第60夜☆なぜ、SEXしないと女は太るのか?
第60夜
「愛とは何か?」をめぐって、管理人・哲雄がパートナー・AKIを相手に展開する、オヤジ・ギャグ風+ちょっぴりアカデミックおしゃべり。今回は、欲望を拒否されたときに起こる「代償」という心理現象をテーマに、話を進めます――。
哲雄 AKIちゃんは、「寂しい女は太る」という言葉を聞いたことがある?
AKI それ、確か、本になったんですよね?
哲雄 そう。一時期、けっこう話題になった本です。なぜ太るか?
AKI エッチできないから食べる。食べるから太る。簡単な理屈ですよ、哲ジイ。
哲雄 ホーッ、わかってるじゃありませんか。そして、食べると、今度はエッチに気が向かなくなるから、ますます性愛から遠のく。だからまた食べる。悪循環ですねェ。いまのところ、キミにはその心配はなさそうだけど……。
AKI おかげさまで、満たされておりますので。でもね、なんで食べると、エッチしようという気がなくなるの?
哲雄 ああ、それは簡単な理屈。脳の中の満腹中枢は、視床下部というところにあるんだけど、そのすぐそばに性欲をつかさどる中枢もあるんだよね。
AKI 単に近くにあるというだけでしょう?
哲雄 近くにあれば影響も受けるってこと。脳の中にはいろんな神経系があるんだけど、こっちは警視庁の管轄だけど、こっちは神奈川県警の管轄みたいに、バラバラに動いてるわけじゃない。たとえば、食欲と性欲という2種類の神経系をとってみると、満腹中枢が満たされると、「もういっぱいだぞ。食欲系よ、鎮まれ~」と、抑制系の脳内ホルモンを分泌するんだよね。近くにある性欲中枢も、当然、その照射を浴びる。
AKI わかった! 食欲と性欲って、同じ家で別々の部屋に住んでるルームメイト同士みたいなものなんだ。暑がりのルームメイトは、ちょっと暑いとすぐエアコンを入れてしまうけど、寒がりの私は、クーラーが効きすぎてブルブル震えてしまう。「ねェ、食欲ちゃん、ワタシ、寒いんだけど」って言うんだけど、一向に聞き入れてくれない――みたいな関係ね。
哲雄 すばらし―――ッ!
AKI ど、どうしたんです? いきなり大きな声出して……。
哲雄 なんてわかりやすい説明なんだ。キミはわかりやすさの天才だね。
AKI あ、あんまり、ホメられてるような気がしないんですけど……。
哲雄 いや、ホメてるんです。むずかしいことをやさしく言うっていうのは、とてもむずかしいんです。それをいとも簡単にやってのけるAKIクンに、私は心からの敬意を表するとともに、この性欲を捧げたいと思い、ここに、わが伝家のハグ、ハグを……。
AKI せっかくのご厚意ではありますが、後半のほうは固くご辞退させて……キャッ、止めて。
哲雄 まだ、何もしてないではありませんか? しかも、私はいま、満腹状態だし。
AKI じゃ、逆は? エッチができないと「食べる」に走るっていうのも、同じ理屈?
哲雄 脳内現象としては同じことじゃないですか? 脳の中で「エッチした~い」が活発化すると、食欲もその刺激を受けて、「食べた~い」が活発化する。で、性欲のほうが満たされないと、食欲を満たすしかなくなるわけですね。心理的にも、食欲を満たすことで、とりあえず暴れ出しそうな性欲をなだめようとするんだと思うよ。
AKI ね、性欲に代わるものって、食欲だけなの?
哲雄 脳のシステムから言うと、食欲がいちばん近い存在だから、食欲に走る人が多いんだけど、心理的には、いろんなことが考えられるんじゃないの? フロイトの言う「リビドー(性的欲動)」は、何にでも姿を変えることができるらしいから。
AKI 何にでも?
哲雄 リビドーっていうのは、「欲望の素」みたいなものだから、ある方向に向かった欲望が満たされないと、他のもので満足を得ようとするよね。このとき、欲望が向かう方向には2通りあって、そのどっちに進むかによって、その人の人生が大きく変わってしまうかもしれないんだ。
AKI それって、重大。ぜひ、お聞きしておかなくては……。
哲雄 話をわかりやすくするために、この私のリビドーがいま向かおうとしている対象が、AKIちゃんだと仮定しよう。
AKI 仮定ですからね、仮定!
哲雄 ところが、この氷のように冷たい女は、私のリビドーをはねつけ、門前払いにしてしまう。
AKI そこまではしてないと思いますけど、ま、仮定ですからね。それで?
哲雄 行き場を失ったリビドーを満足させることのできない私は、どこかに「すぐやらせてくれる女」はいないか――と考え始める。そうだ、「人妻不倫クラブ」のエレーナちゃんだったら、すぐ呼べるぞ……なんてね。
AKI ちょ、ちょっと待って。ナニ、それ? 「人妻不倫クラブ」? エレーナちゃん?聞いてないぞ、そんな話。
哲雄 だから、仮の話だって。いま作ってるの。
AKI で? いくらなんですか、そこ?
哲雄 1時間2万円+交通費。
AKI ホラ、なんで知ってるんですか? 仮の話なら、そんなこと知ってるわけないじゃないですか?
哲雄 ヘヘ……もしかして、妬いてる? そうか……妬いてるんだ。
AKI ち、違いますよ。哲ジイがどこのアバズレと何をしようが、知ったことじゃありませんけどね。ただ、あんまり、品性を傷つけるようなことだけは……と。
哲雄 ありがとう、回りくどいヤキモチを。で、リビドーの話ね。こうして、より簡単に手に入れられる満足へと、リビドーを迂回させる方法を、フロイトは「代償」と呼んでるんだよね。
AKI 高嶺の花の代償に、安い淫売女を選ぶ、とかいう方法のことですね。
哲雄 だれが「高嶺の花」だって? いちいち引っかかるモノの言い方をするやっちゃ。
AKI というと、哲ジイ、最初に話した「食欲」に走るっていうのも、一種の代償行為ってことになるんですか?
哲雄 その通り。人によっては、それがギャンブルになったり、買い物になったり、もする。しかし、この「代償」というリビドーの解消行為は、行き過ぎると危険な症状を呈する場合があるんだよね。
AKI ギャンブルとか買い物だと「依存症」になる場合がありますよね。あ、食欲にもそれがあるか?
哲雄 もっと問題なのは、欲望の対象が弱い者に振り向けられる場合なんだよね。要するに「代償」というのは、より簡単な方法でリビドーの不満を解消しようとする方法なんだから、その対象が人間である場合には、より弱い相手を選ぶことにもなるでしょう?
AKI たとえば、子どもとか?
哲雄 たぶん、あり得る。ていうか、現実にいろんな事件も起こってるしね。ペットの虐待なんかも、その一例じゃないかと思うんだ。
AKI それ、コワイですね。力のないものを欲望の対象にするっていう傾向。
哲雄 たぶん、これは、世の中全体の意識の傾向とも関係してると思うんだ。むずかしいことは止めようよ。もっと簡単に、手っ取り早くすませようよっていうの、社会全般の傾向でしょ。
AKI そうかァ……。「手っ取り早く」が人間相手となると、弱い相手に向かうっていうことになるわけですね。私がうんと年下の男がいいなんて思うのも、もしかしたら、関係なくはないのかも……。
哲雄 エッ、AKIちゃんって、そうだったの? そんな年下クンをネラってるわけ?
AKI いや、年下もいいかな……って思うこともあるって話ですゥ。哲ジイのエレーナちゃんと一緒にしないでください。
哲雄 だからね、そうならないように、AKIちゃんも……っていうのは置いといて、実はね、それとは反対に、特定の異性などに向けられたリビドーを、より高度な活動のために振り替えようという、意識の働き方もあるんだ。フロイトはこれを「昇華」と呼んでるんだけど。
AKI 高度な……っていうと、芸術活動とか?
哲雄 芸術でも、スポーツでも、政治でも、何でもいいんです。要するに、性的なエネルギーをもっと高次元な別のエネルギーに置き換えようとする働きで、実は、多くの天才と呼ばれる人たちは、早い時期に、この「リビドーの配置転換」に成功してるんだね。
AKI それ、いいです。ね、哲ジイ、それにしようよ。それがいいよ、哲ジイには。
哲雄 あのね……。
あなたの感想をClick Please!(無制限、押し放題)。
→この記事は役に立った(FC2 恋愛/モテ)
→この記事はためになった(にほんぶろぐ村 恋愛/恋愛観)
→この記事は面白かった(人気ブログランキング 恋愛・結婚)
→このテーマの記事一覧に戻る →トップメニューに戻る
AKI 単に近くにあるというだけでしょう?
哲雄 近くにあれば影響も受けるってこと。脳の中にはいろんな神経系があるんだけど、こっちは警視庁の管轄だけど、こっちは神奈川県警の管轄みたいに、バラバラに動いてるわけじゃない。たとえば、食欲と性欲という2種類の神経系をとってみると、満腹中枢が満たされると、「もういっぱいだぞ。食欲系よ、鎮まれ~」と、抑制系の脳内ホルモンを分泌するんだよね。近くにある性欲中枢も、当然、その照射を浴びる。
AKI わかった! 食欲と性欲って、同じ家で別々の部屋に住んでるルームメイト同士みたいなものなんだ。暑がりのルームメイトは、ちょっと暑いとすぐエアコンを入れてしまうけど、寒がりの私は、クーラーが効きすぎてブルブル震えてしまう。「ねェ、食欲ちゃん、ワタシ、寒いんだけど」って言うんだけど、一向に聞き入れてくれない――みたいな関係ね。
哲雄 すばらし―――ッ!
AKI ど、どうしたんです? いきなり大きな声出して……。
哲雄 なんてわかりやすい説明なんだ。キミはわかりやすさの天才だね。
AKI あ、あんまり、ホメられてるような気がしないんですけど……。
哲雄 いや、ホメてるんです。むずかしいことをやさしく言うっていうのは、とてもむずかしいんです。それをいとも簡単にやってのけるAKIクンに、私は心からの敬意を表するとともに、この性欲を捧げたいと思い、ここに、わが伝家のハグ、ハグを……。
AKI せっかくのご厚意ではありますが、後半のほうは固くご辞退させて……キャッ、止めて。
哲雄 まだ、何もしてないではありませんか? しかも、私はいま、満腹状態だし。
AKI じゃ、逆は? エッチができないと「食べる」に走るっていうのも、同じ理屈?
哲雄 脳内現象としては同じことじゃないですか? 脳の中で「エッチした~い」が活発化すると、食欲もその刺激を受けて、「食べた~い」が活発化する。で、性欲のほうが満たされないと、食欲を満たすしかなくなるわけですね。心理的にも、食欲を満たすことで、とりあえず暴れ出しそうな性欲をなだめようとするんだと思うよ。
AKI ね、性欲に代わるものって、食欲だけなの?
哲雄 脳のシステムから言うと、食欲がいちばん近い存在だから、食欲に走る人が多いんだけど、心理的には、いろんなことが考えられるんじゃないの? フロイトの言う「リビドー(性的欲動)」は、何にでも姿を変えることができるらしいから。
AKI 何にでも?
哲雄 リビドーっていうのは、「欲望の素」みたいなものだから、ある方向に向かった欲望が満たされないと、他のもので満足を得ようとするよね。このとき、欲望が向かう方向には2通りあって、そのどっちに進むかによって、その人の人生が大きく変わってしまうかもしれないんだ。
AKI それって、重大。ぜひ、お聞きしておかなくては……。
哲雄 話をわかりやすくするために、この私のリビドーがいま向かおうとしている対象が、AKIちゃんだと仮定しよう。
AKI 仮定ですからね、仮定!
哲雄 ところが、この氷のように冷たい女は、私のリビドーをはねつけ、門前払いにしてしまう。
AKI そこまではしてないと思いますけど、ま、仮定ですからね。それで?
哲雄 行き場を失ったリビドーを満足させることのできない私は、どこかに「すぐやらせてくれる女」はいないか――と考え始める。そうだ、「人妻不倫クラブ」のエレーナちゃんだったら、すぐ呼べるぞ……なんてね。
AKI ちょ、ちょっと待って。ナニ、それ? 「人妻不倫クラブ」? エレーナちゃん?聞いてないぞ、そんな話。
哲雄 だから、仮の話だって。いま作ってるの。
AKI で? いくらなんですか、そこ?
哲雄 1時間2万円+交通費。
AKI ホラ、なんで知ってるんですか? 仮の話なら、そんなこと知ってるわけないじゃないですか?
哲雄 ヘヘ……もしかして、妬いてる? そうか……妬いてるんだ。
AKI ち、違いますよ。哲ジイがどこのアバズレと何をしようが、知ったことじゃありませんけどね。ただ、あんまり、品性を傷つけるようなことだけは……と。
哲雄 ありがとう、回りくどいヤキモチを。で、リビドーの話ね。こうして、より簡単に手に入れられる満足へと、リビドーを迂回させる方法を、フロイトは「代償」と呼んでるんだよね。
AKI 高嶺の花の代償に、安い淫売女を選ぶ、とかいう方法のことですね。
哲雄 だれが「高嶺の花」だって? いちいち引っかかるモノの言い方をするやっちゃ。
AKI というと、哲ジイ、最初に話した「食欲」に走るっていうのも、一種の代償行為ってことになるんですか?
哲雄 その通り。人によっては、それがギャンブルになったり、買い物になったり、もする。しかし、この「代償」というリビドーの解消行為は、行き過ぎると危険な症状を呈する場合があるんだよね。
AKI ギャンブルとか買い物だと「依存症」になる場合がありますよね。あ、食欲にもそれがあるか?
哲雄 もっと問題なのは、欲望の対象が弱い者に振り向けられる場合なんだよね。要するに「代償」というのは、より簡単な方法でリビドーの不満を解消しようとする方法なんだから、その対象が人間である場合には、より弱い相手を選ぶことにもなるでしょう?
AKI たとえば、子どもとか?
哲雄 たぶん、あり得る。ていうか、現実にいろんな事件も起こってるしね。ペットの虐待なんかも、その一例じゃないかと思うんだ。
AKI それ、コワイですね。力のないものを欲望の対象にするっていう傾向。
哲雄 たぶん、これは、世の中全体の意識の傾向とも関係してると思うんだ。むずかしいことは止めようよ。もっと簡単に、手っ取り早くすませようよっていうの、社会全般の傾向でしょ。
AKI そうかァ……。「手っ取り早く」が人間相手となると、弱い相手に向かうっていうことになるわけですね。私がうんと年下の男がいいなんて思うのも、もしかしたら、関係なくはないのかも……。
哲雄 エッ、AKIちゃんって、そうだったの? そんな年下クンをネラってるわけ?
AKI いや、年下もいいかな……って思うこともあるって話ですゥ。哲ジイのエレーナちゃんと一緒にしないでください。
哲雄 だからね、そうならないように、AKIちゃんも……っていうのは置いといて、実はね、それとは反対に、特定の異性などに向けられたリビドーを、より高度な活動のために振り替えようという、意識の働き方もあるんだ。フロイトはこれを「昇華」と呼んでるんだけど。
AKI 高度な……っていうと、芸術活動とか?
哲雄 芸術でも、スポーツでも、政治でも、何でもいいんです。要するに、性的なエネルギーをもっと高次元な別のエネルギーに置き換えようとする働きで、実は、多くの天才と呼ばれる人たちは、早い時期に、この「リビドーの配置転換」に成功してるんだね。
AKI それ、いいです。ね、哲ジイ、それにしようよ。それがいいよ、哲ジイには。
哲雄 あのね……。

→この記事は役に立った(FC2 恋愛/モテ)
→この記事はためになった(にほんぶろぐ村 恋愛/恋愛観)
→この記事は面白かった(人気ブログランキング 恋愛・結婚)
→このテーマの記事一覧に戻る →トップメニューに戻る
- 関連記事
-
- 第61夜☆英雄が色を好むのではなく、色を好むから英雄になる (2009/08/06)
- 第60夜☆なぜ、SEXしないと女は太るのか? (2009/08/02)
- 第59夜☆「かわいい」に走るのは、欲望の退行現象? (2009/07/30)