「愛国心」と「愛郷心」は、まったく別物である

Talk 哲雄 人間関係についての著作を手がける、エッセイスト。本ブログの管理人です。
with AKI 出張エステ嬢として働きながら、作家を目指す推定年齢アラサーの美女。
第355夜 【本日のテーマ】 「愛国心」と「愛郷心」は、まったくの別物
前回、「人はなぜ、旗のもとに集まりたがるのか?」という話をして、人が「社会」というまとまりを作るときには、何かしらの「共同の幻想」を必要とする――と申し上げました。その「幻想」の最たるものが「国家」。今回の話は、その続き。実は、結びつきの弱い社会ほど、強力な「幻想」を必要とし、「国家」を前面に押し立てて、「愛国心」を鼓舞しようとします。しかし、それは、人が自然に、自分が生まれ育った郷土を愛しいつくしもうとする「愛郷心」とは、まったくの別物なのです――。
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哲雄 AKIクン、突然ですが、キミは、自分が「日本人」であることを「誇らしい」と思っていますか? それとも、「恥ずかしい」と思っていますか?
AKI いきなりですねェ。ショージキ言うと、両方あります。たとえば、一時期、日本の男たちが、札束抱えて、東南アジアなんかに盛んに「女を買い」に出かけてたことがありましたよね。「セックス・アニマル」なんて呼ばれて、私、チョー恥ずかしかった。バブル期には、日本のオバちゃんたちがパリやミラノに出かけちゃ、ブランド品を爆買いしてました。いまの中国人たちみたいに……。あれも、ずいぶん叩かれてましたよね。ああいうのを見ると、ナイーブな私なんかは、日本人でいることが恥ずかしくなってしまうんですよ。子ども心にも、「日本のおとなたちは、ロクなもんじゃないわ」って感じて……。
哲雄 なるほど。清く、正しい「日本人」を自認するAKIクンとしては、そういうのが恥ずかしかった――と。よくわかります。
AKI 哲ジイは? そいう恥ずかしさ、感じたことってあります?
哲雄 もちろん、ありますよ。キミが「恥ずかしい」と感じたような姿を見ても感じますけど、それとは逆の姿を見てもね。
AKI 逆の姿? 何ですか、それ?
哲雄 オレたちはリッパだゾ――と、誇示するような姿です。たとえば、ウイニング・ラン!
AKI ああ、あれですね? レースに勝った後で、国旗を掲げたり、頭から国旗を被って場内一周したりする――っていうやつですね? あれが恥ずかしいんですか、哲ジイは?
哲雄 顔から火が出るほど恥ずかしいです。ああいうことをするのは、私が見る限り、二流の国が多い。「どうだい、オレたちの国、すごいだろう」と、顕示しているように見えるからです。たとえば、何年か前に行われたWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で、韓国チームが日本を破ったとき、韓国の選手たちが、ピッチャーズ・マウンドに国旗を突き立てて、ヒンシュクを買ったことがありました。
AKI あ、それ、覚えてる! なんか、あのとき、いろいろ批判されたんですよね? 哲ジイは、ああいうことをするのは「二流国」だと思うんですか?
哲雄 そうです。私が「二流」と言うのは、「民度」が低い――ってことなんですがね。
AKI 「民度」? それって、具体的には?
哲雄 その地域に住む住民の、教育水準・知的水準・マナーの程度・文化レベル……などを、総合的に評価する言い方です。基本的に、私は、こう思っているんですよ。
「民度」が低い国民ほど、
「国家」を誇示したがる。

AKI そうなんですか? どうしてだろ?
哲雄 自信がないから――じゃないですか? 自分に自信がないから、何かに依拠して自分の価値を高く見せようとするわけです。前回もお話した「錦の御旗」ですね。その「錦の御旗」として利用されるのが、「国家」です。つまり、こうも言えるわけですね。
「愛国心」という旗を立てたがる人たちは、
自分に「自信」が持てない、「民度」の低い人たちである。

やたら国旗を振り回したりして、「愛国心」をアピールしたがるのは、独裁国家の国民であったり、比較的歴史の浅い新興国の国民だったりするケースが多いでしょう?
AKI そう言えば、そうですね。だから、あれなんですね? 彼らと同じ行動をとる日本人がいると、日本人として「恥ずかしい」と思ってしまうんですね?
哲雄 そうかもしれません。でも、日本人であることを「誇らしい」とも思うんですよ。キミにも、そういう瞬間があるでしょう?
AKI ハイ、ありますよ。キャリー・パミュパミュがヨーロッパの人たちに受け入れられたりすると、「やったね」と思っちゃうし……。
哲雄 なんだ、そっちかい?
AKI 哲ジイは、どうなんです? どんなときに、日本人であることを「誇らしい」と思うんですか?
哲雄 そりゃ、ま、葛飾北斎に感嘆してくれたり、きものの素晴らしさを認めてくれたり、「寿司」を「うまい!」と思ってくれたりしたら、「日本人でよかった」と、少しはうれしくなりますよ。でもね、そういうことは、小さい、小さい。
AKI もっと大きいものに「誇り」を感じてらっしゃるんですね? それは、何……?
哲雄 いつでも、どこでも、私たち日本人について回る「性質」です。
たとえば、道を歩いていて、だれかが荷物を落としてしまったとします。
そんなとき、私たち日本人は、「あ、落としましたよ」とその荷物を拾ってあげる。
場合によっては、その人を追いかけ、
「これ、落としませんでしたか?」と、声をかけたりします。
そういうことが、ごく自然にできる。そういうことを、別に誇ったりするでもなく、サラッ……とできてしまう。そういう姿を見るたびに、私は、「ああ、日本人でよかったなぁ……」と思うわけです。
AKI 「道徳心」ですか?
哲雄 違いますね。「道徳」のように、上からムリにしつけられて身に着けたものではない、もっと生まれつきのものです。
AKI じゃ、DNA?
哲雄 でもないだろう――と思います。おそらく、長い間、この風土で暮らすうちに身に着いていった、「気質」だろうと思います。
AKI そういう風土を、哲ジイは愛してるんですね?
哲雄 風土だけではなく、その風土が産み出した「生き方」「暮らし方」とか、そんな中ででき上がっていった「気質」とか、そういうものの全体を愛してるんですねェ、とても深く。でもね、AKIクン、それは「国を愛する」ということではない。
AKI エッ、「愛国心」じゃないんだ……?
哲雄 ハイ、「愛国心」というのは、支配層の手によって作られた「国家の仕組み」とか、諸外国に対して示される「国力」を自負し、愛する精神のありようだと思うのですが、私が愛しているのは、そんなものじゃない。むしろ、嫌いです。特に、明治以降、薩長によって作られた「日本国」の仕組みも精神も、少しも好きではありません。
AKI 愛しているのが「日本国」ではないとしたら、哲ジイが愛しているのは、何だろう?
哲雄 郷土としての「日本」です。私は、それを、「愛国心」と区別して、「愛郷心」と呼んでいます。
AKI 「旗」じゃないんですね。
哲雄 ハイ、「旗」じゃありません。「旗」は単なる「記号」です。そして、この「旗」は、ときに、私の愛する郷土を血に染めたりします。
AKI そうかぁ……。「旗」は、ときにその郷土に住む人たちに「死ね!」と命じたりしますものね。
哲雄 前回、私は言いましたよね。「国家」なんていうものには、実体がない。だれかが創り出した「共同幻想」によって、「国家」だと意識されているにすぎない「幻想」である――と。
AKI ハイ、確かにお聞きしました。
哲雄 でもね、AKIクン、その「共同幻想」は、グローバル化が進むとともに、「国」を「国」としてまとめる力としては、弱くなっています。
AKI では、いったい何が、私たちの社会をまとめていく力になるんでしょう?
哲雄 何でしょうね? 次回からは、そんな話をしてみましょうか?
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