もしも野良猫が部屋に居ついてしまったら〈上〉

彼女は、部屋に呼んだ「宅配の女」だった。
「ハーイ!」とやって来た女は、いきなり、
ハイテンションで体をくねらせ始めた。
私と彼女の奇妙な72時間のそれが始まりだった。
R18 このシリーズは、性的表現が中心の官能読み物です。18歳未満の方はご退出ください。
エロ 官能小説 オーガズム 不倫

名前を、「アケミ」と名乗った。
「ラベンダー」からやって来た女だ。
「ラベンダー」は、「マッサージ」を看板にしている店だが、その業態は、実際は「ヘルス」で、「ヘルス」であるわりには、若くて清潔感のある女の子をそろえていたので、その頃は、ちょくちょく利用していた。
その女、アケミは、少々、エキセントリックな女だった。
インタホンを鳴らさず、ドアを「コンコン」とノックする。それだけでもちょっと変わっているのだが、ドアを開けると、「ハーイ!」と部屋に入ってきた。
いきなりのハイテンションに「なんじゃ、こいつ?」と思いながら部屋に通すと、今度は、「ワオ~ッ」とやり出した。
「ワオッ、本がいっぱいある。ワオッ、CDもいっぱい! ワオッ! ジャニス・ジョップリン!」
言いながら、人のCDラックから一枚を抜き取り、「ね、これ聴かない?」と手渡したりなんかする。
やれやれ、ちょっとやっかいな女だぞ――と思いながら、手渡された一枚、ジャニスの『Pearl』をデッキにかけると、今度はいきなり、曲に合わせて体をくねらせ始めた。
あっけに取られて見ていると、彼女は、体をくねらせながらパンツを脱ぎ捨て、Tシャツ一枚に下着だけの姿になって、フローリングの上を踊り始めた。
年齢は、22~24歳というあたりだろうか。
美人というわけではないが、そこそこ整った顔立ちをしている。
明るいブラウンに染めたショートの髪を、ワックスでピッタリと撫でつけ、耳には銀色のピアス。首からは、路上で外国人が売っているような、青銅色のロザリオをぶら下げている。
その全身から漂ってくる、どことなく不健全な……というか、よく言えば、退廃的な香りは、決して嫌いではない。
バーボンの水割りを飲みながら、しばらく、その様子を眺めていると、「私にも、飲ませて」と来たので、ロックグラスに氷を入れ、バーボンと水を注いで渡した。
彼女は、グラスを手にしたまま、ご機嫌な様子でさらに艶かしく腰をくねらせる。
そこまではよかった。
「非常識」女、「常識」男を笑う
次の瞬間だ。
何を考えているのか、彼女は、踊りながら頭をのけぞらせ、手にしたグラスの酒をその胸元に注ぎ始めたのだ。
酒に濡れた彼女のTシャツは、乳房に張り付き、レーズン色の乳首を浮かび上がらせて……なんてことは、どうでもいい。
彼女の体を濡らしたグラスの液体は、そのまま、ビシャビシャと床にしたたり落ちて、フローリングの床に水溜りを作っている。
一杯だけではもの足りないのか、彼女は、私が飲んでいたグラスにまで手を伸ばして、それもまた、体に振りかけようとするではないか――。
関西弁で言うなら、「オイ、何すんねん!」だろう。
階下に水漏れでもしたら、えらいこっちゃ……。
私はあわてて、彼女の手からグラスを取り上げ、床にこぼれた液体をダスターで拭いた。
そんな私の様子を、上から目線で見下ろしながら、のたまうのである、そのおっぱいスケスケの退廃女が……。
「わりと、つまんないことするんだね」
ハイ、ハイ。いかにも、つまんないことしてますよ、深夜に床に雑巾がけするなんてバカげたことを、どこかのバカ女のおかげでね。
よっぽど、たたき出してやろうかと思ったのだが、そこがインテリゲンツィアの悲しい性。女の非日常的な行動に、常識を振りかざして追い出したりしたのでは、「あいつは、芸術的衝動も理解できない、チョー退屈な常識オヤジ」と思われかねない。
で、グッとガマンした。
「そっちこそ、安っぽいデカダン気取りは止めとくんだね。そんなパフォーマンスをやっても、ただの、頭のおかしい女にしか見えないよ」
ちょっとシュンとなった。
「あ~あ、シャツ濡らして損しちゃった」と言うので、「脱ぎなよ、すぐ干せば、帰るまでにはほとんど乾くよ」と、肌にへばりついたTシャツを、頭から脱がせてやった。
「ラベンダー」からやって来た女だ。
「ラベンダー」は、「マッサージ」を看板にしている店だが、その業態は、実際は「ヘルス」で、「ヘルス」であるわりには、若くて清潔感のある女の子をそろえていたので、その頃は、ちょくちょく利用していた。
その女、アケミは、少々、エキセントリックな女だった。
インタホンを鳴らさず、ドアを「コンコン」とノックする。それだけでもちょっと変わっているのだが、ドアを開けると、「ハーイ!」と部屋に入ってきた。
いきなりのハイテンションに「なんじゃ、こいつ?」と思いながら部屋に通すと、今度は、「ワオ~ッ」とやり出した。
「ワオッ、本がいっぱいある。ワオッ、CDもいっぱい! ワオッ! ジャニス・ジョップリン!」
言いながら、人のCDラックから一枚を抜き取り、「ね、これ聴かない?」と手渡したりなんかする。
やれやれ、ちょっとやっかいな女だぞ――と思いながら、手渡された一枚、ジャニスの『Pearl』をデッキにかけると、今度はいきなり、曲に合わせて体をくねらせ始めた。
あっけに取られて見ていると、彼女は、体をくねらせながらパンツを脱ぎ捨て、Tシャツ一枚に下着だけの姿になって、フローリングの上を踊り始めた。
年齢は、22~24歳というあたりだろうか。
美人というわけではないが、そこそこ整った顔立ちをしている。
明るいブラウンに染めたショートの髪を、ワックスでピッタリと撫でつけ、耳には銀色のピアス。首からは、路上で外国人が売っているような、青銅色のロザリオをぶら下げている。
その全身から漂ってくる、どことなく不健全な……というか、よく言えば、退廃的な香りは、決して嫌いではない。
バーボンの水割りを飲みながら、しばらく、その様子を眺めていると、「私にも、飲ませて」と来たので、ロックグラスに氷を入れ、バーボンと水を注いで渡した。
彼女は、グラスを手にしたまま、ご機嫌な様子でさらに艶かしく腰をくねらせる。
そこまではよかった。

次の瞬間だ。
何を考えているのか、彼女は、踊りながら頭をのけぞらせ、手にしたグラスの酒をその胸元に注ぎ始めたのだ。
酒に濡れた彼女のTシャツは、乳房に張り付き、レーズン色の乳首を浮かび上がらせて……なんてことは、どうでもいい。
彼女の体を濡らしたグラスの液体は、そのまま、ビシャビシャと床にしたたり落ちて、フローリングの床に水溜りを作っている。
一杯だけではもの足りないのか、彼女は、私が飲んでいたグラスにまで手を伸ばして、それもまた、体に振りかけようとするではないか――。
関西弁で言うなら、「オイ、何すんねん!」だろう。
階下に水漏れでもしたら、えらいこっちゃ……。
私はあわてて、彼女の手からグラスを取り上げ、床にこぼれた液体をダスターで拭いた。
そんな私の様子を、上から目線で見下ろしながら、のたまうのである、そのおっぱいスケスケの退廃女が……。
「わりと、つまんないことするんだね」
ハイ、ハイ。いかにも、つまんないことしてますよ、深夜に床に雑巾がけするなんてバカげたことを、どこかのバカ女のおかげでね。
よっぽど、たたき出してやろうかと思ったのだが、そこがインテリゲンツィアの悲しい性。女の非日常的な行動に、常識を振りかざして追い出したりしたのでは、「あいつは、芸術的衝動も理解できない、チョー退屈な常識オヤジ」と思われかねない。
で、グッとガマンした。
「そっちこそ、安っぽいデカダン気取りは止めとくんだね。そんなパフォーマンスをやっても、ただの、頭のおかしい女にしか見えないよ」
ちょっとシュンとなった。
「あ~あ、シャツ濡らして損しちゃった」と言うので、「脱ぎなよ、すぐ干せば、帰るまでにはほとんど乾くよ」と、肌にへばりついたTシャツを、頭から脱がせてやった。

ほんとうは、何もする気がなくなっていたのだが、シャツを脱がせてプルンと飛び出した胸の形を見たとたん、心が動いた。まだまだ、私も修行が足りない……。
日本人には珍しい釣鐘形。たわわに描くアーチの先端では、小ぶりなレーズンが、ツンと立っていた。
そのふくらみを手の中に包み込み、尖った先端を手のひらで転がすように愛撫すると、女は「ハァ」と息を吐いて、私の体に上体を預けてきた。
「形のいい胸だね」
「オッパイだけは、ホメられるんだ」
「オッパイだけなの?」
「こんな女だからね、他にホメるところなんてないんじゃないの? 別に、ホメてもらいたくもないし……」
「そりゃ、ウソだね。ただ、相手が、ホメてもらいたいと思うような男じゃなかった。それだけの話なんじゃないの?」
「じゃ、ホメてみて。他に、ホメるようなところがある?」
「探してみるから、横になって……」
意外と素直にベッドに体を横たえた。
そうして横になった姿を見ると、全身の肌が、抜けるように白い。
ゆっくりと脚を開かせ、その間に頭をもぐらせた。
最初に見せた、いかにもアバズレっぽい行動とは裏腹に、彼女のそこは、いまだ少女のような輝きを見せていた。
色素の沈着がほとんど見られない、淡いピンクの渓谷。その源で、プクリとふくれて存在を主張する小さなつぼみからは、すでに硬くなったピンクの突起が、それを覆ったカバーを押し分けて、顔をのぞかせていた。
少し指の腹で押してやると、彼女の体はビクンと震えた。
「きれいだよ。こんなきれいな色のメシベは見たことがない。食べたくなっちゃう」
言いながら、そっと口を当てると、彼女の体は、再びダンスを始めた。
頭を反らせ、体をブリッジのように持ち上げ、私の口の動きに合わせて腰をくねらせた。
「わたし、弱いの、それ。ね、ねッ……」
彼女のそれは、人より大きいように感じられた。
さやを飛び出したクスリのカプセルほどのそれを口にくわえ、先端を舌でツンツンと突つき、グリグリとなめ回すと、彼女は私の頭を毛髪ごとつかみ、体を二度、三度、大きく震わせて、崩れ果てた。
部屋に入ってきたときの大胆な行動からすると、それは、意外なほどあっけない陥落だった。
「感じやすいんだね」
「だから、弱い……って、言ったじゃん。あ、触られると、またイクから。ダ、ダメ……」
面白いので、しばらく、指で彼女をいたぶった。

「ね、時間なくなっちゃったよ」
あっという間に60分が過ぎた。
一応、仕事上の常識は備えているらしい。申し訳なさそうに「何もしてあげられなかったね」と言うので、「いいよ、オレは」と、ニヒルに答えた。
「この部屋、落ち着くね。こんなに落ち着いた気分になれたの、久しぶり……」
帰りの身支度をしながら、彼女がボソリとつぶやいた。
「ふつうだよ。キミって、そんなに落ち着かない生活してるの?」
「ウン。針の山で暮らしてるようなもんだね」
この子、いったい、どんな生活を送っているのだろう――と、気になって顔をのぞき込んでいると、彼女が突然、言い出したのだ。
「わたし、ここに戻って来ようかな……」
「も、戻る……?」
「次、もう一本、入ってるんだけど、そこ、イヤな仕事なんだ。ここ、○○駅のそばだよね。逃げて戻って来てもいい?」
「つっても、もう、きょうは持ち合わせないし……」
「だから、仕事じゃなくて……」
それ、どういうこと?
訊こうと思ったが、止めた。
そして、つい答えてしまったのだ。
「ああ、いいよ」
「ありがとう。駅まで戻ってきたら電話するから、道、教えてね」
それだけ言い残して、彼女は、次の仕事場に向かった。
アケミと名乗った女との悪夢のような72時間の、それが始まりだった。
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美しい養護教諭と「ボク」の、淡い恋の物語です。

管理人は、常に、フルマークがつくようにと、工夫して記事を作っています。
みなさんのひと押しで、喜んだり、反省したり……の日々です。
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