「不寛容」は、「利己的な家族」から生み出される

世界的に「不寛容」な嵐が吹き荒れています。「都合のわるい他者」を受け入れようとせず、排撃してしまおうとする態度。そんな態度を生み出してしまう背景には、「利己的な家族」が棲んでいる。新年第1弾のトークは、そんな話を取り上げ、深く掘り下げてみたいと思います――。
Talker
哲雄 自ら著作を手がけるエッセイスト。当ブログの管理人です。
AKI 出張エステ嬢として働きながら、作家を目指すアラサーの美女。
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AKI 2016年が終わり、2017年となりました。
哲雄 なりましたねェ。一年経つのが、早い、早い!
AKI それは、お歳のせいでございますわね。
哲雄 放っておいていただきたい。ところで、AKIクン、過ぎし一年を振り返ってみて思うのは、世界的に「不寛容」の嵐が吹きまくったなぁ――ということです。
AKI それそれ。その「不寛容」、前回からの引き続きのテーマでしたよね。哲ジイ、おっしゃいましたよね? 世の中が「不寛容」になっていく背景には、家庭のありようも関係しているのではないか――と。
哲雄 ハイ、申し上げました。思いませんか、AKIクン? なんだか最近、家庭の中での「〇〇しちゃダメ」とか「××しないで」とかが、増えてるような気がするんです。
AKI でも、そういうのって、昔もあったでしょ? 家の中にはガンコなお父さんがデンと座ってて、「あれしろ」「これしろ」「それはするな」なんて、口うるさく指図してたんじゃありません?
哲雄 確かに昔は、ガンコオヤジや良妻賢母タイプの母親が目を光らせていました。でもね、その時代の「あれしろ」「これしろ」「それするな」は、主に、礼儀作法などに関することが多かったように思います。もちろん、いまでも、そういう規範に口うるさい家庭はあると思います。しかしね、最近の「〇〇しちゃダメ」とか「××しないで」には、そうではない「NO」が含まれているような気がするんですよ。
AKI そうではない「NO」? 礼儀作法などに関する「NO」ではないとしたら、何だろう? 「節約しなさい」とか、「勉強しなさい」とか、そういうのですか?
哲雄 それも含まれるかもしれませんね。そういうことも含めた、ある「目的」から発せられる「〇〇しちゃダメ」とか「××しないで」です。さて、その「目的」とは?
AKI 「成功」とか……ですか?
哲雄 オッ、近い。ズバリ言うと、「利益」です。「家族の利益」に合致するかどうかで、「〇〇なんてしちゃダメ」とか「××しなさい」という言葉を発するケースが、増えているように感じられるんです、私には。
AKI 「損すること」は「やっちゃダメ」だし、「得すること」は「やりなさい」になっちゃったりする――ってことですね?
哲雄 そういうことです。そういう価値観に支配されている家族の中で、頻繁に使われる言葉に、「余計なことをするな」とか「そんなことして何になる?」というのがあります。親が子に対して言う場合もあれば、夫が妻に、妻が夫に言う場合もあるんですけど、こういうときに言われる「余計なこと」って何だろうな――と思うわけですよ、私は。
哲雄 なりましたねェ。一年経つのが、早い、早い!
AKI それは、お歳のせいでございますわね。
哲雄 放っておいていただきたい。ところで、AKIクン、過ぎし一年を振り返ってみて思うのは、世界的に「不寛容」の嵐が吹きまくったなぁ――ということです。
AKI それそれ。その「不寛容」、前回からの引き続きのテーマでしたよね。哲ジイ、おっしゃいましたよね? 世の中が「不寛容」になっていく背景には、家庭のありようも関係しているのではないか――と。
哲雄 ハイ、申し上げました。思いませんか、AKIクン? なんだか最近、家庭の中での「〇〇しちゃダメ」とか「××しないで」とかが、増えてるような気がするんです。
AKI でも、そういうのって、昔もあったでしょ? 家の中にはガンコなお父さんがデンと座ってて、「あれしろ」「これしろ」「それはするな」なんて、口うるさく指図してたんじゃありません?
哲雄 確かに昔は、ガンコオヤジや良妻賢母タイプの母親が目を光らせていました。でもね、その時代の「あれしろ」「これしろ」「それするな」は、主に、礼儀作法などに関することが多かったように思います。もちろん、いまでも、そういう規範に口うるさい家庭はあると思います。しかしね、最近の「〇〇しちゃダメ」とか「××しないで」には、そうではない「NO」が含まれているような気がするんですよ。
AKI そうではない「NO」? 礼儀作法などに関する「NO」ではないとしたら、何だろう? 「節約しなさい」とか、「勉強しなさい」とか、そういうのですか?
哲雄 それも含まれるかもしれませんね。そういうことも含めた、ある「目的」から発せられる「〇〇しちゃダメ」とか「××しないで」です。さて、その「目的」とは?
AKI 「成功」とか……ですか?
哲雄 オッ、近い。ズバリ言うと、「利益」です。「家族の利益」に合致するかどうかで、「〇〇なんてしちゃダメ」とか「××しなさい」という言葉を発するケースが、増えているように感じられるんです、私には。
AKI 「損すること」は「やっちゃダメ」だし、「得すること」は「やりなさい」になっちゃったりする――ってことですね?
哲雄 そういうことです。そういう価値観に支配されている家族の中で、頻繁に使われる言葉に、「余計なことをするな」とか「そんなことして何になる?」というのがあります。親が子に対して言う場合もあれば、夫が妻に、妻が夫に言う場合もあるんですけど、こういうときに言われる「余計なこと」って何だろうな――と思うわけですよ、私は。
AKI 私も、ときどき言われましたよ、親に。友だちのために何かしてあげようとかしていると、「余計なことせずに勉強しろ」って言われたし、ボランティア活動とかに参加しようとしても、「そんなことして何になる?」ってけなされたしね。
哲雄 フム……。キミの家もそうでしたか。実は、私の家でも父親がそうでした。私は、この「余計なこと」という言い方が、嫌いなんですよ。「余計」という言葉が、私の耳には、「家族の益にはならないこと」というふうにしか聞こえない。

⇒「いい学校」を出て「いい会社」に入れ⇒しっかり稼いで家族を潤せ
というふうに言っているふうに聞こえて仕方ないんです。私の父親などは、露骨に、「そうしないと元が取れない」なんてことを言いましたからね。
AKI エーッ、「元を取る」ですか?
哲雄 育てるのに投資した費用が回収できない、もうからない――というわけです。私はね、AKIクン、「余計なこと」なんて言葉を耳にする度に、その家族が「利己的な家族」に見えて仕方がないんですよ。
AKI 「利己的な家族」ですか? 最近、なんだか、そういう家族が増えているような気がするんですけど、気のせい?
哲雄 いや、実際、増えているんじゃありませんか。たとえば、保育園の問題。自分の子どもの泣き声や笑い声は「かわいい」と感じるのに、他人の子どもの泣き声や笑い声は「騒音」にしか聞こえない。だから、近所に保育園を建設なんていう計画が持ち上がると、「騒音被害」を訴えて、「建設反対」の声を挙げたりする。
AKI ありましたねェ、そういうことがあっちでもこっちでも。私が、いちばんおかしいんじゃないかと思ったのは、福島の廃棄ゴミの受け入れを打診したときに、「私の街には持ってくるな」と住民たちが反対の声を挙げて、結局、「受け入れ拒否」を表明する自治体が続出したことなんですよね。「被災地の人たち、かわいそう」とか言ってるのに、ゴミを自分たちの街には持ち込むな――って、それ、矛盾してないですか?
哲雄 矛盾してますねェ。
同情はする。
でも、負担はごめんだ。

そういう地域住民の精神のありようを「地域エゴ」として批判する論調も、ジャーナリズムには登場したりもしました。「地域エゴ」というのは、「自分たちの地域さえ潤えばいい」という考え方だと言っていいかと思うのですが、では、その元はどこからやって来るかと言うと、「自分の家さえ平和で、豊かであればいい」という「利己的な家族観」だと思うんです。
AKI 「利己的な家族」が集まると、「地域エゴ」が生まれる。そういうことですか?
哲雄 そう言っていいでしょうね。「地域エゴ」というのは、「家族エゴ」の集合体と言ってもいいかと思うんですよ。それでね、AKIクン、ここからが重要なんですけど、「家族エゴ」というのは、ただ、「家族の利益」だけを追求するわけではない。「家族の利益」を損ねようとする者に対しては、徹底的にそれを攻撃しようとします。
AKI それが、「不寛容」という態度を生み出す原因になっているのではないか――と、哲ジイはそう考えているわけですね?
哲雄 そのひとつにはなっているだろうと思います。「家族エゴ」が集合すると「地域エゴ」が生まれる。その「地域エゴ」が集合すると、さらに大きな「社会エゴ」が育ち、放っておくと、それは「国家エゴ」へと育っていきます。それを立証して見せたのが、先のアメリカ大統領選でした。
AKI そうか……。トランプさんって、「不寛容」の代表みたいでしたものね。
哲雄 彼は何と言って、大統領選に登場してきました?

移民たちが安い賃金であなたたちの仕事を奪っているからだ。
さらに彼は、こうも言いました。

われわれの平和な家庭を壊してしまおうとしている。
そう言って、選挙民の「家族エゴ」に火を点けました。
AKI ハイ、それ、覚えてます。このおっさん、メチャクチャ言うなぁ――と、この私でも思いましたもの。
哲雄 トランプの選挙戦の優れたところは、徹底的に「家族エゴ」を刺激して、それを「社会的なエゴ」へ、「国家的なエゴ」へと育て上げる作戦をとったところにあると思うんですよ。それに踊らされた選挙民も愚かっちゃ愚かなんですが、それをいまさら言っても仕方がない。
AKI 後の祭りですものねェ。
哲雄 でもね、トランプを勝たせてしまうことになった「家族エゴ」は、このまま放っておくと、日本でも、欧州でも、この社会を「不寛容」の波に巻き込んでしまって、やがてはこの世界を大きく狂わせることになりかねない。いまのうちに、私たちは、この「家族エゴ」を何とかしなくては――と思うわけです。
AKI 何とか――と言っても、何か、方法があるんですか?
哲雄 ない。
AKI エッ、ないんですか? それじゃ、ダメじゃん。
哲雄 ないのですが、少しでもそれを和らげて、「不寛容」を生み出さないようにする方法は、考えられないわけではありません。
AKI ぜひ、それをお聞きしたいものですわ。
哲雄 ハイ、では、それについては、次回、お話したいと思います。正月早々のトークで、少々疲れてしまいましたので……。
AKI とにかく、今年もみなさん、どうぞよろしく――ですね。
哲雄 本年も、ふたりのバカなおしゃべりに、よろしくおつき合いください。
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管理人は常に、下記3つの要素を満たせるように、脳みそに汗をかきながら、記事をしたためています。
あなたの押してくださったポイントを見ては、喜んだり、反省したりの日々です。
どうぞ、正直な、しかしちょっぴり愛情のこもった感想ポチをお送りください。よろしくお願いいたします。



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