もしも野良猫が部屋に居ついてしまったら〈中〉

宅配で部屋にやって来た女が、「この部屋に戻って
来たい」と言う。明け方近くになって電話が鳴った。
駅まで迎えに行くと、その顔が腫れている。理由も
言わず、女は死んだように眠り込んだ——。
R18 このシリーズは、性的表現が中心の官能読み物です。18歳未満の方はご退出ください。
エロ 官能小説 オーガズム 不倫

この話は、連載2回目です。最初から読みたい方は、⇒こちらから どうぞ。
終電が到着するまで、2時間は起きて待っていたが、女からの電話は、結局、かかってこなかった。
そのまま眠ってしまえば、目が覚めたときには、アケミという名の女がいたことも、彼女と「戻ってきてもいい?」「ああ、いいよ」という話を交わしたことも、きれいさっぱり、忘れてしまっていただろう。
しかし、そうはならなかった。
夢の中で、何度も電話の音を聞いて、目を覚ました。
枕元の時計を見ると、午前4時。
何だよ、こんな時間に――と思いながら電話をとると、「もしもし……」と、聞き覚えのある女の声が、耳に飛び込んできた。
「いま、駅まで来たんだけど……」
「あ……キミか。い、いまって……もう、4時だよ」
「ンー、お客さんが離してくれなくて……でも、もう……ここまで来ちゃったから……」
聞くと、駅までタクシーを飛ばして来たので、もう戻るタクシー代もないと言う。
しょうがないので、寝起きの体にコートを羽織って、駅まで迎えに出た。
すでにシャッターが下ろされた駅の前にあるコンビニ。
店の脇の電柱の陰に、ミラー・サングラスをかけた女が、身を隠すように立っていた。その姿がのっそりと近づいてきたときには、一瞬、「ヤバイ!」と身構えた。
「ごめん。こんな時間になって……」
サングラスを取った顔を見て、やっとアケミだとわかったが、その顔の目の周りが、青く腫れ上がっていた。
「どうしたの、その顔?」
「ウン、ちょっとね……。行こう……」
さっさと歩き始めるので、「そっちじゃない」と腕をつかんで、部屋まで案内した。
「イヤーッ!」。突然のうわ言の意味
アケミは、部屋に入るなり、ベッドに崩れるように倒れ込んだ。
うつ伏せに倒れ込んだ背中が、ヒクヒクと震えていた。
「どうした? 何があった?」
「お願い。少し、寝かせて……」
こんな夜更けに人の部屋にやって来て、ワケも話さず「寝かせてくれ」とおっしゃる。
ハラが立たないわけではなかったが、寛容なことに関しては人後に落ちない、と自負している手前、怒るわけにもいかない。
それに、なにやら事情がありそうでもあったので、「ハイ、ハイ。じゃ、服だけは脱いじゃおうか」と服だけは脱がせて、私はその横に体を滑り込ませた。
朝の4時に叩き起こされた体は、横になるなり、たちまち睡魔に襲われた。
そのまま、深い眠りに……といきたいところだったが、途中で何度か目が覚めた。
「止めて!」
大きな声に目を覚ますと、彼女が布団の端を口にくわえて、頭を振っていた。
「どうした?」と声をかけ、頭を撫でて落ち着かせると、再び、眠りに落ちる。しかし、しばらく寝息を立てたと思うと、またも、大きな声に起こされる。
「イヤだ、イヤーッ!」
今度は、いきなり、わき腹に肘鉄を食らわされた。
よっぽど、イヤな思いを味わってきたに違いない。しかし、そのツケを私に回されても困る。「オイ!」と揺り起こそうと思ったが、それも止めて、そっと、乱れた布団をかけ直してやった。
仏の顔も三度だゾ!
念じたのが効いたのか、それっきり、彼女はおとなしくなった。
そのまま眠ってしまえば、目が覚めたときには、アケミという名の女がいたことも、彼女と「戻ってきてもいい?」「ああ、いいよ」という話を交わしたことも、きれいさっぱり、忘れてしまっていただろう。
しかし、そうはならなかった。
夢の中で、何度も電話の音を聞いて、目を覚ました。
枕元の時計を見ると、午前4時。
何だよ、こんな時間に――と思いながら電話をとると、「もしもし……」と、聞き覚えのある女の声が、耳に飛び込んできた。
「いま、駅まで来たんだけど……」
「あ……キミか。い、いまって……もう、4時だよ」
「ンー、お客さんが離してくれなくて……でも、もう……ここまで来ちゃったから……」
聞くと、駅までタクシーを飛ばして来たので、もう戻るタクシー代もないと言う。
しょうがないので、寝起きの体にコートを羽織って、駅まで迎えに出た。
すでにシャッターが下ろされた駅の前にあるコンビニ。
店の脇の電柱の陰に、ミラー・サングラスをかけた女が、身を隠すように立っていた。その姿がのっそりと近づいてきたときには、一瞬、「ヤバイ!」と身構えた。
「ごめん。こんな時間になって……」
サングラスを取った顔を見て、やっとアケミだとわかったが、その顔の目の周りが、青く腫れ上がっていた。
「どうしたの、その顔?」
「ウン、ちょっとね……。行こう……」
さっさと歩き始めるので、「そっちじゃない」と腕をつかんで、部屋まで案内した。

アケミは、部屋に入るなり、ベッドに崩れるように倒れ込んだ。
うつ伏せに倒れ込んだ背中が、ヒクヒクと震えていた。
「どうした? 何があった?」
「お願い。少し、寝かせて……」
こんな夜更けに人の部屋にやって来て、ワケも話さず「寝かせてくれ」とおっしゃる。
ハラが立たないわけではなかったが、寛容なことに関しては人後に落ちない、と自負している手前、怒るわけにもいかない。
それに、なにやら事情がありそうでもあったので、「ハイ、ハイ。じゃ、服だけは脱いじゃおうか」と服だけは脱がせて、私はその横に体を滑り込ませた。
朝の4時に叩き起こされた体は、横になるなり、たちまち睡魔に襲われた。
そのまま、深い眠りに……といきたいところだったが、途中で何度か目が覚めた。
「止めて!」
大きな声に目を覚ますと、彼女が布団の端を口にくわえて、頭を振っていた。
「どうした?」と声をかけ、頭を撫でて落ち着かせると、再び、眠りに落ちる。しかし、しばらく寝息を立てたと思うと、またも、大きな声に起こされる。
「イヤだ、イヤーッ!」
今度は、いきなり、わき腹に肘鉄を食らわされた。
よっぽど、イヤな思いを味わってきたに違いない。しかし、そのツケを私に回されても困る。「オイ!」と揺り起こそうと思ったが、それも止めて、そっと、乱れた布団をかけ直してやった。
仏の顔も三度だゾ!
念じたのが効いたのか、それっきり、彼女はおとなしくなった。

その日は、12時に打ち合わせが入っていた。
定時には遅れるとしても、なんとか10時半には家を出ないと、打ち合わせに間に合わない。目覚ましは、9時半に設定しておいた。
しかし、私の目を覚ましたのは、目覚ましの音ではなかった。
なにやら腹の下がモゾモゾする。
トイレに行きたいような、何かを放出したいような感覚に目を覚ますと、私のそれは、パンツの中に忍び込んできた彼女の手に握られていた。
その手が、私の砲身を握り締めたまま、ゆっくり上下に動いている。
「ウッ……」と目を開けると、あごの下から私を見上げる怪しげな目と出くわした。
「これ、宿代……」
言うなり、その頭が布団の中にもぐっていく。
宿代なんて、いらない――というほど、私も気前がよくはない。
朝のとれ立ていちばんを彼女の熱を持った口に含まれて、不覚にも私のそれは、マックスにまではちきれてしまった。
ひとしきり口を動かして、私のそれを唾液まみれにすると、彼女は、例の怪しげな光を放つ目で私の顔を見やりながら顔を起こし、手に握った砲身(というほどのものでもないが)を自分の体の中へと導いた。
ちょ、ちょっと待てよ。何も着けてないだろ……。
私の不安げな顔を見て、彼女は言うのだった。
「いいんだよ、中に出しても……」
いや、そういうことじゃなくて……。あの、その……私が心配していることはですね……。
言おうとしたのだが、もう遅い。
私の粘液と彼女の粘液は、もう、しっかり混ざり合ってしまったのだから。
こうなったら、覚悟を決めてしまうしかない。
観念して、下から突き上げると、彼女は「あーっ」と声を挙げ、体をのけぞらせ、のけぞらせながらTシャツを脱ぎ取って、腰を揺すった。
最初に来たとき、バーボンを振りかけながら体をくねらせたダンス。そのダンスを、彼女は私の体の上で踊った。彼女が上体をくねらせるたびに、ノーブラの形のいい乳房が、プルンプルン……と揺れた。
なかなかいい眺めだ。その眺めに、彼女が寝ながら叫んだ「イヤーッ!」の叫びが重なって、私はたちまち高まり、こらえようのなくなったそれを、彼女の窮屈な洞窟の中に放射した。

「あのさ……ここ、そろそろ出なくちゃいけないんだ。起きて、支度してくれる?」
ベッドにクタッ……と横たわった彼女の背中を叩いて、声をかけた。
再び寝に入った彼女は、「ウーン……」と声を挙げて寝返りを打ったきり、一向に起き上がる気配を見せない。
「ホント。もう行かなくちゃいけない時間なんだ。起きて、起きて」
それでも、起き上がろうとしない。
「もう少し、寝かせて……。ここ、寝心地がいいんだもん」
「あのね、そういう問題じゃなくて……オレ、出かけなくちゃならないの」
「ちゃんと……カギかけて出るから。だから、もうちょっと、このまま……」
何を言ってるんだ、キミは?
素性も知れないキミをひとり残していくなんてこと、できるわけないじゃないか。
しかし、叩こうが、引っ張り起こそうが、彼女はいっかな動こうとしない。
困ったことになった。
もう、こうなったら覚悟を決めるしかない。
「わかった。じゃ、キミを信用してカギを渡しておくから、時間が来たら、ちゃんと起きて、カギをかけて帰るんだよ。で、そのカギは、ドア・ポストから中に落としておいて。いい? わかった?」
布団の中から片手を上げて、「OK」の合図。
ものすごく不安……。
しかし、もう、そうするしか方法がなかった。
その日、一日を、私がどんな不安な気持ちで過ごしたか、おわかりいただけるだろうか?
帰ったときには、あの部屋は、マンションごと焼け落ちているんじゃないだろうか……?
別に貴重品とかは置いてないからいいものの、部屋の中は、またもバーボンやビールの洪水になっているんじゃないだろうか……?
帰ってみると、そこには彼女の仲間たちが集まって、薬物パーティとかやってたりするんじゃないだろうか……?
フローリングの床に、汚物がトグロを巻いてたりして……。
ワァ、いやだ。
押し寄せる不安にいてもたってもいられなくなり、仕事が終わると、一目散に家路に着いた。
頼む。無事でいてくれよ。
祈る気持ちで玄関のカギを開け、ドアを開けたとたん、私は思わず、息を呑んだ。
私の目に飛び込んできたものは……。
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美しい養護教諭と「ボク」の、淡い恋の物語です。

管理人は、常に、フルマークがつくようにと、工夫して記事を作っています。
みなさんのひと押しで、喜んだり、反省したり……の日々です。
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