触り魔・T氏の弁明 〈2〉ボンレスハムに魅せられて

脳を活性化させるには、指先の感覚を磨くに限ると、
女性の肌に触れまくるT氏。電車の中でも、
そんな脳トレに励むT氏だったが、好事魔多し。
ついに年貢を納めるときがやって来た……。
R18 このシリーズは、性的表現が中心の官能読み物です。18歳未満の方はご退出ください。
エロ 官能小説 オーガズム 不倫

この話は、連載2回目です。最初から読みたい方は、⇒こちらから どうぞ。
「脳トレ」のためには、神経端末が集中し、脳の「体性感覚野」に大きな表面積を占める「指先」の感覚を磨くのがよろしい。
その感覚を、繊細な女性のボディを探索することで磨くのだ――と、ひたすらチカンに励むT氏。
磨き抜かれた指先の感覚は、ターゲットの筋肉が伝えてくるメッセージを的確に読み取り、Tの「脳トレ」の日々は、ひそかな悦びとともに、着々と進行していった。
Tは、豪語するのである。
「オレの繊細な指先は、その女の皮下脂肪の厚さまで計測できるんだぜ。その女が、どれくらいの年齢で、どんな生活を送っているか、性経験がいかほどか……まで、だいたいわかっちまうんだなぁ」
どうでもいいことではあるが、Tの脳が喜ぶのは、タッチした女性の臀部の皮膚に、やや怠惰なのではないか……と思われる生活の翳りや、いささか奔放すぎるのでないか……と思われる性の爛れを感じたりするときだ。
特に、触れた下着の縁からはみ出た肉が、力なくプヨッ……と盛り上がっていたりすると、Tは、その無力さがたまらなく愛しくなり、それはもう、やさしく、やさしく、いたわって差し上げるのだそうである。
先日も、T氏は、帰宅の電車の中で、そういうケツ……じゃなくて、ヒップに遭遇した。
その女性は、きっと、どこかのしっかりした会社でオフィス・ワークをなさっているのであろう――と推察できた。タイトなスカートのスーツを着用し、肩からはショルダーのバッグ、もう一方の手には、何かの資料でも入っているのだろうと思われる茶封筒を持って、大事そうに胸に抱えていた。
電車の揺れを利用して、氏の指が彼女のももにそっとタッチすると、そのご婦人は、Tの指を避けようとするふうでもなく、平然と窓の外を眺めている。少なくとも、ぶしつけなタッチを非難しようとする意思も、忌避しようとする意思も、彼女の筋肉は示していなかった。
Tはツツーッと、触れた指を上方に移動させた。
もちろん、彼女の太ももに浮き出た筋肉の流れに沿って……。
その感覚を、繊細な女性のボディを探索することで磨くのだ――と、ひたすらチカンに励むT氏。
磨き抜かれた指先の感覚は、ターゲットの筋肉が伝えてくるメッセージを的確に読み取り、Tの「脳トレ」の日々は、ひそかな悦びとともに、着々と進行していった。
Tは、豪語するのである。
「オレの繊細な指先は、その女の皮下脂肪の厚さまで計測できるんだぜ。その女が、どれくらいの年齢で、どんな生活を送っているか、性経験がいかほどか……まで、だいたいわかっちまうんだなぁ」
どうでもいいことではあるが、Tの脳が喜ぶのは、タッチした女性の臀部の皮膚に、やや怠惰なのではないか……と思われる生活の翳りや、いささか奔放すぎるのでないか……と思われる性の爛れを感じたりするときだ。
特に、触れた下着の縁からはみ出た肉が、力なくプヨッ……と盛り上がっていたりすると、Tは、その無力さがたまらなく愛しくなり、それはもう、やさしく、やさしく、いたわって差し上げるのだそうである。
先日も、T氏は、帰宅の電車の中で、そういうケツ……じゃなくて、ヒップに遭遇した。
その女性は、きっと、どこかのしっかりした会社でオフィス・ワークをなさっているのであろう――と推察できた。タイトなスカートのスーツを着用し、肩からはショルダーのバッグ、もう一方の手には、何かの資料でも入っているのだろうと思われる茶封筒を持って、大事そうに胸に抱えていた。
電車の揺れを利用して、氏の指が彼女のももにそっとタッチすると、そのご婦人は、Tの指を避けようとするふうでもなく、平然と窓の外を眺めている。少なくとも、ぶしつけなタッチを非難しようとする意思も、忌避しようとする意思も、彼女の筋肉は示していなかった。
Tはツツーッと、触れた指を上方に移動させた。
もちろん、彼女の太ももに浮き出た筋肉の流れに沿って……。

彼女の下着のエッジは、すぐに発見できた。
というのも、彼女の太もものふくよかな弾力が、あるところまでくると、クイと沈み込んでいるのがわかったからだ。
触れた感じで言うと、段差、約1・5ミリ。かなりサポート力強めのショーツをお召しになっているに違いない。もしかして、補整なんとか……ってやつか。
サポートされた部分とそうでない部分が、糸で縛られたボンレスハムのように、段差を作っているのを発見して、Tの脳は、喜ぶまいことか。
Tは、エッジに沿って、彼女のはみ出したハムを、その沈み込む部分に向かってなでさすっていく。
サポートされてぷっくりと持ち上げられたヒップの下縁から、その肉のすべてを呑み込むように窪んだ奈落に向かって、細心の注意で指を滑らせていく。
すると――。
スーツの女は、Tが予測もしなかった反応を見せた。Tの右横やや前方に、並ぶように立っていた自分の体の軸を、反時計回りにわずかに回転させたのだ。
その結果、女は、尻をT氏のほうに向けるような格好になった。
そして、ヒップのふくらみの下から中央の窪みに滑らせていたT氏の指は、スポッ……と、彼女の窪みにはまる形になった。しかも、女は、そこへグイと尻を突き出すような動きを見せるではないか。
まるで、それは、尻のワレメの中へ「指を潜らせて」と言っているようでもあった。
Tの目は、もうひとつ、見逃せない彼女のサインを捉えた。
しっかりとつり革をつかんでいた彼女の5本の指のうち、人差し指と小指が、ピンと外向きに反り返り、その指先が微妙に震え始めたのだ。
そこまでの反応を見せた女性は、過去数年に及ぶ(!?)T氏の「脳トレ」歴の中でも、初めてだった。
明らかに、彼女は、T氏の「脳トレ」に「歓迎」の意思を示している。
それに応えないのは、武士道に反する(!?)。
Tは、誘い込まれた形の人差し指をピンと立て、彼女のヒップのワレメにグイと押し込んだ。女は、まるで、Tの指を奥へと誘い込むように尻の穴を広げたかと思うと、次には、それを包み込むように、キュッとすぼめる。
広げてはすぼめ、すぼめては広げる、彼女の肛門括約筋の動きに、あわやT氏の指は「射精」しそうになった(?)――という。
ま、そんな惜しい女ではあったが、やがて、電車が急行停車駅に停まって、彼女は出口へ向かって進み始めた。
その様子がまた、なんとも……。
女は、肩ごしにチラ……と、菱川師宣の『見返り美人』のような視線をTに送って見せた後、後ろ髪を引かれるように(別に、Tが引っ張ったわけではない)、ドアへと向かう。
ホームに降り立ってからも、すぐには歩き出さず、見ようによっては、Tが追ってくるのを待っているようにも見えた。
しかし、Tは追わなかった。
いわく、「それは脳トレの目的に反するから」。
エライッ! というより、アホか……である。

さすがに、Tも「惜しいことしたなぁ……」と思ったのだろう。
次に、同様の機会に恵まれたときには――と、密かに胸に期するものがあったらしい。
その女は、ガタイのいい女だった。しかも超ミニ。
例によって、Tが脳トレに励み始めると、この女も、自分から尻をもじもじさせて、Tの手を自分の尻のワレメに誘い込むような動きを見せた。
やがて、電車が大きな駅に滑り込んだ。
女は、やはり、チラ……と肩ごし目線を送って、ドアへ向かう。
よし、同じ轍は踏むまい――と、Tは、その後を追った。
女は、ドアを出たところで歩を止めて、Tを待っているように見えた。
Tは、そのそばに歩み寄った。
そのときだった。
女は、いきなり振り返ると、むんず――と、Tの手をつかむではないか。
そして、低い声で、こう告げたのだった。
「触ったわね。この手で、私のお尻、触ったわよね」
女はつかんだTの手を目の高さまで持ち上げて、ひねり上げた。
なんだ、こいつ、北見志穂(おとり捜査官)か――と思うほど、その力は強かった。
すべてが、終わった。営々と築き上げてきた人生が、これでパァか。
背中を冷たい汗が流れ落ちた。
Tが覚悟を決めたそのとき、女は、さらに押し殺した声で続けた。
「ちゃんと、責任とってもらうわよ。あんな中途半端なことされて、それじゃ、私の気がすまないじゃない。一緒に来てもらうわ」
言いながら、女は、グイとTの手を引っ張った。
エッ――と、Tは思った。
冷や水ではなく、今度は、戦慄が背中を走り抜けた。
こ、こいつ、オ・ト・コだ!
Tは、女……いや、男の背中を思いきり突き飛ばし、相手が手を放したスキに、一目散に階段を駆け下りた。
それを最後に、T氏は、ピタリと電車内での「脳トレ」を止め――と、ふつうならなるところだが、どうも、この人は懲りないタイプらしい。
脳トレの前に、メン・トレが必要かも――な男ではある。
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