日本人を「拝金主義」に走らせたバブルという時代

日本人を「拝金主義」という「強欲」に走らせたバブルの時代は、なぜ始まり、どうして終わったのか? 今回は、その時代を振り返ってみます。「金が金を産む」という思想に取りつかれ、「獲得」に走った「強欲日本人」は、何を失い、どんな末路をたどったのでしょうか――?
Talker
哲雄 自ら著作を手がけるエッセイスト。当ブログの管理人です。
AKI 出張エステ嬢として働きながら、作家を目指すアラサーの美女。
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AKI 日本中にお金があふれていたバブル景気の時代は、あっという間に崩壊してしまったんですよね?
哲雄 もう一度、整理しておくと、《バブル期》というのは、
1989年から1991年までの間に、
株や不動産などの「資産価格」が異常な高騰を見せた時代。
のことを言います。製造業などの実体経済が停滞しているのに、株や不動産だけが上がっていくという異常な状態が、まるで、実体のない「泡」が膨らんでいく様に似ているところから、「バブル景気」などと呼ばれました。
AKI わからないんですけど、なぜ、実体経済が停滞しているのに、資産価格だけが膨らんでいったんですか?
哲雄 それを解説するためには、少し前まで遡らなければなりません。AKIクンは、「プラザ合意」という言葉を聞いたことがありますか?
AKI いいえ、存じませんわ。「プラザ」って、どこのプラザですか?
哲雄 いや、ビルの名前じゃなくて、アメリカのニューヨークにある「プラザホテル」。そこに、世界の先進5カ国の蔵相・中央銀行総裁が集まって、あることを決めるんですが、それが、日本の経済に、その後の「失われた20年」と呼ばれる暗黒の時代をもたらすきっかけになったんですよ。
AKI 20年も失われちゃったんですか? あら、大変!
哲雄 20歳のお嬢さんが一気に40歳になる――っていう話じゃありませんからね。20年にわたって経済活動が低迷を続ける「暗い時代」に突入したということです。
AKI いったい、何を決めたんですか、そのプラザでは?
哲雄 簡単に言うと、ドルの価値を下げようということです。
AKI ドルの価値を下げる? 下げたら、ドルを持ってる人は、損しちゃうじゃないですか。
哲雄 ドルで外国製品を買おうと思ったらね。でも、国内製品を買うには影響ないでしょ。影響ないどころか、むしろ、国内製品が売れるようになる。実は、それがネライだったんだよね。
AKI エッ、それがネライ? どういうこと?
哲雄 当時のアメリカは、インフレを抑制するために金融引き締め政策をとっていました。引き締めのために高金利を貫いていたのですが、その結果、日本や欧州の資金がアメリカに流れ込みました。するとどうなると思います?
AKI ドルが高くなる……ですか?
哲雄 そうです。ドルが高くなりました。その結果、何が起こったか? アメリカ国内では外国製品が安く買えるようになる半面、外国では自国の製品価格が高くなって売れなくなる。結果的に、アメリカは膨大な貿易赤字を抱えることになりました。不景気脱出の目的もあって巨大な軍事支出を続けたことによる「財政赤字」と「貿易赤字」。「双子の赤字」と呼ばれた赤字解消のために打ち出したのが、「ドル安誘導」の政策だったわけで、そのために日欧各国の協力を求めたのが、「プラザ合意」。特に目の敵にされたのが、巨額の貿易黒字を出していた日本と西ドイツでした。
AKI 日本が目の敵にされたんですか? そんなに儲かってたんですか、日本は?
哲雄 1985年には、対米貿易黒字が500億ドル(当時のレートでは、10億円超)を超えてしまいました。貿易摩擦自体は前から問題になっていて、最初は「繊維」、それがテレビなどの家電に移り、やがてその部品でもある「半導体」そのものが摩擦の対象となり(日米半導体戦争)、この時代になると、ハイテク化を進めた日本のクルマが目の敵にされました。アメリカでは日本車をハンマーでたたきつぶすなどという騒動が頻発し、それが連日、TVで報道されたりもしました。
AKI それ、ニュース解説か何かの番組で見たことがあります。それで、ドル高に歯止めをかけようとしたわけですね。具体的には、何をやったんです?
哲雄 いちばん大きかったのは、為替の協調介入ですかね。5カ国が協調して、手持ちのドルを売り、日本の円やドイツのマルクを買いに走ったわけです。その結果、マルクも円も暴騰しました。特にひとかったのが「円」。それまで、「1ドル=240円」ほどだった円相場が、一気に「1ドル=150円」台に急騰し、好調だった日本の輸出産業に大打撃を与えました。
AKI モノが売れなくなったんですか?
哲雄 円高で輸出商品の価格が1・6倍にハネ上がったんですから、それじゃあ、売れなくなります。少しでもコストを下げる必要に迫られたメーカーは、次々に、生産拠点を海外に移し、日本の産業の空洞化を招きました。
AKI 空洞化……?
哲雄 モノ作りで戦後の繁栄を築いてきた日本から、その「作る現場」が消えていく。その状態を「空洞化」と呼んだわけですね。しかし、金だけはある。さて、どうするか? そこで、日本が選んだ道が、大きな誤りでした。
哲雄 もう一度、整理しておくと、《バブル期》というのは、
1989年から1991年までの間に、
株や不動産などの「資産価格」が異常な高騰を見せた時代。
のことを言います。製造業などの実体経済が停滞しているのに、株や不動産だけが上がっていくという異常な状態が、まるで、実体のない「泡」が膨らんでいく様に似ているところから、「バブル景気」などと呼ばれました。
AKI わからないんですけど、なぜ、実体経済が停滞しているのに、資産価格だけが膨らんでいったんですか?
哲雄 それを解説するためには、少し前まで遡らなければなりません。AKIクンは、「プラザ合意」という言葉を聞いたことがありますか?
AKI いいえ、存じませんわ。「プラザ」って、どこのプラザですか?
哲雄 いや、ビルの名前じゃなくて、アメリカのニューヨークにある「プラザホテル」。そこに、世界の先進5カ国の蔵相・中央銀行総裁が集まって、あることを決めるんですが、それが、日本の経済に、その後の「失われた20年」と呼ばれる暗黒の時代をもたらすきっかけになったんですよ。
AKI 20年も失われちゃったんですか? あら、大変!
哲雄 20歳のお嬢さんが一気に40歳になる――っていう話じゃありませんからね。20年にわたって経済活動が低迷を続ける「暗い時代」に突入したということです。
AKI いったい、何を決めたんですか、そのプラザでは?
哲雄 簡単に言うと、ドルの価値を下げようということです。
AKI ドルの価値を下げる? 下げたら、ドルを持ってる人は、損しちゃうじゃないですか。
哲雄 ドルで外国製品を買おうと思ったらね。でも、国内製品を買うには影響ないでしょ。影響ないどころか、むしろ、国内製品が売れるようになる。実は、それがネライだったんだよね。
AKI エッ、それがネライ? どういうこと?
哲雄 当時のアメリカは、インフレを抑制するために金融引き締め政策をとっていました。引き締めのために高金利を貫いていたのですが、その結果、日本や欧州の資金がアメリカに流れ込みました。するとどうなると思います?
AKI ドルが高くなる……ですか?
哲雄 そうです。ドルが高くなりました。その結果、何が起こったか? アメリカ国内では外国製品が安く買えるようになる半面、外国では自国の製品価格が高くなって売れなくなる。結果的に、アメリカは膨大な貿易赤字を抱えることになりました。不景気脱出の目的もあって巨大な軍事支出を続けたことによる「財政赤字」と「貿易赤字」。「双子の赤字」と呼ばれた赤字解消のために打ち出したのが、「ドル安誘導」の政策だったわけで、そのために日欧各国の協力を求めたのが、「プラザ合意」。特に目の敵にされたのが、巨額の貿易黒字を出していた日本と西ドイツでした。
AKI 日本が目の敵にされたんですか? そんなに儲かってたんですか、日本は?
哲雄 1985年には、対米貿易黒字が500億ドル(当時のレートでは、10億円超)を超えてしまいました。貿易摩擦自体は前から問題になっていて、最初は「繊維」、それがテレビなどの家電に移り、やがてその部品でもある「半導体」そのものが摩擦の対象となり(日米半導体戦争)、この時代になると、ハイテク化を進めた日本のクルマが目の敵にされました。アメリカでは日本車をハンマーでたたきつぶすなどという騒動が頻発し、それが連日、TVで報道されたりもしました。
AKI それ、ニュース解説か何かの番組で見たことがあります。それで、ドル高に歯止めをかけようとしたわけですね。具体的には、何をやったんです?
哲雄 いちばん大きかったのは、為替の協調介入ですかね。5カ国が協調して、手持ちのドルを売り、日本の円やドイツのマルクを買いに走ったわけです。その結果、マルクも円も暴騰しました。特にひとかったのが「円」。それまで、「1ドル=240円」ほどだった円相場が、一気に「1ドル=150円」台に急騰し、好調だった日本の輸出産業に大打撃を与えました。
AKI モノが売れなくなったんですか?
哲雄 円高で輸出商品の価格が1・6倍にハネ上がったんですから、それじゃあ、売れなくなります。少しでもコストを下げる必要に迫られたメーカーは、次々に、生産拠点を海外に移し、日本の産業の空洞化を招きました。
AKI 空洞化……?
哲雄 モノ作りで戦後の繁栄を築いてきた日本から、その「作る現場」が消えていく。その状態を「空洞化」と呼んだわけですね。しかし、金だけはある。さて、どうするか? そこで、日本が選んだ道が、大きな誤りでした。
AKI 何をしたんです?
哲雄 まず、金融を緩和しました。金融を緩和するとは、金利を下げて、資金を市場に流通させるということです。そうしておいて、政府も企業も、こぞって「これからは不動産だ」と煽り立てたわけです。「じゃんじゃんお金を借りてください。不動産は必ず値上がりしますから」と、官も民も、不動産投資に向かう空気を作り上げたんですね。すると、どうなるでしょう?
AKI 不動産の価格、上がりますよね。
哲雄 メチャクチャ上がりました。上がるので、われも、われも……と土地を買いあさりました。企業は、社内に留保していた資金を不動産投資に振り向け、個人はムリにでも住宅ローンを借りてマンション購入に走り、各地で「地上げ屋」が強引に土地を買い上げようとして、古い家屋に火を放つなどの無法行為を繰り返したりしました。
AKI ひどい時代ですね。
哲雄 ひどい時代でした。何よりもひどいのは、そういう時代を経て、日本人のマインドがゆがんでしまったことでした。
いちばん愚かであさましいと思うのは、
「金が金を産む」というマインドに、日本中が汚染されてしまったことでした。
よく考えれば、「そんなことあり得ない」とすぐにわかることなのに、だれもが「資産を持てばもうかる」という妄想にとりつかれ、マネーゲームに狂奔していったのですね。ボディコンのスーツに身を包んだ女の子までが、電車で日経新聞の株価欄に読みふけり、小金を持ったおばちゃまたちが、スーツケースを抱えてパリやミラノに出かけては、ブランド品を「爆買い」する。日本中が「拝金主義」に染まっていく姿を見たとき、「ああ、この国はもうダメになる」と、私は思ったものでした。
AKI 拝金主義……ですか? いやな主義だわ。
哲雄 そのお先棒を担いだのは、家計を預かる主婦層でもあったのですよ。「あなた、いまは不動産投資なんですって」などと、マクロ経済などまるで理解してない主婦層などが、亭主の尻をたたきまくって、マンション購入などに走った。ふだんは、家計評論しかやってない、これまたマクロをご存じない家計評論家などが、「いまはマンション購入の好機」だの「いまは、海外ブランド品を買うのがお得」などと煽りまくったりもしたので、ますます火に油を注ぐことになったんですね。
AKI でも、その「バブル」は、あっという間に終わってしまうんですよね?
哲雄 ハイ、実質2年強で終わってしまいます。悲惨なのは、そのバブル期が始まって、あわててローンを組んでマンションや戸建て住宅を購入した人たちや、銀行の言うままに融資を受けてしまった中小零細企業の経営者たちでした。
AKI 崩壊の原因は、何だったんですか?
哲雄 地価の高騰があまりにも激しいので、政府はあわてて「総量規制」ということを始めました。不動産関連の融資を総量規制して抑制しようとしたんですね。併せて、公定歩合を一気に引き上げ、金融引き締めを行いました。これを、あまりにも急激に行ったため、膨らみに膨らんだ不動産価格が、今度は、一気に暴落に転じてしまいました。
AKI 上がると信じて買った不動産価格が暴落したりしたら、大変じゃないですか。
哲雄 ハイ、大変です。購入したはいいけど、転売しようとしても売れない。残るのは、高額のローンだけ。しかも、政府の政策で固定資産税は高くなったまま。結局は、ローンの返済ができなくなって破産するなんていう人たちも珍しくありませんでした。中小零細企業の経営者は、もっと大変でした。銀行に「借りて」と言われて借りた資金が、担保とした不動産価格の下落で、不良債権となり、銀行から「貸しはがし」を受けることになりました。
AKI 貸しはがし? 貸した金を一括して返せ――ということですか?
哲雄 そうです。「借りて」と言われて借りたのに、今度は、「返せ」と言う。それができなくて、倒産していった中小零細業者も少なくありませんでした。
AKI そうして「失われた20年」が始まった?
哲雄 そうです。そして、それが、「強欲」に走った日本の経済人たちの、悲しくも憐れな顛末でした。
AKI 「獲得」に走る性質が「強欲」に傾くと、人間社会はとんでもない結末を迎えることになる――ということですね。では、もうひとつのほう、女性が重視する「関係性」についてはどうなのでしょうか?
哲雄 それについては、次回、お話したいと思います。
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2014年10月発売 定価122円
美しい養護教諭と「ボク」の、淡い恋の物語です。

管理人は常に、下記3つの要素を満たせるように、脳みそに汗をかきながら、記事をしたためています。
あなたの押してくださったポイントを見ては、喜んだり、反省したりの日々です。
どうぞ、正直な、しかしちょっぴり愛情のこもった感想ポチをお送りください。よろしくお願いいたします。



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