第61夜☆英雄が色を好むのではなく、色を好むから英雄になる
第61夜
「愛とは何か?」をめぐって、管理人・哲雄がパートナー・AKIを相手に展開する、オヤジ・ギャグ風+ちょっぴりアカデミックおしゃべり。今回は、拒否された欲望が、芸術家や英雄を育てるエネルギーへと「昇華」するプロセスについて、話を進めます――。
AKI さて、きょうはじっくりお聞きしましょうか?
哲雄 何をですか?
AKI これまでいく度も、リビドーの拒否に直面した哲ジイが、いかにしてその危機を乗り越えてきたか?
哲雄 いやいや、私のリビドーはきわめて健全に発達してきましたから、危機を乗り越えるなんて、そんな……。
AKI なかったっていうんですか?
哲雄 そりゃ、あったかもしれないけど、小学校高学年以降は、そのエナジーを勉学に振り向け、長じては、それを歌うことや文をしたためることに振り向け、さらにおとなになってからは、それを世の中や社会への愛へと振り向けたりして、今日にいたっているわけです。
AKI ときには、フーゾクに行ったりしながらね。
哲雄 そりゃ、そういうことでリビドーの解放を図ったこともありましたよ。しかし、それはリビドーがありあまって、とても「昇華」だけでは「消化」できない――と判断したときに……。
AKI それ、シャレてるつもり? エーッと、「昇華」っていうのは……。
哲雄 前回、話の最後に登場したんだけど、性的欲動であるリビドーの向かう対象を、より高次元で価値がある――と本人が感じている他の目標に置き換える作業のことを言うんだよね。
AKI 高次元で価値がある――ねェ。それ、だれが決めるんです。
哲雄 自分です。
AKI なんだ、自分かァ……。
哲雄 正確に言うと、「自我」ですね。「自我」っていうのは、教育や環境によって作られていく「これが自分」という意識なんだけど、人間は成長し、周囲の世界のことを学んでいくにつれて、この「自我」を拡大していくんだよね。
AKI ふくらんでいくわけですね。
哲雄 そう、ふくらんでいくの。最初は、母親に甘えるだけの、ただ乳房を追い求めるだけだった「自我」が、やがて周囲に友だちができ、学校という組織の中に入ることによって、徐々に「社会的自我」を目覚めさせ、やがては国家とか、人類とか、世界全体とか、宇宙とか、神とかを知るにいたって、「自我を超える自我」があることまで知るようになる。
AKI オーッ、チョー自我じゃん!!
哲雄 その通り。こういう自我を「超自我」と言います。
AKI じゃ、じゃ……さっきの高次元で価値あるリビドーの目標というのは、この「超自我」さんが決めるわけ?
哲雄 そういう人もいるし、その前の「社会的自我」が決める人もいるだろうね。中には、もう少し子どものままの自我が決める人もいるかもしれない。でも、単に「やりたい」というレベルの欲望よりは、一段階上のフォルダーへ進むということですよ。AKIちゃんは、
英雄、色を好む
っていう言葉、知ってる?
AKI 英雄はスケベだっていう意味でしょ?
哲雄 では、なぜ英雄はスケベなのか?
AKI そりゃ、お金があるからでしょ。
哲雄 ハイ?
AKI ネエちゃん、どや? ワシと一発やったら、マンション買うたるで――とか言うわけでしょ、英雄さんは? 哲ジイみたいな凡人には言えないもんね、そんなこと。
哲雄 ハイ、私の場合は、ペロペロキャンディ2本ぐらいで……って、ほっとけ。あのね、英雄は、そんな下品なことは言わないの。「色好み」ってことは、恋愛にもエネルギーを発揮したってことなんだよね。
AKI 英雄さん、忙しいだろうに、大変でしゅねェ。
哲雄 その大変なことをやるには、エネルギーが要る。つまり、元々、リビドーが旺盛だったわけですよ、英雄にまでなる人は。
AKI てことは、最初っからスケベだった?
哲雄 そう。つまりね、英雄が色を好むのじゃなくて、色を好むから英雄になった――と言ったほうが正しいと思うんだ、精神科学的には。
AKI だったら、別に英雄にならなくたって、ジゴロでもよかったわけじゃないですか?
哲雄 そこですよ、問題は。もし、この英雄が、子どもの頃からモテまくってたら、もしかしたら、英雄になろうなんて思わなかったかもしれない。自分の子ども時代を考えてみてもそうだったから。
AKI ハハ……モテなかったんだ、哲ジイ。やっぱりね。
哲雄 何がやっぱりだ、失礼な! モテなかったというより、好きな子に振り向いてもらえなかっただけですッ! 仮にその子をミチコちゃんとしましょうか。
AKI オーッ、ミチコ。哲ジイのリビドーを足蹴にした気高き少女よ! きっと好きな男の子でもいたんでしょうね、ミチコちゃんには?
哲雄 男の子…っていうか、先生。
AKI エーッ!? ちょ……ちょっと、待って。ミチコちゃんのカレは、先生だったのォ? 小学生でしょ?
哲雄 ウン。だから、問題になったりもしたんだけどね。
AKI エッ、エッ!? 問題になるような関係だったの?
哲雄 ま、それは置いといて。とにかくカッコイイ先生だったから、子どもの哲雄少年なんて、とても太刀打ちできない。そこで、考えたね、哲雄少年は。
AKI な、何を? まさか、夜這いかけようとか……?
哲雄 アホか。子どもがそんなこと考えるわけがない。よし、ボ、ボクは、日本一の小学生になって、先生の手からミチコちゃんを奪い返してやる。
AKI また、大きく出たもんすね。
哲雄 ……はムリだから、よし、学力テストで先ず県内ベスト3を目指そう。作文コンクールでは金賞をとってギャフンと言わせてやろう、今度の級長選には自分から立候補して、先生とタメで口がきけるようになろう――っていう、ま、それくらいのレベルですかね。
AKI それで? ミチコちゃんは振り向いてくれたの?
哲雄 まったくダメ。そこで、またまた考えたね、哲雄少年は。
AKI 今度は、何を?
哲雄 こんな小さな町にいるからいけないんだ。よし、見てろ! ボクは世界に飛び出して、この世界を変えてしまうんだ。「女子生徒は男の先生にホレてはいけない」という法律を作って、違反した女の子は「スカートめくりの刑」にするんだ――。
AKI もしもし。スケールがでかいわりに、言ってることがせこいんですけど……。
哲雄 なにしろ、子どもの考えることだから。でもね、世の中の英雄とか天才とか偉大な芸術家なんてのは、多かれ少なかれ、このようなプロセスを経て、自分のリビドーを学問やアートへの情熱に、あるいは政治的野心に、ときには神への信仰心へ――というふうに「昇華」させたと思うんだよね。これが、「英雄、色を好む」の心理的仕組み。おわかりいただけたでしょうか?
AKI ハイハイ、とてもよくわかりました。哲ジイが大きなことを言いながら、ハラの内ではいかにせこいことを考えているかが、ものすごくよく理解できました。
哲雄 それはひどい! ひどすぎる!
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AKI それ、シャレてるつもり? エーッと、「昇華」っていうのは……。
哲雄 前回、話の最後に登場したんだけど、性的欲動であるリビドーの向かう対象を、より高次元で価値がある――と本人が感じている他の目標に置き換える作業のことを言うんだよね。
AKI 高次元で価値がある――ねェ。それ、だれが決めるんです。
哲雄 自分です。
AKI なんだ、自分かァ……。
哲雄 正確に言うと、「自我」ですね。「自我」っていうのは、教育や環境によって作られていく「これが自分」という意識なんだけど、人間は成長し、周囲の世界のことを学んでいくにつれて、この「自我」を拡大していくんだよね。
AKI ふくらんでいくわけですね。
哲雄 そう、ふくらんでいくの。最初は、母親に甘えるだけの、ただ乳房を追い求めるだけだった「自我」が、やがて周囲に友だちができ、学校という組織の中に入ることによって、徐々に「社会的自我」を目覚めさせ、やがては国家とか、人類とか、世界全体とか、宇宙とか、神とかを知るにいたって、「自我を超える自我」があることまで知るようになる。
AKI オーッ、チョー自我じゃん!!
哲雄 その通り。こういう自我を「超自我」と言います。
AKI じゃ、じゃ……さっきの高次元で価値あるリビドーの目標というのは、この「超自我」さんが決めるわけ?
哲雄 そういう人もいるし、その前の「社会的自我」が決める人もいるだろうね。中には、もう少し子どものままの自我が決める人もいるかもしれない。でも、単に「やりたい」というレベルの欲望よりは、一段階上のフォルダーへ進むということですよ。AKIちゃんは、
英雄、色を好む
っていう言葉、知ってる?
AKI 英雄はスケベだっていう意味でしょ?
哲雄 では、なぜ英雄はスケベなのか?
AKI そりゃ、お金があるからでしょ。
哲雄 ハイ?
AKI ネエちゃん、どや? ワシと一発やったら、マンション買うたるで――とか言うわけでしょ、英雄さんは? 哲ジイみたいな凡人には言えないもんね、そんなこと。
哲雄 ハイ、私の場合は、ペロペロキャンディ2本ぐらいで……って、ほっとけ。あのね、英雄は、そんな下品なことは言わないの。「色好み」ってことは、恋愛にもエネルギーを発揮したってことなんだよね。
AKI 英雄さん、忙しいだろうに、大変でしゅねェ。
哲雄 その大変なことをやるには、エネルギーが要る。つまり、元々、リビドーが旺盛だったわけですよ、英雄にまでなる人は。
AKI てことは、最初っからスケベだった?
哲雄 そう。つまりね、英雄が色を好むのじゃなくて、色を好むから英雄になった――と言ったほうが正しいと思うんだ、精神科学的には。
AKI だったら、別に英雄にならなくたって、ジゴロでもよかったわけじゃないですか?
哲雄 そこですよ、問題は。もし、この英雄が、子どもの頃からモテまくってたら、もしかしたら、英雄になろうなんて思わなかったかもしれない。自分の子ども時代を考えてみてもそうだったから。
AKI ハハ……モテなかったんだ、哲ジイ。やっぱりね。
哲雄 何がやっぱりだ、失礼な! モテなかったというより、好きな子に振り向いてもらえなかっただけですッ! 仮にその子をミチコちゃんとしましょうか。
AKI オーッ、ミチコ。哲ジイのリビドーを足蹴にした気高き少女よ! きっと好きな男の子でもいたんでしょうね、ミチコちゃんには?
哲雄 男の子…っていうか、先生。
AKI エーッ!? ちょ……ちょっと、待って。ミチコちゃんのカレは、先生だったのォ? 小学生でしょ?
哲雄 ウン。だから、問題になったりもしたんだけどね。
AKI エッ、エッ!? 問題になるような関係だったの?
哲雄 ま、それは置いといて。とにかくカッコイイ先生だったから、子どもの哲雄少年なんて、とても太刀打ちできない。そこで、考えたね、哲雄少年は。
AKI な、何を? まさか、夜這いかけようとか……?
哲雄 アホか。子どもがそんなこと考えるわけがない。よし、ボ、ボクは、日本一の小学生になって、先生の手からミチコちゃんを奪い返してやる。
AKI また、大きく出たもんすね。
哲雄 ……はムリだから、よし、学力テストで先ず県内ベスト3を目指そう。作文コンクールでは金賞をとってギャフンと言わせてやろう、今度の級長選には自分から立候補して、先生とタメで口がきけるようになろう――っていう、ま、それくらいのレベルですかね。
AKI それで? ミチコちゃんは振り向いてくれたの?
哲雄 まったくダメ。そこで、またまた考えたね、哲雄少年は。
AKI 今度は、何を?
哲雄 こんな小さな町にいるからいけないんだ。よし、見てろ! ボクは世界に飛び出して、この世界を変えてしまうんだ。「女子生徒は男の先生にホレてはいけない」という法律を作って、違反した女の子は「スカートめくりの刑」にするんだ――。
AKI もしもし。スケールがでかいわりに、言ってることがせこいんですけど……。
哲雄 なにしろ、子どもの考えることだから。でもね、世の中の英雄とか天才とか偉大な芸術家なんてのは、多かれ少なかれ、このようなプロセスを経て、自分のリビドーを学問やアートへの情熱に、あるいは政治的野心に、ときには神への信仰心へ――というふうに「昇華」させたと思うんだよね。これが、「英雄、色を好む」の心理的仕組み。おわかりいただけたでしょうか?
AKI ハイハイ、とてもよくわかりました。哲ジイが大きなことを言いながら、ハラの内ではいかにせこいことを考えているかが、ものすごくよく理解できました。
哲雄 それはひどい! ひどすぎる!

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