西暦2072年の結婚〈18〉 結ばれる形

この小説には性的表現が含まれます。18歳未満の方はご退出を。
俊介と次郎が家事のローテーション表を
真弓に見せ、吉高ファミリーとの生活が
始まった。夜になると、麻衣の部屋に
足を忍ばせた。その度に、麻衣が求める
結合の形が変化し、大胆になった——。
連載 西暦2072年の結婚
第18章 結ばれる形

最初から読みたい方は、こちら から、前回から読みたい方は、こちら からどうぞ。
セールス・ドライバーである立花真弓は、7時15分には朝食を終えて、7時30分には家を出る。
建設資材会社に勤める山辺俊介は、8時に家を出る。草川次郎は、在宅ワークの場合もあるが、出勤のときには、8時15分に家を出る。
しかし、そんな3人がバラバラに食事をとっていたのでは、主婦である吉高麻衣の負担が大きくなるので、吉高ファミリーの朝食は、「朝7時」に決められていた。
まず、出勤時間の早い真弓が席に着く。「おはよう」と、麻衣がその席にコーヒーを出してくれる。カップに添えた手が、ソワッ……と、真弓の手をなでていく。
そこへ、「おはようッす」と俊介が努とともに現れる。「早いッすね」と言いながら、真弓の肩に両手を置いて、揉むようなしぐさを見せる。その指が、「昨夜はお疲れさん」と言っているように感じられた。
やっぱり、気づかれていたか……。
そう思うと、いささか照れくさくなる。
そこへ、今度は次郎が、由夢ちゃんの手を引いて現れた。片方の手に、何かの用紙を持っている。
「山さん、できましたよ。立花さんも、ちょっと見てもらえますか?」
そう言って広げて見せた紙は、横軸に第1週~第4週と期間が書き込まれ、縦軸に「ゴミ捨て」「トイレ」「廊下&階段」「バルコニー」と項目が並んだ表だった。その交差する欄に、それぞれ、山辺、草川、立花と、3人の名前が書き込んである。
「もしかして当番表?」と覗き込むと、俊介が胸を張った。
「そうなんですよ。1階は、全部、麻衣さんがやってくれるんですけど、みんなのお母さんにそれ以上、ムリはさせられないでしょ?」
「そりゃそうだ。それ、どうするのか、訊こうと思ってたんですよ」
「これまではね、2階のトイレと廊下、階段、バルコニーの掃除、それと、毎日のゴミ出し。これをオレと草川さん、ふたりで、どちらか気がついたほうがやるって感じでやってたんすけどね、今度、男3人になったでしょ? 気がついたほうが……なんてやってたら、仕事がダブっちゃったり、だれかがやっただろうって、手をつけなかったりするかもしれないじゃないですか。そしたら、この人、草川ちゃんがね……」
「すみません」と、横で次郎が頭をかいた。
「ローテーション組みませんかって言い出したのは、ボクなんです」
「いやいや、すみませんどころか、助かりますよ。ローテーションを組んであれば、きょうは何もしなくていいんだって、安心して休んでられるじゃないですか。それにね、ムダな飲み会とかを断る口実にもが使えるし……」
「ムダな飲み会、あるんですか?」
「けっこうあるんですよ。一日、体を使って仕事してると、すぐ、一杯やって帰るかなんて言い出すやつがいるんです。そんなのにつき合ってると、フトコロも厳しくなるしね」
「じゃ、立花さんのローテーション、増やしておきますか――って、あ、ジョーダンですよ」
「ゴミ出し」は毎日の仕事だが、「トイレの掃除」は週に2回、廊下と階段は週1回、バルコニーは月に一度。その程度のローテーションなら、ラクにこなせる。
そうして、吉高ハウスでの真弓の日常がスタートすることになった。
建設資材会社に勤める山辺俊介は、8時に家を出る。草川次郎は、在宅ワークの場合もあるが、出勤のときには、8時15分に家を出る。
しかし、そんな3人がバラバラに食事をとっていたのでは、主婦である吉高麻衣の負担が大きくなるので、吉高ファミリーの朝食は、「朝7時」に決められていた。
まず、出勤時間の早い真弓が席に着く。「おはよう」と、麻衣がその席にコーヒーを出してくれる。カップに添えた手が、ソワッ……と、真弓の手をなでていく。
そこへ、「おはようッす」と俊介が努とともに現れる。「早いッすね」と言いながら、真弓の肩に両手を置いて、揉むようなしぐさを見せる。その指が、「昨夜はお疲れさん」と言っているように感じられた。
やっぱり、気づかれていたか……。
そう思うと、いささか照れくさくなる。
そこへ、今度は次郎が、由夢ちゃんの手を引いて現れた。片方の手に、何かの用紙を持っている。
「山さん、できましたよ。立花さんも、ちょっと見てもらえますか?」
そう言って広げて見せた紙は、横軸に第1週~第4週と期間が書き込まれ、縦軸に「ゴミ捨て」「トイレ」「廊下&階段」「バルコニー」と項目が並んだ表だった。その交差する欄に、それぞれ、山辺、草川、立花と、3人の名前が書き込んである。
「もしかして当番表?」と覗き込むと、俊介が胸を張った。
「そうなんですよ。1階は、全部、麻衣さんがやってくれるんですけど、みんなのお母さんにそれ以上、ムリはさせられないでしょ?」
「そりゃそうだ。それ、どうするのか、訊こうと思ってたんですよ」
「これまではね、2階のトイレと廊下、階段、バルコニーの掃除、それと、毎日のゴミ出し。これをオレと草川さん、ふたりで、どちらか気がついたほうがやるって感じでやってたんすけどね、今度、男3人になったでしょ? 気がついたほうが……なんてやってたら、仕事がダブっちゃったり、だれかがやっただろうって、手をつけなかったりするかもしれないじゃないですか。そしたら、この人、草川ちゃんがね……」
「すみません」と、横で次郎が頭をかいた。
「ローテーション組みませんかって言い出したのは、ボクなんです」
「いやいや、すみませんどころか、助かりますよ。ローテーションを組んであれば、きょうは何もしなくていいんだって、安心して休んでられるじゃないですか。それにね、ムダな飲み会とかを断る口実にもが使えるし……」
「ムダな飲み会、あるんですか?」
「けっこうあるんですよ。一日、体を使って仕事してると、すぐ、一杯やって帰るかなんて言い出すやつがいるんです。そんなのにつき合ってると、フトコロも厳しくなるしね」
「じゃ、立花さんのローテーション、増やしておきますか――って、あ、ジョーダンですよ」
「ゴミ出し」は毎日の仕事だが、「トイレの掃除」は週に2回、廊下と階段は週1回、バルコニーは月に一度。その程度のローテーションなら、ラクにこなせる。
そうして、吉高ハウスでの真弓の日常がスタートすることになった。

夜になると、真弓は麻衣の部屋に忍んでいった。
と言っても、毎夜というわけではない。
麻衣が家事や育児で疲れている日、逆に、真弓の仕事がハードで疲れている日、そして、子どもたちがなかなか寝つかない日。そういう日には、「きょうは止めておこうか」になる。
真弓と麻衣は、それをふたりだけにわかる方法で伝え合った。
夕食に出すコーヒーのマグカップ。その把手が右向きになっていれば「今夜はOK」のサイン。左向きになっていれば「今夜はダメ」。それを見て、麻衣のサインが「OK」の場合にのみ、真弓は返事を返す。「ボクもOK」であれば、飲み干したカップの把手を奥に向けて置く。「きょうはボクがダメ」であれば、把手を自分に向けて置く。
両方が「OK」とわかると、麻衣は、「フン、フ、フン……」と、よくわからないメロディを鼻歌にしながら、洗い物をキッチンに運ぶ。
そんな夜が、2日、3日……と続いた。
抱かれる度に、麻衣は、大胆なポーズをとるようになった。
後ろ向きになり、尻を突き出して、後ろから責めることを望んだこともあった。
自分が上になって真弓を受け入れ、激しく腰をグラインドさせることもあった。
しかし、麻衣がもっとも激しい反応を見せたのは、それらではなかった。
その夜、「来て……」と真弓に懇願する麻衣は、思いもしない姿勢をとった。自分の手で両脚を抱えて、グイと持ち上げるという形だった。真弓の目には、充血して濡れ光る麻衣の性器が、丸見えになる。それは、吉高麻衣が見せた、もっともあられもない姿だった。
その中心目がけて、真弓はいきり立つものを押し当てた。それまでよりも深く、抵抗なく、真弓の体は、麻衣の体の奥に吸い込まれていく。
そのときだった。麻衣は抱えていた両脚の手を離し、その脚を真弓の肩に載せてきた。真弓のペニスは、さらに深く麻衣のヴァギナの中へと吸い込まれていく。その先端に、何かコリッとしたものが触れた。
「ああ、当たってる……」
真弓の耳もとに、麻衣が感極まったような声でささやく。
「どこに?」
「子宮に……あれが、当たってるの」
当たっていると言われたのは、たぶん、このコリッとしたやつだ。
真弓はそこを目がけて、これでもかとペニスを送り込んだ。麻衣は、片手の指を口にくわえて声を押し殺したまま、真弓の肩に回した脚をブルブルと震わせた。
真弓が迸らせたものは、麻衣が、「当たってる」と表現した場所に、たっぷりと降りかかった。

それからの幾夜かは、麻衣が望むその形で、ふたりの夜を過ごした。
よくはわからないが、何かの収穫が得られそうな夜ではあった。
そうして、ハネムーンの1カ月が過ぎていった。
ハネムーン明けの翌日、夕食がすむと、山辺俊介が真弓の肩に手を置いて「どうも……」と声をかけてきた。
「男同士で一杯やりませんか?」
手にビールのロング缶を3本抱えている。一本を真弓の前に、一本を次郎の前に、最後の一本を自分の前に置いて、プシュッとプルタブを引く。
続いて次郎もプシュッとやり、真弓がそれに続いた。
泡が噴き出すロング缶を目の高さに掲げると、「お疲れさんでした」と俊介が声を発し、次郎がそれに唱和した。
真弓がキョトンとしていると、次郎が横から口を添えた。
「ハネムーン、明けましたね。おめでとうございます」
なるほど、そういうことか……と、真弓は思った。しかし、何が「おめでとう」なのかは、よくわからない。
その様子を見て、俊介が切り出した。
「ちょっと、これからの話をしようと思うんですが……」
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【右】『『チャボのラブレター』
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