その「弱者」の代表が、アメリカでは移民難民たちで、トランプの「アメリカ・ファースト」が真っ先に排除しようとしたのは、その移民や難民でした。
 日本では、「在日朝鮮人」が、長い間、その対象となってきました。さらに最近は、福島からの避難家族までが、「そんなこと」扱いされたりもするようになりました。
 この「そんなこと」は、そのうち、障害者や病人にも向けられるようになるかもしれません。
 いや、実際、もう向けられ始めています。先日は、麻生財務大臣のこんな発言がマスコミに取り上げられて、非難を浴びました。

「好き勝手に飲んで、運動も全然しないなんていうやつの医療費を、健康に努力しているオレが払うのはあほらしい」と言う先輩がいたが、いいこと言うなと思ったよ。

 「自己責任論」を口にする人たちの精神の底には、こういう「エゴイズム」がひそんでいて、それは、世界的に露骨になりつつある。
 そのことに、筆者は危機感を覚えてもいます。

ふくろう
「余計なこと」が非難される社会は、「近代社会」ですらない

 「エゴイスト」たちは言います。

  自分がまじめに働いて(かどうかはわかりませんが)納めてきた税金を
 そんな「余計なこと」のために使ってくれるな。


 飢餓に苦しむアフリカに行ってボランティア活動に従事するのも「余計なこと」。
 戦地に赴いて、危険を顧みず、真実を伝えようとするのも「余計なこと」。
 放射能汚染を逃れて県外へ移住してくる福島の避難民を受け入れるのも「余計なこと」。
 保育園不足を解消するために保育園を設立しようとするのも「余計なこと」。
 高齢者の医療施設や介護施設を充実させようというのも「余計なこと」。

 しかし、筆者は思うのです。
 「近代社会」、特に、第二次世界大戦以降の世界が、この地上を少しでも住みやすい世界に変えられたとすれば、それは、これら「余計なこと」のために汗を流し、血を流し、労力と時間を費やす人たちがいたから――とも言えるのではないか。
 そういう「余計なこと」を世界がリスペクトするのを止めてしまったら、この地上は、再び、低俗なエゴがぶつかり合うだけの、醜い世界に逆行してしまうかもしれません。
 「自己責任」を言う人たちのエゴイズムが、そんな醜い世界を招かないことを、祈るばかりです。



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