亭主の「使用価値」と「交換価値」

Talk 哲雄 人間関係についての著作を手がける、エッセイスト。本ブログの管理人です。
with AKI 出張エステ嬢として働きながら、作家を目指す推定年齢アラサーの美女。
第346夜 【本日のテーマ】 亭主の「使用価値」と「交換価値」
この世で「実」と言えるものは「関係性」のみ。前回は、そんな話をしました。ところが、現代人は、その「関係性」よりも、そこから生み出される「価値」にばかり目を奪われる傾向が……。今回は、その「価値」を「使用可価値」「交換価値」という側面から眺めてみます――。
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AKI 人生で「虚」ではない「実」として残るもの、それは、「関係性」だ――と。前回は、そういう話をうかがったんでしたわね。
哲雄 ハイ。そして、私は知りました。キミが私との間に「無関係」という「関係性」を残そうとしていることを。
AKI あ、それは、つい口が滑って……。
哲雄 人間は、そうやってつい、隠しておいた本心を明かしてしまうものであります。ところで、私は思うのですがね。
AKI ハイ、何をでしょう?
哲雄 どうも、人間は、
特に現代の人間たちは、その「関係性」よりも、
その「関係性」から生み出される「価値」にばかり目を向ける傾向がある。
そう思うんですよ。
AKI 「価値」? それって、いくらで売れるか――とか、そういう「価値」のことをおっしゃってるんですか?
哲雄 それもあるし、「これって使える」とか「役に立つ」という「価値」もあります。ややこしいから、こっちはマルクス流に「使用価値」と言っておきましょうか。そして、「いくらで売れるか?」という「価値」のほうは、「交換価値」としておきましょうか。これもマルクス流ですけどね。
AKI あの……マルクスって……?
哲雄 20世紀の初めに 『資本論』 を書いて、資本主義の仕組みを解明し、「マルクス主義経済学」の礎を築いた人。『共産党宣言』 を書いて、共産主義を世に説いた思想家でもあるのですが、その前に、人間が自ら生み出した生産物によって本来の人間性を喪失する「疎外」の概念を説いた哲学者でもありました。
AKI なんか、むずかしそう……。
哲雄 わかりやすい例でお話しましょう。たとえば、AKIクンがどこかの物好きな男と愛し合って、愚かにも結婚に踏み切ったとしましょうか?
AKI いちいち、のどに小骨の引っかかるような言い方ですが、それで……?
哲雄 「結婚の使用価値」は、どこにあると思います?
AKI そりゃ……ま、好きな人と一緒にいられる安心感とか、充実感とか……。
哲雄 それだけ? 他にもいろいろ言うんじゃありませんか? 「あの人、とってもやさしいの」とか、「家のこととかもよく手伝ってくれるのよ」とか、「それにさぁ、毎年みたいに私を海外に連れて行ってくれるし」とか――。
AKI ま、そういう人であれば、言うかもしれませんねェ。エッ、そういうのも「使用価値」?
哲雄 ですね。他にもありますよ。「うちの人、毎晩、私のベッドにもぐり込んでくるの」とか、「朝は、必ずチュッってしてくれるの」とか、こういうのも、些細ではありますが、「使用価値」のうちでしょうなぁ。逆もあるんですよ。
AKI 逆……? 「使用価値」がない――とかってことですか?
哲雄 よく、おばさんたちが言うではありませんか。「最近は、私の体に触れてもこない」とか、「洗い物ひとつ頼んでも、結局、私がやり直さなくちゃならないんだから」とか。挙句の果てに、こう嘆いたりしませんか?
まったく、役立たずなんだから……。

AKI よく耳にしますわねェ。あ、そうか……。「役立たず」ってことは、「使用価値=0」ってことなんですね。
哲雄 そのとおり。でもね、大事なのは、「それでも、この人と出会って、人生を一緒に歩んでいる」という「関係性」なのであって、役に立つかどうかの「使用価値」ではない。そこを間違えると、人生でいちばん大事な「実」である「関係性」を見失ってしまうことになります。
AKI じゃ、「交換価値」のほうは?
哲雄 夫や妻は「売り物」じゃありませんから、本来は、「交換価値」なんて端からないはずなんです。でも、中には、そういうことを考えて伴侶を選ぶ人もいるかもしれませんね。
AKI まさか、亭主や女房を「売ろう」っていうんじゃないですよね?
哲雄 「売り」はしないだろうけど、殺しはするかもしれないですね。
AKI 殺す――ッ? もしかして、保険金殺人とか?
哲雄 近頃、けっこうニュースになったりしたではありませんか? そこまでいかなくても、慰謝料ネライで結婚する人とか? そういうのは、「交換価値」ネライと言ってもいいかもしれませんね。ふたりの「関係性」なんてのはどうでもよくて、何とか「金にならないか」と考えるわけでしょ? ひょっとしたら、「セレブねらいの結婚」なんてのも、それに近いかもしれません。
AKI そう言われればそうかもしれませんねェ。
哲雄 頼むから、そんな結婚だけはしないでくださいね、AKIクン。
AKI しませんとも。でも、哲ジイ、そういうのは、人間との「関係性」だけでなくて、モノとの「関係性」 でもあるんじゃないですか?
哲雄 オッ、いいこと言いますね。そうなんです、モノとの関係についても言えることなんです。たとえば、「家を買う」ということを例にとって考えましょうか。本来、人とその住居っていうのは、そこでどういう「関係性」を実現できるか――ということが重要なはずなのに、「将来、いくらで売れるか?」と、最初から、「交換価値」ばかりを考えて購入する人がいたりします。服でも、宝石でも同じです。
AKI 確かに、そういう人、多いかもしれないです。
哲雄 そういう人は、「価値」に目がくらんで、そこでどんな「関係性」を生み出せるかということに、考えが及んでないんですね。残せるのは、「関係性」なのに……。
AKI 何か、だんだんわかってきました、哲ジイの言わんとしていることが。すると、あれじゃないですか? たとえば、どんな仕事を選ぶか、どんな会社に就職してどんな仕事をするか――っていうのも、「関係性」に注目するか、「価値」に目を奪われるかで変わってきますよね?
哲雄 オーッ、よくぞ気づいてくださいました。実は、私がいちばん言いたいところもそこなんですが、これは、じっくりお話しないといけないので……。
AKI では、次回――ということにしましょうか。実は、私もいま、ちょっと悩んでいることがあるし……。
哲雄 福山雅治だったら、もう行っちゃいましたよ。
AKI そんなことじゃないですッ!
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