「1億総活躍」すれば、「一夫一妻制」は崩壊する?

「一夫多妻」の世界では、男の財力が「妻の数」を決める、という話を、前回はしました。結婚の形は、経済法則によって動かされる――が持論の哲雄。では、「一夫一妻」の場合はどうなのか? 今回は、動物界を支配する「給餌原則」を使って、その成立過程を検討してみます――。
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哲雄 自ら著作を手がけるエッセイスト。当ブログの管理人です。
AKI 出張エステ嬢として働きながら、作家を目指すアラサーの美女。
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AKI 前回、「一夫一妻」が制度として成立したのも、経済法則がはたらいた結果だ――と、哲ジイは、そうおっしゃいましたよね?
哲雄 経済と言えば、経済。しかし、その経済には、動物的な「給餌法則」も含まれていますからね。話は膨大です。さて、どこから話を始めましょうかね。
AKI じゃ、その動物的なナンチャラ法則……てところからお願いします。
哲雄 「ナンチャラ」じゃなくて「給餌」。つまり、「エサを確保して与える行動」ってことなんだけど、これをどういう関係でどんなふうに行うか? それが、どういうオスとメスの関係を作るかに、大いに関係している――ということなんです。
AKI つまり、「エサのやり方」が「愛のカタチ」を決めるってことなんですね?
哲雄 ロマンチックな中にも下品さがプンプン漂う、AKIクンらしい言い方ですなぁ。それでね、ここからが大事。動物の中で「一夫一妻」のスタイルをとっているのは、オスが配偶者であるメスと子どものエサを十分に確保してきて、メスがしっかり巣を守り、子ども育てている、そういう「種」に限られているんですよ、AKIクン。
AKI そのほうが愛が高まるから――なんていう理由じゃないんでしょうね?
哲雄 AKIクンはそう思いたいかもしれませんが、たぶん、違います。そのほうが、優秀な子孫を残すことができたからです。オスがしっかりエサをとってきて、メスがしっかり育児する。そういう「一夫一妻」のシステムで、ていねいに子どもを育てた個体のほうが優秀な子孫を残せて、結果的に、「種」として淘汰の中を生き抜いていけた――ということだと思います。逆に、給餌行動が十分でないと、子どもの生存率が低くなる。これは、観察的にも確かめられていることなんですよね。
AKI でも、哲ジイ、オスは精子をバラ撒きたいわけでしょ? そのほうが、「子孫を残せ!」という遺伝子の指令には適う――と、前回は、そんな話をお聞きしたような気がしますけど。
哲雄 それは、オスもメスも、どちらもエサをとるという「種」の場合ですね。そういう「種」だと、「一夫多妻」になることが多いようです。「プライド」というハーレムを形成するライオンなんかだと、エサを獲るのもメスの役目。オスは、群れを警護してるだけだったりしますからね。
AKI でも、そうなると、「優秀な子孫」を――ってほうは、どうなっちゃうんですかね?
哲雄 たくさん子どもを作っておけば、その中から次代を託せる強いリーダーが育つかもしれない、と思うんじゃないですか。こっちは、数撃てば当たる、という競争原理の世界ですね。
AKI 質か量かっていう問題ですか。人間は、どっちなんでしょうね?
哲雄 経済と言えば、経済。しかし、その経済には、動物的な「給餌法則」も含まれていますからね。話は膨大です。さて、どこから話を始めましょうかね。
AKI じゃ、その動物的なナンチャラ法則……てところからお願いします。
哲雄 「ナンチャラ」じゃなくて「給餌」。つまり、「エサを確保して与える行動」ってことなんだけど、これをどういう関係でどんなふうに行うか? それが、どういうオスとメスの関係を作るかに、大いに関係している――ということなんです。
AKI つまり、「エサのやり方」が「愛のカタチ」を決めるってことなんですね?
哲雄 ロマンチックな中にも下品さがプンプン漂う、AKIクンらしい言い方ですなぁ。それでね、ここからが大事。動物の中で「一夫一妻」のスタイルをとっているのは、オスが配偶者であるメスと子どものエサを十分に確保してきて、メスがしっかり巣を守り、子ども育てている、そういう「種」に限られているんですよ、AKIクン。
AKI そのほうが愛が高まるから――なんていう理由じゃないんでしょうね?
哲雄 AKIクンはそう思いたいかもしれませんが、たぶん、違います。そのほうが、優秀な子孫を残すことができたからです。オスがしっかりエサをとってきて、メスがしっかり育児する。そういう「一夫一妻」のシステムで、ていねいに子どもを育てた個体のほうが優秀な子孫を残せて、結果的に、「種」として淘汰の中を生き抜いていけた――ということだと思います。逆に、給餌行動が十分でないと、子どもの生存率が低くなる。これは、観察的にも確かめられていることなんですよね。
AKI でも、哲ジイ、オスは精子をバラ撒きたいわけでしょ? そのほうが、「子孫を残せ!」という遺伝子の指令には適う――と、前回は、そんな話をお聞きしたような気がしますけど。
哲雄 それは、オスもメスも、どちらもエサをとるという「種」の場合ですね。そういう「種」だと、「一夫多妻」になることが多いようです。「プライド」というハーレムを形成するライオンなんかだと、エサを獲るのもメスの役目。オスは、群れを警護してるだけだったりしますからね。
AKI でも、そうなると、「優秀な子孫」を――ってほうは、どうなっちゃうんですかね?
哲雄 たくさん子どもを作っておけば、その中から次代を託せる強いリーダーが育つかもしれない、と思うんじゃないですか。こっちは、数撃てば当たる、という競争原理の世界ですね。
AKI 質か量かっていう問題ですか。人間は、どっちなんでしょうね?
哲雄 基本的には、「一夫多妻」だと思いますよ。なにしろ「一夫多妻」または「乱婚」を旨とする霊長類の子孫なわけですから。
AKI でも、「一夫一妻」に移行したわけですよね?
哲雄 いや、移行したとは、全然、言えませんね。全世界的に見ると、いまだに「一夫多妻」のほうが圧倒的に優勢です。この話、最初にしましたよね(

AKI そうか、「一夫一妻制」が標準と考えるのは、先進国だけの話なんですね。それって、やっぱり、キリスト教の影響ですかね?
哲雄 キリスト教は、そんなこと教えてませんけど……。
AKI エッ、そうなんですか? でも、結婚式のときには、「汝、この女を妻とし、健やかなるときも、病めるときも……」って、誓いの言葉を言わされたりしますよ。
哲雄 でも、「この女だけを」とは言ってないでしょ。そもそも、あんな誓いの儀式は、キリスト教とは関係のない、ヨーロッパ世界の契約文化のしきたりです。それを「世俗化」したキリスト教会が採り入れただけの話であって、そんな誓約をしなさい――なんてことは、イエスも言ってないし、『新約聖書』にも書いていない。むしろ、イエスは「誓ってはならない」と言ってるんですからね。
AKI 「誓ってはならない」って、どうして?
哲雄 人は、誓っても、きっと裏切るであろう。そういう不確かな存在であるのだから、「誓います」なんぞと不遜な言葉を吐いてはならない――と、むしろ、戒めています。ま、そんな話をここでしても仕方がありません。ただ、覚えておいていただきたいのは、「一夫一妻制」と「キリスト教」には、何の関係もないということです。
AKI でも、キリスト教圏では、「一夫一妻制」なんでしょ?
哲雄 いまはね。
AKI エッ、いまは? 昔から――じゃないの?
哲雄 少なくとも「近代」になるまでは、西欧のキリスト教世界でも、女性は男性の「所有物」でした。「所有物」ですから、裕福なもの、力を持つ男が「妻」や「愛人」として多くの女を所有し、貧しく、力のない男は少なく所有するか、あるいは所有できない。
AKI 「所有できない」ってことは、結婚できないってこと?
哲雄 そうです。特に貧しい階層には、結婚できない人たちが、大勢いました。しかしね、AKIクン、それでは困る――という事態が生じてしまうんですよね。何だかわかりますか?
AKI もしかして、性犯罪が増加した――とか?
哲雄 ま、そういうこともあったかもしれませんが、それは、いまだってありますしね。問題になったのは、産業革命以降なんです。産業革命以降、ヨーロッパの都市には、工場がひしめき合うようになるんですが、そうなると、何が必要になるでしょう?
AKI ウーン……人手かな?
哲雄 ピンゴ! 人手、つまり労働力ですね。その労働力をどうやって調達するか?
AKI 田舎から連れてくる?
哲雄 最初は、そこからスタートしました。歴史の教科書にも出てくる「囲い込み運動」などですね。日本でも、農村から人手をかき集めたりしていました。でも、その次の世代、そのまた次の世代をどうするか――ってなったとき、当時の支配階級は気づくんですね。
「労働力」は、「再生産」するしかない。
そのためには、労働者自身に労働者を育てさせるしかない。
――ってね。
AKI つまり、将来、「労働者」になる子どもを作らせろ――ってこと?
哲雄 そのとおり。そのためには、労働者ひとりひとりに妻をあてがって、健全な家庭を営ませ、健全な労働者を育ててもらわなくてはならない。つまり、「一夫一妻」を制度として定着させる必要がある。そう考えるようになったわけですね。
AKI 「一夫一妻制」は、そんなに古い話じゃないんですね?
哲雄 古い話じゃありません。19世紀になってからの話ですから、
人類が「一夫一妻制」を獲得してから、まだ、200年経つか経たないか。
日本の場合だと、明治31年(1898年)の民法改正で「一夫一妻」が定められてからですから、たかだか100年ちょっとしか経ってないわけです。
AKI それが、「一夫一妻制」を成立させている「経済法則」?
哲雄 そのひとつです。でもね、AKIクン、最初に動物の世界の話をしましたけど、この経済法則の中では、ある条件が前提となっています。それは――
オス=男性が、メス=女性を完全に扶養して、
メス=女性が、子ども=子孫を完全に育てる。
という条件なのですが、ここへ来て、その条件に重大な変化が起こっています。
AKI わかった! 女性の社会進出だ!
哲雄 正解! 女性が社会に出て働くことが当たり前の時代になりました。そうなると、「一夫一妻制」を成立させていた「給餌原則」が崩れてしまいます。
AKI 大変! 「一夫一妻制」、壊れてしまうじゃありませんか。
哲雄 実際、壊れかかっていると思いますよ。離婚率は急上昇しているし、最初から「結婚を望まない」という未婚男性や未婚女性も急増して、いまや「生涯未婚率」が男性の場合で30%を超えるなんていう、異常な時代になっています。
AKI 女性の社会進出がいけなかったんですかねェ。
哲雄 いや、女性の社会進出そのものは、多いに歓迎すべきことだと思いますよ。問題は、それが「一夫一妻」という結婚制度に合わなかった――ということだと思います。その問題を解決しないで、「1億総活躍!」なんて言うのは、私に言わせれば、ちゃんちゃらおかしい。
AKI 哲ジイは、結婚制度のほうを何とかしろ――というわけですか?
哲雄 ま、放っておいても、「一夫一妻制」は崩壊するでしょうけどね、このまま、「1億総活躍」なんて言い続けていたら。
AKI そ、そうなんですか?
哲雄 その崩壊のシナリオについて語る前に、人類が「一夫一妻制」を採用するにいたった、もうひとつの経済法則に触れておきたいと思うのですが、今回は、時間がなくなってしまいました。
AKI ハイ、では次回に期待しておりますです。
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