スキンを冷蔵庫で冷やす、セレブな彼女のおもてなし

「寂しい独身女のひとり部屋」は、超豪邸だった。
熊かと思う黒のゴールデンリトリバーのお出迎えに
腰を抜かしそうになったわが友が受けたのは、
聞くのも見るのも初めての、おもてなしだった……。
R18 このシリーズは、性的表現が中心の官能読み物です。18歳未満の方はご退出ください。
エロ 官能小説 オーガズム 不倫


未希嬢に誘われたわが友・忠彦クンは、「おっ、いいね」とシッポを振って(かどうかはわからないが)、中野区高円寺にある彼女のマンションへ、タクシーを飛ばした。
未希というのは、ふだんは元気印をのぼりにして背中に背負っているような女で、性格もサバサバしており、できれば酢で締めてビールのおつまみにしたいような女(サバだけに!)であった。
忠彦クンも、よこしまな下心などは微塵も抱かず(と信じたい)、独身のフリー・ライターとしては分不相応に広々としたその豪邸(なんと、4LDK!)に、最初は、「どれ、いっちょ、寂しい独身女のわび住まいでものぞいてやるか」てな調子で、乗り込んだのであった。
しかし……。
サッカーボールで遊べそうなほどに広い玄関に、自分の腰ほどもある伊万里の壷があるのを見て度肝を抜かれた忠彦クンは、奥からのっそりと表れた熊(実は、真っ黒なゴールデン・リトリバーであった!)を見て、危うく腰を抜かしそうになり、ふかふかのソファに敷かれた虎の毛皮にほとんど眩暈を起こしそうになり、トイレを借りたものの部屋に戻ることができなくなって(迷子!)、泣きそうになった。
念のために申し上げておくと、未希嬢の部屋は、一部上場企業の役員をしているという彼女の父親が、関西方面から上京してくるときの宿泊所としても使っており、そのための豪邸だったのだが、そんな事情など、忠彦クンは知る由もなかった。
やっと落ち着いた忠彦クンに、未希嬢が「あんまりいいお酒、置いてないんだけど」と出してくれたのは、なんと、「カミユ」のナポレオンだった。

カミユの……?
たちまち汗が噴き出してくるわが友を見て、未希嬢はサッとキッチンへお立ちになったのだそうだ。
彼女が手にして戻ってきたのは、竹製のトレーに載ったおしぼり。
それを顔に当てた瞬間、忠彦クンは驚いたのなんの。
な、なんと、冷たい!
し、しかも……うっすらと香料の匂いまでする。
香り付きのおしぼりを冷蔵庫で冷やしておいた……ってことか?
いつ、やって来るかもわからない、だれかのために……?
そんな習慣、うちにはなかったゾ。
私同様、貧しき都市勤労者家庭の育ちである忠彦クンは、すっかり階級的絶望感に打ちひしがれたのであったが、しかし、それでエロ・モードもしぼんでしまったかというと、そうでもない。
そこらへんの図々しさは、私なんぞには及びもつかない。
非凡なるわが友は、見ようによってはエロくもある未希嬢の豊満な肉体に向かって、無謀なるアタックを試みたのであった。

未希嬢は、忠彦クンの決死(?)のアタックに、動ずる気配も見せず、こうのたまったのだそうな。

忠彦クンは、女がリアルにそのセリフを吐くのを、生まれて初めて耳にした。
この私にしても、そんなセリフは、安手の2時間ドラマかロマンポルノぐらいでしか耳にしたことがない。
「せっかちねェ」とたしなめた未希嬢は、忠彦クンの肩にそっと手を置いて、「ベッド・ルームで待ってて」と、そりゃもう、マリー・アントワネットか叶恭子か……ぐらいの調子でおっしゃったのだそうな。
女を押し倒すのに、「ベッド・ルームで待ってて」と言われたのも、忠彦クンにとっては生涯初めての経験だった。
というか、廊下を通って「ベッド・ルーム」に移動するような構造の「おひとりさま住宅」というのが、そもそも忠彦クンの「経験値」の中にはなかった。
そのベッド・ルームがまた、ほんとに「おひとりさま用」か、と目を疑うばかりの豪華さであったのは、言うまでもない。
言うまでもないので、言わないことにしておく。
人の言うことには忠実に従うタイプの忠彦クンが、案内されたベッド・ルームで、言われたままに「ステイ」していると、廊下の奥のほうから、シャワーを流す音が聞こえた。
そのシャワーが、また、長いこと。
いったい、どこを洗ってるんだ――というほどの長いシャワーの後、やっとベッド・ルームにお出ましになった未希嬢は、きっとフランス製かイタリア製に違いないと思えるローズ色のバス・ローブをお召しになり、頭にも同じ色のタオルを巻きつけていた。
そもそも、わか愚かなる友・忠彦クンは、女性がフロ上がりにバス・ローブをまとうということも、それを習慣としている女性が現実に存在する、ということもご存じなかったので、これにもいたく感動……というより、驚愕した(←何を隠そう、この私も、あれはソープ嬢の仕事着である――と、長い間、信じていた)。
そして、その手には、またも竹のトレーに載せたおしぼり。
それからの一連の未希嬢の行動は、忠彦クンの脳に、二度と忘れることのない記憶として刻まれることになった。

ベッド・サイドにひざまずいた未希嬢は、すでにパンツ一枚になっていたわれらが忠彦クンのパンツを、それはそれはていねいにお脱がせになったのだそうだ。
それはまるで、寝たきりの老人の下の世話をする心やさしきナイチンゲールのようであった――と、後日、忠彦クンは述懐した。
パンツを脱がせると、今度は、よく冷えたおしぼりが、すでに屹立状態にあった忠彦クンのナニにかぶせられた。
未希嬢は、なんと、そのよく冷えたおしぼりで忠彦クンのナニをお拭きになるではないか。それも、バーの部分だけではなく、その下の巾着袋の裏までも、シワシワを伸ばすようにていねいに、入念に、なおかつ執拗に……。
その様子を見て、忠彦クンは、「きっと彼女はこう思っているに違いない」と思ったのだそうである。

その愛情あふれる「除菌・消臭・防虫……」等々の作業が終了すると、未希嬢はやおら、カワハギのような上品な(?)お口を、忠彦クンのその部分におつけあそばし、すみからすみまでテイスティングあそばしたのちに、脈打っている砲身をパクッ……と、その小さなお口にお含みあそばしたのであった。
その瞬間、忠彦クンは、かつて感じたこともない感覚がそこに走るのを感じた。

ちょっと冷ゃっこい感じもするゾ。
なんだ、こりゃ……。
どうやら未希嬢は、事前に、お口の中でスペアミントの溶液か何かをクチュクチュ……とおやりあそばしたらしい。
なんとも「イッタレリーナ、ツクセリーナ!」のおもてなし。
忠彦クンは、美也子嬢の心づくしに、たちまち頂点に登りつめそうになった。

忠彦クンがあるかないかわからない程度の瞳でそう訴えると、未希嬢は、「ちょっと待っててね」と立ち上がって、またもやいずこかへ姿を消した。
ほどなく戻ってきた未希嬢が手にしていたのは、きれいなパッケージに包まれた例のブツ。そう、ヒニング!
未希嬢は、迷うことなくその封を切って、取り出したゴムを忠彦クンのそそり立つものに、正確に、手際よく装着したのだが、ここでもまた、未希嬢の心遣いは、忠彦クンを驚愕させた。

つまり、未希嬢は、忠彦クンの来訪をまるで予期でもしていたかのように、それを冷蔵庫で冷やしておいでになったのだ。
いや、たぶん、そうではない。
いつ、だれが(男が)来てもいいように、それを冷蔵庫で冷やしておいたのだ。

その後のめくるめく時間のことについては、ここで詳細を記述するのは、ヤボというものだろう。
あ、でも、ちょっとだけ言っておくと、未希嬢は、決して受け身ではなかった。
ローズ色のバスローブをいさぎよく脱ぎ捨てると、ベッドの忠彦クンの上に仁王立ち……じゃなかった、仁王ひざ立ちになり、感動にうち震える忠彦クンのナニを手で支え持ったまま、その上に自分から腰をお沈めになった。
しばらく自分が上になってお動きあそばしたのち、「来て」と体を入れ替えて忠彦クンを自分の上に迎えると、今度は、下から腰を突き上げるようにして、あわれなる忠彦クンを絶頂へといざなったのであった――。
さて、その後日談。
このような歓待を受けたわが友、忠彦クン。すっかり未希嬢の虜となり、逢瀬を重ねることになったか――というと、さにあらず。
未希嬢とのことは、その夜限り……となったのであった。
なぜか?
忠彦クンいわく――
〈1〉スキンを冷蔵庫に常備しているような女は、よほど男出入りが激しいに違いない。
〈2〉仮に、出入りが激しくないとしたら、冷蔵庫に香料入りのおしぼりを用意し、スキンまで冷やして待っている女――というのは、いささか痛すぎる。
〈2〉仮に、出入りが激しくないとしたら、冷蔵庫に香料入りのおしぼりを用意し、スキンまで冷やして待っている女――というのは、いささか痛すぎる。
いずれにしても、ご勘弁――というものであった。
筆者も同感。
準備のよすぎる女は、男にはいささか不気味な、また、ある意味、怖い存在でもある。
本日は、そのことを示す、世にも美しいエピソードをお届けいたした次第。
お粗末でした。
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