「カサブランカ」の歌姫4-2 野蛮でエロい彼女

居候することになったサラは、想像以上に
「野蛮」な女だった。乳房が見えるのも構わず、
部屋の中をうろつき回る彼女のおかげで、
私の部屋にはエロい匂が充満して――。
連載 「カサブランカ」の歌姫 ファイル-4 サラ〈2〉

最初から読みたい方は、こちら から、前回から読みたい方は、こちら からどうぞ。
木々に新芽が吹き出し、街中に濃密な生命の香りが立ち込める季節。いつもより早くやって来た夏の熱気が、肌にまとわりつき始めていた。
「日本の夏、暑いデスネ」
サラは、私の部屋の住人となるなり、惜しげもなく肌をさらした。
ほとんど股間に食い込みそうに見えるミニのホットパンツに、タンクトップ。そのタンクトップは、ノーブラの胸をかろうじて覆っているにすぎない。しかも、緩やかにオフボディだ。彼女が屈み込んだり、横を向いたりする度に、形のいい乳房が乳首までをのぞかせた。
腋のストラップからのぞくサラの乳房は、張りのある釣鐘型をしていた。なだらかなスロープがJの字に反り返る先端に、淡いローズ色のレーズンがツンと尖って実っている。それは、摘んではいけない果実のように見えた。
私の視線に気づくと、サラはわざとそうするように、背中をクイと反らして、上体をくねらせる。彼女の果実は、それを覆っている布の端からはみ出そうになる。
私は、それを見ていながら、見ていないフリをした。

サラは、行儀のいい女ではなかった。
彼女がバスルームを使った後は、そこら中が水浸しになった。体を拭いて上がって来るということを知らないらしく、彼女が歩いた廊下には、河童が歩いたような水跡が点々と残る。そうして風呂を上がった彼女は、バスタオルを巻きつけただけの格好でリビングにやって来て、ソファに体育座りする。正面に座った私の目からは、彼女の栗色の繁みも、その下でパックリと口を開けた血の色の裂け目も、まる見えになる。彼女は、そんなことを一向に気にしているふうでもない。
おまえは裸族か――?
私は、ただ、そんな彼女を呆れて見ているしかなかった。
朝は、彼女が洗面所で歯を磨く物音で目が覚めた。
洗面室からは、「ガラガラ、ペッ、ペッ」とうがいする声が響く。そして、顔をバシャバシャ……と洗う音。
恐る恐る洗面室をのぞくと、そこは、ほとんど戦場だった。
シンクにも、その前のドレッサーにも、歯磨き用のペーストが飛び散って、スノースプレーを吹き付けたようになっている。シンクには、梳かした髪がへばりついて、磯の岩場のようになっている。
そんなシンクで顔を洗う気になれないので、鏡に飛び散った飛沫を拭き取り、シンクにスポンジを当てて、彼女の残したものを洗い流した。
「日本の夏、暑いデスネ」
サラは、私の部屋の住人となるなり、惜しげもなく肌をさらした。
ほとんど股間に食い込みそうに見えるミニのホットパンツに、タンクトップ。そのタンクトップは、ノーブラの胸をかろうじて覆っているにすぎない。しかも、緩やかにオフボディだ。彼女が屈み込んだり、横を向いたりする度に、形のいい乳房が乳首までをのぞかせた。
腋のストラップからのぞくサラの乳房は、張りのある釣鐘型をしていた。なだらかなスロープがJの字に反り返る先端に、淡いローズ色のレーズンがツンと尖って実っている。それは、摘んではいけない果実のように見えた。
私の視線に気づくと、サラはわざとそうするように、背中をクイと反らして、上体をくねらせる。彼女の果実は、それを覆っている布の端からはみ出そうになる。
私は、それを見ていながら、見ていないフリをした。

サラは、行儀のいい女ではなかった。
彼女がバスルームを使った後は、そこら中が水浸しになった。体を拭いて上がって来るということを知らないらしく、彼女が歩いた廊下には、河童が歩いたような水跡が点々と残る。そうして風呂を上がった彼女は、バスタオルを巻きつけただけの格好でリビングにやって来て、ソファに体育座りする。正面に座った私の目からは、彼女の栗色の繁みも、その下でパックリと口を開けた血の色の裂け目も、まる見えになる。彼女は、そんなことを一向に気にしているふうでもない。
おまえは裸族か――?
私は、ただ、そんな彼女を呆れて見ているしかなかった。
朝は、彼女が洗面所で歯を磨く物音で目が覚めた。
洗面室からは、「ガラガラ、ペッ、ペッ」とうがいする声が響く。そして、顔をバシャバシャ……と洗う音。
恐る恐る洗面室をのぞくと、そこは、ほとんど戦場だった。
シンクにも、その前のドレッサーにも、歯磨き用のペーストが飛び散って、スノースプレーを吹き付けたようになっている。シンクには、梳かした髪がへばりついて、磯の岩場のようになっている。
そんなシンクで顔を洗う気になれないので、鏡に飛び散った飛沫を拭き取り、シンクにスポンジを当てて、彼女の残したものを洗い流した。

やれやれ、この女と1週間か――と思うと、ちょっとウンザリだった。
しかし、部屋の中に自分以外の生きものがいるということは、少しスリリングでもあった。いささか行儀はわるいが、迷い込んできた野良猫を飼っているような、そんな気分もしなくはなかった。
私は、彼女に部屋の鍵を渡し、彼女より早く家を出て、彼女より早く部屋に帰ってくる。昼間、彼女がその部屋で何をしているのかは、想像できなかった。
帰って来ると、リビングのテーブルには、カップラーメンの空容器や菓子パンの空袋が、食べ終えたままの形で放置されていた。
あいつ、こんなものを食って、ハラを満たしていたのか――。
部屋にひとり残されて、カップラーメンをすすっている女の姿が目に浮かんで、少し憐れに感じられた。
すぐに、週末になった。
私は、週末を利用してある計画を実行することにした。それは、「サラの調教」だった。
「きょうは、ボクがキミのためにクッキングする。クッキングしながらキッチンの使い方とかも教えるから、ボクがいないときは、自分でクッキングして食べるんだよ」
サラは、「リアリィ?」と、うれしそうに声を挙げた。
まずは朝メシだ。
冷蔵庫を開けて食材のあり場所を教え、鍋やフライパンのしまってある場所を教え、ガステーブルの使い方を教えながら、卵をフライパンで焼き、パンをオーブントースターで焼き、野菜をソテーして、コーヒーのいれ方を教えた。
そのひとつひとつの作業を、サラは、私に体をくっつけるようにして覗き込んでくる。背中に、彼女の胸の形のいい突起が触れる。
「そんなに近づくと危ないから」と言うと、彼女はちょっと不満そうに口をとがらせて体を離した。
私が用意した朝食を、テーブルの上に並べると、サラは「デリシャス!」と言いながら、それをむさぼるように口の中に放り込んだ。その姿は、ハラを空かしてエサをむさぼり食らう犬のようでもある。
「ハングリーだったの?」
私が訊くと、コクリとうなずく。
「レストランに行く、はダメ。ワタシ、お金ないから」
「ミスター鈴原がペイしないから?」
「明日払う、来週払う、言う。スズハラ、ウソばかり。ワタシ、まだお金もらってないよ」
やっぱりだ――と思った。鈴原正一郎は、彼女へのペイを引き延ばす代わりに、私に「1週間預かってくれ」と彼女を押しつけたのだ。「まったく……」と怒りが込み上げてきたが、サラには罪がない。「出て行ってくれ」と放り出すわけにもいかない。
こうなったら、彼女に少しでも行儀のいい野良猫でいてもらうしかない。

食事がすむと、私はサラに言った。
「ハラが減ったら、冷蔵庫の中に入っている材料でメシを作って食うといい。午後になったら、スーパーに買い出しに行こう。その代わり、サラ、ボクの部屋にいる間は、ボクの部屋のルールを守ってくれるかい?」
「アイ・ガーリー、マイ・キャプテン!」
またも、敬礼をしてみせる。
「よし、まず、片づけだ。食べたら、食器を洗って片づける」
私は、サラをキッチンに連れて行って、食器の洗い方とその収納の仕方、ゴミの片づけ方を教えた。
次に、洗濯だ。
「キミ、洗濯物は溜まってないかい?」
サラは、その質問を待っていたようだった。
「センタクしないと、ワタシ、もう着るものないよ。持ってきていいか?」
私がうなずくと、サラは両手にあふれるほどの洗濯物を抱えてやって来た。
彼女の洗濯物は、Tシャツやタンクトップ、ホットパンツ、それに下着類だった。
私は彼女に洗濯機の捜査の方法を教えながら、それらをひとつずつ、洗濯槽の中に放り込んでいく。しかし、彼女の下着類は、そのまま洗ったのでは生地を傷めてしまうかもしれない。
「キミの下着類は、デリケートな作りのようだから、そういうものは、このネットの中に入れて洗うんだ」
「デリーケート?」と首を傾げながら、サラは手にした下着の一枚を広げて見せた。それは、ほとんどヒモだけのようなTバックタイプのショーツだった。
「これ、ワタシ、いちばん好き。洗ったら、着てみせるよ」
手で広げたそれを自分の腰に当てて見せ、次にはそれを私の目の前に広げて見せた。彼女の股間の、ちょうどヴァギナを覆っているであろうと思われる部分から、かすかに女の匂いがした。
その匂いを嗅いだとたん、私の脳の中で何かの回路がショートした。
「サラ……」
そう言いながら、私はサラの両肩に手を置き、その手に力を込めた。
サラは、ランランと輝く目で私の目を見つめた後、「ニャオ」とでも言うように、頭を私の頬にこすりつけてきた。
次の瞬間、半開きにした唇から舌をのぞかせた口が、私の唇にとびかかってきた。唇が触れ合った瞬間、片足が私の腰に巻き付いてくる。彼女の口からは、「ハフ、ハフ……」と、荒い息がもらされている。
彼女が手にした下着がハラリ……と洗濯槽に落とされた。
⇒続きを読む
筆者の最新小説、キンドル(アマゾン)から発売中です。絶賛在庫中!

一生に一度も結婚できない「生涯未婚」の率が、男性で30%に達するであろう――と予測されている「格差社会」。その片隅で「貧困」と闘う2人の男と1人の女が出会い、シェアハウスでの共同生活を始めます。新しい仲間も加わって、築き上げていく、新しい家族の形。ハートウォーミングな愛の物語です。
「Kindle」は、「Amazon.com」が世界中で展開している電子本の出版・販売システム。「Kindle専用端末」があればベストですが、なくても、専用のビューアーをダウンロード(無料)すれば、スマホでも、タブレットでも、PCでも読むことができます。
下記タイトルまたは写真をクリックして、ダウンロードしてください。
2016年3月発売 定価:342円 発行/虹BOOKS
妻は、おふたり様にひとりずつ (小説)
既刊本もどうぞよろしく タイトルまたは写真をクリックしてください。



【左】『聖少女~六年二組の神隠し(マリアたちへ-2)』
2015年7月発売 定価/122円
教師のビンタが支配する教室から、突如、姿を消した美少女。卒業から40年経って、ボクはその真実を知ります。
【右】『『チャボのラブレター(マリアたちへ-1)』
2014年10月発売 定価122円
中学校の美しい養護教諭とボクの、淡い恋の物語です。
「Kindle」は、「Amazon.com」が世界中で展開している電子本の出版・販売システム。「Kindle専用端末」があればベストですが、なくても、専用のビューアーをダウンロード(無料)すれば、スマホでも、タブレットでも、PCでも読むことができます。
下記タイトルまたは写真をクリックして、ダウンロードしてください。
2016年3月発売 定価:342円 発行/虹BOOKS
妻は、おふたり様にひとりずつ (小説)
既刊本もどうぞよろしく タイトルまたは写真をクリックしてください。
2015年7月発売 定価/122円
教師のビンタが支配する教室から、突如、姿を消した美少女。卒業から40年経って、ボクはその真実を知ります。
【右】『『チャボのラブレター(マリアたちへ-1)』
2014年10月発売 定価122円
中学校の美しい養護教諭とボクの、淡い恋の物語です。

管理人は、常に、フルマークがつくようにと、工夫して記事を作っています。
みなさんのひと押しで、喜んだり、反省したり……の日々です。
どうぞ正直な、しかしちょっぴり愛のこもった感想ポチをお願いいたします。



→この小説の目次に戻る トップメニューに戻る
- 関連記事
-
- 「カサブランカ」の歌姫4-3 ネコ科の彼女の愛し方 (2016/11/11)
- 「カサブランカ」の歌姫4-2 野蛮でエロい彼女 (2016/11/03)
- 「カサブランカ」の歌姫4-1 預けられた女 (2016/10/28)