「油まみれの黒い水鳥」がついた「ウソ」

大衆をある方向に誘導しようとする「危険な精神」。そういう精神が仕掛けるワナには、しばしば映像や画像が効果的に使われます。その典型が、かつて湾岸戦争のときに使われた「油まみれの黒い水鳥」の写真。実は、この写真、当時のブッシュ政権によってねつ造されたフェイクでした。今回は、そんな映像がつく「ウソ」に気をつけようという話――。
Talker
哲雄 自ら著作を手がけるエッセイスト。当ブログの管理人です。
AKI 出張エステ嬢として働きながら、作家を目指すアラサーの美女。
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AKI 間違った精神に導かれる社会は、きわめて危険である。前回は、そんな話をしたんですよね? だから、私たちは、いつも意識を目覚めさせ、世間が流されていく方向が正しいのかを、自分の目で見極めなくてはならない。それは、おまえたち若者の仕事だゾ――と、そういう叱咤というか激励をいただいたわけですが……。
哲雄 何だか、気が乗らないようですね?
AKI そういうわけじゃないんですが、あんまり、物事をむずかしく考えるのが得意じゃないもんで。
哲雄 危ない、危ない。社会のマジョリティが、そうやって、深く考えるという習慣を放棄したとき、社会は、権力者が誘導しようとする方向に、いとも簡単に誘導されてしまうんですよ。前にも申し上げましたが、特に日本人は、そういう誘導に弱い。
AKI 確か……日本人には、「順応する子ども」の性質が強いからと、そうお聞きしたような気がしますが。
哲雄 エゴグラム的に言うとそういうことになる、と申し上げました。
しかしね、それは「比較的」という問題であって、誘導が巧みに行われると、どこの国民であろうと、大衆というものは、簡単に誘導されてしまいます。
AKI 誘導するのは、だれなんですか?
哲雄 人々が誘導されることによって、得をする人間たちです。
AKI 企業とか……?
哲雄 それもありますね。たとえば、ライフルを作っている企業であれば、銃犯罪などの増加を逆手にとって、「自分の身の安全は自分で守るしかない」というキャンペーンを張り、「銃規制運動」の声を封じ込めて、結果的に、自社のライフルの売り上げを伸ばそうとします。排ガスのCO2排出量や燃費などで日本車にかなわないと察したアメリカの自動車産業などは、「CO2排出量と地球の温暖化には関係がない」「地球の温暖化には科学的な根拠がない。フェイクだ!」などとキャンペーンを張って、大衆の目を「環境」から逸らさせた挙句、ついには政府まで巻き込んで、パリ協定離脱という暴挙に踏み切らせてしまいました。
AKI アメリカ車を売るために、「地球温暖化なんてどうでもいいじゃないか」という世論に、大衆を導いたんですね。ひどくないですか?
哲雄 ひどいと思います。でも、世界では、そういう誘導はしょっちゅう行われてきました。ドイツをユダヤ人虐殺へと導いたヒットラーの大衆誘導。「鬼畜米英」などと憎悪を煽り立てて、大衆をあの愚かな戦争に導いた戦前の日本の翼賛政府。数え上げればキリがありません。だから、騙されてはいけない。物事を自分の目でしっかり見極めようとする意識を持ちなさい、と申し上げたわけです。特に、いまのみなさんたちに「気をつけろ!」と言いたいのは、写真や映像に騙されるな――です。
AKI エッ、写真と映像が騙すんですか、私たちを?
哲雄 何だか、気が乗らないようですね?
AKI そういうわけじゃないんですが、あんまり、物事をむずかしく考えるのが得意じゃないもんで。
哲雄 危ない、危ない。社会のマジョリティが、そうやって、深く考えるという習慣を放棄したとき、社会は、権力者が誘導しようとする方向に、いとも簡単に誘導されてしまうんですよ。前にも申し上げましたが、特に日本人は、そういう誘導に弱い。
AKI 確か……日本人には、「順応する子ども」の性質が強いからと、そうお聞きしたような気がしますが。
哲雄 エゴグラム的に言うとそういうことになる、と申し上げました。
しかしね、それは「比較的」という問題であって、誘導が巧みに行われると、どこの国民であろうと、大衆というものは、簡単に誘導されてしまいます。
AKI 誘導するのは、だれなんですか?
哲雄 人々が誘導されることによって、得をする人間たちです。
AKI 企業とか……?
哲雄 それもありますね。たとえば、ライフルを作っている企業であれば、銃犯罪などの増加を逆手にとって、「自分の身の安全は自分で守るしかない」というキャンペーンを張り、「銃規制運動」の声を封じ込めて、結果的に、自社のライフルの売り上げを伸ばそうとします。排ガスのCO2排出量や燃費などで日本車にかなわないと察したアメリカの自動車産業などは、「CO2排出量と地球の温暖化には関係がない」「地球の温暖化には科学的な根拠がない。フェイクだ!」などとキャンペーンを張って、大衆の目を「環境」から逸らさせた挙句、ついには政府まで巻き込んで、パリ協定離脱という暴挙に踏み切らせてしまいました。
AKI アメリカ車を売るために、「地球温暖化なんてどうでもいいじゃないか」という世論に、大衆を導いたんですね。ひどくないですか?
哲雄 ひどいと思います。でも、世界では、そういう誘導はしょっちゅう行われてきました。ドイツをユダヤ人虐殺へと導いたヒットラーの大衆誘導。「鬼畜米英」などと憎悪を煽り立てて、大衆をあの愚かな戦争に導いた戦前の日本の翼賛政府。数え上げればキリがありません。だから、騙されてはいけない。物事を自分の目でしっかり見極めようとする意識を持ちなさい、と申し上げたわけです。特に、いまのみなさんたちに「気をつけろ!」と言いたいのは、写真や映像に騙されるな――です。
AKI エッ、写真と映像が騙すんですか、私たちを?
哲雄 何らかの悪意を持った人間が、人を誤った方向へ導こうとするとき、写真や映像ほど、効果的に使われる手段はありません。たとえば、あの湾岸戦争のとき、世界の人々を「イラクけしからん!」に導いた有名な画像がありました。
AKI エッ、それ知らな~い。
哲雄 そうか、そういう時代になりましたか。湾岸戦争っていうのはね、クウエートに侵攻したフセインのイラクを懲らしめるという理由で、アメリカが主導し、英仏などが参加した多国籍軍が、イラクを空爆し、地上軍まで派遣した戦争のことですが、このとき、世界中を駆け巡った一枚の写真がありました。それが、「油まみれの黒い水鳥」です。
AKI 黒い水鳥が油まみれ……? 何ですか、それ?
哲雄 黒い水鳥が油まみれになったんじゃなくて、元は白かった水鳥が油まみれになって真っ黒になり、もう飛ぶこともできなくなって、水辺で悲しげにもがいているという写真でした。ブッシュのアメリカ政府は、「イラク軍が原油タンクを破壊して、意図的に原油をペルシャ湾岸に流し、環境破壊を試みた」と発表し、メディアもそう報じたんですね。
AKI 「イラクってひどい」と思ったでしょうね、それを見た人たちは。
哲雄 ハイ、思いましたね。「イラクって国は、ひどい国だ。フセインってやつは、悪魔みたいなやつだ」と、それはもう、世界中が非難ごうごうとなりました。ブッシュは、「われわれは悪を征伐する十字軍だ」と豪語し、その正義の戦いに参加しない日本に「ショー・ザ・フラッグ(国旗を見せよ)」と非難の矛先を向けたりもしました。
AKI それ、父ブッシュの時代ですか?
哲雄 そうです。そして、日本は、その圧力に屈して、巨額の戦費を負担させられることになったわけです。もしかしたら、あの写真は、戦争に参加しない日本を責めるためのフェイクだったのではないか――とさえ言われました。実際、フェイクだったわけですが……。
AKI フェイク? つまり、ねつ造ってことですか?
哲雄 そうです。実際は、原油タンクは、米軍の爆撃によって破壊されたのですが、それをアメリカの政府とメディアは、「フセインの仕業」と喧伝して、あの戦争を「正義の戦争」に仕立てようとしたわけです。もうひとつ、壮大に仕組まれたウソがありました。
AKI まだあるんですか?
哲雄 当時、アメリカ議会に出て証言した、ナイーラというクウエート人少女がいました。彼女は議会で、涙ながらに、こう証言したのですね。

AKI エッ、それもウソだったんですか?
哲雄 ハイ、真っ赤なウソ。ナイーラは駐米大使の娘で、父親と共にずっとアメリカにいましたから、クウエートの病院でボランティアなんてやれるわけがない。つまり、あの涙ながらの証言には、ストーリーを書いたシナリオライターがいて、彼女に演技指導をしたディレクターがいた。すべては、広告代理店が仕組んだ狂言だったわけです。
AKI そこまでやるんですか、広告代理店は?
哲雄 広告代理店っていうのは、クライアントの要望があれば、どんな映像だって作ってしまう。どんなキャンペーンだって仕立て上げてしまう。なにせ、彼らは「プロ」なんですから。
AKI 怖いんですね、映像って。
哲雄 怖いですよ。そこまでいかなくても、私たちは、ふだん、悪意を持ってねつ造され、流布された映像に騙されてしまう危険に、常にさらされています。つい、最近もあったじゃないですか。
AKI エッ、ありましたっけ、そんなの?
哲雄 あら、もうお忘れですか? ようがす、あらいざらいお話しましょうか。あなたを取り巻く、危険な映像のワナについて。
AKI 長くなりそうですから、それは次回、じっくりお聞きしますわ。
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