第63夜☆不倫を責める人は、ほんとは不倫をしたい人?
第63夜
「愛とは何か?」をめぐって、管理人・哲雄がパートナー・AKIを相手に展開する、オヤジ・ギャグ風+ちょっぴりアカデミックおしゃべり。今回は、欲望を意識の奥に隠してしまう「抑圧」という心理プロセスについて話を進めます――。
AKI こないだの「リビドーの昇華」理論によると、ここにいる哲ジイは、満たされないエロ願望を文筆欲に昇華させて、ひたすら書きまくってきた――ということになるわけですね。
哲雄 キ、キミは何というおぞましい言葉を口にするんだ?
AKI ハ? 私、何か言いましたか?
哲雄 分泌欲に消化させて、カキまくった……だなんて、ああ、若い娘が口にする言葉とは思えない。いやだ、いやだ。
AKI おっさん、耳までおかしくなってるワ。もしもし……コラ、ジジイ!
哲雄 言語は人格を形成する。おお、神よ! この穢れし乙女を許したまえ。
AKI ンもう……。あのネ、哲ジイ。そこの官能エッセイスト! 「分泌」じゃなくて「文筆」。「かく」は「カク」じゃなくて、文章を「書く」。
哲雄 あ、あのネ、私は「官能エッセイスト」なんぞになったつもりはありせんよ。あくまで、アカデミックを旗印とする……。
AKI ハイハイ、わかりました。ともかく昇華させたわけでしょ、せこいリビドーを?
哲雄 「せこい」だけ余計です。もし私のリビドーがせこくなかったら、いまごろは……。
AKI 大ポルノ作家になってたとか……? あ、そうか。あれだ。ホラ、手鏡で女子高生のスカートの中を盗撮する大学の先生とか……。
哲雄 あれは、「退行」現象(第59夜「かわいい」に走るのは欲望の退行現象 参照)です。リビドーのレベルを「お医者さんごっこ」に走る「男根期」のレベルまで後退させてしまったんですね。そんなことより、キミだって……。
AKI ハ? 私も「退行」してます?
哲雄 いや。一応、「昇華」させてるんじゃありませんか?
AKI 「イチオウ」って、なんか、引っかかるんですけど……。
哲雄 くすぶるリビドーを、キミは「人に奉仕する」という職業的使命感に昇華させようとして、エステティシャンの道を選んだわけですよ。ところがね、なお昇華しきれずにくすぶり続けるリビドーが存在することに気づいたキミは、その炎を鎮めるために、「性感マッサージ」の領域に足を踏み入れた。
AKI 違いますッ! あれは、純粋に経済的理由ですッ! ふつうのエステだけじゃ、生活できないんだもん。
哲雄 ま、そういうことにしときますか。
AKI ほんとに……ほんとに……そうなんだから……。
哲雄 おお、よしよし。泣かない、泣かない。それでね、私も、キミも、一応、リビドーを昇華させることに成功した。でも、うまくそういう処理ができないままに、リビドーの拒否という事態に直面した人は、前にも言ったように、「代償」できるほかの欲望でその穴埋めをしようとするか、リビドーをもっと前の段階まで「退行」させて、もっと幼稚なレベルでそれを満たそうとする。もうひとつあったよね。
AKI 拒否に直面したリビドーを処理する方法ですか? 何だっけ……?
哲雄 留年決定!
AKI いやですよォ。あ、そうだ! 「抑圧」するんだ!
哲雄 そう。そういう性的欲動にフタをして、無意識の世界に閉じ込めてしまうってやつ。実は、これがいちばんやっかい。
AKI エッ!? どうして?
哲雄 無意識の世界に閉じ込めてしまうわけだから、自分でも、そういう欲動が自分の中にあるってことを意識できない。しかも、このモンスターが再び意識の表面に上って来ないように、厳しく監視してなくちゃいけない。そこで必要になるのが……。
AKI わかった。ガードマンだ!
哲雄 そう。門番役のガードマンだね。では、だれがそのガードマン役を務めるか?
AKI 自分……じゃないの?
哲雄 自分の何?
AKI もしかして、意識……?
哲雄 どんな意識だと思う?
AKI ウーン……。すごく厳しい「意識」だよね。謹厳実直つーか、教育ママみたいなつーか……。
哲雄 一般的には「道徳」と言われてるものだね。自分の欲動を無意識の世界に閉じ込めようとする人の意識は、まずこの「道徳」の旗を掲げて、意識と無意識の境界線に立ちはだかります。
AKI オーッ、怖そう!
哲雄 怖いですよ。抑えつけている欲動が大きければ大きいほど、強力な門番が必要になるからね。このタイプにいちばん特徴的なことは、まず、教条主義的である。
AKI 教条主義的って……?
哲雄 だれかが言ったり、書いたりしたことを、自分で検証しようともしないで、金科玉条のように振り回す、ということです。だから、ものすごく引用が多い。「○○の××先生が言ってました」とか、「TVで○○さんが言ってるわよ。あなた、知らないの?」みたいな言い方をよくする。その「○○」が、占い師とか霊媒師だったりするので、笑っちゃうんだけどね。
AKI いる、いる。そういうタイプの人。だいたい、声大きいよね、そういう人たちって。
哲雄 声も大きいし、言葉も攻撃的。人を「ドロボー猫」呼ばわりしたり、「インラン女」となじったり、よく考えもしないで「人として最低」みたいな言葉を使ったり、戦前だと、「非国民」「売国奴」「アカ」なんて用語に飛びついて、他人を攻撃したりした。
AKI ネ、なにげに思うんですけど、そういう言葉を使うのって、どっちかというと女の人に多くないですか?
哲雄 実は、そうなんだよね。これらはほとんど、「ヒステリー」と呼ばれる精神症状の一種なんだけど、その背景には、押し殺している欲動がある――というのが、精神分析の考え方なんだよね。で、これは私の想像なんだけど、欲望を抑圧することを求められるのは、これまで、どちらかというと、女性のほうが多かった。
AKI だから、女のほうがヒステリーを起こすことが多いってこと? もしかして、不倫なんかとんでもない――なんて叫んでいる人たちの精神構造も、そうなってるのなかなぁ。
哲雄 「不倫」については、元々、「不倫」という言葉自体がおかしい――と、私は思うんだけど、これについては、前に『一夫一妻制度は消滅する!?』(第11夜参照)の中でも触れたし、『結婚は財産問題である』(第1夜)や『結婚式はワイセツである』(第2夜)、『永遠の愛なんて誓ってはいけない』(第3夜)の中でも書いたから、そこらへんをよく復習するように。でね、ここでは、リビドーとの関係で話そうね。
AKI ハイ、ぜひ、聞きたいです。
哲雄 実はね、「不倫はけしからん」なんて言っている人ほど、ほんとは「不倫したい」という欲望を無意識の中に押し込めてるんじゃないか――と、私は思ってるんだ。
AKI わかった。禁煙と同じだ。ほんとは吸いたいけどガマンしてる人ほど、部屋に『禁煙!』なんて貼り紙をデカデカと貼ったりしますよね。
哲雄 うまいこと言うねェ。たぶん、その比較は当たってると思う。だからね、「私、不倫は絶対に許せない」なんて言う女性がいると、私は、その耳元でささやいてみたくなるんだ。
AKI 何て……?
哲雄 キミ、ほんとは、他の男に抱かれてみたい……と思ってるんでしょ――って。
AKI 引っぱたかれますよ。
哲雄 引っぱたかれたら、たぶんTRUE。当たってた、ってことです。
AKI 言っときますけど、私は引っぱたきもしないし、怒りもしませんからね。
哲雄 それは残念。
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AKI ハイハイ、わかりました。ともかく昇華させたわけでしょ、せこいリビドーを?
哲雄 「せこい」だけ余計です。もし私のリビドーがせこくなかったら、いまごろは……。
AKI 大ポルノ作家になってたとか……? あ、そうか。あれだ。ホラ、手鏡で女子高生のスカートの中を盗撮する大学の先生とか……。
哲雄 あれは、「退行」現象(第59夜「かわいい」に走るのは欲望の退行現象 参照)です。リビドーのレベルを「お医者さんごっこ」に走る「男根期」のレベルまで後退させてしまったんですね。そんなことより、キミだって……。
AKI ハ? 私も「退行」してます?
哲雄 いや。一応、「昇華」させてるんじゃありませんか?
AKI 「イチオウ」って、なんか、引っかかるんですけど……。
哲雄 くすぶるリビドーを、キミは「人に奉仕する」という職業的使命感に昇華させようとして、エステティシャンの道を選んだわけですよ。ところがね、なお昇華しきれずにくすぶり続けるリビドーが存在することに気づいたキミは、その炎を鎮めるために、「性感マッサージ」の領域に足を踏み入れた。
AKI 違いますッ! あれは、純粋に経済的理由ですッ! ふつうのエステだけじゃ、生活できないんだもん。
哲雄 ま、そういうことにしときますか。
AKI ほんとに……ほんとに……そうなんだから……。
哲雄 おお、よしよし。泣かない、泣かない。それでね、私も、キミも、一応、リビドーを昇華させることに成功した。でも、うまくそういう処理ができないままに、リビドーの拒否という事態に直面した人は、前にも言ったように、「代償」できるほかの欲望でその穴埋めをしようとするか、リビドーをもっと前の段階まで「退行」させて、もっと幼稚なレベルでそれを満たそうとする。もうひとつあったよね。
AKI 拒否に直面したリビドーを処理する方法ですか? 何だっけ……?
哲雄 留年決定!
AKI いやですよォ。あ、そうだ! 「抑圧」するんだ!
哲雄 そう。そういう性的欲動にフタをして、無意識の世界に閉じ込めてしまうってやつ。実は、これがいちばんやっかい。
AKI エッ!? どうして?
哲雄 無意識の世界に閉じ込めてしまうわけだから、自分でも、そういう欲動が自分の中にあるってことを意識できない。しかも、このモンスターが再び意識の表面に上って来ないように、厳しく監視してなくちゃいけない。そこで必要になるのが……。
AKI わかった。ガードマンだ!
哲雄 そう。門番役のガードマンだね。では、だれがそのガードマン役を務めるか?
AKI 自分……じゃないの?
哲雄 自分の何?
AKI もしかして、意識……?
哲雄 どんな意識だと思う?
AKI ウーン……。すごく厳しい「意識」だよね。謹厳実直つーか、教育ママみたいなつーか……。
哲雄 一般的には「道徳」と言われてるものだね。自分の欲動を無意識の世界に閉じ込めようとする人の意識は、まずこの「道徳」の旗を掲げて、意識と無意識の境界線に立ちはだかります。
AKI オーッ、怖そう!
哲雄 怖いですよ。抑えつけている欲動が大きければ大きいほど、強力な門番が必要になるからね。このタイプにいちばん特徴的なことは、まず、教条主義的である。
AKI 教条主義的って……?
哲雄 だれかが言ったり、書いたりしたことを、自分で検証しようともしないで、金科玉条のように振り回す、ということです。だから、ものすごく引用が多い。「○○の××先生が言ってました」とか、「TVで○○さんが言ってるわよ。あなた、知らないの?」みたいな言い方をよくする。その「○○」が、占い師とか霊媒師だったりするので、笑っちゃうんだけどね。
AKI いる、いる。そういうタイプの人。だいたい、声大きいよね、そういう人たちって。
哲雄 声も大きいし、言葉も攻撃的。人を「ドロボー猫」呼ばわりしたり、「インラン女」となじったり、よく考えもしないで「人として最低」みたいな言葉を使ったり、戦前だと、「非国民」「売国奴」「アカ」なんて用語に飛びついて、他人を攻撃したりした。
AKI ネ、なにげに思うんですけど、そういう言葉を使うのって、どっちかというと女の人に多くないですか?
哲雄 実は、そうなんだよね。これらはほとんど、「ヒステリー」と呼ばれる精神症状の一種なんだけど、その背景には、押し殺している欲動がある――というのが、精神分析の考え方なんだよね。で、これは私の想像なんだけど、欲望を抑圧することを求められるのは、これまで、どちらかというと、女性のほうが多かった。
AKI だから、女のほうがヒステリーを起こすことが多いってこと? もしかして、不倫なんかとんでもない――なんて叫んでいる人たちの精神構造も、そうなってるのなかなぁ。
哲雄 「不倫」については、元々、「不倫」という言葉自体がおかしい――と、私は思うんだけど、これについては、前に『一夫一妻制度は消滅する!?』(第11夜参照)の中でも触れたし、『結婚は財産問題である』(第1夜)や『結婚式はワイセツである』(第2夜)、『永遠の愛なんて誓ってはいけない』(第3夜)の中でも書いたから、そこらへんをよく復習するように。でね、ここでは、リビドーとの関係で話そうね。
AKI ハイ、ぜひ、聞きたいです。
哲雄 実はね、「不倫はけしからん」なんて言っている人ほど、ほんとは「不倫したい」という欲望を無意識の中に押し込めてるんじゃないか――と、私は思ってるんだ。
AKI わかった。禁煙と同じだ。ほんとは吸いたいけどガマンしてる人ほど、部屋に『禁煙!』なんて貼り紙をデカデカと貼ったりしますよね。
哲雄 うまいこと言うねェ。たぶん、その比較は当たってると思う。だからね、「私、不倫は絶対に許せない」なんて言う女性がいると、私は、その耳元でささやいてみたくなるんだ。
AKI 何て……?
哲雄 キミ、ほんとは、他の男に抱かれてみたい……と思ってるんでしょ――って。
AKI 引っぱたかれますよ。
哲雄 引っぱたかれたら、たぶんTRUE。当たってた、ってことです。
AKI 言っときますけど、私は引っぱたきもしないし、怒りもしませんからね。
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