「愛してる」と言えないあなたのために

手と手 
あなたはその人に「愛してる」と言えますか? たぶん、
日本人の大部分は、そのひと言を口にするのが苦手。
実はそれには、深い理由があるのですが――という話。


 愛の会話力レッスン   レッスン85 
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  ボクは、あなたを愛してる。
  私は、あなたを愛してるわ。

 こういう言葉を、さらっ――と、涼やかな顔で言えたら、もしかしたら、この人生はもっとラクに生きられるのかもしれません。
 しかし、言えないんですね。特に、私たち日本人には、このひと言が。口にしようとすると、なんだか、モゾモゾッ……と、くすぐったいような気分になります。
 ムリもありません。そもそも、「」とか「愛する」という言葉自体が、日本語にはなかった言葉です。それが、日本語として登場するようになったのは、明治になって、外国文学の翻訳がしきりに行われるようになってからのこと。
 欧米の文学に頻繁に登場する「Love」をどう翻訳したらいいのか? 迷いに迷った当時の文学者たちは、漢語の「」をこれに当ててはどうか――と思いつき、それでやっと、「愛」という言葉が、文学の世界では使われるようになりました。

 英語の「Love=愛」は、実に便利な言葉です。
 男が女に、女が男にほれるのも「Love」。
 親が子どもをかわいがるのも、子が親を慕うのも「Love」。
 花やペットをめでるのも「Love」。
 特定の食べ物や飲み物を愛好するのも「Love」。
 心が何かに惹かれたり、執着したりする状態を、すべて「Love」の一語ですませるのですから、これはラクと言えばラクです。
 物心つくかつかないかの頃から、「アイ・ラブ・ユー」だの「アイ・ラブ・イット」だのと口にしながら育っていくのですから、おとなになっても、「アイ・ラブ・ユー」とためらいもなく言えるに違いない――と推測できます。
 しかし、日本人は、こうはいきません。

女の子アイコン2 日本人の「愛してる」は、実に多彩

 私たちは、昔から、「愛してる」を言う代わりに、実に、さまざまなボキャブラリーで、「愛している心の状態」を説明してきました。
 親が子どもを愛するときには、「慈しむ(いつくしむ)」とか「いとおしむ」という言葉を使いました。
 花や鳥を大事にするときは、「愛でる(めでる)」などと言います。
 そして、男が女に、女が男に想いを寄せることは、古い時代には、「恋ふる」「懸想する」などと言いましたが、現在では、「ほれる」とか「好き」などと言うことが多いと思います。

 ちなみに、筆者は九州育ちですが、北部九州方面では、「愛してる」などとは言わず、「ほれとぉ~」「好いとぉ~」などと言います。女の子に、「うち、長住クンのことば、好いとぉーと」なんて言われると、目尻がデレーッと下がって、垂れ落ちてしまいそうになります。
 関西出身の人だと、「愛してる」よりも、「好きやねん」とか「ほれと(て)んねん」と言ったり言われたりするほうが多いだろうと思います。

 「愛してる」は口にできなくても、「ほれてる」とか「好き」だったら言えるんじゃないか――と思うのですが、しかし、そう簡単な話ではありません。
 もちろん、「愛してる」よりは、数段、口にしやすくはあるのですが、それでも、「キミ(あなた)にほれてる」だの「好きなんだ(なの)」だのという言葉を口にしようと思ったら、私たちは、それなりの覚悟を求められます。
 それだけではありません。
 その種の言葉をあからさまに口にして、想いを相手に伝えるということに、私たちは何かしらの心理的な抵抗を感じるかもしれません。
 それは、私たちのDNAに長い時間かけて書き込まれた、ある性質によるものに違いない――と、私は推測しています。

女の子アイコン2 「言わなきゃわからない文化」と「言わなくてもわかる文化」

 この地上には、2種類の文化が存在します。「文化」というより、「文化」を育てる「精神的風土」と言ったほうがいいかもしれません。
 ひとつは、「言わなきゃわからないじゃないか」という文化。
 もうひとつは、「言わなくてもわかるだろう」という文化です。

 「言わなきゃわからない文化」は、広大な平原(荒野も沃野もあります)をルーツとする文化です。いつ、見知らぬ侵入者がやって来て、作物や財産を奪っていくかわからない。いつ、他部族の襲撃を受けるかわからない。はたまた、いつ、多民族の侵入に脅かされるかわからない――という平原です。
 そういう状態に置かれた平原の民は、人を見たら、「こいつは敵か、味方か?」をいち早く判断する必要があります。訪問する側も、「私はあなたの敵じゃありませんよ」をハッキリ、わかりやすく示さなくてはなりません。
 みなさんも、よくTVなどでご覧になるだろうと思いますが、平原の民である要人同士が顔を合わせるときなどには、かなり遠くから、両手を大きく広げて近寄り、おたがいの体をハグし合って、力強い握手を二度、三度と繰り返します。
 両手を広げて見せるのは、「武器を隠し持ってなんかいませんよ」を示すためだし、ハグし合うのは、「背中に武器を隠してないか?」を確かめるためのボディチェックです。
 こういう「文化圏」に育った人たちは、ふだんから、「YES・NO」をハッキリ口にする傾向があります。人に対する「好き・嫌い」も、ハッキリ口にします。「アイ・ラブ・ユー」も、しょっちゅう、口にします。口に出して示さないと、「伝わらない」と思っているからです。

 一方、「言わなくてもわかるだろう文化」は、亜熱帯から温帯にかけて広がる樹林帯をルーツにした文化です。こういう地域では、人は、共同体的な村落を形成し、おたがいを助け合って暮らすというスタイルを、長い間、続けて来ました。
 「樹林の民」の社会は、どちらかと言うと閉鎖的です。閉鎖的ではあるけれど、成員同士はおたがいの顔も、性格やものの考え方も、大方は見知っていますから、いちいち、「こいつは敵か、味方か?」なんてことを考えなくてすみます。
 顔を合わせてその表情を読み取るだけで、「この人は怒っているのか?」「それとも喜んでいるのか?」「自分に好意を持っているのか?」「それとも敵意を持っているのか?」などは、大体、察しがつきます。
 この「察する」という能力が、この文化圏で暮らす人たちにとっては、重要なコミュニケーション・ツールになります。相手が「何を考えているか?」「どう感じているか?」は、たいてい「察し」がついてしまうので、いちいち「アイ・ラブ・ユー」などと口に出さなくてもすむわけです。

女の子アイコン2 言わずに伝える「メタメッセージ」の技法

 もうおわかりかと思いますが、私たち日本人は、後者の「言わなくてもわかるだろう」文化圏に属しています。
 「愛してる」だの「好きだ」だの「ほれてる」だのと口にしなくても、自分の想いは伝わっているはずだ。それくらい察してくれよ――と、たいていの日本人は、心の中で思っているだろうと思います。
 結婚カウンセラーや恋愛アドバイザーなどの中には、「一日に一度は、愛してるよと言ってあげましょう」などと言う人もいますが、私は、こういうアドバイスを耳にするたびに、「バカ言うなよ」と笑ってしまいます。
 もし、周りのだれかから「愛してるよ」などと言われたら、私だったら、「気持ちわるい」と背を向けてしまうだろうと思います。
 「愛してくれているかどうか?」は、態度やふるまいや何気ない言葉の端々から感じることができる。それを、いちいち口にしなくてもいいよ――と思うからです。たぶん、日本人だと、そういう感じ方をする人が多いのではないでしょうか。
 こういうコミュニケーションが成立するためには、ひとつだけ、欠かせない能力があります。
 それは、相手が伝えようとする意思を「察する」という能力。
 メッセージを発する側からすると、相手が「察する」ことができるように、自分の意思をそれとなく発信できる、「暗示的能力」です。
 実は、このコミュニケーションでは、相手の真意を「察する」ことよりも、相手が察することができるように、「それとなくわかるメッセージを発する」ことのほうが、むずかしいとされています。
 表面に表れる言葉や態度の裏に含まれた、「ほんとうはこう思ってる」という意味。これを、心理学的には「メタメッセージ」と言います。

 恋の達人たちは、この「メタメッセージ」の達人と言ってもいいか――と、私は思います。
 たとえば、「あなたが好き」とか「あなたを愛している」を伝えるのに、「好き」とか「愛」という言葉を使わずに、「寒い……」とか「胸がドキドキしてる」などと言うとしましょうか。
 この場合、それを口にする人間がほんとうに伝えたいことは、「寒い=きょうは冷えてるから」などということでもなければ、「胸がドキドキしてる=心臓がおかしいのかな」などでもなくて、実は、「寒い=あなたに温めてほしい」だったり、「胸がドキドキ=あなたの前だと興奮してしまう」だったりします。この「あなたに温めてほしい」や「あなたの前だと興奮してしまう」は、表面には出てこないメッセージですが、実は、こちらこそが、ほんとうに伝えたいメッセージ。
 「メタメッセージ」とは、そういうメッセージだと思ってください。
 「好き」や「愛してる」が言えなくても、こんな「メタメッセージ」なら、口にできるし、態度に表すこともできるのではないでしょうか。
 その方法については、いずれまた、機会を改めてお話しましょう。



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