家族の「エゴ」を大量生産する「組織のエゴ」

手にハート  不純愛トーク   第374夜 

世界的に「不寛容」な精神が広がる時代。前回は、その「不寛容」を生み出すのは、「利己的な家族」だという話をしました。しかし、家族を「エゴ」へと導くもっと大きな「エゴ」もあります。それは「企業のエゴ」でもあり、さらに大きな「国家のエゴ」でもある。今回は、そんな話をしてみます――。

 Talker 
哲雄 自ら著作を手がけるエッセイスト。当ブログの管理人です。
AKI 出張エステ嬢として働きながら、作家を目指すアラサーの美女。

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AKI 「不都合な他人」を攻撃する「不寛容」は、「利己的な家族」から生まれる。前回は、そんな話をしたんですよね。「利己的な家族」が守ろうとするのは、「家族の利益」である。その「利益」を損ねようとする他人がいると、それを排除しようとして、不寛容な言動で相手を攻撃する。「家族エゴ」が集まった「地域エゴ」も、さらにはそれが集まった「国家エゴ」も、同様の行動をとる。前回のお話の趣旨は、だいたいそのようなところでよろしかったでしょうか?

哲雄 たいへんよくおまとめいただいて、感謝申し上げます――と言いたいところですが、ひとつだけ補足しておかなければなりますまい。

AKI ハイ、何なりと承りますが……。

哲雄 前回の話だと、「不寛容」を生み出す諸悪の根源は、「利己的な家族」にあり――というふうに聞こえてしまったかもしれませんが……。

AKI はい、私の耳は、しっかり、そういうふうに聞き取りましたが……。

哲雄 確かに、多くの場合、「利己的な家族のエゴ」が、社会の「不寛容」を生み出すエネルギー源になってはいるのですが、その家族を「利己的」に導いているのはだれか――というと、もっと大きな「組織のエゴ」である場合もある。そういうケースが多いのではないか、と私は確信しています。

AKI もっと大きな……? たとえば、企業とか?

哲雄 企業もそのひとつでしょうね。「どんなことをしても利益を上げろ!」と、従業員の尻を叩き続ける会社があれば、そういう企業の社員は、多少、それが社会正義的にはどうなのよと思うようなことでも、利益のために奔走することになります。「そんなことしちゃまずいでしょ」と抗議したり、疑問の声を挙げたりすれば、自分の処遇に響いてしまうので、口をつぐまざるを得ない。

 「利己的な企業」は、「利己的な社員」を生み出していく。
 「トリクルダウン」するのは、「利益」だけでなく、「エゴ」もまた――


 なんですね。

AKI そういう企業のエゴを監視したり、抑制したりする仕組みはないんですか?

哲雄 あるにはあります。ひとつは、企業の活動の行き過ぎなどを批判するジャーナリズム。ひとつは、それを法的に規制しようとする仕組み。しかしね、AKIクン、ご存じのように、小泉政権以降の保守政権は、そういう規制を次々に取っ払う一方で、批判勢力であるジャーナリズムの口を塞ごうと、あれやこれやの施策を打ち出してきました。

AKI 「特定秘密無保護法案」とかも、ツルッと通しちゃいましたしね。

哲雄 オーッ、最近、なんだかAKIクン、鋭くなってきましたねェ。日本だけではありませんよ。自由の国・アメリカでさえ、やがて最高権力者の座に就こうとする男が、報道機関を「デタラメ報道」となじり、「おまえの質問には答えない」などと全面対決の姿勢を見せています。「エゴ」を貫こうとする「利己的な国家」にとっては、ジャーナリズムは常にジャマな存在ですからね。

AKI 法的規制のほうは、どうなっちゃったんですか?

哲雄 一時期、「規制緩和」っていうことがしきりに叫ばれたのを覚えてますか?

AKI ハイ、覚えてます。郵政を民営化した小泉さんの時代ですよね?

哲雄 そうです。そもそも日本の社会には、企業の活動に制限を加えるさまざまな「規制」がありました。私は、「規制」=「悪」とは思ってないんですよ。放っておくと、企業は利益追求のためにどんどんあくどいことまでやってしまうかもしれない。

 規制の多くは、市場への新規参入に制限を加えて、
 既存の企業の権益を守るためだったんだけど、
 同時にそれは、企業の市場での活動に規制を加えて、
 あくどい利益追求から消費者や中小零細業者を守る
 という役割も果たしていました。


AKI じゃ、緩和しなくてもよかったんじゃないですか?

哲雄 そうなんですけどね、しかし、そうもしてられなかった。その頃、日本市場に目をつけていたアメリカの「強欲資本」が、日本のさまざまな規制を「非関税障壁」だと言い出して、激しく規制の撤廃を求めました。

AKI じゃ、郵政民営化とかも、その圧力で……?

哲雄 そう言われてます。アメリカの金融資本が目をつけていたのは、郵便貯金と簡保が抱えた膨大な資金です。その資金をネラうアメリカの金融資本が、郵政を民営化させ、その資金を金融市場に開放させようとしたのだろう――と、当時のジャーナリズムは分析していました。

AKI 他には、どんな規制が取り払われたんですか?

哲雄 大きかったのは、「大規模小売店舗法」ですかね。この法律は、デパートなどの大規模小売店の出店に一定の制限を加え、消費者や中小小売店の保護を図ろうとしていた法律ですが、この法律が日本での出店を妨げているとした「トイザらス」の主張で、「日米構造協議」の課題となり、結局、この規制は、2000年に廃止されました。その結果、各地の商店街で「シャッター通り化」が進んだりしたのは、キミもご存じのとおりです。

AKI 郵政民営化は、アメリカ金融資本の「エゴ」が、大規模小売店に関しては、日米の大手流通企業の「エゴ」が、「少しでも得したい」という消費者の「エゴ」を誘発して、市場の構造を変えてしまったんですね?

哲雄 そう言っていいと思います。その犠牲になったのは、「効率的営業」の対象外となる過疎地の住民や、「買い物弱者」と呼ばれる高齢者たちです。もうひとつ、見逃せない規制緩和は、「職業紹介事業」と「労働者派遣事業」での規制緩和でしょう。特に、後者=「労働者派遣事業」への新規参入や派遣業種の大幅な緩和により、この国の労働者の「非正規化」が一気に加速しました。

AKI それ、いまも、社会的には大問題になってますよね。

哲雄 ハイ。現在、日本の賃金労働者は、その4割が「非正規雇用」となっています。こんな国、他にはありません。「非正規」というのは、労働者を「使いたい時だけ安く使って、将来の保証をしない」という制度と言っていいかと思います。「労賃というコストをぎりぎり低く抑え、がっぽり稼ぎたい」という「企業のエゴ」にとって、こんな都合のいいシステムはありませんからね。それを、「企業に稼がせるだけ稼がせて、税金を稼ぎたい」という「国家のエゴ」が後押ししました。その結果、この国の貧富の格差がどんなに拡大しようが、「いまがよければそれでいい」という、ものすごく短期的なビジョン。これでいいのか、日本――と、私はものすごく怒ってます。

AKI そうなると、「国民のエゴ」のほうはどうなるんでしょう? ほんとうなら、「ジョーダンじゃない」と怒り出すんじゃありません?

哲雄 ほんとうなら、そうなんですけどね。どうもそうはなりそうにない。「国民のエゴ」は、「正規組」と「非正規組」に分断されてしまってますから、一致団結して国や社会に怒りをぶつけるという状態にはならないんですね。キミたちもよく言うでしょ。「勝ち組」と「負け組」って。「勝ち組」=「正規組」、「負け組」=「非正規組」と考えればわかりやすいと思うのですが、双方の利害が一致するということは、あまり考えられません。

AKI そうですね。なんとか「勝ち組」に残りたい――って思う人たちは、何とか「負け組」を蹴落とし続けることによって、自分の地位や待遇を守りたいと思うでしょうしね。もしかして、それが上の狙いだったりして……。

哲雄 民は分断して統治せよ。この社会の最高位の「エゴ」の持ち主である為政者たちは、自分たちの「エゴ」を貫くために、昔からその手法を用いてきましたからね。

AKI 下々の「エゴ」同士を対立させることによって、その矛先が自分たちに向くのを避けようとするわけですね?

哲雄 トランプがやったのもそれでした。ほんとうなら、自分たち大富豪に向けられかねない「貧困層の怒り」を、「あなたたちが貧しいのは、メキシコ移民たちがあなたたちの仕事を奪ったからだ」と誘導して、選挙で勝ってしまいました。

AKI バカですねェ。誘導された国民も……。

哲雄 しかし、AKIクン、大衆とはそのようなものです。愛人が1人しかいない男は、妻・愛人の双方から攻撃を受けますが、それが2人も3人もいるとなると、彼女たちの攻撃の矛先は、「自分以外の女たち」にたがいに向けられるようになりますからね。

AKI エッ、そういう話? それ、「不寛容」の話とどう関係があるんですか?

哲雄 ハイ、その件については、次回、詳しくお話したいと思います。



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