「純潔」を叫ぶ精神は、危険!

人をスキンシップから遠ざけてしまう「清潔主義」。その行き着く先は、「純潔主義」。「純潔主義」は「異質なもの」を「排除」しようとする動きを生み出します。実は、これが危険。「異民族」を排除しようとする「民族浄化」の動きも、そんな精神が生み出した人類の汚点でした――。
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哲雄 自ら著作を手がけるエッセイスト。当ブログの管理人です。
AKI 出張エステ嬢として働きながら、作家を目指すアラサーの美女。
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AKI 行き過ぎた「清潔主義」が、「スキンシップ苦手」という人間を作り出しているのではないか。前回は、そんな話をしたんですよね。その「清潔主義」が過剰になると、ある「社会的態度」につながる場合がある。実は、それが問題だ――というところで、話は終わっておりましたが……。
哲雄 そうでしたね。では、その話の続きを。「清潔主義」を煮詰めて蒸留すると、どんな飲み物が出来上がるでしょう?
AKI ウーン、何だろう? 100%ピュアモルトとか……?
哲雄 近いけど、惜しい。答えは「純潔主義」という危険なドリンクです。
AKI 危険なんですか、それ?
哲雄 危険ですねェ。たとえば、アメリカでは、キリスト教右派などによって、「結婚まではセックスしないようにしよう」などと主張する「純潔運動」が展開されたりもしました。日本でも同様の運動が見られますが、その主体は、「統一教会(現在の世界平和統一家庭連合)」です。
AKI エッ、「純潔運動」には、宗教が絡んでるんですか?
哲雄 絡むでしょうねェ。だって、考えてごらんなさいよ。人々に「純潔」を守らせることによって得するのは、だれか?
AKI コンドムメーカーでないことは確かですわねェ。ラブホ業界でもないし、ピルを製造してる製薬会社でも、もちろんない。で、哲ジイは、それが宗教界だって言うんですか?
哲雄 宗教界なんていう、だだっ広いくくりじゃありません。ごく一部の宗教です。その代表が、アメリカのキリスト教保守派。ピューリタンの流れを汲む彼らは、「家庭こそ健全な社会を構成するための基盤」であると考え、「自由主義的=リベラル」な思想と、ことごとく対立してきました。彼らにとっては、人々を古い、伝統的な価値観に縛りつけておいたほうが、教勢を保てるわけですからね。
AKI 統一教会も?
哲雄 自由な恋愛やセックスにストップをかけることによって、男女を「合同結婚式」に誘い込むという目的もあるんじゃないか――と、私はニラんでます。
AKI フーン。「純潔」の袈裟の下から鎧がのぞいてる――ってわけですか?
哲雄 オッ、キミもたまにシャレたことを言いますね。しかしね、AKIクン、そんなのはまだかわいいものです。
AKI エッ、もっとひどい企みが隠されているんですか?
哲雄 企みではありませんが、放っておくと、この「純潔主義」は、世の中をおかしな方向に走らせてしまいます。
AKI おかしな方向……?
哲雄 そうでしたね。では、その話の続きを。「清潔主義」を煮詰めて蒸留すると、どんな飲み物が出来上がるでしょう?
AKI ウーン、何だろう? 100%ピュアモルトとか……?
哲雄 近いけど、惜しい。答えは「純潔主義」という危険なドリンクです。
AKI 危険なんですか、それ?
哲雄 危険ですねェ。たとえば、アメリカでは、キリスト教右派などによって、「結婚まではセックスしないようにしよう」などと主張する「純潔運動」が展開されたりもしました。日本でも同様の運動が見られますが、その主体は、「統一教会(現在の世界平和統一家庭連合)」です。
AKI エッ、「純潔運動」には、宗教が絡んでるんですか?
哲雄 絡むでしょうねェ。だって、考えてごらんなさいよ。人々に「純潔」を守らせることによって得するのは、だれか?
AKI コンドムメーカーでないことは確かですわねェ。ラブホ業界でもないし、ピルを製造してる製薬会社でも、もちろんない。で、哲ジイは、それが宗教界だって言うんですか?
哲雄 宗教界なんていう、だだっ広いくくりじゃありません。ごく一部の宗教です。その代表が、アメリカのキリスト教保守派。ピューリタンの流れを汲む彼らは、「家庭こそ健全な社会を構成するための基盤」であると考え、「自由主義的=リベラル」な思想と、ことごとく対立してきました。彼らにとっては、人々を古い、伝統的な価値観に縛りつけておいたほうが、教勢を保てるわけですからね。
AKI 統一教会も?
哲雄 自由な恋愛やセックスにストップをかけることによって、男女を「合同結婚式」に誘い込むという目的もあるんじゃないか――と、私はニラんでます。
AKI フーン。「純潔」の袈裟の下から鎧がのぞいてる――ってわけですか?
哲雄 オッ、キミもたまにシャレたことを言いますね。しかしね、AKIクン、そんなのはまだかわいいものです。
AKI エッ、もっとひどい企みが隠されているんですか?
哲雄 企みではありませんが、放っておくと、この「純潔主義」は、世の中をおかしな方向に走らせてしまいます。
AKI おかしな方向……?
哲雄 私がもっとも怖いと思うのは、
「純潔」を叫ぶ人たちは、
「純潔ではない」と思うものを、
社会から「排除」しようとする方向に走ってしまう。
――ということです。
AKI 「純潔でない」と感じるものっていうと、「不潔」とか……?
哲雄 ま、それもあるでしょうね。たとえば、日本の小中学校などでは、福島から避難してきた子どもたちを、「放射能!」などとなじってイジめた――なんて話が、ひと頃、問題として指摘されました。子どもたちがそういう言葉を発するということは、そういう言葉を日常的に発しているおとなが、そばにいるということです。
AKI つい最近も、そのイジメを苦に、自殺した子どもがいましたよね。私も、あれはひどいと思いました。
哲雄 アメリカでは、「イスラム教徒を入国させない」とか、「メキシコ人は強制送還させる」などと叫ぶ男が、大統領に選ばれてしまいました。
AKI 私、そういうニュースを聞いていると、なんだか、世界がちょっと危険な方向に走っているような気がするんです。
哲雄 ちょっとどころか、たいへん危険な方向だと思います。つまりね、AKIクン、「純潔主義」の行き着く先は、自分たちにとって「異質」と感じられるものを「排除」してしまおうとする、社会的傾向なんです。
AKI その「異質な」の中には、「民族」も含まれるわけですね?
哲雄 それがもっとも大きいと思います。ひどい場合には、領域内の異民族をみな殺しにしようとする「ジェノサイド=大量虐殺」が行われたりもします。第二次大戦中のナチス・ドイツによる「ユダヤ人の大量虐殺」は、「ホロコースト」と呼ばれ、世界史の汚点として、いまも鮮明に記憶されています。しかし、それは歴史上の過去の話ではありません。
AKI いまも、行われているんですね。
哲雄 AKIクンは、「民族浄化」という言葉を耳にしたことがありますか?
AKI 民族浄化? 何だか怖い言葉ですね。
哲雄 この言葉が生まれたのは、わりと最近なんですよ。使われるようになったのは、1990年代に始まった旧ユーゴスラビアの内戦のとき。特に激しかったのが、クロアチアとセルビアの間で行われた、異民族排撃の動きです。ちょっと複雑なので、地図を示しておきますね。

旧ユーゴスラビアの勢力図
黄色で示した地域がスロベニア、赤がクロアチア、濃灰色と灰色がボスニア・ヘルツェゴビナ、青がセルビア、薄青色がコソボ、薄緑色がモンテネグロ、オレンジ色がマケドニア共和国。――ウイキペディアより
AKI わぁ、複雑。これが、「ユーゴスラビア」というひとつの国にまとまっていたのですか?
哲雄 第二次世界大戦中から戦後にかけて、この地には、「チトー」という強烈な指導力を持った大統領がいて、この複雑に民族が入り組んだ国をひとつの「連邦国家」にまとめてたんですけどね、そのチトーが1980年に亡くなると、それまで徹底的に押さえ込まれていた民族主義が息を吹き返して、連邦内は内戦状態に陥ります。大きくは、連邦西側に位置するクロアチア人が主体の「クロアチア共和国」、東側に位置するセルビア人が主体の「セルビア共和国」、その中間に、ムスリム人(イスラム教徒)が多数を占める「ボスニア・ヘルツェゴビナ」があって、この三者が三つ巴の争いを繰り広げました。
AKI 「民族浄化」は、その紛争の中で行われたのですね?
哲雄 主には、クロアチア支配地域内で、クロアチア人がセルビア人に対して、ボスニア・ヘルツェゴビナ内で、セルビア人がムスリム人に対して行い、それがメディアの報道によって「民族浄化」と呼ばれるようになりました。
AKI 具体的には、どんなことをやったのですか?
哲雄 公職から追放する、財産を奪う、脅迫する……は序の口で、兵役に就ける年齢に達した男性をみな殺しにしてしまう、女性を集団で暴行して妊娠させ、出産させた上で放り出す――なんてことまでやりました。そういう残虐行為を見せつけることによって、「もうここには住めない」と思わせ、域内から追い出してしまおうとしたんですね。
AKI ひど~い。それ、国連とかは黙って見てたんですか?
哲雄 国連のPKF部隊が現地に駐留したりもしたんですが、セルビアがその国連部隊を人質に取ってしまったので、NATOがセルビアへの空爆を行ったりしました。いまは、停戦合意が成立して、内戦状態は治まっているのですがね、いつまた対立が再燃するか、最近の世界の「民族浄化」的な動きを見ていると、私は不安を感じています。なにしろ、この地域は、「ヨーロッパの火薬庫」と言われて久しいですからね。
AKI フランスでも、ドイツでも、極右勢力が台頭してますものね。
哲雄 アメリカのトランプも、そういう勢力の一員と見ていいかと思います。日本だって、そのうち、どうなるか……。
AKI エッ、そうなの?
哲雄 ちょっと話が逸れてしまいましたが、実はね、AKIクン、そういう動きの根っこは、家庭や職場のあり方とも関係があるんですよ。次回は、そのあたりについて見てみることにしましょう。
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