彼女の下着を汚した罪

ついに一度も、女性と交際することなく、人生を
終えた山ちゃんの唯一の趣味は、フェチだった。
その対象は女性の下着。それも、一時拝借するだけ。
そんなある日、彼は致命的なミスを犯した——。
R18 このシリーズは、性的表現が中心の官能読み物です。18歳未満の方はご退出ください。
エロ 官能小説 オーガズム 不倫

山ちゃんは、シャイな男だった。
シャイというと、なんだかかっこよく聞こえるかもしれないが、要するに内気なのである。それも、特定の人類に対してだけ。
その「特定の」というのは、「女性」だった。
男同士で話しているときには、堂々と自説を展開する論客で、その緻密に組み立てられた論理には、だれも太刀打ちできない――というほどだったが、山ちゃんは、女性に対しても、「AはBである。BはCである。したがって、AはCである」的な話し方しかできないので、いつの間にか、だれも相手にしなくなり、そして、そういう女性たちと言葉を交わすことが、ほんとに苦手になってしまったのだ。
「苦手」ではあっても、「嫌い」なわけではない。
もしかしたら、かなり「好き」なのかもしれない――ということを、山ちゃんが電車の中で女性に対して向ける視線などからは、察することができた。
「好き」なら「好き行動」をとらないと、人間はおかしくなる。
山ちゃんは、かなり特殊な「好き行動」をとった。
フェチに走ったのだ。
その対象は、女性の下着だった。
こう言うと、みなさんは、「ははぁ、下着ドロだね」と思われるかもしれない。
山ちゃんの名誉のために申し上げておくのだが、山ちゃんは、断じて、人のものを盗むようなことをする男ではない。人一倍、正義感が強かったのである。
正義感が強かったので、「盗む」のではなく、「お借り」した。
ほんの小1時間ほどお借りして、すぐにお返しするのである。
それも、きれいに洗って、アイロンまでかけて――。
なんと、律儀な男ではないか。
シャイというと、なんだかかっこよく聞こえるかもしれないが、要するに内気なのである。それも、特定の人類に対してだけ。
その「特定の」というのは、「女性」だった。
男同士で話しているときには、堂々と自説を展開する論客で、その緻密に組み立てられた論理には、だれも太刀打ちできない――というほどだったが、山ちゃんは、女性に対しても、「AはBである。BはCである。したがって、AはCである」的な話し方しかできないので、いつの間にか、だれも相手にしなくなり、そして、そういう女性たちと言葉を交わすことが、ほんとに苦手になってしまったのだ。
「苦手」ではあっても、「嫌い」なわけではない。
もしかしたら、かなり「好き」なのかもしれない――ということを、山ちゃんが電車の中で女性に対して向ける視線などからは、察することができた。
「好き」なら「好き行動」をとらないと、人間はおかしくなる。
山ちゃんは、かなり特殊な「好き行動」をとった。
フェチに走ったのだ。
その対象は、女性の下着だった。
こう言うと、みなさんは、「ははぁ、下着ドロだね」と思われるかもしれない。
山ちゃんの名誉のために申し上げておくのだが、山ちゃんは、断じて、人のものを盗むようなことをする男ではない。人一倍、正義感が強かったのである。
正義感が強かったので、「盗む」のではなく、「お借り」した。
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なんと、律儀な男ではないか。
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山ちゃんが、それを「一時借用」する場所は、たいてい決まっていた。
最初は、大胆にも、隣室のベランダから拝借していたが、この隣室のご婦人が、実は50いくつかの妙齢で、かなり太っており、時折、隣室から聞こえてくる「ウエーッ!」という声が、実は、痰を吐く声である――ということを知って以来、ピタリと借用するのを止めてしまった。
次に、山ちゃんは、通りを隔てたアパートの1階に居住し、いつもセンスのいい、清潔でプリティな下着を干している女性に恋をした。
恋をした――と言っても、その姿を見たわけではない。
ただ、その下着のセンスや、つつましい干し方からして、おそらく、相当に知的で清楚な、吉永小百合と小雪を足して2で割ったような(よくわからないタイプだ)女性を、頭に描いていたらしい。
しかし、山ちゃんはある日、そんな想像をした自分を呪い、死ぬほど後悔することになった。
その女性の声を聞いてしまったのである。
「きょう? アタシ、休ませてもらうわ。きのう、飲みすぎちゃってさぁ。生理休暇よ、生理休暇。おかまにだって、生理休暇があってもいいでしょ?」
開け放った窓から聞こえてきた、野太い、しゃがれ声。
その下着の持ち主は、動物学的には「男」だったのである。
これも、山ちゃんの名誉のために申し上げておくのだが、山ちゃんの美意識は、大声で痰を吐く太った女や、生理休暇を主張するおかまちゃんを性的妄想の対象とできるほど、いい加減ではない。
それどころか、きわめて鋭敏な美意識の持ち主であることを、周囲のだれもが知っていた。

さて、「吉永小百合+小雪」の幻想が、はなはだしい勘違いであったことを知って、しばらく落ち込んでいた山ちゃんだったが、ほどなく、新しい恋が始まった。
駅からの帰り道、チャリに乗ってアパートに帰ってくる、それはそれはかわいいメッチェン(お嬢さん)と出会ってしまったのだ。
そのメッチェンがベランダにそっと洗濯物を干す姿を見て、山ちゃんの恋心は、かつてないほどに燃え上がった。
山ちゃんは、それはそれはていねいに、失礼のないように、ベランダからそっと下着を拝借し、自宅に持ち帰って、これまた細心の注意を払って、ていねいに、とびきりの愛情を込めて、使用に及んだ。
使用に及ぶとは、つまり、それを自らの体に着用し、着用したまま、悦楽の境地へといたる行為に没頭するのである。
その行為が終了すると、山ちゃんは愛する彼女の下着に付着した自分の愚かな行為の痕跡を、ていねいに洗い落とし、ドライヤーで乾かしたあと、アイロンまでかけて、元あった場所に、これまたごていねいに返却に赴く。
ある夜のこと。
山ちゃんがいつものように、使用した下着にアイロンを当てていると、突然、電話が鳴った。
山ちゃんは、アイロンをその場に置いて電話を取った。電話は仕事相手からで、少し込み入った用件だった。
やっと話を終えて、テーブルの上のアイロンを取り上げた山ちゃんが目にしたのは、世にも恐ろしい光景だった。
愛するメッチェンの下着のその部分が、ポッカリと、溶けてしまっていたのだ。
山ちゃんは、罪の意識に胸をかきむしった。
罪の意識を感じるなら、もっと前、下着を拝借なんぞという行為に及ぶ前に感じろよ――と、常人なら思うところだろうが、山ちゃんの美意識の中には、その発想はない。
どうしよう?
山ちゃんは、考えた。
翌朝、大事な下着の一枚がなくなっている悲しみに、かのメッチェンは、どんなにか悲しむに違いない。
たとえ、一部分が破損してしまったとしても、これは、持つべき人の元にあるべきものだ。
意を決した山ちゃんは、その一枚を、ポッカリと穴が空いたままの状態で、元の場所に戻しに行った。
翌朝、その下着を見つけたメッチェンが、それをどんなふうに発見し、それをどう感じて、どう処理したか?
山ちゃんは知らないし、もちろん、われわれにも知る術はない。
ただひとつ、知っているのは、山ちゃんがそれ以来、プッツリと、下着を借用する行動を止めてしまった――ということだけである。

山ちゃんは、もう、この世にいない。
50を目前に脳血管障害を患い、この世を去ってしまった。
その山ちゃんは、最後まで、ひとりだった。
だれか恋人ができたという話も、もちろん、だれかと一緒に暮らしたという話も、われわれは聞いたことがない。
友人の中には、山ちゃんは、最後まで女を知らなかったのではないか――と言う者さえいる。
下着を見て、触って、着用しても、それを身に着けた女性と接したことのない人生だったとしたら、それはあまりに悲しい。
下着に穴を開けられてしまったどこかのお嬢さん、そんな山ちゃんの罪を、どうか許してやっていただきたい。
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一生に一度も結婚できない「生涯未婚」の率が、男性で30%に達するであろう――と予測されている「格差社会」。その片隅で「貧困」と闘う2人の男と1人の女が出会い、シェアハウスでの共同生活を始めます。新しい仲間も加わって、築き上げていく、新しい家族の形。ハートウォーミングな愛の物語です。
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2014年10月発売 定価122円
美しい養護教諭と「ボク」の、淡い恋の物語です。
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みなさんのひと押しで、喜んだり、反省したり……の日々です。
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