シランケンの不純愛講座

制服の女子高生襲う、ワル４人組

　電車の座席に、チョコンと座った制服姿も清楚な女子高生。
　そこへ乗り込んできました、金髪・腰パンの、いかにも……な感じのワル４人組。
　「オッ！　マジかわいいじゃん」などと言いながら、そのうちの２人が、女子高生の両隣にまるで体を密着させるように腰を下します。
　脅えたような目で周囲を見回し、席を立とうとする女の子。
　しかし、その行く手を遮るように、残りの２人が彼女の前に立ちはだかります。

　「この制服、かわいいじゃん。どこの学校？」

　体を強張らせて首を振る、小鹿のような女の子。

　「これよ、スカート、短くね？」
　「チョー短けェ。こんなんじゃ、見えちゃうよな」
　「見えるんじゃね。ちょっとずれただけでよ」

　言いながら、隣に座った男のひとりが、手をスカートの裾に伸ばします。
　その裾を少しずつ、ずり上げていこうとする男。小鹿ちゃんは、両手で懸命にスカートの裾を押さえて、抵抗しようとするのですが、両隣の男たちは、その手を一本ずつもぎ取るように固定して、さらにスカートの裾を引き上げていきます。
　恐怖に声も出せない女の子。まっ白な生脚が、少しずつ露わになっていきます。

　「ワッ、おパンツ、まっ白！」
　「すげェ、ビキニじゃん」
　「こんなの穿いてていいんかよ、女子高生がよ」
　「いけねんじゃね。しかも、透けてんじゃんよ」
　「オッ、マジ透けてる。お毛け、渦巻いてるし……」

　少女のスカートは、ももの付け根までめくり上げられ、男の手が両側から、股間の下着の上まで伸ばされます。
　その手から逃れようともがく少女の体。しかし、男たちは、片方の手で少女の腕をホールドしたまま、もう一方の手を少女の下着に伸ばし、その薄い生地の上から彼女が必死に守ろうとするゾーンを撫で、さすり、こすり……やがて、その手は、下着の縁から少女の繊細な肌へと潜り込んでいって――。

この妄想は、脳が疲れます！

　長くなるので、これくらいにしておきましょうか。
　そうです、長いんです、われらが「コキ男」クンの妄想は。
　しかも、ちゃんとストーリー仕立てになっていて、写実も実に微細。
　文学的に言うならば、「ロマン系官能写実主義」とでも申しましょうか。
　こうして、膨大で微細な描写を脳の中に思い描きながら、「コキ男」クンは手をナニに添え、コキコキとお始めになるわけですが、なにしろ、官能長編大作でありますから、それはそれで、脳のほうもお疲れになります。
　少しでも集中力が失われると、せっかく脳の中に思い描いた制服の美少女が、いつの間にか、「森三中」の大島さんにすり変わっちゃったりします。
　「オッ、いかん……」と、映像をリセットして、元の美少女に戻すのですが、すぐにまた集中力が低下して、今度は、樹木希林に変わったりします。
　「よせ、バカ！」と、再びリセット。しかし、また……。
　最後には、せっかくの美少女が、ツチブタになったり、大アリクイに変わったり……。
　それをまた、精神力で元に戻そうとするわけですが、こういう作業は、脳のメモリーを大量に使用します。ハイ、脳のほうも、たいそうお疲れになります。
　疲れた脳は、「もう、止めようぜ」とばかり、スリープ状態になります。
　脳がスリープ状態になると、体のほうもスリープしようとします。
　そうです。近頃、「コキ男」クンは、せっかく手コキを始めたにもかかわらず、その作業を完遂しないまま、いつの間にか眠りに落ちる――ということが、やたら多くなった、とお嘆きになっているのです。

これは、「コキ死」ですな

　目覚めたときの状態をご想像ください。
　あわれな「コキ男」クンは、布団に腹ばいになり、パンツを下ろしてケツむき出しの状態で、手はナニに添えたまま――という、なんとも無様な姿。
　そんなあられもない姿でお休みになるので、目覚めたときには風邪っぴき状態……ということも、しばしばなのだそうです。
　風邪っぴきぐらいならいいのですが、「コキ男」クンが恐れているのは、もっと深刻かつ笑える事態。
　もしも、そんな姿のまま、永眠……てなことになって、だれにも気づがれないまま「孤独死」してた――なんてことになったら、これは天下の笑いもの。

　「事故、事件、両方の可能性を視野に入れて、慎重に捜査を……」
　「いや、警部殿。これはどう見ても、コキ死ですな。ホラ、見てください。すでにミイラ化しておりますが、手がしっかり、ナニを握り締めておるではありませんか」

　「コキ男」クンの頭には、翌日の新聞の見出しまでが浮かぶのだそうです。

　《性夢の果ての孤独死か？
　 握り締めた手で、何思う？　ミイラが見た最後の夢》

　そのたびに、ブルブルッ……と薄くなった頭を振る、われらが「コキ男」クン。
　長住は、心よりご忠告申し上げたのでした。


　コキ男クンが、わが忠告を聞き入れてくれたのかどうかは、以後、お目にかかっていないので、わかりませんが――。

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