「空気」を作り出すのは「醜い欲望」

Talker 哲雄 人間関係についての著作を手がけるエッセイスト。本ブログの管理人です。
with AKI 出張エステ嬢として働きながら、作家を目指す推定年齢アラサーの美女。
第364夜 【本日のテーマ】 「空気」を作り出すのは「醜い欲望」
「空気」を読もうとしすぎる日本人の性質は、きわめて危険である。前回は、そんな話をしました。なぜ「危険」なのか? 実は、その「空気」を作り出そうとする人間の中に、すこぶる「醜い欲望」が潜んでいるからであるという話を、今回はご紹介します――。
【今回のキーワード】 空気 ポピュリズム
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AKI 日本人は、「周りの空気」を読もうとしすぎる。しかし、哲ジイは、それを危険な傾向であると考えてるんですよね?
哲雄 ハイ。とても危険な傾向であると思っています。たとえば、オフィスでだれかが、「○課のA子ってさ、ちょっとジコチューだと思わない?」と言い出し、それに何人か(といっても、せいぜい2人か3人程度)が、「そうよね、こないだもさぁ……」などと同調したとしましょうか。
AKI そういうの、よくありますよね。
哲雄 キミもそういうとき、「そうよ、そうよ」と同調する口でしたか?
AKI いえ、いえ。私はこう見えても、けっこう冷静を貫くタイプでございましたから、そういう話には乗りませんでした。どっちかと言うと、「そうなの? そうは見えないけどね……」って、むしろ、打ち消しにかかったりしてましたわ。
哲雄 フム、感心、感心! しかしね、AKIクン、キミのその感心な冷静さは、残念ながら、「空気」を変えることはできないんだよね。
AKI エッ、できないの? どうしてェ?
哲雄 みなさんが「読む」だの「読めない」だのと言っている「空気」っていうのはですね、そんな高尚な気持ちからは、けっして作られることはないのです。
AKI 別に「高尚な気持ち」なんか、私、持ち合わせてはおりませんけど……。
哲雄 でも、キミの「冷静」を呼びかけようとする気持ちは、特定の女性を「ジコチュー」とこき下ろそうとする気持ちよりは、はるかに「高尚」でありますゾ。
AKI ま、そう言われれば、確かに……ですが。
哲雄 で、私は、これだけは言えると確信しているんですよ。
人が「空気、読めよ」なんぞと言っているその「空気」てェものは、
そんな高尚な気持ちからは、作られない。
作られるのは、もっとも低劣な感情からである。
AKI 低劣な感情? たとえば……?
哲雄 そうですね。たとえば、「やっかみ」とか「ねたみ」。これは、自分より上のクラスにいる人に向けられる感情ですが、逆に、自分より下のクラスに対しては、「さげすみ」や「あざけり」だったりします。その背後には、もっと大きな「醜い欲望」が潜んでいるんですけどね。
AKI その「醜い欲望」っていうのは?
哲雄 ハイ。とても危険な傾向であると思っています。たとえば、オフィスでだれかが、「○課のA子ってさ、ちょっとジコチューだと思わない?」と言い出し、それに何人か(といっても、せいぜい2人か3人程度)が、「そうよね、こないだもさぁ……」などと同調したとしましょうか。
AKI そういうの、よくありますよね。
哲雄 キミもそういうとき、「そうよ、そうよ」と同調する口でしたか?
AKI いえ、いえ。私はこう見えても、けっこう冷静を貫くタイプでございましたから、そういう話には乗りませんでした。どっちかと言うと、「そうなの? そうは見えないけどね……」って、むしろ、打ち消しにかかったりしてましたわ。
哲雄 フム、感心、感心! しかしね、AKIクン、キミのその感心な冷静さは、残念ながら、「空気」を変えることはできないんだよね。
AKI エッ、できないの? どうしてェ?
哲雄 みなさんが「読む」だの「読めない」だのと言っている「空気」っていうのはですね、そんな高尚な気持ちからは、けっして作られることはないのです。
AKI 別に「高尚な気持ち」なんか、私、持ち合わせてはおりませんけど……。
哲雄 でも、キミの「冷静」を呼びかけようとする気持ちは、特定の女性を「ジコチュー」とこき下ろそうとする気持ちよりは、はるかに「高尚」でありますゾ。
AKI ま、そう言われれば、確かに……ですが。
哲雄 で、私は、これだけは言えると確信しているんですよ。
人が「空気、読めよ」なんぞと言っているその「空気」てェものは、
そんな高尚な気持ちからは、作られない。
作られるのは、もっとも低劣な感情からである。

AKI 低劣な感情? たとえば……?
哲雄 そうですね。たとえば、「やっかみ」とか「ねたみ」。これは、自分より上のクラスにいる人に向けられる感情ですが、逆に、自分より下のクラスに対しては、「さげすみ」や「あざけり」だったりします。その背後には、もっと大きな「醜い欲望」が潜んでいるんですけどね。
AKI その「醜い欲望」っていうのは?
哲雄 ひと言で言うと、「自分が得したい」ってことですかね。いろんな「得」がありますよ。「お金が儲かる」っていう「得」もあるし、「(特定の異性)にモテたい」という「得」もあるし、「出世する」っていう「得」もある。もっと大きくは、「権力を手中に収める」なんていう「得」もあります。その「得」のために、「ライバル」や「邪魔者」を消そう――とする動機も、当然、そこには働きます。
AKI ワッ、何だか危険な匂いがしてきました。
哲雄 危険でしょう? その危険な動機のために、ある種の人たちは、自分に有利な「空気」を作り出そうとします。
AKI ある種の人たち? みんなじゃないんだ?
哲雄 みんながそうだったら、私は、そんな社会には住んでいたくないと思うでしょうね。
この「ある種の人たち」っていうのは、
「デマゴーグ=扇動家」とか「ポピュリスト=大衆迎合主義者」と呼ばれる人たちで、
民主主義にはしばしば登場します。
AKI 「デマゴーグ」っていうのは、「デマを飛ばす」とか言うときの「デマ」ですか?
哲雄 そうです。古代ギリシャで生まれた「扇動的民衆指導者」を指す言葉です。社会的に低い階層に属する民衆の不安や恐れなどの感情に訴え、無知や偏見につけ込んで、危機感を煽り立てるなどして、権力を手にしていく政治手法のことを言います。たいていは、国家が危機に瀕したときなどに現れて、穏健な思想や慎重に思慮することを求める勢力を退け、民衆を扇動して、暴力的かつ過激な方向に走らせようとします。そのためには、誇張した情報や虚偽の情報を流したりもします。
AKI ハハァ。それが「デマ」の語源になっちゃったんですね?
哲雄 そのとおり。日本でも、この手法はよく使われたんですよ、特に戦前は。関東大震災のときには、「朝鮮人が暴動を企てている」「共産主義者が革命を起こそうとしている」などというデマが流されて、多くの朝鮮人や共産主義者が、軍や警察によって殺されたり、自警団によって殺害されたりする――という事件が起こりました。政治の世界だけではありません。オフィスの中とか、地域社会とかでも、こういう「デマ」が流布されて、その「デマ」を核として、一定の空気が醸成されていくことがあります。
AKI そういう「デマ」には、悪質なのもありますよね。「○○子は、男に5股も6股もかけてるんだってよ」とか、「○○さんちのご主人ってさ、何か、詐欺みたいな商法でお金もうけてるらしいわよ。でないと、あの若さであんなハデな外車、乗り回せないって」とか、そういう心ないデマが飛び交って、それがその会社とか地域とかの空気になってしまい、言われたほうがその場に居づらくなってしまう――なんてこともありますもの。
哲雄 だから、危険だ――と申し上げてるんです。
AKI もうひとつの……何でしたっけ? ポピュリスト? こっちはどうなんです?
哲雄 「デマゴーグ」のように、虚偽の情報を流したりはしませんが、やることは同じです。大衆が抱いている利益や権利への願望、不安や恐れ。そういうものにつけ込んで支持を集め、既存のエスタブリッシュメントに対抗しようとする政治手法を「ポピュリズム(=大衆迎合主義)」と言うのですが、もっぱらそういう手法を用いて、大衆を操作しようとする人たちを「ポピュリスト」と呼びます。最近、やたらと出てくるんですよね、こういう人たちが。
AKI あ、わかった! どこかの国の大統領候補とか……。
哲雄 あのおっちゃん? そうですね、ポピュリストもポピュリスト。ヒットラーも顔負けのポピュリストです。
AKI ヒットラーってポピュリストだったんですか?
哲雄 政治手法としては、そうだったんじゃないですか。「あなたたちが不幸なのは、あいつらがいるからだ」と、知識層でもあり、富裕層でもあったユダヤ人を「仮想敵」に仕立てて、大衆の不満を「反ユダヤ」に集中させていきました。同じ手法をトランプ氏も使っていますよね。「あいつらがわが国に入り込んできて、安い賃金であなたたちの仕事を奪ったばかりか、麻薬や性犯罪まで持ち込んで、この国の若者の心をむしばんでいる」と、メキシコ系移民(不法移民含む)などを「仮想敵」に仕立てて、不満を溜め込んでいる大衆の喝采を浴びました。
AKI 国境に巨大な壁を作るとか言ってるんでしょ?
哲雄 ほとんど実効性はないと思うけど、でも、そういう目に見えるような、わかりやすい政策をちらつかせることで、愚かな大衆の心を誘導しようとする。それが、ホピュリズムの特徴と言っていいでしょうね。
AKI トランプも、ヒットラーも、共通しているのは、わかりやすい「仮想敵」を作るってことかぁ……。
哲雄 日本にもいるじゃありませんか。何かと言うと、「在日」を目の敵にして、あいつらがオレたちの税金を盗んでいる――なんて言い出す、某政治団体のリーダーとか。
AKI いましたねェ。ヘイト・スピーチを繰り返したりしてる人たちでしょ?
哲雄 そうです。でもね、AKIクン、そういうポピュリストは、政治の世界にだけいるわけじゃありません。学校の中にもいる、会社にもいる。そして、家庭の中にも。大事なことは、そういう人たちが作り出す「空気」に、けっして染まってはいけない、うかつに同調してはいけない――ってことです。
AKI でも、同調しないと、孤立してしまうかもしれないじゃないですか?
哲雄 キミよ、連帯を求めて孤立を恐れることなかれ!
AKI 何すか、それ?
哲雄 私の人生訓です。本日は、ここまで。
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管理人は常に、下記3つの要素を満たせるように、脳みそに汗をかきながら、記事をしたためています。
あなたの押してくださったポイントを見ては、喜んだり、反省したりの日々です。
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