「相談したいことがあるの」という殺し文句

女に「相談したいことがあるの」と言われると、
男たちはつい、「相談って何だろう?」と、彼女を
気にし始めます。しかし、実はこれ、江戸時代以来、
使われてきた女たちの古典的な手法で――。
エロ 官能小説 モテ 不倫
M は「男からのモテ技」、 W は「女からのモテ技」、 N は「男女共通のモテ技」です。
かつて、私の後輩に、Mという男がいました。
このMクンが、晩生(おくて)というか、不器用というか、自力でガールフレンドをゲットして、ねんごろな関係になるということが、不肖・長住ほどには得手ではなかった(長住も、相当に不得手でしたが)んですね。
そんなMクンのハートをメロメロにしてしまったのが、当時、新宿のミニ・クラブにお勤めだった、「みぎわちゃん」とかいう、Mクンによれば、金のワラジで探しても見つからないような、それはそれはかわいい女性(本人がそう言ってました)でした。
ある日、Mクンが鼻の下を5ミリほど伸ばしながら、私に言うのです。
先輩、みぎわちゃんがね……イヒ……ボクにね……なんか……大事な話がある……らしいんですよ。
Mクンによると、事の次第は、こうでした。
「相談したいことがあったんだけど……」のひと言
ある日、いつものようにミニ・クラブを訪れたMクンは、「みぎわちゃん」を指名。給料が出たばかりだったMクンは、その日は閉店までねばって、あわよくば「みぎわちゃん」を夜の街のどこかへ――などと、よからぬ算段も胸に秘めていたのだそうです。
しかし、世の中には、似たようなことを考える男たちがいるものです。
指名が殺到した「みぎわちゃん」は、Mクンの席に着いても、すぐに他の客の指名がかかって、「ごめんなさい」と席を立ってしまいます。
人間ができてない……というか、遊びなれてないMクンは、とうとうしびれを切らしてしまいました。
「帰る」と、チェックをすませたMクンが、エレベーター・ホールへ向かおうとすると、「みぎわちゃん」が、長いドレスの裾をからげるようにして、後を追ってきました。
ごめんなさ~い。きょうは、ゆっくりお話ができなくて。Mさんだったら、わかってくれるかと思って……。
そんなことを言いながら、Mクンの腕を両手で抱え込み、そこへ自分の体を擦りつけるようにしながら、「みぎわちゃん」がおっしゃったのだそうです。
ほんとはね、ワタシ、Mさんに相談したいことがあったんだ。でも、きょうは、ゆっくりお話できる時間もなかったし……。
「エッ、相談したいこと?」と顔をのぞき込むMクンの腕を、「みぎわちゃん」はグイグイと自分の胸に引き寄せながら、さらに続けるのです。
そんな、簡単に言えることじゃないの。今度……来てくれたときに、話すね。
何だろ、相談したいことって……?
エッ、簡単に言えることじゃない……?
何だよ? まさか……アレ……か?
「何だと思います、相談したいことって?」と、Mクンは、この長住にまで尋ねるのですが、私にしてみれば、「知るか、そんなこと」です。というか、大方、想像はついていたのですが、そんなこと、目をランランと輝かせて問いかけてくるMクンには、とても言えませんでした。
そして、それから3日か4日後、Mクンは再びいそいそと、彼女が勤めるミニ・クラブへと赴いたのでした。
このMクンが、晩生(おくて)というか、不器用というか、自力でガールフレンドをゲットして、ねんごろな関係になるということが、不肖・長住ほどには得手ではなかった(長住も、相当に不得手でしたが)んですね。
そんなMクンのハートをメロメロにしてしまったのが、当時、新宿のミニ・クラブにお勤めだった、「みぎわちゃん」とかいう、Mクンによれば、金のワラジで探しても見つからないような、それはそれはかわいい女性(本人がそう言ってました)でした。
ある日、Mクンが鼻の下を5ミリほど伸ばしながら、私に言うのです。

Mクンによると、事の次第は、こうでした。

ある日、いつものようにミニ・クラブを訪れたMクンは、「みぎわちゃん」を指名。給料が出たばかりだったMクンは、その日は閉店までねばって、あわよくば「みぎわちゃん」を夜の街のどこかへ――などと、よからぬ算段も胸に秘めていたのだそうです。
しかし、世の中には、似たようなことを考える男たちがいるものです。
指名が殺到した「みぎわちゃん」は、Mクンの席に着いても、すぐに他の客の指名がかかって、「ごめんなさい」と席を立ってしまいます。
人間ができてない……というか、遊びなれてないMクンは、とうとうしびれを切らしてしまいました。
「帰る」と、チェックをすませたMクンが、エレベーター・ホールへ向かおうとすると、「みぎわちゃん」が、長いドレスの裾をからげるようにして、後を追ってきました。

そんなことを言いながら、Mクンの腕を両手で抱え込み、そこへ自分の体を擦りつけるようにしながら、「みぎわちゃん」がおっしゃったのだそうです。

「エッ、相談したいこと?」と顔をのぞき込むMクンの腕を、「みぎわちゃん」はグイグイと自分の胸に引き寄せながら、さらに続けるのです。

何だろ、相談したいことって……?
エッ、簡単に言えることじゃない……?
何だよ? まさか……アレ……か?
「何だと思います、相談したいことって?」と、Mクンは、この長住にまで尋ねるのですが、私にしてみれば、「知るか、そんなこと」です。というか、大方、想像はついていたのですが、そんなこと、目をランランと輝かせて問いかけてくるMクンには、とても言えませんでした。
そして、それから3日か4日後、Mクンは再びいそいそと、彼女が勤めるミニ・クラブへと赴いたのでした。


ウブなMクンは、指名した「みぎわちゃん」が席に着くなり、そう切り出しました。
何もそんなにあせらなくても……と思うのですが、聞きたくて聞きたくて仕方がないMクンは、もう、一刻も待てない――という風情です。

言いながら、「みぎわちゃん」はMクンのグラスに氷を入れ、ウイスキーを注ぎ、ミネラルを注いで、マドラーでカラカラと混ぜて、それをMクンの手元に差し出します。
その行動、どこか余裕たっぷりに見えます。
そして、彼女の口から出た言葉が、こちら――。

空気も、むずかしい漢字も読めないMクンは、なおも食い下がります。

さすが指名ナンバー・ワン。「みぎわちゃん」は、そんなMクンの顔を、これ以上ないくらいの慈愛の眼差しで見つめたあと、その白魚のようなお手々をMクンのももにそっと置きながら、おっしゃっのだそうです。

それでも、「みぎわちゃん」の「相談」が何だったのかを知りたくて仕方のないMクンは、あきらめきれずにクラブに通い続けます。そして、そのたびに、「もう、話す気になった?」と訊くのですが、「みぎわちゃん」の返事は、いつも、「ごめんね。もう少し待って」でした。そんなことが何回か続いたある日、「みぎわちゃん」の口からは、信じられない言葉が飛び出しました。

そう言いながら、「みぎわちゃん」は、Mクンの手をギュッ。そして、こう続けました。

お見事!
Mクンは、怒るに怒れず、そんな「みぎわちゃん」の殊勝(とも見える)態度に、「ほんとは、この人、いい人なんだ」の心象を抱いたまま、クラブ通いを続けたのでありました。
バカだねェ――な、話です。

「相談したいことがある」は、女の「殺し文句」
Mクンには酷かもしれませんが、これ、江戸時代以来、延々と続けられてきた、実に古典的な手法です。
かつて、「キャバレー王」と異名をとった『ハリウッド』チェーンのオーナー・福富太郎氏が、自らまとめてホステスたちに読ませていた「ホステス心得」みたいなマニュアルにも、ちゃんと書いてあるんですね、これが。
《客が帰るときには、『今度、相談したいことがあるの』と思わせぶりに言うべし》
つまり、お水の定番ノウハウみたいなもの。わが後輩、Mクンは、見事にこれにはまってしまった――というわけです。
「みぎわ」嬢は、これを自分の「接客ノウハウ」として活用したわけですが、よく考えてみれば、この手法、恋愛の手法としてもかなり有効、と思われます。
もともと男には、目の前にいる女性を「庇護したい」という本能が備わっています。そんな女性から、「相談したいことがある」と言われると、どんな重い腰でも浮き上がってしまうんですね。
「つき合ってください」なんてことはなかなか言えなくても、「相談したいことがあるんです」だったら、案外、簡単に言えてしまいます。
目当ての男性への接近法として、これは、いつでも使える手法。
ぜひ、活用していただきたい――と、思います。ちなみに、長住は、そういう相談なら、いつでもOKですよ~。
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教師のビンタが支配する教室から、突如、姿を消した美少女。40年後、真実を知ったボクは…。
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美しい養護教諭と「ボク」の、淡い恋の物語です。

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