社訓が立派すぎる会社は、社員を幸福にはしない

Talk 哲雄 人間関係についての著作を手がける、エッセイスト。本ブログの管理人です。
with AKI 出張エステ嬢として働きながら、作家を目指す推定年齢アラサーの美女。
第348夜 【本日のテーマ】 社訓が立派すぎる会社は、社員を幸福にできない
「商品世界」の「虚」に流されて、自分を見失わないためには、どんな仕事を選び、どんな職場を選択するかが重要。前回は、そんな話をしました。その選択にあたっては、その職場がどんな商品を世に送り出そうとしているか、そこで「働かせる人間」と「働く人間」の《関係性》がどうなっているかを、見抜く目が必要になります。そのポイントになるのは――。
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AKI この商品世界では、人は、自分が作り出す生産物との間に、本来、保ち得る「関係性」を、多くの場合、失っている。しかし、それには、程度の差がある。少しでも、失う程度を低く抑えようと思ったら、どんな仕事を選び、どんな職場を選ぶかが、重要である――と、前回は、確かそんな話をしたんでしたよね。
哲雄 お見事! よく覚えていらっしゃいました。
AKI その選択にあたっては、判断の基準とすべきポイントが2つあると、おっしゃいましたよね?
哲雄 ハイ。ひとつは、その職場が作り出そうとしているモノ、売り出そうとしている商品の「社会性」。そして、もうひとつは、「働かせる人間」と「働く人間」の「関係性」だ――と申し上げました。どちらから行きましょうか?
AKI では、作り出すモノ、売り出す商品の「社会性」のほうから。
哲雄 こちらは、わかりやすいと思いますよ。つい最近も、マンション建設に当たっていた会社が杭打ちのデータを改ざんしていた問題が発覚して、大問題になりましたよね。もしかしたら自分が就職する会社、現に勤務している会社も、そうした不正をはたらいているかもしれない。こういう企業に就職して、自分が作り出しているものが、社会的には「不正」とされる商品であった――となったら、商品を作り出す人間と商品の関係はどうなるでしょう?
AKI はたらく人間は、自分が関わった商品に誇りを感じられなくなるかもしれませんよね。もしかしたら、自分の仕事そのものに、誇りも、生きがいも、感じられなくなるかもしれない……。
哲雄 それどころじゃない。もしその会社が、「不正」と知りながら、そのような商品を世に送り出していたとなれば、その生産に携わった人間は、「ワルの片棒」を担がされたことにもなってしまうでしょう?
AKI その人が良心的であろうとすればするほど、罪の意識を抱え込むことになりますよね。内部告発に踏み切るっていう手もあるけど……。
哲雄 それができるのは、よほど肝の据わった人か、正義感の強い人でしょうね。そして、おそらくですけど、日本の社会では、そういう義憤を行動に移した人物は、同種の業界では煙たがられて、以後、活躍の機会を得られなくなるかもしれません。
AKI それが、日本社会の現実だとしたら、ちょっと悲しいですね。
哲雄 残念ながら、そういう企業、決して少なくはないと思いますよ。いまは、建築業界が問題になってますけど、ひと頃は、食品業界がやり玉に挙がってました。
AKI そう言えば、食品偽装の問題とかありましたよね。
哲雄 他にもいろいろありますよ。
肌にトラブルを起こす恐れのある化粧品を、
「白くなります」「きれいになります」と言って売り続ける化粧品会社、
「必ず資産が増やせます」と言ってFX商品を売りつける金融業者、
「NTTの工事代行業者」などと偽って、自社の通信網に切り替えさせようとする通信会社……。

数え上げれば、キリがありません。
AKI この世には、信用できる会社なんてないんじゃないか――って思うほど、妖しげな商品が満ち溢れてるんですね。
哲雄 ま、いまに始まったことじゃありません。利潤を第一に考えるのが資本というものの本性ですから、だれも監視せずに放っておけば、たとえ安全性に問題があろうが、有害な成分を含んでいようが、「儲かればいいじゃないか」と商品を売りつけようとする会社が出てきたとしても、不思議ではありません。もちろん、その程度には、差がありますけどね。
AKI それを監視するのは、消費者の目?
哲雄 個人の力では限界がありますから、消費者団体やマスコミなどのチェック機能が、健全に働いている必要があるわけです。企業や経済団体から見れば、目の上のタンコブなので、何とかその力を削ごうと、さまざまな圧力をかけてくるかもしれませんが、いまのところ、日本では、このチェック機能は、そこそこ正常に作動しているようには見えます。
AKI それって、企業で働こうとする人にとっても大事な問題ですよね。
哲雄 ハイ、大事です。その企業が、どういう商品をどういう精神で世の中に送り出そうとしているか? そのことをしっかり見きわめる見識が必要だと思いますね。とはいえ、それは、中に入ってみないとわからない、という場合もあります。そこで、大事になるのが、もうひとつのポイントです。
AKI エーッ……と、「働かせる人間」と「働く人間」の「関係性」ですね。
哲雄 よく覚えていてくださいました。
その会社が、従業員をどういうふうに動かそうとしているか?
そのことをしっかり、冷静な目で見きわめる。それがとても大事だと、私は思います。
AKI それを見きわめるのも、しかし、そう簡単な話ではないような気がしますけど……。
哲雄 ハイ、おっしゃるとおりです。でもね、それを推理するヒントは存在します。
AKI たとえば……?
哲雄 ロビーなどに、創業者や現社長の写真などが、デカデカと掲げてあるような会社。私だったら、そういう会社は、「コンチワ、さよなら」と帰ってきてしまいます。
AKI 私も、そういう会社、嫌いです。なんだか、独裁的な会社のように感じるからなんですが、それ、間違ってますか?
哲雄 いや、正しい感じ方だと思います。たぶん、そういう会社は、経営の正統性ばかりを主張して、従業員の人権やその福利厚生には配慮が欠けているだろう――と想像するので、私だったら、決して、そこでガンバろうとは思わないだろうと思います。同じく、社内のいたるところに「社訓」が張り出してあるような会社。これもパスします。
AKI 社訓……ですか? 相田みつをの書のようなのとか……?
哲雄 あれは、詩であって、「訓」ではありません。
「社訓」というのは、
会社が社員に守らせたいと思うような企業理念や会社に対する忠誠心などを、
何か条かにまとめたものです。
会社によっては、これを毎朝、社員に復唱させるようなところもあります。こういう行為は、従業員を精神的に会社に従属させようとするもので、「ブラック企業」とみなされる要因のひとつとされています。
AKI そういう会社だと、「うちの会社の杭打ち、甘くないか?」と思っても、口に出せなかったりするんでしょうね?
哲雄 おそらくね。それとね、やたら福利施設が豪華すぎる会社、これも、私は警戒してるんですよ。
AKI 福利施設って言うと、寮とか……ですか?
哲雄 寮はともかくとして、保養施設とか、研修施設とか……。それがリッパであることを強調しているわりに、給料がそれほど高くない――という会社。こういう会社は、利益を内部留保してる――というふうに、私だったら判断します。
AKI 内部留保? つまり、利益を社会に還元してないってことですか?
哲雄 社会にも還元してないし、従業員にも配分してない。福利施設っていうのは、いざとなったら売却して現金化できる資産勘定ですからね。
AKI そう言えば、哲ジイ。やたら高い名画なんかを買っちゃったりする会社もありましたよね。
哲雄 ありましたねェ。たぶん、そういう会社は、利益を従業員に配分しようという意思がないんだ――と判断できるかと思います。それとね、もし会社を見学する機会があったら、私なら、社員が上司にどういう態度で接しているか、上司が社員にどんなふうに声をかけているか――なども、極力、観察するようにします。
AKI それ、会社説明会とかじゃなくて……ですか?
哲雄 説明会じゃあ、いいところしか見せようとしないでしょう? もしできるならばなんですが、その職場で、みんなが実際に働いている姿を見たいですね。
AKI で、何を見るんです?
哲雄 上司が部下を「オイ!」と呼んだりしてないかとか、部下の女性のお尻をナデたりしてないかとか、いい女がいるか……とか。
AKI もしもし、哲ジイ。オイ、ジジイ!

哲雄 ま、それはジョーダンですが、ほんとにこの会社は、働きがいのある会社かどうかを、観察させてもらうわけですよ。
AKI その観察の結果、「ここはダメ!」「ここならよし!」と判断するポイントは?
哲雄 いまは言えません。来週なら、言えるけど……。
AKI では、次回ということですね。
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