私は「終活」なんてやらない。その理由――

抱き枕 心の抱き枕 〈47〉 

60歳を過ぎるあたりから、あわてて「終活」なんてことを
やり始める人たちがいます。なんてバカなことを——と、
私は思います。「どう死ぬか」を考えるということは、
「生への執着」そのもの。見苦しいとしか思えないからです。


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 世の中では「終活」なんてものが流行っているそうであります。
 無駄な荷物をいまのうちに整理しようとする人たちもいます。
 自分の墓を購入する人も、葬儀に使う遺影をいまのうちに撮っておこうとする人も、中には、棺桶に入る練習(?)までやっておこうとする人もいるのだそうです。
 私は、何もやりません。

 「終活」するということは、「いかに死ぬか?」を考えることであり、
 「死に方」を考えるということは、
 それ自体が「生への執着」である。


 というふうに感じられてしまうからです。

 どう準備しようと、「死」は「不条理」である。
 その「不条理」に身を委ねて、
 「ま、こんなもんか」と笑って死ぬ。
 その覚悟を持てればそれでいい。


 私はそう思っています。
 というわけで、「終活」なんぞはやらない。「断なんとか(←この言葉、商標登録しているんだそうですよ。なんと妄執に富んだお方!)」なんぞ見向きもしない。
 ただし、捨てるものだけは、どんどん捨てちゃってます。
 なんだ、やっぱり「終活」やってるじゃないか――と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、私が「捨てる」と申し上げたのは、「モノ」ではありません。
 「モノ」なんてものは、残そうが捨てようがどうでもいい。
 「捨てる」のは、心の中のムダなものです。
 私の心の中にあって、あの世に持っていっても意味がない――と感じるもの。別に、何かに書き留めているわけではありませんが、筆者・長住は、そのリストを胸の中にキープしています。
 あくまで「マイ・リスト」です。
 リストのありようは人それぞれだろうと思いますが、参考までにご紹介しておきましょう。

 捨てるものリスト〈1〉 
成し遂げてきたこと、達成できたこと、その満足感

 「あれもやった」「これもやった」と、つい、人に自慢したくなるようなこと。長いこと生きていると、人は、そういう「自慢したくなるようなこと」を心の中に貯め込んでいきます。
 「自慢したいこと」は、人によっていろいろでしょう。

 ・昔は、勉強ができて、いい成績をとっていた。
 ・いい学校を出て、いい会社に就職し、けっこう出世した。
 ・「〇〇の仕事」も「××の仕事」も、全部、自分がやった。
 ・スポーツではガンバったよな。表彰されたりもしたし……。
 ・ガンバって家を建てて、子どもたちもリッパに育て上げた。
 ・いい作品を創り上げてきた。


 ――などなど。
 そういう功績を勲章のようにぶら下げて、「立派な人だったのよ」と惜しまれつつこの世を去りたいと願う人も、あるいはいるかもしれません。
 しかし、「人の死」とは、そうした功績を「0=無」にリセットしてしまうということです。
 「よくやった」という満足感も、達成感も、「死」を前にしては、何の役にも立ちません。役に立たないどころか、そういう満足感や達成感は、「無」に戻ろうとする魂の荷物となってしまいます。仏教的に言うと、「成仏の妨げ」となる。キリスト教的に言うと、「救いの妨げ」になるというわけです。
 浄土真宗の開祖・親鸞は言っています。

 善人でさえ往生する。
 悪人が往生できないわけがないではないか。


 親鸞が言う「善人」とは、「自分は正しい」と思っている人間のこと。「悪人」とは、「自分は何と罪深い人間なんだ」と自らを戒めている人間のこと。「自分は善人」と思い上がっている人間よりも、「自分は悪人」と悔いている人間のほうが往生しやすい――と言っているわけです。
 この点に関しては、キリスト教の考え方も極めて似ています。イエスはこう言っています。

 わたしがきたのは、義人を招くためではなく、
 罪人(つみびと)を招くためである。


 そして、こう言うのです。

 だれでも自分を高くする者は低くされ、
 自分を低くする者は高くされるであろう。


 洋の東西で「救いの思想」を説いたふたりの口は、期せずして、同じことを語っているんですね。
 「よくやった」「立派に成し遂げた」と自らを誇る人は、人間を救おうとする「神の愛」に気づく機会も、「仏の慈悲」に触れる機会も、自ら失ってしまい、「救い」から遠ざけられてしまうというわけです。
 筆者・長住は、「救われたい」と願わずにはいられない小人でありますから、人に自慢したくなるような実績や功績は、すべて、きれいさっぱり忘れてしまうことにしている――と、ま、そういうわけです。

 捨てるものリスト〈2〉 
人に対して「してあげた」と感じること。その満足感

 人が天国にまで持っていこうとする「満足感」の中には、「人に対しておこなったいいこと」という項目もあります。
 親は子に対して、妻は夫に妻に対して、社長は部下に対して、友人は友人に対して、自分は「あれもやってあげた」「これもやってあげた」と、その「善い行い」を誇りたがります。「これだけいいことをしてきたのだから、天国に迎え入れられるに違いない」と思う人もいるかもしれません。
 しかし、この「してあげた」は、本人が期待するほどには、周囲から「感謝」されません。それどころか、「あの人は恩着せがましい」と敬遠される場合もあるかもしれません。
 そして、〈1〉同様、自らを「善人」と名乗るこういう満足感は、仏教の世界でも、キリスト教の世界でも、「人間のおごり」として退けられます。そういう「おごり」は、人を救いから遠ざけるというわけです。
 私は、こちらも忘れることにしています。「忘れる」という前に、「してあげた」と意識することもしないようにしています。
 「してあげられなかったこと」は、反省とともに胸の中に刻み込みますが、「してあげたこと」は、とっとと忘れてしまう。

 おまえの「右手」がすること、しようとしていることを、
 「左手」に知らせるな。


 私が常に自分に言い聞かせている言葉です。

 捨てるものリスト〈3〉 
失敗したこと、達成できなかったことに対する未練や後悔

 「穏やかな終末」を迎えようとするときに、その妨げになるもの。もうひとつは、「未練」や「後悔」です。
 やろうと思ったことができなかった、「クソーッ」と思う未練。
 「あのとき、あんな失敗さえしなければ」と悔やみ続ける後悔。
 そういう思いを引きずったままでは、とてもじゃないけど、穏やかに「死」を迎えることなんてできません。
 仏教の世界では、肉体の「死」から魂が「往生」または「成仏」するまで、7日ごとに7回の審判を受け、合計49日を経て、死後の行き先が決まる(=あくまで民間伝承の世界です)とされていますが、こういう未練や後悔が残っていると、魂はいつまでも成仏できず、冥途をさ迷い続けると言われています。亡霊となって現れたり、化けて出たりするのは、そんな状態の魂である――という俗説もありますが、筆者・長住は、その種の話はまったく信用していません。
 ただ、こうは思っています。
 未練たらたら、後悔に悶々としながら、最後の時を迎えるなんていうのは、美しくない。たぶん、死に顔だって穏やかではないだろう(←こちらは、どうでもいいのですがね)。
 死ぬときには、この世に「ありがとう」と言って、手を振りながら退場したいので、筆者・長住は、この種の未練や後悔は忘れてしまうことにしています。
 「忘れる」と言っても、「忘却」してしまうのではありません。
 「ま、いいか……」「ま、こんなもんか……」と、呑み込んでしまうということです。
 呑み込んでしまえば、未練や後悔の質量は、2分の1とか3分の1とかに減量してしまいます。そのうち、消化されて、きれいさっぱりなくなってしまうでしょう。
 私の場合、40過ぎた頃から、この精神的プロセスを習慣化しています。おかげで、以後、ストレスで胃を痛めることもありませんでした。

 捨てるものリスト〈4〉 
「××のせいで」と感じる恨みやつらみ

 この感情は危険です。
 「恨み」も「つらみ」も、多くの場合、「不幸感」とセットで使われます。

私がこんな不幸な一生を送ることになったのは、みんな、あの男のせい。
あんな事故さえ起こらなければ、順風満帆な人生だったのに。クソーッ、あの事故のせいで……。

 私は思うのですが、自分の人生を「不幸であった」と嘆く時点で、「死」に備える心構えとしては「アウト!」です。たとえ、周囲が「気の毒に」という目で見たとしても、私はそうは思いたくない。

試練だらけの人生ではあったけれど、ま、それも楽しませていただきました。そこそこ刺激的な人生を、ありがとう。

 そう思って、振られた女のことも、私を騙した人間のことも、裏切った人間のことも、紙の舟に乗せて水に流してしまいます。「バイバ~イ!」と手を振って、こちらは完全に、忘却の彼方に押しやってしまうのです。
 忘却すれば、それがもたらした「恨み」も「つらみ」も、紙の舟とともに水の藻屑となって消え去ってしまいます。
 これで、よし!
 そんな「負の感情」を保存したままでは、冥途の旅はいつまで経っても終わらない。ヘタしたら、そんな魂は「怨霊化」してしまいます。
 私は信用しちゃいませんが、「怨霊」になるのなんてまっぴらごめんですから、私は、その素となる「不幸」も、その結果生じた「恨み」や「つらみ」も、きれいさっぱり捨ててしまうことにしているわけです。

 もし、「終活」と言うなら、私の「終活」は、この4項目を心の中から消し去ってしまうこと。
 もっともこれは、わざわざやることではなくて、日々、心がけている精神のルーティンなんですがね。



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