「タバコ」と「不倫」は、なぜ、執拗に叩かれるのか?

「幸せそうな家族」は、みな、似通って見える。前回は、そんな話をしました。そこに働くのは「モノカルチャー」な価値観。「モノ化」された社会は、「異質な者」を排除しようとします。そのホコ先は、「攻撃しやすい弱者」へと向けられます。血祭に上げられたのは、「タバコ」であり、「不倫」である――。
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哲雄 自ら著作を手がけるエッセイスト。当ブログの管理人です。
AKI 出張エステ嬢として働きながら、作家を目指すアラサーの美女。
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AKI 「幸せな家族」……というか、「幸せに見せようとしている家族」は、どこもみな、似通って見える。前回は、そんな話をしたんですよね?
哲雄 似通って見えるのは、そういう家族の価値観とかライフ・スタイルとかが、「モノカルチャー化」しているからで、
「モノカルチャー化」した社会は、「異質なもの」を排除しようとする。
それが、「いじめ」や「差別」につながることもある、
という話をしました。
AKI 「モノ=単一の」ではなくて「ポリ=複数の」にせよ。哲ジイは、そう主張したいわけですよね?
哲雄 ハイ、何事にせよ、そう思います。だってAKIクン、考えてごらんなさいよ。国や会社の指導者が「モノ」になっちまって、「この人の言うことだけが正しい」ってなっちゃったら、それは、独裁でしょ?
AKI 会社だとワンマン経営ってことになってしまいますよね。
哲雄 では、ものの考え方が「モノ」になってしまったらどうでしょう? たとえば、日本は「神の国」だから、神社の神様以外は拝んではいけない――てなことになったら?
AKI そりゃ、大変ですわ。クリスマスなんてとんでもないってことになっちゃうわけでしょ? イスラム? そんなもん、入国させるな――ってことになりますよね?
哲雄 実際に、どこかの国では、そういうことが起こりつつありますよね。日本も、戦前はそうでした。「廃仏毀釈」なんて動きが起こって、仏教を日本の文化から排除しようとしたり、「キリスト教禁止令」を出そうとしたりしましたからね。さすがに、それはやりませんでしたが、戦時中になると、「メリー・クリスマス」なんてやってると、とんでもないことになりました。「この非常時に、敵性の文化にうつつを抜かすなんて、この非国民め!」と官憲の弾圧を受けたり、国防婦人会のおばちゃんたちが飛んできたりしました。
AKI よかった。私、そんな時代に生まれてこなくて……。
哲雄 でもね、AKIクン、いまもそんな時代かもしれませんよ。たとえば、先の昭和天皇が崩御されたときも、国民は「喪に服すべき」という考えが国中を支配して、「歌舞音曲は慎もう」なんていう空気が作られてしまいました。だれが命じたわけでもなく、天皇もそんなことは望んではいなかっただろう――と思うのに、いつの間にか、そんな空気がだれかによって作られ、いったん、どこかでそんな空気が生まれてしまうと、それがあっという間に全国に広がって、国全体の空気になってしまいました。
AKI ヘーッ、生まれる前のことなので、よくわかりませんが、そうだったんですか?
哲雄 エッ、生まれる前……?
AKI やだ。そんなところで指折って数えないでくださいよ。
哲雄 似通って見えるのは、そういう家族の価値観とかライフ・スタイルとかが、「モノカルチャー化」しているからで、
「モノカルチャー化」した社会は、「異質なもの」を排除しようとする。
それが、「いじめ」や「差別」につながることもある、
という話をしました。
AKI 「モノ=単一の」ではなくて「ポリ=複数の」にせよ。哲ジイは、そう主張したいわけですよね?
哲雄 ハイ、何事にせよ、そう思います。だってAKIクン、考えてごらんなさいよ。国や会社の指導者が「モノ」になっちまって、「この人の言うことだけが正しい」ってなっちゃったら、それは、独裁でしょ?
AKI 会社だとワンマン経営ってことになってしまいますよね。
哲雄 では、ものの考え方が「モノ」になってしまったらどうでしょう? たとえば、日本は「神の国」だから、神社の神様以外は拝んではいけない――てなことになったら?
AKI そりゃ、大変ですわ。クリスマスなんてとんでもないってことになっちゃうわけでしょ? イスラム? そんなもん、入国させるな――ってことになりますよね?
哲雄 実際に、どこかの国では、そういうことが起こりつつありますよね。日本も、戦前はそうでした。「廃仏毀釈」なんて動きが起こって、仏教を日本の文化から排除しようとしたり、「キリスト教禁止令」を出そうとしたりしましたからね。さすがに、それはやりませんでしたが、戦時中になると、「メリー・クリスマス」なんてやってると、とんでもないことになりました。「この非常時に、敵性の文化にうつつを抜かすなんて、この非国民め!」と官憲の弾圧を受けたり、国防婦人会のおばちゃんたちが飛んできたりしました。
AKI よかった。私、そんな時代に生まれてこなくて……。
哲雄 でもね、AKIクン、いまもそんな時代かもしれませんよ。たとえば、先の昭和天皇が崩御されたときも、国民は「喪に服すべき」という考えが国中を支配して、「歌舞音曲は慎もう」なんていう空気が作られてしまいました。だれが命じたわけでもなく、天皇もそんなことは望んではいなかっただろう――と思うのに、いつの間にか、そんな空気がだれかによって作られ、いったん、どこかでそんな空気が生まれてしまうと、それがあっという間に全国に広がって、国全体の空気になってしまいました。
AKI ヘーッ、生まれる前のことなので、よくわかりませんが、そうだったんですか?
哲雄 エッ、生まれる前……?
AKI やだ。そんなところで指折って数えないでくださいよ。
哲雄 ま、いいでしょう。でね、AKIクン、私が申し上げたかったのは、
日本人というのは、そうして、
気分や考え方が「モノ=単一」に染まってしまう性質が、とても強い。
そういうDNAを持っている

――ということなんです。
AKI それ、日本人に特有なんですか?
哲雄 いいえ、そういう傾向は、アメリカ人だって、フランス人だって持っていると思いますよ。ただ、日本人には、特に強い。というのも、日本人は、エゴグラムで言うところの「順応する子ども」的自我要素(=AC)が、図抜けて高い――と言われているからです。
AKI 「順応する子ども」ですか? それって……?
哲雄 ひと言で言うと、親や教師などの言うことに順応して、よい評価を得ようとする性質のことです。あ、「エゴグラム」については、このブログの「愛の会話力レッスン」の中で詳しく解説していますから、そちらを参照してくれたまえ。

AKI その「AC要素」が強いピープルが作る社会には、「モノカルチャー化」する危険がある――ってことなんですね?
哲雄 そう言っていいと思いますよ。アメリカでは、トランプ旋風があれだけ吹き荒れていても、「いや、私はトランプなんて認めない」という人たちが集まって、デモをやったり、集会を開いたりしてるでしょ? でも、日本だと、いったん、空気がどちらかに傾くと、そういうことが起こりにくい。すぐ、「空気読めないのか?」という非難が向けられてしまいますしね。
AKI 政治の世界はともかくとして、それ、会社とか、学校とか、サークルとかではよくありますよね。私もよく言われたもの、「空気読めよ」って。
哲雄 「モノカルチャー」な世界では、ある価値観や感情、意見などが優勢になると、それに沿わない、沿おうとしない個人は、「異質な分子」として「排除」される傾向にあります。「排除」は、いろんな形で行われます。「いじめ」というのもあるし、「無視」というのもある。よってたかって非難するというのもありますし、その非難には、「デマ」や「誇張」が加えられることもあります。
AKI いやな世界ですね、それ。
哲雄 ハイ、考えただけでゾッとします。でもね、AKIクン、どうも世界は、そっちのほうに向かいそうな気配を見せています。大きくは、社会から「異質な人種」を排除する、「異質な宗教」を排除する、「異質な思想」を排除する、同性愛者を排除する、トランスジェンダーを排除する……などといった動きが、すでに、世界のあちこちで始まっています。
AKI 小さいほうでは……?
哲雄 もう、それはいろいろなところに見られますねェ。私は思うんですよ。
社会が「不都合な人間」を「排除」しようとする動きは、
実は、家庭の中から始まっているんじゃないか

――ってね。
AKI 家庭の中から――ですか? たとえば……?
哲雄 いちばんわかりやすいのは、「喫煙」する夫をベランダとか、屋外に「排除」してしまう「非喫煙者」の妻。
AKI でもね、哲ジイ。「喫煙」が体にわるいっていうのは、もう常識なんだから、部屋の中で吸おうとしたら、私でも、「外で吸って」って追い出しちゃうかもしれない。
哲雄 ま、「排除」しようとする人間は、だいたい、そういう言い方をしますわなぁ。でもね、AKIクン、「喫煙」が体にわるいっていうのは、もう「常識」なんだから――と、キミは言いましたが、ほんとうにそうなんだろうか? どうやらわるいらしいというのは、あくまで疫学的にそう言われているだけで、タバコの成分の何が、どういう仕組みで体に害を及ぼすのか、その医学的メカニズムは、まだ解明されていません。肺がんの発生数と喫煙の有無を統計的に調べた結果、「喫煙者に肺がんが多い」ということを、どこかの医者が声高に主張したことから、「タバコ」が悪者にされてしまっているだけのように、私には思えるんですよね。
AKI エッ、そこから議論するんですか、哲ジイ?
哲雄 しかし、メカニズムは解明されてなくても、確かに、喫煙によって肺活量が減ったなぁとか、痰がからむようになったなぁとか……は感じますから、「吸う」よりは「吸わない」ほうがいいのかもしれないなぁ、ぐらいは思いますよ。しかしね、それを、「吸わないのが常識」と問答無用に切り捨て、汚いものでも見るように、「シッシッ」と追い出してしまうようなマネをするのは、私には、「過剰反応」としか思えません。だったら、飲酒はどうなのよ、おまえさんがまき散らしているクルマの排ガスはどうなのよ、おまえさんが私に食わせる防カビ剤まみれのレモンの輪切りはどうなのよ――と、言いたくなっちゃうんですよね、私は。
AKI けっこう、依怙地なんだよな、このジジイ。でも、確かに、タバコを問題にするわりに、クルマの排ガスとかには、みんな、けっこう無頓着な気はします。
哲雄 そういう人に限って、食器を漂白剤溶液に長時間浸して、「ホラ、きれいになったでしょ?」って喜んで見せたりするんだよね。
AKI エッ、漂白剤に浸しちゃいけないの?
哲雄 メーカーは、「いけない」とは言ってません。でもね、漂白剤は、言ってみれば猛毒です。そこに陶器を長時間浸したりすれば、その成分は、陶器の中にしみ込んでしまいます。よく水洗いすればいいのよ――と言う人もいますが、洗っただけじゃ、生地の中にしみ込んだ猛毒成分は、洗い落とせませんからね。
AKI つまり、タバコだけが悪者扱いされるのが、哲ジイにはガマンできないんだ?
哲雄 確かに、「なぜ、タバコだけを?」という気はします。しかしね、別にそれでひねてるわけじゃありませんよ。ただね、覚えておいてほしいんです。
この社会が躍起になって何かを「排除」しようとするとき、
その標的になるのは、たいていの場合、「排除しやすいもの」である
――ってことをです。
AKI つまり、それも「弱いものいじめ」である――と。哲ジイは、そこを主張したいわけですね?
哲雄 ハイ、そのとおり。その代表が、「喫煙」であり、「不倫」である。そういう責めやすいところを見つけると、世の中は、寄ってたかって、そこを叩きにかかる。私は、そういう世の中に空恐ろしさを感じるわけです。
AKI そういう世の中にしないためには、「モノ」に走るな――と? 哲ジイが「ポリ」にせよって言うのは、そういう理由からなんですね。
哲雄 「ポリ」にせよ――というのは、自分とは違う「異なる考え方」の価値も尊重しなさいってことなんだよね。これを、「多文化主義」と言うんだけど、その話は次回にしましょうか?
AKI 次回はぜひ、「ポリ」な恋愛の話をお聞きしたいですわ。
哲雄 ハイ、それ、得意な話ですから。
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管理人は常に、下記3つの要素を満たせるように、脳みそに汗をかきながら、記事をしたためています。
あなたの押してくださったポイントを見ては、喜んだり、反省したりの日々です。
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