「妻の数」が「財力」に比例する「一夫多妻」の世界

前回の「一妻多夫」の話に続いて、今回は「一夫多妻」の話。この婚姻制度を成立させているのは、経済法則。カギを握るのは、男の「財力」なのですが、そこには、「社会救済」という意義も込められていました――。
Talker
哲雄 自ら著作を手がけるエッセイスト。当ブログの管理人です。
AKI 出張エステ嬢として働きながら、作家を目指すアラサーの美女。
【今回のキーワード】 ハーレム 一夫多妻
【SEOリンク・キーワード】 エロ 恋愛 恋愛小説 オーガズム コミュニケーション 不倫
AKI 前回は、「一妻多夫」がどういう場合に成立するか――という話をお聞きしたわけですが、では、「一夫多妻」のほうはどうか? そこにも、経済法則がはたらく。哲ジイはそうおっしゃいましたよね?
哲雄 第二義的には――と申し上げました。第一義的には、「汝のコピーをより多く残せ!」という遺伝子の指令に、「一夫多妻」のほうが都合がいいと判断されれば、動物はより多くのメスを支配下におさめて、自分の子どもを産ませようとします。特に、群れを作る動物のうち、ボスがいて、二番手がいて……というふうに、階層のある社会を作る動物は、権力を持ったオスが複数のメスを支配下に置くという場合が、多いと思います。
AKI サル山のサルとか……?
哲雄 同じく霊長類の血を引く人間にも、その遺伝子は受け継がれていると思います。しかしね、AKIクン、そこで「第二義的には」と申し上げた経済法則がはたらくんですね。わかりやすく言うと、そんなに何人も妻を抱えて、食わせていけるのか――という問題です。
AKI てことは、お金持ちでなくちゃ、何人もの妻は養えない――と。そういうことですね?
哲雄 お金があるということは、広大な農園を持っているとか、領地を所有しているとか、多くの家畜を抱えているということです。そして、そういう財産を守るための武力を保有しているということでもあります。
AKI つまり、お金があって力持ちってことかぁ。
哲雄 そうじゃないと、「ハーレム」は作れないでしょうね。王侯クラスになると、妻の数もハンパじゃなかったようですよ。記録に残っているもっとも豪華なハーレムは、モロッコの皇帝、ムレイ・イスマイルのハーレムなんだけど、この皇帝、なんと侍らせた妻たちに、全部で888人の子どもを産ませたそうです。
AKI エーッ、888人? そんなにいたら、子どもの名前も覚えてないでしょうね?
哲雄 子どもの名前どころか、妻の名前だって怪しいものです。「あんた、だれだっけ? エッ、私の子どもを産んだ? ホント?」てなものでしょう。こうなると収拾がつかないので、ほんとうにその子が「皇帝の子」であるかどうかを認定するための「認知省」なんてものが設立された。
AKI ウソォ!
哲雄 ハイ、ウソです。でもね、それだけの人数の妻がいて、子どもがいたら、もはや、「夫vs妻」「親vs子」といった一対一の個人的なコミュニケーションは成り立ちません。こんな巨大ハーレムは、もはや「子作り工房」と呼ぶべきかもしれませんね。かつての中国の皇帝も、多かれ少なかれ、似たような存在だったようですよ。
AKI ワァ、やだ。どんなにお金を積まれたって、そんなハーレムに入りたくなんかないわ。でも、それでも、ハーレムに入る女性がいたのは、どうしてなんでしょうね?
哲雄 第二義的には――と申し上げました。第一義的には、「汝のコピーをより多く残せ!」という遺伝子の指令に、「一夫多妻」のほうが都合がいいと判断されれば、動物はより多くのメスを支配下におさめて、自分の子どもを産ませようとします。特に、群れを作る動物のうち、ボスがいて、二番手がいて……というふうに、階層のある社会を作る動物は、権力を持ったオスが複数のメスを支配下に置くという場合が、多いと思います。
AKI サル山のサルとか……?
哲雄 同じく霊長類の血を引く人間にも、その遺伝子は受け継がれていると思います。しかしね、AKIクン、そこで「第二義的には」と申し上げた経済法則がはたらくんですね。わかりやすく言うと、そんなに何人も妻を抱えて、食わせていけるのか――という問題です。
AKI てことは、お金持ちでなくちゃ、何人もの妻は養えない――と。そういうことですね?
哲雄 お金があるということは、広大な農園を持っているとか、領地を所有しているとか、多くの家畜を抱えているということです。そして、そういう財産を守るための武力を保有しているということでもあります。
AKI つまり、お金があって力持ちってことかぁ。
哲雄 そうじゃないと、「ハーレム」は作れないでしょうね。王侯クラスになると、妻の数もハンパじゃなかったようですよ。記録に残っているもっとも豪華なハーレムは、モロッコの皇帝、ムレイ・イスマイルのハーレムなんだけど、この皇帝、なんと侍らせた妻たちに、全部で888人の子どもを産ませたそうです。
AKI エーッ、888人? そんなにいたら、子どもの名前も覚えてないでしょうね?
哲雄 子どもの名前どころか、妻の名前だって怪しいものです。「あんた、だれだっけ? エッ、私の子どもを産んだ? ホント?」てなものでしょう。こうなると収拾がつかないので、ほんとうにその子が「皇帝の子」であるかどうかを認定するための「認知省」なんてものが設立された。
AKI ウソォ!
哲雄 ハイ、ウソです。でもね、それだけの人数の妻がいて、子どもがいたら、もはや、「夫vs妻」「親vs子」といった一対一の個人的なコミュニケーションは成り立ちません。こんな巨大ハーレムは、もはや「子作り工房」と呼ぶべきかもしれませんね。かつての中国の皇帝も、多かれ少なかれ、似たような存在だったようですよ。
AKI ワァ、やだ。どんなにお金を積まれたって、そんなハーレムに入りたくなんかないわ。でも、それでも、ハーレムに入る女性がいたのは、どうしてなんでしょうね?
哲雄 それしか生きる道がない女性たちがいた――っていうこともあるかもしれません。女性であれば、だれだって、女として愛情を受け、大事に扱われたいと願うでしょうし、自分が産んだ子どもをかわいがってもらいたいとも思うでしょう。しかし、ハーレムが大きくなればなるほど、その願いはかなえられなくなります。それでもハーレムに入るかどうか? それを決めるのは、ハーレムの一員となることによって得られる、経済的メリットと精神的充足のバランスでしょうね。
AKI 経済的メリット――って言うと、つまり、お金?
哲雄 お金というより、もっと切実なものでしょうね。衣食住が十分に満たせるか、というのが、もっとも大きな要素だと思います。それが十分と思えれば、たとえたっぷり愛してもらえなくても、第××夫人という地位であっても、甘んじて受け入れる。しかし、それが十分でないと思えば、第2夫人であっても第3夫人であっても、「NO」を言うかもしれない。これは、一般論なんですが、私は思うんですよ。
ハーレムにおいて、女性が「経済的メリット」に動かされる程度は、
妻の人数が多いほど、高くなるに違いない
――と。
AKI 何となくわかる気がします。妻が2人とか3人であれば、妻同士が火花を散らし合って、より多くの愛を得ようとするかもしれませんけど、その妻が何十人、何百人も……ってなると、女同士で角突き合わせている場合じゃありませんものね。後は、条件次第ってことでしょう。まるで、就活ですね、こうなると。
哲雄 「妻の座」をめぐる「就活」ですか? キミも面白い見方をしますねェ。しかし、まんざら的外れとも思えない。ただね、妻が何十人も何百人も――っていうのは、国王や皇帝など、ごく限られた権力者の場合だけ。「一夫多妻」がふつうに行われている西アフリカやイスラム圏では、「多妻」と言っても、一般男性が持つ妻の数は、せいぜい、3人とか4人ぐらいまでなんですよね。イスラムの世界では「妻は4人まで」と定められています。
AKI ヘェ、そうなんですか。でも、そうなると、やっぱり女同士の争いが発生するんじゃありませんか?
哲雄 そういう世界もあるかもしれません。ただね、「一夫多妻」を認めているイスラムの世界では、その争いがあまり起こらない。というのも、イスラムの教えの中に、「妻は平等に扱いなさい」というのがあるからなんです。
AKI あら、いい教えじゃありませんか。
哲雄 そう思うでしょ? 少なくとも、「ゲス不倫」なんぞという汚い言葉を使って、女同士を差別的に扱うどこかの国とは、えらい違いです。
AKI どうして、そういう教えが登場したんでしょうね?
哲雄 ひとつには、男が足りなかったからだ――と言われています。
AKI 男が足りない? どうして……?
哲雄 イスラム教が広がっていった時代というのは、戦争に次ぐ戦争でしたからね。戦死する男たちが多くて、イスラム世界は全般に「男不足」でした。夫を亡くして「寡婦」となる女性も多くなったし、孤児も増えた。そこでムハンマドが打ち出したのが、「妻を複数迎えて、寡婦や孤児を救え」でした。コーランには、こう記されています。

もしおまえたちが孤児を公正に扱いかねることを心配するなら、気に入った女を2人なり3人なり、あるいは4人なり娶れ。もし妻を公平に扱いかねることを心配するなら、1人だけを、あるいは自分の右手が所有するものを娶っておけ。いずれにも偏しないためには、これがもっともふさわしい。
AKI 「一夫多妻」は、寡婦や孤児を救う社会的救済策でもあったわけですね?
哲雄 そうなんですよ。これによって、寡婦となった女性たちが売春に走ったり、孤児たちが犯罪に走ったりする危険を防止しようとした、とも言えます。しかしね、AKIクン、妻たちを公平に扶養せよというのは、男にとっては、かなりな負担になります。
AKI ま、そうでしょうね。妻ひとりを扶養するのだって大変なんですから。
哲雄 なので、それほど豊かではないふつうの男たちは、「一夫一妻」。イスラムと聞くと、「奥さんは何人?」と思う人もいるかもしれませんが、ふつうの家庭は「奥さんひとり」なんですよ。トルコなどでは、法律が「一夫多妻」を禁じていますしね。
AKI あら、そうだったんですか。私、知らなかった。
哲雄 では、「一夫一妻」のほうはどうか? ここにも実は、経済法則がからんでくるんですよ。AKIクンは知りたくないかもしれませんけど……。
AKI いや、知りたいですッ! ぜひ、知りたい!
哲雄 ハイ。では、その話は次回に。
筆者の最新小説、キンドル(アマゾン)から熱烈発売中です!

一生に一度も結婚できない「生涯未婚」の率が、男性で30%に達するであろう――と予測されている「格差社会」。その片隅で「貧困」と闘う2人の男と1人の女が出会い、シェアハウスでの共同生活を始めます。新しい仲間も加わって、築き上げていく、新しい家族の形。ハートウォーミングな愛の物語です。
「Kindle」は、「Amazon.com」が世界中で展開している電子本の出版・販売システム。「Kindle専用端末」があればベストですが、なくても、専用のビューアーをダウンロード(無料)すれば、スマホでも、タブレットでも、PCでも読むことができます。タイトルまたは写真をクリックして、ダウンロードしてください。
2016年3月発売 定価:342円 発行/虹BOOKS
妻は、おふたり様にひとりずつ (小説)
既刊本もどうぞよろしく タイトルまたは写真をクリックしてください。



【左】『聖少女~六年二組の神隠し』
2015年7月発売 定価/122円
教師のビンタが支配する教室から、突如、姿を消した美少女。卒業から40年経って、ボクはその真実を知ります。
【右】『『チャボのラブレター』
2014年10月発売 定価122円
美しい養護教諭と「ボク」の、淡い恋の物語です。
「Kindle」は、「Amazon.com」が世界中で展開している電子本の出版・販売システム。「Kindle専用端末」があればベストですが、なくても、専用のビューアーをダウンロード(無料)すれば、スマホでも、タブレットでも、PCでも読むことができます。タイトルまたは写真をクリックして、ダウンロードしてください。
2016年3月発売 定価:342円 発行/虹BOOKS
妻は、おふたり様にひとりずつ (小説)
既刊本もどうぞよろしく タイトルまたは写真をクリックしてください。
2015年7月発売 定価/122円
教師のビンタが支配する教室から、突如、姿を消した美少女。卒業から40年経って、ボクはその真実を知ります。
【右】『『チャボのラブレター』
2014年10月発売 定価122円
美しい養護教諭と「ボク」の、淡い恋の物語です。

管理人は常に、下記3つの要素を満たせるように、脳みそに汗をかきながら、記事をしたためています。
あなたの押してくださったポイントを見ては、喜んだり、反省したりの日々です。
どうぞ、正直な、しかしちょっぴり愛情のこもった感想ポチをお送りください。よろしくお願いいたします。



→このテーマの記事一覧に戻る →トップメニューに戻る
- 関連記事
-
- 「1億総活躍」すれば、「一夫一妻制」は崩壊する? (2017/04/01)
- 「妻の数」が「財力」に比例する「一夫多妻」の世界 (2017/03/17)
- なぜ、人類は「一妻多夫」を選ばなかったのか? (2017/03/05)