第59夜☆「かわいい」に走るのは、欲望の退行現象?
第59夜
「愛とは何か?」をめぐって、管理人・哲雄がパートナー・AKIを相手に展開する、オヤジ・ギャグ風+ちょっぴりアカデミックおしゃべり。今回は、欲望を拒否されたときに起こる「退行」という心理現象について話を進めます――。
哲雄 AKIちゃんは、「AがダメならBにしよう」と、コロコロ目標を替えるんだよね?
AKI コロコロなんて……人聞きがわるい。
哲雄 でも、替えるでしょ? イケメンのAクンは、私にはハードルが高いから、顔はいまいちだけどBクンあたりが適当かとか、この際、哲ジイでもいいか……とか。
AKI 哲ジイでいいか……って考える前に、私、自殺すると思います。
哲雄 そ、そこまで言うか、この桃尻娘が!
AKI 確かに尻軽ではありますが、桃ではありませんッ!
哲雄 では、メロン。
AKI なんすか、それ?
哲雄 まだ青いけど、かじりたくなるほどおいしそう。
AKI ハイ、確かにおいしくはありますわよ。
哲雄 でね、キミのように、現実を見てリビドーの対象を替えていくのは、キミが「現実原則」に動かされているからなんだ。
AKI つまり、打算的だと言いたいわけですね?
哲雄 そこまでは言ってません。リビドーが求めるのは「快感原則」に基づいた行動なんだけど、たいていの場合、リビドーの要求は、現実によって拒否されることが多い。そこで、人は、現実には現実を動かしている法則があることを学ぶ。これが「現実原則」。
AKI フーン、快感原則と現実原則ねェ。
哲雄 たとえば、キミが服を買いに行ったとするよね。キミはほんとは、胸のふくらみを強調するようなワンピースを買いたいと思っている。そう思わせるのは、キミの快感原則だけど、ショップの店員は、「お客さまの体形ですと、こちらのスリムなラインのほうがお似合いだと思いますよ」と、別のアイテムを勧めようとする。こっちは現実原則。
AKI ずいぶんわかりやすい例を出してくれましたねェ、哲ジイ。どうしても、私の胸をこきおろしたいわけだ。
哲雄 いえいえ、こきおろしたりはしません。すりすりはしたいですけど……。
AKI 間に合ってます。それで? 私は現実原則を受け入れて、店員の勧めるスリムな服を買ってしまうというわけですね。
哲雄 恋愛でもそうしてるでしょ? イケメンのAクンはあきらめて、多少見栄えはわるいけど、私を大事にしてくれそうなBクンにしとくか――と、現実原則を受け入れてる。ところが中には、「イヤだ、私はどうしてもあの胸開きワンピースが着たいの」と駄々をこねだす女性もいる。寝ても、それが夢に出てきたりする。これが「リビドーの固着」。
AKI どうするんでしょうね、そういう人は?
哲雄 ひとつは、前回、話したように、「抑圧」する。つまり、自分がそんな服を欲しいと思ったこと自体を、意識の奥深くに閉じ込めてフタをしてしまう。閉じ込めるには理由が必要だから、「あんな服を着たいと思ったなんて、叶姉妹じゃあるまいし、なんていやらしい女なんだろう、私は……」と自分を責めたりするんだね。
AKI そこまで思わなくてもいいのに。
哲雄 でも、そうじゃない方法をとる人もいる。そして、わりとこのタイプが多いんじゃないかと思うのは、「退行」という方法なんだ。
AKI 退行? 元へ戻るということですか?
哲雄 リビドーの発達段階について、前に説明したよね。
AKI 最初が口唇期、次が肛門期、そして男根期、潜伏期を経て性器期――っていうあれですね?
哲雄 「退行」というのは、前の発達段階に戻ってしまう、ということなんだ。前の段階に戻れば、リビドーの拒否という現実に立ち向かわなくてすむからね。
AKI つまり、逃げてるわけだ?
哲雄 胸開きワンピースの例で言うと、「じゃ、私、男か女かわからないような格好をしよう」と思ったりする。
AKI エッ、それも「退行」?
哲雄 たぶん、男性性とか女性性が問題になる前の段階、潜伏期とか男根期とかに戻っちゃうんだろうね。そういう「退行」が起こると、わざとボロボロのジーンズを着たりして、男だか女だかわからないような格好をしたがったりする。
AKI 恋愛でもそうなっちゃうわけね? わざと汚い男にホレてみるとか……。
哲雄 いやいや、そっちじゃなくて、ユニセックス路線。ホラ、思い出して。男根期から潜伏期にかけての愛の対象は?
AKI あ、そうか。同性の仲間だ。
哲雄 そう、そこへ戻っちゃう。それが極端になると、ホモ、レズになるわけです。
AKI ということは、ホモ・セクシュアルっていうのは、退行現象?
哲雄 退行の結果か、男根期などへの固着の結果だということになるね、フロイト的に言えば。もっと、前の段階に「退行」する場合もあるんだよ。
AKI 肛門期とか口唇期にまで戻っちゃうんですか?
哲雄 つまり、幼児の段階まで戻るわけです。さっきの服の例で言うと、「かわいい」に戻ろうとする。フリルとかリボンとかにこだわったり、極端な場合には、いわゆる「ロリータ」と呼ばれるファッションに走ったりする。
AKI いるいる、そういう子たち。私は違いますからね。いくら胸開きを拒否されたって、そこまでは退行しません。
哲雄 知ってるよ、キミは現実法則を受け入れる女だからね。
AKI なんか、抵抗あるなぁ、その言い方。もちろん、彼女たちは、恋愛でもそういう傾向なんでしょうね。
哲雄 ウン。当然、肛門期とか口唇期まで退行してるわけだから、性愛の対象は異性の親。
AKI エーッ!? てことは……近親相姦?
哲雄 そこまではいかないね、ふつうは。それについては、幼い頃に抑圧を受けてるから。でも、自分の父親と同じくらいの男性に抱かれたい――と思ったりはする。けっこういるでしょ、そういう女性?
AKI いるかも。でも、私は違いますからね、全然、そういう気ないですから。
哲雄 残念ながらそのようですね。でも、特に日本では、この傾向は強いような気がする。
AKI ロリータが?
哲雄 そこまではいかないけれど、「かわいい」に戻りたいと思う傾向、けっこう強いと思うんだ。社会が全体にそういう方向に進んでるような気もする。
AKI そう言えば、みんな、「かわいい、かわいい」とか言うものね。
哲雄 もしかしたらこれは、国家の策略ではないか?
AKI エッ!? 「退行」させることが?
哲雄 国民は「かわいい」ほうが、支配者にとっては都合がいいからね。童話や神話は、そういう目的で創られてきた、とも言えるんだ。
AKI そうなんですか? 神話はわかるけど、童話も?
哲雄 たとえば、「シンデレラ」は、当時のフランス国王ルイ14世から「国民の心を柔らげるような美しい物語を」との命を受けたシャルル・ペローが、民話(ほんとはもっとドロドロした物語)をもとに創り上げた物語だし、ディズニーの世界も、世界中を「アメリカの子ども」にしようとする策略ではないかと思ってるんだ、私は。
AKI エーッ、ホントにィ?
哲雄 ディズニーの創始者とCIAの関係が、一時期、取りざたされたりしたでしょう?
AKI だいぶ、話がそれちゃいましたけど……。
哲雄 そうそう。リビドーの要求が現実によって拒否されると、人は「退行」というスタンスをとることがある、という話でしたね。実は、あと2つあるんだよね。
AKI リビドーが拒否に遭ったときのスタンスですか?
哲雄 次回、その話をしたいと思います。では、ロリちゃん、また……。
AKI だから、違うって言ってるのに……。
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哲雄 そこまでは言ってません。リビドーが求めるのは「快感原則」に基づいた行動なんだけど、たいていの場合、リビドーの要求は、現実によって拒否されることが多い。そこで、人は、現実には現実を動かしている法則があることを学ぶ。これが「現実原則」。
AKI フーン、快感原則と現実原則ねェ。
哲雄 たとえば、キミが服を買いに行ったとするよね。キミはほんとは、胸のふくらみを強調するようなワンピースを買いたいと思っている。そう思わせるのは、キミの快感原則だけど、ショップの店員は、「お客さまの体形ですと、こちらのスリムなラインのほうがお似合いだと思いますよ」と、別のアイテムを勧めようとする。こっちは現実原則。
AKI ずいぶんわかりやすい例を出してくれましたねェ、哲ジイ。どうしても、私の胸をこきおろしたいわけだ。
哲雄 いえいえ、こきおろしたりはしません。すりすりはしたいですけど……。
AKI 間に合ってます。それで? 私は現実原則を受け入れて、店員の勧めるスリムな服を買ってしまうというわけですね。
哲雄 恋愛でもそうしてるでしょ? イケメンのAクンはあきらめて、多少見栄えはわるいけど、私を大事にしてくれそうなBクンにしとくか――と、現実原則を受け入れてる。ところが中には、「イヤだ、私はどうしてもあの胸開きワンピースが着たいの」と駄々をこねだす女性もいる。寝ても、それが夢に出てきたりする。これが「リビドーの固着」。
AKI どうするんでしょうね、そういう人は?
哲雄 ひとつは、前回、話したように、「抑圧」する。つまり、自分がそんな服を欲しいと思ったこと自体を、意識の奥深くに閉じ込めてフタをしてしまう。閉じ込めるには理由が必要だから、「あんな服を着たいと思ったなんて、叶姉妹じゃあるまいし、なんていやらしい女なんだろう、私は……」と自分を責めたりするんだね。
AKI そこまで思わなくてもいいのに。
哲雄 でも、そうじゃない方法をとる人もいる。そして、わりとこのタイプが多いんじゃないかと思うのは、「退行」という方法なんだ。
AKI 退行? 元へ戻るということですか?
哲雄 リビドーの発達段階について、前に説明したよね。
AKI 最初が口唇期、次が肛門期、そして男根期、潜伏期を経て性器期――っていうあれですね?
哲雄 「退行」というのは、前の発達段階に戻ってしまう、ということなんだ。前の段階に戻れば、リビドーの拒否という現実に立ち向かわなくてすむからね。
AKI つまり、逃げてるわけだ?
哲雄 胸開きワンピースの例で言うと、「じゃ、私、男か女かわからないような格好をしよう」と思ったりする。
AKI エッ、それも「退行」?
哲雄 たぶん、男性性とか女性性が問題になる前の段階、潜伏期とか男根期とかに戻っちゃうんだろうね。そういう「退行」が起こると、わざとボロボロのジーンズを着たりして、男だか女だかわからないような格好をしたがったりする。
AKI 恋愛でもそうなっちゃうわけね? わざと汚い男にホレてみるとか……。
哲雄 いやいや、そっちじゃなくて、ユニセックス路線。ホラ、思い出して。男根期から潜伏期にかけての愛の対象は?
AKI あ、そうか。同性の仲間だ。
哲雄 そう、そこへ戻っちゃう。それが極端になると、ホモ、レズになるわけです。
AKI ということは、ホモ・セクシュアルっていうのは、退行現象?
哲雄 退行の結果か、男根期などへの固着の結果だということになるね、フロイト的に言えば。もっと、前の段階に「退行」する場合もあるんだよ。
AKI 肛門期とか口唇期にまで戻っちゃうんですか?
哲雄 つまり、幼児の段階まで戻るわけです。さっきの服の例で言うと、「かわいい」に戻ろうとする。フリルとかリボンとかにこだわったり、極端な場合には、いわゆる「ロリータ」と呼ばれるファッションに走ったりする。
AKI いるいる、そういう子たち。私は違いますからね。いくら胸開きを拒否されたって、そこまでは退行しません。
哲雄 知ってるよ、キミは現実法則を受け入れる女だからね。
AKI なんか、抵抗あるなぁ、その言い方。もちろん、彼女たちは、恋愛でもそういう傾向なんでしょうね。
哲雄 ウン。当然、肛門期とか口唇期まで退行してるわけだから、性愛の対象は異性の親。
AKI エーッ!? てことは……近親相姦?
哲雄 そこまではいかないね、ふつうは。それについては、幼い頃に抑圧を受けてるから。でも、自分の父親と同じくらいの男性に抱かれたい――と思ったりはする。けっこういるでしょ、そういう女性?
AKI いるかも。でも、私は違いますからね、全然、そういう気ないですから。
哲雄 残念ながらそのようですね。でも、特に日本では、この傾向は強いような気がする。
AKI ロリータが?
哲雄 そこまではいかないけれど、「かわいい」に戻りたいと思う傾向、けっこう強いと思うんだ。社会が全体にそういう方向に進んでるような気もする。
AKI そう言えば、みんな、「かわいい、かわいい」とか言うものね。
哲雄 もしかしたらこれは、国家の策略ではないか?
AKI エッ!? 「退行」させることが?
哲雄 国民は「かわいい」ほうが、支配者にとっては都合がいいからね。童話や神話は、そういう目的で創られてきた、とも言えるんだ。
AKI そうなんですか? 神話はわかるけど、童話も?
哲雄 たとえば、「シンデレラ」は、当時のフランス国王ルイ14世から「国民の心を柔らげるような美しい物語を」との命を受けたシャルル・ペローが、民話(ほんとはもっとドロドロした物語)をもとに創り上げた物語だし、ディズニーの世界も、世界中を「アメリカの子ども」にしようとする策略ではないかと思ってるんだ、私は。
AKI エーッ、ホントにィ?
哲雄 ディズニーの創始者とCIAの関係が、一時期、取りざたされたりしたでしょう?
AKI だいぶ、話がそれちゃいましたけど……。
哲雄 そうそう。リビドーの要求が現実によって拒否されると、人は「退行」というスタンスをとることがある、という話でしたね。実は、あと2つあるんだよね。
AKI リビドーが拒否に遭ったときのスタンスですか?
哲雄 次回、その話をしたいと思います。では、ロリちゃん、また……。
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