「礼儀」「礼節」を叫ぶ人たちの幼稚な「礼節」

実際に起こった出来事を長住流に解説します。
日馬富士による貴ノ岩への傷害事件。筆者・長住は、
そこに日本社会が抱える根源的病が隠されている
と感じています。それは「身内のルール」を
「社会のルール」に優先させるという身内主義です。
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日馬富士による貴ノ岩に対する傷害事件。
【註】メディアでは「暴行事件」と報じているところもありますが、警察が取り調べを続けているのは「傷害容疑」です。その違いは、「暴行」の結果、被害者にケガ=「傷害」が発生したか否かです。「暴行罪」に対する刑罰は「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金」ですが、「傷害罪」が成立すると、「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」とされています。「暴行」と「傷害」では、刑事上の取り扱いがまるで違うのです。
それを受けての日馬富士の引退発表とその記者会見。
そこで語られた言葉に、私は、吐き気さえ覚えました。
まずは、冒頭の日馬富士の謝罪の言葉――。
国民の皆様、ファンの皆様、相撲協会、伊勢ヶ浜部屋の皆様、親方、おかみさんに大変迷惑をかけたことを心から深くお詫び申し上げます。
「あれ?」と、筆者は思いました。
ケガを負わせた被害者=貴ノ岩には、「お詫び」しないわけ?
「国民の皆様」は、この際、どうでもいい。私も「国民の皆様」のひとりではありますが、「迷惑をかけられた」と思うほど、あなたに関心を抱いているわけではありませんので、「お詫び」されても迷惑なだけですから。
続く「ファンの皆様」から「おかみさん」までは、全部、「関係者=身内」です。つまり、この人の「お詫び」は、インサイダー向けなわけで、それを公共の電波や活字メディアを使ってやった。それ以上の意味はない――と申し上げていいかと思うわけです。
なぜ「暴行」をはたらいたのかについては、こう語っています。
礼儀と礼節がなっていないのを正してあげるのは先輩の義務と思っていた。横綱としてやってはいけないことをしてしまった。
殴った相手・貴ノ岩に対する思いを尋ねられると――
けがを負わせて、心も傷ついていると思います。これから礼儀と礼節を忘れずにちゃんとした生き方をして頑張って行って欲しいと思います。
「あれれ、あれれ?」です。
「お詫び」はどこへ行っちゃった?
どこからどう聞いても、「わるいのは、礼儀・礼節を守らなかった貴ノ岩だ」としか聞こえません。

それを受けての日馬富士の引退発表とその記者会見。
そこで語られた言葉に、私は、吐き気さえ覚えました。
まずは、冒頭の日馬富士の謝罪の言葉――。

「あれ?」と、筆者は思いました。
ケガを負わせた被害者=貴ノ岩には、「お詫び」しないわけ?
「国民の皆様」は、この際、どうでもいい。私も「国民の皆様」のひとりではありますが、「迷惑をかけられた」と思うほど、あなたに関心を抱いているわけではありませんので、「お詫び」されても迷惑なだけですから。
続く「ファンの皆様」から「おかみさん」までは、全部、「関係者=身内」です。つまり、この人の「お詫び」は、インサイダー向けなわけで、それを公共の電波や活字メディアを使ってやった。それ以上の意味はない――と申し上げていいかと思うわけです。
なぜ「暴行」をはたらいたのかについては、こう語っています。

殴った相手・貴ノ岩に対する思いを尋ねられると――

「あれれ、あれれ?」です。
「お詫び」はどこへ行っちゃった?
どこからどう聞いても、「わるいのは、礼儀・礼節を守らなかった貴ノ岩だ」としか聞こえません。

「礼儀」「礼節」を声高に叫ぶ人間ほど、他人に暴力を振るう
筆者・長住が嫌悪を覚えるのは、この弁解とも開き直りとも取れる発言の中で繰り返された「礼儀」「礼節」という言葉とその使い方です。
何か「勘違いしてはいませんか?」と、私は申し上げたい。
「礼儀」や「礼節」という言葉は、この社会の中で、人が他者と向き合うときに守るべき作法や心の持ちようなどをまとめて言う言葉です。階級社会の中では、位の低い者が高い者に対してとるべき態度――として語られる場合もありますが、階級制の取られてない現代の市民社会では、位に関係なく、人が人に対してとるべき態度として語られます。
それらは、単に、お辞儀の仕方とか席順とか言葉遣いといった外面的な事柄ばかりを指すわけではありません。相手をひとりの人格として尊重し、敬意をもって接すること、敵意を抱かず、それを露わにしないこと、相手の意思を慮り、どうすれば相手が喜ぶかを推察しながら行動すること……などを含む、総合的な精神的態度を指すものと、私は確信しています。
少なくとも、「なぜ、先輩の言うことを聞けないのか」と、目下をぶん殴るなどという行為は、「礼儀」「礼節」をわきまえた人間には、けっしてとれない行為である。
長住は、そう断言してもいいと思います。
にもかかわらず、この日本の社会では、
「礼儀」「礼節」を声高に叫ぶ人間ほど、
他人に暴力を振るう傾向がある。
今回の事件は、その典型的な例のように見えるのです。

スポーツ界に蔓延する幼稚な「礼儀観」
「礼儀」「礼節」の名のもとに暴力を振るう。
これも一種の「モラルハラスメント」である――と長住は思うのですが、そういうハラスメントが日常的に存在する場所というと、私は真っ先に、スクール・スポーツの現場を思い起こします。
実際、クラブの指導コーチが生徒に体罰を加えた、先輩が後輩に暴力的制裁を加えた……などといった類の話は、毎週のように、TVや新聞のニュースに取り上げられています。
日本のスポーツの世界には、指導者や先輩が生徒や後輩に暴力的制裁を加えるという風習が、いまだに根強く残っています。
「制裁」ですから、そこには「教育的動機」は存在しません。たいていは、「先輩に向かって生意気な口をきいた」「態度がデカい」「口答えした」などの、ほとんど難癖としか思えないような理由で、「礼儀がなってない」と鉄拳を振るうわけです。
求められるのは、目下の目上に対する「服従」。特に、格闘技系のスポーツでは、1学年違えば「神様」と「奴隷」と言われるような《支配⇔服従》の関係が求められ、それを守ることが「礼儀」であり「礼節」であるという、幼稚な「礼儀観」が横行しています。
今回の騒動の背後にも、そんな愚かで幼稚な「礼儀」観、「礼節」観がひそんでいるような気がして、筆者は嫌悪を感じてしまうのです。

「身内のルール」が「社会のルール」に優先する日本社会の病
「礼儀」「礼節」を口にする人たちが言う「礼儀」の中身は、ほとんどが「長幼の序」です。「長幼の序」が問題になるのは、家族や学校、会社など、その本人が帰属する集団の内部です。そのインサイダー(=身内内)でのみ通用するルールを、社会全体のルールに優先させた。
「他者に暴力を振るってはいけない」という社会全体のルールを無視して、後輩力士に傷害を負わせた日馬富士も、「警察に通報する前に協会に報告すべきだろう」と主張する相撲協会の理事たちも、「内々で処理すべきだ」と驚くべき身内主義を口にする親方衆も、すべて、インサイダー・ルールを社会全体のルールに優先させようとしたわけで、そこにこそ、私は、日本社会の根源的病が隠されていると感じて、不快感を覚えるわけです。
「いじめ」があっても「なかった」と言い張る教育界も、内部で起こった不正を隠し通し、告発しようとした人間を叩きにかかる会社や官公署や政府も、みな、同病。
この病を克服しない限り、日本という社会は、世界にその公明正大さを主張することができない。
今回の日馬富士騒動は、そのことを象徴しているようで、看過できない。筆者・長住は「これはひどい」と感じて、つい、筆を執ってしまいました。
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