「幸せな家族」は、なぜ、みんな似通って見えるのか?

前回、「不寛容な社会」を作り出すベースは「利己的な家族」にある、という話をしました。「利己的な家族」は、みな一様に「幸せそう」に見える。そして、「幸せそうな家族」は、みんな似通って見える。それは、そんな家族が抱えている価値観が「モノカルチャー」だからだ。今回は、そんな話を――。
Talker
哲雄 自ら著作を手がけるエッセイスト。当ブログの管理人です。
AKI 出張エステ嬢として働きながら、作家を目指すアラサーの美女。
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AKI ね、哲ジイ。その話、ほんとうですか?
哲雄 ハ……その話というのは?
AKI 前回、最後にチラ……とおっしゃったではありませんか? 愛人がひとりだけだと、男は、妻からも愛人からも責められて、身の置き場がなくなるけど、その愛人が3人、4人となると、争いはまず、女同士の間で起こるから、男は、あぐらをかいていられる――って?
哲雄 あぐらをかいて――とは、申し上げなかったと思いますよ。ただね、こうは言える、という話をしました。ある人間が、特定の人間から「不寛容」な攻撃を受けることになった場合、攻撃の対象が単体だと、その敵意はその身で一身に受けることになるが、攻撃の対象が複数だと、敵意は分散され、攻撃の矛先も鈍る。権力者は、大衆の敵意や憎悪が自分たちに向けられるのを防ぐために、ときには意図的に、「仮想敵」を作り出すことがある。そういう話をしたつもりですがね。
AKI トランプが「メキシコ移民」を攻撃の対象としてまつりあげたように――という話でしたよね。
哲雄 かつて、帝国主義時代の日本も、似たようなことをしましたけどね。ま、そこらへんの話は、言い出すとキリがないので、ここらへんにしておきましょうか。それでね、AKIクン、こういう「仮想敵」作戦にまんまと乗せられてしまう民衆の意識は、どこで、どうやって作り出されるか? 今回は、そんな話をしてみようかと思うのです。
AKI 前々回のトークでは、「利己的な家族」がその素になっているのではないか――という話をしたんですよね?
哲雄 ハイ、そうでしたね。今回は、その「利己的な家族」のどこが問題かを、もう少し掘り下げてみたいと思うのですが、AKIクンの部屋は、禁煙ですか?
AKI 一応、室内は「禁煙」ってことにしてますが、それが何か?
哲雄 トイレは、男性も「座りション」ですか?
AKI こう見えても女子ですから、トイレは「座りション」ですが、男性はお迎えしたことがないので……。
哲雄 まな板は厳重に抗菌剤入りの洗剤で洗い、ソファやカーテンには、消臭剤入りの芳香スプレーを振りかけたり……とかは?
AKI ま、なにげにしてはおりますが……。
哲雄 出前は、たいていピザの宅配ですませたりしてます?
AKI ハイ、よく利用させていただいております。
哲雄 ま、そんなところですか。フム……。
AKI 何が「フム」なんですか?
哲雄 ハ……その話というのは?
AKI 前回、最後にチラ……とおっしゃったではありませんか? 愛人がひとりだけだと、男は、妻からも愛人からも責められて、身の置き場がなくなるけど、その愛人が3人、4人となると、争いはまず、女同士の間で起こるから、男は、あぐらをかいていられる――って?
哲雄 あぐらをかいて――とは、申し上げなかったと思いますよ。ただね、こうは言える、という話をしました。ある人間が、特定の人間から「不寛容」な攻撃を受けることになった場合、攻撃の対象が単体だと、その敵意はその身で一身に受けることになるが、攻撃の対象が複数だと、敵意は分散され、攻撃の矛先も鈍る。権力者は、大衆の敵意や憎悪が自分たちに向けられるのを防ぐために、ときには意図的に、「仮想敵」を作り出すことがある。そういう話をしたつもりですがね。
AKI トランプが「メキシコ移民」を攻撃の対象としてまつりあげたように――という話でしたよね。
哲雄 かつて、帝国主義時代の日本も、似たようなことをしましたけどね。ま、そこらへんの話は、言い出すとキリがないので、ここらへんにしておきましょうか。それでね、AKIクン、こういう「仮想敵」作戦にまんまと乗せられてしまう民衆の意識は、どこで、どうやって作り出されるか? 今回は、そんな話をしてみようかと思うのです。
AKI 前々回のトークでは、「利己的な家族」がその素になっているのではないか――という話をしたんですよね?
哲雄 ハイ、そうでしたね。今回は、その「利己的な家族」のどこが問題かを、もう少し掘り下げてみたいと思うのですが、AKIクンの部屋は、禁煙ですか?
AKI 一応、室内は「禁煙」ってことにしてますが、それが何か?
哲雄 トイレは、男性も「座りション」ですか?
AKI こう見えても女子ですから、トイレは「座りション」ですが、男性はお迎えしたことがないので……。
哲雄 まな板は厳重に抗菌剤入りの洗剤で洗い、ソファやカーテンには、消臭剤入りの芳香スプレーを振りかけたり……とかは?
AKI ま、なにげにしてはおりますが……。
哲雄 出前は、たいていピザの宅配ですませたりしてます?
AKI ハイ、よく利用させていただいております。
哲雄 ま、そんなところですか。フム……。
AKI 何が「フム」なんですか?
哲雄 日本の平均的な「幸せに見える家族」は、どこも似たような生活上のスタンダードを持っているように、私には見えるのですが、キミも、そのパターンにだいたいははまってるなぁ――と思ったわけです。
AKI お言葉ですが、私はまだ「家族」を成してはおりませんし、別に「幸せ」と感じてもおりませんわ。
哲雄 いいのです、主観的にはどうであっても。周囲から「幸せ」に見えていればいいのです。「幸せに見える家族」というのは、「幸せに見せようとしている家族」と言ってもいい。それがね、私には、ものすごく「モノカルチャー化」しているように、私には感じられるんです。
AKI モノカルチャー? なんじゃ、それ?
哲雄 「モノカルチャー」というのは、元々は、「単一栽培」を表す言葉として使われました。ひとつの地域の農業作物が、単一の作物に集約されてしまう現象を指していたんですけどね、そこから転じて、ある集団もしくはある地域の文化が、単一の文化に染まってしまう現象、あるいは「単一の価値」で語られるようになる現象を表す言葉としても、使われるようになりました。
AKI つまり、哲ジイの言う「幸せに見える家族」ていうか「幸せに見せようとしている家族」は、みんな単一の価値に染まっているように見える――ということですか?
哲雄 そうですね。「幸せに見せようとしている家族」は、「幸せと感じていたい家族」と言っていいかと思うのですが、その「幸せ感」はどこから来るかと言うと、「あの人たちよりはまし」という「優位感」だろうと思います。
AKI 「あの人たち」というのは?
哲雄 いろいろあるでしょうね。「貧困な人たち」というのもあるだろうし、「子どもをいい学校に入れられない人たち」てのもあるだろうし、「夫婦仲のわるい、争いの絶えない家庭」なんてのもあるでしょうね。簡単にまとめてしまうと、「不幸と見えてしまう家族」です。トルストイも言っているではありませんか?

不幸な家庭はいずれもそれぞれに不幸なものである。
AKI あ、それ知ってる。『アンナ・カレーニナ』ですね?
哲雄 よく覚えてましたねェ。かの文豪・トルストイも言った「どれも似たもの」というのは、私流に言わせていただけるなら、「モノカルチャー化」しているとも言えるのではないか――と思うんですよ。
AKI どの家族も、同じような価値観に動かされて、「自分たちは幸せ」と思いたがっている――と、哲ジイはそう見てるわけですね?
哲雄 ハイ。おっしゃる通りです。そこそこの収入を得て、FXなんぞに費やす程度の蓄えを保有し、子どもは塾に通わせていい学校に入れ、週末には家族そろってテーマパークに出かけたり、外食を楽しんだりする。蓄えた資金でタワーマンションを購入し、家の中は「オール電化」、家屋内は「全面禁煙」、抗菌・消臭でクリーンな住環境を確保する。夫は、家事・育児に協力的である姿勢を見せ、家族の写真をやたら撮っては、それを友人たちに見せ、幸せぶりをアピールする――とかね。
AKI なんか、どこにもいそうな家族ですね。私は、あんまり好きじゃないけど……。
哲雄 「好きじゃない」という人がいるのも当然だと思いますよ。しかしね、AKIクン、その「好きじゃない」は、「モノカルチャー化」した社会では排斥されてしまいます。どうやって排斥するかと言うと、自分たちのソサエティから締め出してしまう、口汚く「口撃」する、子ども同士が触れ合わないように隔離する……など、さまざまです。
AKI そういうのが、子どもの世界の「いじめ」につながったりもするんですね?
哲雄 ま、「いじめ」にはいろいろな原因があると思うのですが、私は、その影響が少なくないだろう――と思ってます。
AKI いけないのは、「モノカルチャー」ってことなんですね。
哲雄 「モノ」はいけない、「ポリ」にしなさい。
AKI 何ですか、その「モノ」とか「ポリ」っていうのは?
哲雄 「モノ」は「ひとつの」「単一の」を意味する接頭語、「ポリ」は「複数の」を意味する接頭語です。とにかくです、「カルチャー」が「モノ」になっちまうと、そういう文化は、自分たちとは異質なものを「排除」しようとします。その結果、生まれるのは、「社会的不寛容」。それは、とても危険だと思うのです。政治的にも、経済的にも、そして、恋愛・結婚的にも――ね。
AKI エッ、恋愛・結婚も……? それ、どういうこと?
哲雄 ハイ、それに関しては、次回から順を追って説明することにしましょう。AKIクンの幸せのためにもね。
AKI エッ、ますますわかんなくなってきた。
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一生に一度も結婚できない「生涯未婚」の率が、男性で30%に達するであろう――と予測されている「格差社会」。その片隅で「貧困」と闘う2人の男と1人の女が出会い、シェアハウスでの共同生活を始めます。新しい仲間も加わって、築き上げていく、新しい家族の形。ハートウォーミングな愛の物語です。
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