カメラはあなたにウソをつく

映像は、しばしば、私たちを騙し、誤った道を選択させることがある。前回は、そんな話をしました。今回は、その技術編。カメラはどうやって、私たちにウソをつくのか? まずは、「アングル」と「ライティング」について話をしてみます――。
Talker
哲雄 自ら著作を手がけるエッセイスト。当ブログの管理人です。
AKI 出張エステ嬢として働きながら、作家を目指すアラサーの美女。
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AKI 映像は、しばしば私たちを騙して、間違った方向に向かわせることがある。前回は、そんな話をしたんですよね?
哲雄 ハイ、しました。だから、映像をそのままの「真実」と思ってはいけない。重要なのは、その映像をそのように撮ろうと企図した、撮影者のモチーフである。そのモチーフを見破る客観的で冷静な目を持つことが大事だ――と申し上げました。
AKI 撮影者のモチーフですか? しかし、人を騙そうなんていうモチーフ、そんなに多くはありませんよね?
哲雄 いえいえ、そこらじゅうにあふれていますよ。AKIクンだって、持ってるんじゃありませんか?
AKI エーツ、私が……?
哲雄 自分を少しでも美しく、スマートに見せようとして、実に涙ぐましい努力をなさっているように私には見えますけどね。たとえばキミは、だれかに写真を撮ってもらうとき、体を斜め45度ほどにひねって、顔だけを正面に向けようとしたりしませんか?
AKI ま、それは……そのほうが写真の仕上がりがよろしいかと思いまして……。
哲雄 フム……実に古典的な手法です。おそらく古典派の絵画の時代から、この手法は用いられてきました。特に、女性をスマートに見せるときには、体が細く見えるアングルとして、この斜め45度が使われてきたんですが、この「アングル」こそ、映像のウソの手法のひとつなんですね。
AKI 「アングル」っていうのは、つまり、角度ということですか?
哲雄 そうです。斜めから撮る、上から撮る、下から撮る……というふうに、被写体に向けてレンズを構える角度のことを言います。その角度によって、映像はさまざまな「ウソ」を作り出せるんですよ。たとえば、立ったあなたをウンと低い角度(「ローアングル」と言います)から仰ぐように撮ると、あなたを脚の長いスラリとした美人に見せることもできる。逆に、うんと上から「ハイアングル」で撮ると、頭でっかちで短足のダックスフンドみたいに見せることもできる。
AKI 私、そんな小細工は弄していませんけど。
哲雄 では、ライティングはどうですか?
哲雄 ハイ、しました。だから、映像をそのままの「真実」と思ってはいけない。重要なのは、その映像をそのように撮ろうと企図した、撮影者のモチーフである。そのモチーフを見破る客観的で冷静な目を持つことが大事だ――と申し上げました。
AKI 撮影者のモチーフですか? しかし、人を騙そうなんていうモチーフ、そんなに多くはありませんよね?
哲雄 いえいえ、そこらじゅうにあふれていますよ。AKIクンだって、持ってるんじゃありませんか?
AKI エーツ、私が……?
哲雄 自分を少しでも美しく、スマートに見せようとして、実に涙ぐましい努力をなさっているように私には見えますけどね。たとえばキミは、だれかに写真を撮ってもらうとき、体を斜め45度ほどにひねって、顔だけを正面に向けようとしたりしませんか?
AKI ま、それは……そのほうが写真の仕上がりがよろしいかと思いまして……。
哲雄 フム……実に古典的な手法です。おそらく古典派の絵画の時代から、この手法は用いられてきました。特に、女性をスマートに見せるときには、体が細く見えるアングルとして、この斜め45度が使われてきたんですが、この「アングル」こそ、映像のウソの手法のひとつなんですね。
AKI 「アングル」っていうのは、つまり、角度ということですか?
哲雄 そうです。斜めから撮る、上から撮る、下から撮る……というふうに、被写体に向けてレンズを構える角度のことを言います。その角度によって、映像はさまざまな「ウソ」を作り出せるんですよ。たとえば、立ったあなたをウンと低い角度(「ローアングル」と言います)から仰ぐように撮ると、あなたを脚の長いスラリとした美人に見せることもできる。逆に、うんと上から「ハイアングル」で撮ると、頭でっかちで短足のダックスフンドみたいに見せることもできる。
AKI 私、そんな小細工は弄していませんけど。
哲雄 では、ライティングはどうですか?
AKI エッ、ライティング?
哲雄 光を一方向からだけ当てるか、全体にフラットに回すか? 強い光を当てるか、弱い光に押さえるか? その光の加減によって、被写体の印象はまったく違ったものになってしまいます。たとえば、AKIクン、キミが「最近、肌が荒れてるのよねェ。目の周りの小じわも目立つようになったし……」なんぞと悩んでいるとしましょうか。
AKI 別に悩んでなんかいないし。そりゃ、多少は気にしてますけど……。
哲雄 悩んではいないけど多少は気にしているAKIクンとしては、少しでも、そんなアラが目立たないように撮ってほしいと願いますよね。その願いを察した優秀なるカメラマンは、AKIクンの正面、右斜め前、左斜め前に、3灯のストロボを立て、光をふんだんに回して、やや飛ばし気味にあなたの顔を撮影します。出来上がってくるのは、

と、思わず声を挙げてしまいそうなポートレートだったりするわけです。
AKI ピッ、ピーッ! ちょっと、そこのおっさん! 見てきたようなウソ、つかないでくださいよォ~。だれが「歳のわりに」やねん!
哲雄 ま、そうカリカリしなさんな。「写真がつくウソの一例」として申し上げただけですから。同じカメラマンが、たとえば今度は、この長住のポートレートを撮ることになったとしましょうか。カメラマンには、別のモチーフがはたらくやもしれません。
AKI たとえば、どんな……?
哲雄 「世の腐敗・堕落を嘆く、老エッセイスト」とか、「一度も結婚せずに、孤独な老後を迎えた寂しき孤高」とか、ま、そんなところですかね。
AKI フーン、寂しいんだ……?
哲雄 だから、たとえば……ですって。このおっさんの孤独な苦悩を浮き彫りにしようと考えたカメラマンは、正面からのライティングを絞って、サイドからのライトを強めに当て、画面全体を「ローキー」にまとめようとします。
AKI ローキー? 何ですか、それ?
哲雄 暗い階調の色が中心になった画面のことを「ローキー」と言い、逆に明るい階調の色が中心になった画面のことを「ハイキ―」と言います。露出が「オーバー」「アンダー」というのとは別の概念で、画面全体のトーンをどうまとめるかという撮影者の意図を表す用語です。
AKI で、哲ジイは「ローキー」が似合う男なんですね?
哲雄 ま、そうなんでしょうね。そして、ライティング。サイドからのライティングを中心に撮影された私の顔は、シワなどの凹凸がシャドーを作って強調され、「苦悩に満ちた老エッセイスト」という面影を映像として作り上げていきます。
AKI わざわざそういう細工をしなくても、十分に「苦悩する高齢者」でございますけどね。
哲雄 ハァ……? 何ですと?
AKI いえ、いえ、こちらの話で。なるほどね、「アングル」と「ライティング」で、カメラはどうにでもウソをつくことができる、というわけですか?
哲雄 まだまだ、こんなの序の口ですゾ。カメラはもっとたちの悪いウソをつくんですよ。
AKI エッ、まだあるんですか?
哲雄 そこで使うのは、「フレーミング」というワザと、それとセットで使われるレンズの「焦点距離」の選択です。
AKI 「フレーミング」っていうのは、確か、親指と人差し指と中指を、それぞれ90度の角度で立てたときに……。
哲雄 それは「フレミングの法則」ね。「フレーミング」っていうのは、「枠取り」というか、被写体のどこからどこまでを「フレーム(枠)」の中に収めるかという「構図」の決め方と言っていいかと思うのですが、それを決めるには、どういうレンズを使うかも決めなくちゃならない。実は、この「フレーミング」と「レンズの選択」こそ、カメラがウソをつく最大の武器と言ってもいいと思うのですが、それについては、いろいろとお話しなくてはならないので……。
AKI ハイハイ、それについては次回ですね。猛暑が続きますから、それまで干からびないでいてくださいませね。
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