荒野のバラと谷間のユリ〈25〉 突然、征服者のように…

バラの花束


赤い帯を締め、浴衣姿のまま横たわる栞菜は、
ボクの征服欲を刺激した。彼女に「もう、降参」と
言わせたい。ボクは彼女の股間に顔を埋め、
ピンクに輝く突起物に舌を這わせた――。



 連載小説/荒野のバラと谷間のユリ ――― 第25章 
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ここまでのあらすじ 大学を卒業して、できたばかりの出版社「済美社」に入社したボク(松原英雄)は、配属された女性雑誌『レディ友』の編集部で、同じく新卒の2人の女子編集部員、雨宮栞菜、戸村由美と出会う。感性の勝った栞菜と、理性の勝った由美は、何事につけ比較される2人だった。机を並べて仕事する由美は、気軽に昼メシを食べに行ける女だったが、栞菜は声をかけにくい相手だった。その栞菜を連れ回していたのは、年上のデスク・小野田宏だった。栞菜には、いつも行動を共にしている女がいた。右も左もわからずこの世界に飛びこんだ栞菜に、一から仕事を教え込んだ稲田敦子。そのふたりに、あるとき、「ヒマ?」と声をかけられた。ついていくと、そこは新宿の「鈴屋」。「これ、私たちから引っ越し祝い」と渡されたのは、黄色いホーローのケトルとマグカップだった。その黄色は、ボクの部屋に夢の形を作り出す。そんなある夜、小野田に飲みに誘われた栞菜が、「松原クンも行かない?」と声をかけてきた。元ヒッピーだと言うママが経営するスナックで、ボクは小野田が、かつては辺境を漂白するバガボンドだったことを知らされる。その帰り、バガボンド小野田は、「一杯飲ませろ」と、ボクの部屋にやって来た。小野田は、黄色いマグカップでバーボンを飲みながら、自分の過去を語った。漂流時代にアマゾンを探検中、後輩を水難事故で死なせてしまったというのだった。やがて、年末闘争の季節がやって来た。組合の委員長・小野田は、「スト」を主張。書記のボクと副委員長の相川は、それをセーブにかかった。しかし、会社の回答は、ボクたちの予想をはるかに下回った。その回答を拒否することが決まった翌日、栞菜は部長たちと夜の銀座へ出かけ、由美はボクを夜食に誘って、「ストはやらないんでしょ?」とささやいた。女たちは、ほんとは、「スト」なんか望んではいないのだ。そんな中で開かれた第二次団交は、何とか妥結にいたり、栞菜の発案で、彼女と由美、ボクと河合の若者4人組で、祝杯を挙げることになった。その夜、珍しく酔った栞菜の体がボクの肩の上に落ちた。飲み会がお開きになると、稲田敦子と栞菜がボクの部屋を「見たい」とやって来た。「眠くなった」と稲田が奥の部屋に消えたあと、「飼いネコになりなよ」と発したボクの言葉に、栞菜は頭をすりつけ、唇と唇が、磁石のように吸い寄せられた。その翌々週、ボクたちは忘年会シーズンに突入した。珍しく酔った由美を送っていくことになったボクに、由美は、「介抱してくれないの?」とからんできた。一瞬、心が揺らいだが、酔った由美を籠絡する気にはなれなかった。その翌日、編集部に顔を出すと、小野田がひとりで荷物をまとめていた。「もう、この会社は辞める」と言うのだった。「荷物運ぶの手伝ってくれ」と言われて、蘭子ママの店に寄ると、小野田が言い出した。「おまえ、何で由美をやっちまわなかった?」。ママによれば、小野田にもホレた女がいたらしい。しかし、小野田は女から「タイプじゃない」と言われてしまったと言う。その女とは? 小野田が消えた編集部で、栞菜がボクに声をかけてきた。「ワインとパンがあるの。ふたりでクリスマスしない?」。ボクは栞菜を部屋に誘った。自分からセーターを脱ぎ、パンツを下ろした栞菜の肌は、磁気のように白かった。その体に重なって、初めて結ばれた栞菜とボク。週末になると、栞菜は、パンとワインを持ってボクの部屋を訪ねてくるようになった。彼女が持ち込む食器やテーブルウエアで、ボクの部屋は、栞菜の夢の色に染められていく。しかし、その夢の色は、ボクの胸を息苦しくもした。そんなとき、栞菜を慕う河合金治が、編集部で他の編集部員を殴った。1週間後、河合は会社に辞表を出した。もしかしてその責任の一端はボクにもあるのか? 胸を痛めるボクに河合が声をかけてきた。「ボクが辞めるの、キミが想像しているような理由じゃないからね」。小野田も河合もいなくなった編集部に、4月になって新人が2人、配属されてきた。うち1人が、高級婦人誌出身の高島。相川は、その高島を「エゴイスト」と断じ、「あれは危険な男だ」と言う。その高島を「トノ」と呼ぶ栞菜は、「あの人は、そんな人じゃないよ」と擁護した。そんな中、編集部は1週間の休暇に入った。「どこか行こうか?」と言い出したのは、栞菜だった。「予定を組まない旅がしたい」という栞菜とボクは、ブラリと電車に飛び乗り、山梨県の塩山で降りた。大菩薩峠の登山口にある山間の温泉宿。浴衣姿になった栞菜の白い肌を、ボクは「見たい」という欲求をたぎらせた――




 帯から下の浴衣を左右に観音開きにされた栞菜は、まるで、羽を開いたまま標本箱に虫ピンで固定された蝶のように、敷布団の上に横たわっている。
 その美しい蝶を、美しい姿のまま観賞し、そして凌辱したい。
 ボクの中に、そんな思いが湧いた。
 開かれた両腿の間に頭をもぐらせ、その中央を覆っているミルク色のショーツの縁に手をかけて、それをゆっくり、ヒップボーンから下ろす。
 ミルク色の薄い生地の下から、やわらかいウエーブのかかった彼女の小ぶりなブッシュが、姿を現す。
 ブッシュに口をつけると、微かに汗の匂いがした。
 両手でショーツをさらに引きおろしながら、ボクは唇で、そのブッシュに分け入った。褐色がかったヘアの一本一本をかき分けるように進んでいくと、彼女の豊かなデルタは二手に分かれ、肉色の渓谷が姿を現す。
 ボクは、唇をその渓谷へと匍匐させた。
 「ね、松原クン……ね、そこは……」
 栞菜は、ボクの頭をそこから引き剥がそうと、両手でボクの髪をつかむ。つかんだ髪ごと、ボクの頭を引っ張り上げようとする。
 ボクは彼女の手をもぎ取って、それを腰骨の脇に固定し、なおも唇を先へ進めた。
 渓谷は、ピンク色の湿原へと、扇状の広がりを見せている。渓谷が湿原へと変わる位置に、糸の結び目のようなコブがある。その結び目を舌でほぐすと、中から淡いピンクの雌蕊(めしべ)のようなものが顔を出した。
 それがどういう器官であるのか、そのとき、ボクはまだ知らなかった。
 名前は知らなかったが、ぬめぬめと濡れそぼって輝くその突起物が、とても愛しいものに感じられた。
 愛しいと思ったので、ボクは舌先をその先端に這わせた。
 その瞬間、栞菜が暴れ始めた。
 暴れるというのとは、ちょっと違う。
 「あっ……ね、そこは、そこは……」
 言いながら、もぎ取られた手がボクの手にツメを立て、痛いと思うほどに握り締めてくる。
 ボクの舌が触れるたびに、彼女の腰が、ビクッ、ビクン……と、痙攣するように持ち上げられる。
 持ち上げられた恥骨の向こうで、首が激しく左右に振られている。
 栞菜の体は、相反する反応を見せていた。
 彼女の鎖骨から上は、羞恥ゆえに、ボクの舌を拒んでいるように見えた。
 しかし、腹部から下は、むしろ、その動きを歓迎しているように見えた。
 拒みながら求め、求めながら拒む。
 栞菜のSEXには、そんな相反する意思が絡んでいるように見えた。

        

 栞菜が最後まで隠そうとしていたものを暴き出すことで、栞菜の「飼いネコ化計画」は、半分は、完了したようなものだ。後は――と、ボクは思った。
 この状態で、栞菜を歓喜の頂点へと誘い、彼女に「あなたに降参」と声を挙げさせればいい。
 どこかでそう思っていた。
 栞菜の突起に当てがった舌を尖らせて、少し硬くなったように見える雌蕊をツルンと舐め上げ、ツンツンとノックし、グリグリと押し揉んでみた。
 「ね、もう……もう……」
 栞菜の声は、懇願に変わった。
 天に向かって、何かを求めるように突き上げられた腰が、その体勢のまま、ブルブル、ガクガク……と震え、それから、ガクン……と力を失った。
 栞菜は絶頂に達したのだ――と、ボクは思った。
 しどけなく横たわった栞菜は、時折、込み上げてる痙攣に身を任せながら、湿原の中央からとめどもなく、透明な蜜を溢れさせていた。
 まだ、栞菜の腰には、赤い帯が締められたままだ。栞菜は、浴衣の帯から下だけをはだけられたままの姿で、まだ治まりのつかない荒い息を吐いている。
 その姿は、男たちの凌辱を受けたばかりの村娘のようでもある。
 一瞬、ボクの中で、もっと征服者でありたい――という欲望がムクムクと頭をもたげた。その欲望は、ボクの男を、痛いほどに滾らせていた。
 ドクドクと滾り立つそれを、ボクは栞菜の泉に宛がった。
 絶え間なく蜜を溢れさせていた栞菜の泉は、ボクの怒張をヌルリ……と受け入れた。
 いつもに増して硬く、大きく膨らんだ分身が栞菜の肉襞の中にめり込んでいく様子を見ながら、ボクは、征服者の満足に満たされていった。

        

 帯を解かないまま、ボクは、栞菜の浴衣の胸をグイとはだけさせた。
 そのまま、栞菜の上体に自分の上体を重ね、つなぎ合わせた分身を激しく彼女の体の中に送り込んだ。
 栞菜の瞼が震えていた。
 「ほんとに、あなたなの?」
 栞菜の目がそう言っているように感じられた。
 ボクは、ボクではない何者かになっている――。
 もしかしたら、それがほんとうのボクなのかもしれない。
 腰をいつになく激しく動かして、栞菜の奥へ、奥へと、ペニスを送り込みながら、ボクはそんな疑問を自分にぶつけていた。
 「もう……ダメ……ダメェ……」
 栞菜は足をボクの脚に巻きつけて、全身を絶え間なく震えさせている。
 ボクは、栞菜の頭を片手で押さえ、髪をグイとつかんでのけ反らせながら、その唇を吸った。激しく唾液を吸いながら、スラストの速度を速めた。熱いマグマが精巣から吐き出され、それがパイプを駆け上ってくるのがわかった。
 その放出は、征服の証だった。
 しかし、それが迸った瞬間、ボクの劣情は急速に冷えていった。
 冷えると同時に、別の感情がボクの脳の中で優勢になった。
 それは、いつになく卑しい感情に支配されてしまったことに対する、後悔と嫌悪の感情だった。
 「ワイルドだったね……」
 しばらく余韻に浸っていた栞菜が、ボクの胸を指でチョンと突きながら言った。その言葉が、ボクには、抗議の言葉のようにも感じられた。
 「キミがあんまり色っぽかったから……」
 「フーン、こういうの、好きなんだぁ……」
 それだけ言うと、栞菜は浴衣の胸元を直し、帯を締め直してタオルを手にした。
 「汗かいたから、お風呂に入ってくるね」
 「あ、じゃ……ボクも……」
 ボクはあわてて、栞菜の後を追った。
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