この世に残せる唯一の生きた証は、「関係性」

Talk 哲雄 人間関係についての著作を手がける、エッセイスト。本ブログの管理人です。
with AKI 出張エステ嬢として働きながら、作家を目指す推定年齢アラサーの美女。
第345夜 【本日のテーマ】 「実」としてこの世に残る唯一のものは、「関係性」
どんなにガンバって残そうとしても、「虚」なものは、いつか消え去ってしまいます。そんなことに心血を注いでも、人生は虚しいだけ。前回は、そんな話をしました。では、消えずに残る「実」なものとは何か? それは、「関係性」である。今回は、そんな話をしてみます――。
【今回のキーワード】 信用崩壊 投資ファンド
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AKI 「虚」から「虚」を生み出そうとする投資ファンドなんぞの暗躍を野放しにしておくと、この世界は、ハゲタカたちの餌食になってしまう。前回は、そんなお話をしたんでしたわね。
哲雄 そうでしたね。だから、「虚」なものに心を奪われてはいけない――と申し上げました。
AKI そもそも、この世の経済を動かしている「信用」というものが、「虚」なのだから、そんなものをアテにしていると、いつかは、紙屑になっちゃいますしね。
哲雄 ま、「虚」に踊らされた人たちが、いくら資産を減らそうが、そんなことは知ったこっちゃありません。しかしね、AKIクン。なぜかみなさん、一生懸命、そんな「消えもの」に心血を注ごうとするわけですよ。
AKI 「消えもの」ですか?
哲雄 ハイ。「虚」は「消えもの」と言ってもいいかと思います。
「消えもの」というのは、消費すればなくなってしまうもの、
価値が世間の情勢によっていちじるしく変化してしまうもの、
時間とともに消滅してしまうもの。

そんなものの総称と言っていいかと思います。
AKI 消えないもの? じゃあ、土地とか買えばいいのね?
哲雄 土地の価値も変動します。だいいち、荒れます。ヘタすると、ただ持っているだけの土地なんてものは、固定資産税を取られるだけで、人口が減り続けるこの国では、購入価格より販売価格が上がるということは、まず、考えられません。
AKI じゃ、宝石にしとこうかな。
哲雄 止めときなはれ! 宝石の輝きも経年劣化してしまいます。どんなに「一生もの」と言われている耐久財であっても、それには「減価償却」による「評価損」が加わる一方ですから、あなたの人生を豊かにするということにはならない。ただ、いっときの虚栄心を満たすだけ。そういうものもすべて「虚」である! 私は、そう思っています。
AKI では、「虚」ではないものとは?
哲雄 「実」なものですね。
AKI こちらは「消えもの」ではないんですか?
哲雄 ハイ、消えません。しかし、目にも見えません。
AKI エッ……!? 目に見えないのに「実」なんですか?
哲雄 不思議でしょ? でもね、AKIクン、目に見えるものは、たいていは、消えてしまうか、価値を失っていきます。食べ物は食べれば消える、衣服は擦り切れればボロ布と化し、燃やされて灰になります。建物はいつかは朽ち果てます。土地さえも、何もしなければ荒れ果てて価値を失います。だいいち、
それらはどれも、その人が生きたことの意味を
この世に刻んだりはしません。

AKI じゃ、お尋ねしますがね、目に見えないのに「実」なものの代表って何ですか?
哲雄 代表というか、そんなものがいろいろあるわけじゃありません。ひと言でまとめてしまうと、「関係性」ということですかね。
AKI カ・ン・ケ・イ・セ・イ……?
哲雄 ハイ。関係性です。
その人間が周囲の人間とどんな関係性を築いてきたか、
いや、人間だけじゃありません、
この地上の命ある者たちとどういう関係を築いたか、さらには、
そこで何を産み、何を産まなかったかという生産の関係性。
それらすべての関係性です。
AKI ヘーッ、消えないんだ、それ。
哲雄 消えませんねェ。いい関係性も、わるい関係性も、消えるということがありません。
AKI エッ!? わるい関係性も消えないの?
哲雄 「わるい関係性」は、「罪の関係性」「後悔の関係性」として残ります。たぶん、死ぬまで、人は、それを抱えていくことになります。
AKI じゃ、「いい関係性」は、「善の関係性」として残る?
哲雄 ウン。本人が「善」として意識するかどうかはわかりませんが、自分が生きた「実の証」として残りますね。
AKI ひとつ、質問! その「関係性」も、本人が死んでしまったら消えてしまうんではありませんか?
哲雄 ノン。
「関係性」というのは本人の「所有物」ではありませんから。
自分が自分以外の存在と関わることによって作られる「関係性」は、
作られた瞬間に、自分という存在の外部に存在することになります。

ここが重要。
AKI エッ、エッ……? 自分の外? それ、ちょっとわからないんですけど……。
哲雄 エーと……じゃ、わかりやすい例でお話しましょう。たとえば、AKIクン、あなたがどこかのおじさんに、「このセクハラおやじ!」という言葉を浴びせたとしましょうか。ま、よくあることだと思いますが……。
AKI よくはありませんよ、そんなこと。一度ぐらいは言ったことがあるかもしれませんけど……。
哲雄 ま、一度でもいいです。あなたが、その言葉をどこかのだれかのおじさんに浴びせた途端に、あなたとそのおじさんの間には、《セクハラ呼ばわりした女》 と 《セクハラ扱いされた男》 という関係性が成立してしまいます。たとえ、後で誤解が解けたとしても、《セクハラ呼ばわりしたけど、それが誤解だとわかって後悔している女》 と 《セクハラ呼ばわりされて、それは誤解だとわかったけれど、いったん「セクハラ」となじられた言葉は消えないと嘆いている男》 という関係性は残ります。「関係性」はね、その「変化の歴史」ごと、残るんです。そして、その結果も……。
AKI 結果も……? それってどういうことですか?
哲雄 じゃ、少しわかりやすい例でご説明しましょうか? あなたが、どこかのクソ面白くもない男(その男を仮に「男B」としましょう)に恋をして、その男と結ばれ、ひとり娘を出産したとします。《AKIが男Bと恋に落ちた》 という関係性も、《AKIは男Bの妻となった》 という関係性も、その結果、《男BとAKIの間に娘Cが生まれた》 という関係性も、消えないで残ります。この場合、ふたりの間に生まれた「娘C」は、《妻AKIと夫B》という関係性の結果として、受け継がれていくわけです。
AKI なるほどねェ……。
哲雄 まだ、納得してないようですね。では、別の例を。AKIクンは、野山を歩いては草花を愛でる、という趣味を持っているとします。ときには、道辺に咲いた花を「まぁ、かわいい」などと手折っては、それを自分の庭に植えてあげた。
AKI 私、野山も歩かないし、花を手折る趣味もございませんけど……。
哲雄 だから、たとえば――ですって。そんなAKIクンと野山の草花の間には、《草花を愛でる人間と自然に咲く草花》 という関係性が成立します。その関係性の結果として、都会に住むAKIクンの庭には、本来、そんな場所には咲くはずのない花が咲き、その花はやがてそこらに種を散らして、この名前も知らない野の花は、いつの間にか、その町の花として、そこに住む人たちの暮らしの中に入り込んでいきます。年老いたAKIクンは、だれにも見とられることなく、やがてその命は滅んでいきますが、《草花を愛でる女・AKIと自然に咲く花》 という関係性は、《都会の片隅に咲き誇る野の花》 という結果として生き続けることになるわけです。
AKI つまり、あれですか? この世の中のすべての関係性は、つながっている――と、そういうことをおっしゃりたいわけですね、哲ジイは?
哲雄 そうです。
ある「関係性」は、その前に生じた別の「関係性」の結果であり、
そうして、「関係性」そのものは、永久に連鎖していく。

これこそが、この世の中で唯一、「虚」ではないもの、つまり「実」であるものと言えるのではないか。そう申し上げたかったわけですよ。
AKI 何だか、ちょっと宇宙的な……というか、神秘的な話になっちゃいましたね。
哲雄 それを言うなら、「哲学的な」と言っていただきたい。だからね、AKIクン、生きる上でたいせつなことは、この世に「何を財として残すか?」なんてことではない。「どんな業績を残すか?」でもない。いかに、「良好な関係性を残せるか?」だ――と。本日は、そんな話をしたかったわけです。
AKI だから、「虚」に走るな――ということなんですね?
哲雄 おっしゃるとおり。だからね、AKIクン、キミも、この私との間に……。
AKI 残しません。何も残しません。「何も残さない」という関係性を残します。
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