安易に「同調」するより、「あいまい」を貫くほうがいい

「獲得性」を重視する男に対して、「関係性」を重視する女。その「関係性」の中で特に重視されるのが、「同調」というメンタリティです。しかし、この「同調」という機能がわるくはたらくと、人の社会はゆがんでしまいます。今回は、安易な「同調」は危険である、という話と、それを防ぐ方法の話――。
Talker
哲雄 自ら著作を手がけるエッセイスト。当ブログの管理人です。
AKI 出張エステ嬢として働きながら、作家を目指すアラサーの美女。
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AKI 男は「獲得性」を重視する生きものであり、女は「関係性」を重視する生きものである。「獲得性」は、ときに「強欲」と結びつくことがある。バブルの時代には、それが「拝金主義」を生み、日本に「失われた20年」をもたらした。前回までは、そんな話をしたんですよね?
哲雄 ハイ、そこで年を越してしまいました。念のために申し上げておきますが、「獲得」に走る――という男の性質は、男に「競争心」や「闘争心」を賦与するもので、それ自体は、けっしてわるいものではない。しかし、それが「強欲」と結びついてしまうと、男を権力や金の亡者に仕立ててしまう。それは危険だし、そういうマインドが支配的になった社会は、けっして人間を幸せにしはない。残念ながら、バブル以降の日本は、そんな社会になってしまったように見える。それはとても残念なことだ――という話をさせていただいたわけです。では、もうひとつのほうについてはどうか?
AKI もうひとつのほうと言うと、女性が重視する「関係性」のほうですね? こっちも、何か問題ありなんですか?
哲雄 最初にお話したように、太古の時代からコミュニティを守ることをナリワイとしてきた女性は、コミュニティの成員同士の気分を読み取ったり、その気分を理解したり、同調したりするコミュニケーション能力を発達させてきました。男たちが狩りに出た後のコミュニティで家事や育児を協力し合ってこなし、コミュニティを良好な状態に保っておくことが、彼女たちの使命でもあったからです。
AKI 別に、問題ないのではありませんか?
哲雄 ハイ、そのこと自体は、問題なしです。そうして発達させてきた女性のコミュニケーション能力は、私たち男が及びもつかないくらい素晴らしいものである――と、私もシャッポを脱ぎます。ただ、一点を除いては。
AKI 一点? 何だか気になりますわ。その「一点」とは、何でしょう?
哲雄 彼女たちのコミュニケーション能力の中核を占める「同調」という能力です。誤解のないように申しておきますが、「同調」することがいけないと言っているのではありませんよ。ただね、何に同調するか、どう同調するか? ここに気をつけないと、「同調」というメンタル機能は、しばしば、私たちの人間関係やその人間関係が作り出す社会のありようを、ゆがめてしまう場合があるんです。
AKI ゆがめてしまう? どんなふうになるんですか?
哲雄 「同調」という心のはたらきによって醸成される「共通感情」には、「いい感情」もあれば、「わるい感情」もあります。「Aさん、かわいそう。みんなで助けてあげましょうよ」という感情に周りの人間が「同調」すれば、そこには、「かわいそうなAさんを力づけてあげよう」という「共通感情」が醸成されます。
AKI それは「いい感情」のほうですね?
哲雄 ハイ、「いい感情」のほうです。たとえば、どこかで自然災害とかが起こると、日本では、すぐにボランティアが集まって救援活動に手を貸そうとしたりするでしょ? あれは、私たち日本人のメンタリティの中に、「同調」という性質が豊富に含まれているからだと言っていいと思うんですよ。
AKI つまり、私たち日本人は、周りに「同調しやすい」という性質を、生まれつき身に着けているということ?
哲雄 少なくとも、広大な平原に生まれ育った民などよりは、はるかに豊富に身に着けていると思います。その理由については、いずれ、機会を見てお話をする機会もあろうかと思いますが、ここでは省略しましょう。問題は、この「同調しやすい」という性質は、いまお話したように、よくはたらく場合もあれば、その逆もある――っていうことなんです。
AKI その逆? つまり……わるくはたらく場合もあるっていうことですか?
哲雄 そのとおり。そしてね、AKIクン、実は、この「同調」という性質は、よくはたらく場合よりも、わるくはたらく場合のほうが、はるかに大きく、深刻な影響を、周囲に与えることがあるんです。
哲雄 ハイ、そこで年を越してしまいました。念のために申し上げておきますが、「獲得」に走る――という男の性質は、男に「競争心」や「闘争心」を賦与するもので、それ自体は、けっしてわるいものではない。しかし、それが「強欲」と結びついてしまうと、男を権力や金の亡者に仕立ててしまう。それは危険だし、そういうマインドが支配的になった社会は、けっして人間を幸せにしはない。残念ながら、バブル以降の日本は、そんな社会になってしまったように見える。それはとても残念なことだ――という話をさせていただいたわけです。では、もうひとつのほうについてはどうか?
AKI もうひとつのほうと言うと、女性が重視する「関係性」のほうですね? こっちも、何か問題ありなんですか?
哲雄 最初にお話したように、太古の時代からコミュニティを守ることをナリワイとしてきた女性は、コミュニティの成員同士の気分を読み取ったり、その気分を理解したり、同調したりするコミュニケーション能力を発達させてきました。男たちが狩りに出た後のコミュニティで家事や育児を協力し合ってこなし、コミュニティを良好な状態に保っておくことが、彼女たちの使命でもあったからです。
AKI 別に、問題ないのではありませんか?
哲雄 ハイ、そのこと自体は、問題なしです。そうして発達させてきた女性のコミュニケーション能力は、私たち男が及びもつかないくらい素晴らしいものである――と、私もシャッポを脱ぎます。ただ、一点を除いては。
AKI 一点? 何だか気になりますわ。その「一点」とは、何でしょう?
哲雄 彼女たちのコミュニケーション能力の中核を占める「同調」という能力です。誤解のないように申しておきますが、「同調」することがいけないと言っているのではありませんよ。ただね、何に同調するか、どう同調するか? ここに気をつけないと、「同調」というメンタル機能は、しばしば、私たちの人間関係やその人間関係が作り出す社会のありようを、ゆがめてしまう場合があるんです。
AKI ゆがめてしまう? どんなふうになるんですか?
哲雄 「同調」という心のはたらきによって醸成される「共通感情」には、「いい感情」もあれば、「わるい感情」もあります。「Aさん、かわいそう。みんなで助けてあげましょうよ」という感情に周りの人間が「同調」すれば、そこには、「かわいそうなAさんを力づけてあげよう」という「共通感情」が醸成されます。
AKI それは「いい感情」のほうですね?
哲雄 ハイ、「いい感情」のほうです。たとえば、どこかで自然災害とかが起こると、日本では、すぐにボランティアが集まって救援活動に手を貸そうとしたりするでしょ? あれは、私たち日本人のメンタリティの中に、「同調」という性質が豊富に含まれているからだと言っていいと思うんですよ。
AKI つまり、私たち日本人は、周りに「同調しやすい」という性質を、生まれつき身に着けているということ?
哲雄 少なくとも、広大な平原に生まれ育った民などよりは、はるかに豊富に身に着けていると思います。その理由については、いずれ、機会を見てお話をする機会もあろうかと思いますが、ここでは省略しましょう。問題は、この「同調しやすい」という性質は、いまお話したように、よくはたらく場合もあれば、その逆もある――っていうことなんです。
AKI その逆? つまり……わるくはたらく場合もあるっていうことですか?
哲雄 そのとおり。そしてね、AKIクン、実は、この「同調」という性質は、よくはたらく場合よりも、わるくはたらく場合のほうが、はるかに大きく、深刻な影響を、周囲に与えることがあるんです。
AKI それ、大変じゃありませんか。わるくはたらく場合って、具体的には、どんなケースが考えられるんですか?
哲雄 たとえば、AKIクンの周りには、こんなことを言って人を引きずり下ろそうとする人はいませんか?


AKI ああ、そういうのは、しょっちゅう耳にしてるかもしれない。
哲雄 だれかがつぶやいたり耳打ちしたりした、そういう悪意のささやきに、うかつにもだれかが「そうよね」とうなずいてしまい、そうしてうなずく人たちが、2人、3人……と増えていくと、そこには「悪意の共通感情」が生まれてしまいます。
AKI それ、危険ですよね。「いじめ」なんかも、もしかしたら、そんなふうに「悪意の共通感情」が形成されることによって、生まれるんじゃありませんか?
哲雄 おっしゃるとおりです。「同調」という心のはたらきは、相手の心情に自分の心情をシンクロさせる心理的メカニズムのこと――と言っていいと思うのですが、そのとき、相手のどんな「心情」にシンクロするかによって、醸成される「共通感情」は、よくもなれば、わるくもなる。だからね、私は思うんですよ。
人の気持ちに「同調」するという心のはたらきは、
それ自体は、尊重すべきメンタリティのひとつではあるけれど、
その際には、自分が「同調」しようとしている相手の「気分の正体」を、
しっかり見極める必要がある
――と。
AKI ワッ、それ、むずかしいですね。
哲雄 ハイ、むずかしいです。巧妙にカモフラージュされると、なかなかほんとうの「気分の正体」にまでは、たどりつけない場合もあるかもしれません。
AKI 「気分」を「カモフラージュ」するんですか?
哲雄 ハイ。本人が口にする「気分」に「悪意」が含まれていると自覚しているほど、そのカモフラージュは巧妙に行われます。人が「同調」したくなる「気分」にはどんなものがあるか? その「気分」には、どんな「悪意」が含まれている場合があり、その「悪意」がどんなふうにカモフラージュされるかについては、次回、詳しくお話しようと思いますが、その前に、ひとつだけ申し上げておきたいことがあります。
AKI ハイ、何でしょう?
哲雄 相手があなたに「同調」してもらいたいと口にする「気分」の「正体」が、いまひとつわからないと思ったときには、うかつにうなずいてはいけない――ということです。
AKI 「うかつに」とは……?
哲雄 「そうそう、そうだよね」とか、「それ、わかるゥ」とか、「ヘェ、そうなの? それ、ひどい話だねェ」などという、「同調」を示す言葉を、安易には発しないということです。
AKI 「ウーン、そうかなぁ」とか「それ、ホントかなぁ」とか「私にはそうは思えないけど……」つていうふうに、疑問の声を発しておくべき――ってことですか?
哲雄 それでもいいけど、そうすると、今度は、「同調」を求めてきた相手との関係が、少し気まずくかもしれないでしょ?
AKI それを避けたいと思うから、いい加減に「そうよね」とうなずいてしまうかもしれないんですね?
哲雄 そういうケースが多いだろうと思います。安易にうなずくと危険。と言って、疑問の声を挙げると、今度は、その相手との関係が気まずくなってしまうかもしれない。そんなときに、私がよく口にする便利な言い方があるんです。
AKI それ、教えてくださいよ。
哲雄 もしかしたら「悪意」が込められているかもしれない「気分」に「同調」を求められたときに使える便利な言葉、それはね、「よくわからない」です。


「イエス」とうなずかない、明らかに「ノー」とも言わない。「よくわからない」と態度を保留する言い方。ずるいかもしれないけど、この言い方、覚えておくと、けっこう便利なんですよ。
AKI つまり、「あいまい」を貫くわけですね?
哲雄 ハイ、「あいまい」なままにすませておく――という知恵。実はね、AKIクン、われわれ日本人は、この知恵が、とてもすぐれているんですよ。
AKI そう言えば、政治家の答弁なんかでも、目立つ言い方ですわね。
哲雄 そうですね。それが日本人のいいところとも、いけないところだとも言われてますけどね。
AKI 私も、これからは、もう少し「あいまい」を貫くことにします。でも、その前に、「同調」を求めて来る相手の「本意」について、もう少し、くわしく知りたいものですわ。
哲雄 それについては、次回、くわしくお話したいと思います。
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管理人は常に、下記3つの要素を満たせるように、脳みそに汗をかきながら、記事をしたためています。
あなたの押してくださったポイントを見ては、喜んだり、反省したりの日々です。
どうぞ、正直な、しかしちょっぴり愛情のこもった感想ポチをお送りください。よろしくお願いいたします。



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