「神」なき国=日本人の神は、「恥」と「外聞」

他人の「評価」を歯に気にする人と「理解」してもらおうとする人がいる。前回はそんな話をしました。しかし、日本人は、どうも「評価」を気にする人のほうが多い。それはなぜかという話を、今回はしてみます。理由のひとつとして考えられるのが、宗教観の違いなのですが――。
Talker
哲雄 自ら著作を手がけるエッセイスト。当ブログの管理人です。
AKI 出張エステ嬢として働きながら、作家を目指すアラサーの美女。
【今回のキーワード】 セックスレス スキンシップ
【SEOリンク・キーワード】 エロ 恋愛 恋愛小説 オーガズム コミュニケーション 不倫
AKI 他人を「評価」しようとする人と「理解」しようとする人がいる。そして、「評価」されることを望む人もいれば、「理解」されることを望む人もいる。前回は、そんな話をしたんですよね?
哲雄 キミは、「評価」されることよりも「理解」されることを好むんでしたよね?
AKI 哲ジイもでしょ? でもね、哲ジイ、私、思うんですけど、見ていると、どうも私たちの周りには、「評価」を気にする人たちばかりのような気がするんですよ。
哲雄 「ばかり」とは言えないだろうけど、しかし、多いですね、日本人は特に。冷静で客観的であるべきジャーナリズムまでが、「世界にどう見られている日本人?」とか、「好きな国ランキング」とか、そういう「評価」を気にする報道ばかりやってるように見えます。
AKI どうしてなんでしょうね?
哲雄 島国だから……というのも、あるかもしれません。国境を通して異なる文化を持つ民族と接するという経験のない日本人は、常に、海外からどう思われているかを気にするのではないか――と指摘する声もあります。確かに「国民としての日本人」には、そういうメンタリティが育ったのかもしれません。
AKI ナルホドねェ。確かに私たちは、よく、「海の向こうでは」を気にしますものね。
哲雄 しかし、それはメインじゃないだろうと、私は思います。それよりも大きいのは、私たちの文化の根幹を成す「ある傾向」にあるのではないか――と、私はニラんでいるんですけどね。
AKI その「ある傾向」とは、何でございましょう?
哲雄 ひと言で申し上げると、「恥と外聞」ということでしょうか。
AKI 「恥」って言うと「恥ずかしい」と感じる気持ち。「外聞」って言うと、自分が周りからどう思われているかという「評判」のことですよね?
哲雄 そうです。どちらも、周りの目や評判を気にかける心のはたらき方のこと――と言っていいかと思います。それが、日本人は異常に強い。そのことを最初に指摘したのは、アメリカの文化人類学者、ルース・ベネディクトという人です。AKIクンも名前ぐらいは知ってるんじゃないかな。『菊と刀』という本を書いた人なんだけど……。
AKI 何となく覚えてます。日本の文化を「恥の文化」だって言った人でしょ?
哲雄 オオ、よく覚えていてくださいました。そうです。ベネディクト氏は、日本の文化を「恥の文化」と言いました。それに対して、西欧世界を支配しているのは「罪の文化」であると言うんです。自分の行いは、唯一絶対の神に見られている。その神に対して「罪」を犯さなければ、他人に何を言われようと、自分は「神に赦された者」として生きていくことができる。倫理観のベースになっているのが、「神⇔自分」という一対一の関係なので、世界中どこへ行っても、その倫理観が揺らぐことはない。しかし……。
哲雄 キミは、「評価」されることよりも「理解」されることを好むんでしたよね?
AKI 哲ジイもでしょ? でもね、哲ジイ、私、思うんですけど、見ていると、どうも私たちの周りには、「評価」を気にする人たちばかりのような気がするんですよ。
哲雄 「ばかり」とは言えないだろうけど、しかし、多いですね、日本人は特に。冷静で客観的であるべきジャーナリズムまでが、「世界にどう見られている日本人?」とか、「好きな国ランキング」とか、そういう「評価」を気にする報道ばかりやってるように見えます。
AKI どうしてなんでしょうね?
哲雄 島国だから……というのも、あるかもしれません。国境を通して異なる文化を持つ民族と接するという経験のない日本人は、常に、海外からどう思われているかを気にするのではないか――と指摘する声もあります。確かに「国民としての日本人」には、そういうメンタリティが育ったのかもしれません。
AKI ナルホドねェ。確かに私たちは、よく、「海の向こうでは」を気にしますものね。
哲雄 しかし、それはメインじゃないだろうと、私は思います。それよりも大きいのは、私たちの文化の根幹を成す「ある傾向」にあるのではないか――と、私はニラんでいるんですけどね。
AKI その「ある傾向」とは、何でございましょう?
哲雄 ひと言で申し上げると、「恥と外聞」ということでしょうか。
AKI 「恥」って言うと「恥ずかしい」と感じる気持ち。「外聞」って言うと、自分が周りからどう思われているかという「評判」のことですよね?
哲雄 そうです。どちらも、周りの目や評判を気にかける心のはたらき方のこと――と言っていいかと思います。それが、日本人は異常に強い。そのことを最初に指摘したのは、アメリカの文化人類学者、ルース・ベネディクトという人です。AKIクンも名前ぐらいは知ってるんじゃないかな。『菊と刀』という本を書いた人なんだけど……。
AKI 何となく覚えてます。日本の文化を「恥の文化」だって言った人でしょ?
哲雄 オオ、よく覚えていてくださいました。そうです。ベネディクト氏は、日本の文化を「恥の文化」と言いました。それに対して、西欧世界を支配しているのは「罪の文化」であると言うんです。自分の行いは、唯一絶対の神に見られている。その神に対して「罪」を犯さなければ、他人に何を言われようと、自分は「神に赦された者」として生きていくことができる。倫理観のベースになっているのが、「神⇔自分」という一対一の関係なので、世界中どこへ行っても、その倫理観が揺らぐことはない。しかし……。
AKI わかった! 日本は多神教の国だから、絶対的な倫理観というものが存在しないんですね?
哲雄 日本が「多神教の国」っていうのは、どうなんでしょうね。ベネディクトはそう言ってるようだけど、私は「多神教」っていうより「無神教」といったほうが近いような気がします。「無神教」というより、「無宗教」と言うべきかな。
AKI 「無宗教」ですかぁ? でも、あちこちに神様とか仏様が祀られてますよ。
哲雄 確かに、都合のいいときに拝む神や仏は、いろんなところにいます。しかし、そういう神や仏を心から信じ、その教えに従う精神生活を送っているかと言うと、そういう人はきわめて稀だと思います。
AKI というか、そういう人がいれば、むしろ避けようとするかもしれませんね。「宗教」っていうだけで、敬遠する人たちもいますもの。
哲雄 つまり、日本人は、「宗教」を利用はするけど、自らを律する教えや規範として精神を支配されたくはない――と思っている。私が「無宗教」と申し上げたのは、そういう理由からです。でもね、AKIクン、それは何も、日本人だけの特質ではないんですよ。
AKI 他にもいるんですか? そういう人たちが……。
哲雄 元々は、中国人がそうだと言われています。中国は、中世には、仏教を「人を救う教え」として深化させ、発展させた歴史を持っていますが、それ以前の中国人は、陰陽道に代表される呪術的宗教観や祖先崇拝の宗教観しか持っていませんでした。世界的には、中国人は、「無宗教な民族」と分類されているんですよね。儒教とともにその文化を受け取った朝鮮民族も、そして、日本人も、世界的には「無宗教」な民族と分類されています。
AKI 「無宗教」だから、「罪の文化」ではなく「恥の文化」を発展させることになった――ってこと?
哲雄 そう言っていいでしょうね。問題は、「恥の文化」の「恥」が意識しているのは、だれの目か――ということです。
AKI 「神様の目」や「仏様の目」じゃないんですね?
哲雄 そういう人は、いてもきわめて少数でしょうね。子どもに対しても、「神様が見てますよ」とか「仏様が見てますよ」と叱る親もいるにはいるでしょうが、たいていは、そんな叱り方はしませんね。では、どういう叱り方をするかというと、






なんてところですかね。
AKI 全部、気にしてるのは、周りの目ですね?
哲雄 そうです。それも、地域社会や学校・会社などの組織、または血縁という名の一族やその先祖。どれも、小さな社会です。
AKI 世界とか、宇宙とか……じゃないんですね?
哲雄 全然、ないですね。それどころか、一歩、自分が所属するコミュニティを出てしまえば、何をしてもいいとさえ思ってしまいます。それを象徴する言葉があるじゃありませんか?
AKI もしかして、
旅の恥はかき捨て。
っていう、あれですか?
哲雄 そうです、あれです。どうしてそうなるのか? 話すと長くなるので……。
AKI ハイ、次回、じっくりとお聞かせくださいまし。
哲雄 万が一、AKIクンもかき捨てたくなったら、いつでもいらっしゃい。
AKI ハ……? 意味がわかりませ~ん。
筆者の最新小説、キンドル(アマゾン)から熱烈発売中です!

一生に一度も結婚できない「生涯未婚」の率が、男性で30%に達するであろう――と予測されている「格差社会」。その片隅で「貧困」と闘う2人の男と1人の女が出会い、シェアハウスでの共同生活を始めます。新しい仲間も加わって、築き上げていく、新しい家族の形。ハートウォーミングな愛の物語です。
「Kindle」は、「Amazon.com」が世界中で展開している電子本の出版・販売システム。「Kindle専用端末」があればベストですが、なくても、専用のビューアーをダウンロード(無料)すれば、スマホでも、タブレットでも、PCでも読むことができます。タイトルまたは写真をクリックして、ダウンロードしてください。
2016年3月発売 定価:342円 発行/虹BOOKS
妻は、おふたり様にひとりずつ (小説)
既刊本もどうぞよろしく タイトルまたは写真をクリックしてください。



【左】『聖少女~六年二組の神隠し(マリアたちへ-2)』
2015年7月発売 定価/122円
教師のビンタが支配する教室から、突如、姿を消した美少女。卒業から40年経って、ボクはその真実を知ります。
【右】『『チャボのラブレター(マリアたちへ-1)』
2014年10月発売 定価122円
美しい養護教諭と「ボク」の、淡い恋の物語です。
「Kindle」は、「Amazon.com」が世界中で展開している電子本の出版・販売システム。「Kindle専用端末」があればベストですが、なくても、専用のビューアーをダウンロード(無料)すれば、スマホでも、タブレットでも、PCでも読むことができます。タイトルまたは写真をクリックして、ダウンロードしてください。
2016年3月発売 定価:342円 発行/虹BOOKS
妻は、おふたり様にひとりずつ (小説)
既刊本もどうぞよろしく タイトルまたは写真をクリックしてください。
2015年7月発売 定価/122円
教師のビンタが支配する教室から、突如、姿を消した美少女。卒業から40年経って、ボクはその真実を知ります。
【右】『『チャボのラブレター(マリアたちへ-1)』
2014年10月発売 定価122円
美しい養護教諭と「ボク」の、淡い恋の物語です。

管理人は常に、下記3つの要素を満たせるように、脳みそに汗をかきながら、記事をしたためています。
あなたの押してくださったポイントを見ては、喜んだり、反省したりの日々です。
どうぞ、正直な、しかしちょっぴり愛情のこもった感想ポチをお送りください。よろしくお願いいたします。



→このテーマの記事一覧に戻る →トップメニューに戻る
- 関連記事
-
- 東アジアの「道徳」は、「身内原理」 (2018/05/29)
- 「神」なき国=日本人の神は、「恥」と「外聞」 (2018/05/05)
- 「評価」されたい人と「理解」されたい人の、ちょっとした違い (2018/04/11)